AW&ST電子版11月18日
ホワイトハウスの主の交代が近づく中、F-22ラプターの必要機数をめぐる意見対立が醜い様相を呈してきた。
国防長官付のスタッフは空軍の企画部門に対し議会スタッフへの発言を封じ、ゴードン・イングランド国防副長官および調達責任者ジョン・ヤングを通した仕事をするように求めた。
議会内部に詳しい情報筋は国防総省はF-22予算を抑制しており、今後もそのまま続ける意向という。これは法案と議会の趣旨に反するが、空軍への懲罰だという。イングランド副長官は空軍が議会の承認をとりつけ、増産20機分の予算手当に成功したのを苦々しく思っている。これで空軍のF-22調達数は203機になる。
しかしながら、国防長官官房が認めた予算はわずか4機分で、航空宇宙関係者からこれでは政権交代期間中に同機の生産ラインが停止となるのを防げないと不満の声が高まっている。
空軍の新参謀長ノートン・シュワルツ大将は上院軍事委員会委員長カール・レビン上院議員(ミシガン州選出、民主党)に対して予算化ずみの183機以外に空軍が何機のF-22を必要とするのか近日中に証言する予定。。
参謀長スタッフは250から275機が適正と進言すると見られ、これまで空軍が必要としていた381機から100機以上少ない規模だ。250機あれば24機配備の7飛行隊あるいは18機配備であれば10飛行隊が編成できる。
これに対しヤングは2010年度空軍予算にはF-22に振り向ける資金はないと指摘する。議会・国防長官ともにF-22とC-17の生産を維持するための補正予算を希望している。
「ヤングはイングランドの意向に沿った発言をしています。さらにヤングの周囲にいるスタッフはロッキードと空軍が主張する数字はランド研究所のF-22報告書を根拠としているとヤングに思い込ませていますが、この報告書は現状を反映していないのです。」(ワシントン在住の政府関係者で、空軍・議会・国防総省文官の乱闘の内幕を知る人物)
戦略国際研究センター発表の新しい報告書(同センターの理事長はジョン・ハムレ、オバマ政権の国防長官候補といわれる)によると、戦闘費用、人的費用、予算不足の運用・調達による危機的状況が各軍に共通で新政権は現行国防政策のすべてにおいて再構築を迫られよう、と説明している。
オバマ次期大統領は2009年度で総額1830億ドルの既存調達・装備近代化計画に加え、700億ドル相当の調達契約(武装偵察ヘリ、変形衛星、戦闘捜索救難ヘリ、新型空中給油機)の可否について決断に迫られるだろう、と指摘する向きがある。(Anthony Cordesman and Hans Kaeser, "Defense Procurement by Paralysis")
同上が予測するのは次期大統領は不満を招く予算カットを迫られる事態。「維持可能で効果的な調達計画を再構築するには次期大統領の任期全部が必要で、主要国防契約の中止も求められ、防衛産業は苦境に立たされるだろう」と見ている。
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