スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

実戦に鍛えられたイスラエルの積極防空体制は進化を続けています

Israel Hones Active Air Defense System [Iron Dome] August 13, 2012 David Fulghum Palmachim AB, Israel イスラエルは小国だが領空には軍用機、民間機、ヘリコプター、無人機、ミサイルロケットが入り交じって飛行しており、この複雑性により同国の作戦立案では、空、宇宙、陸上、海上それぞれの運用を調整・同期化させようとする動きが目立つ。 「各 要素を共存させていくのは想像以上に困難な作業です」と第167積極防空隊167th Active Air Defense Wingの副指揮官T大佐(保安上の理由で匿名)は言う。同隊はテルアビブ南方のパルマヒム空軍基地Palmachim ABに駐屯し、アロー、アイアンドームIron Dome、ペイトリオットIIIの各防空システムを運用している。間もなく同隊はダビデのスリング David's SlingとアローIIIも配備される予定だ。 「対空防衛から積極防空への切り替えはおおきな変化で、これで一年になりますが、作業はまだ進行中です」(T大佐) この流れに踏み切った理由は2つある。ひとつは脅威が劇的に変化したこと、特にこの5年間での変化であり、もうひとつが新装備の登場で積極防衛が実現可能になったことである。 「ロ ケットやミサイルが国家組織以外にヒズボラやハマスのような非国家組織まで使うので防空は複雑な様相を呈しています。さらに脅威の出現方向が多方面にな り、エジプト、シナイ半島、シリア、レバノン、ガザ地区、その他も想定されています。テロリストが艦船からミサイルを発射する心配が最近言われています。 特に変化のきっかけは戦術弾道ミサイルですね」(T大佐)  そ の結果としてイスラエルは新戦略を打ち出す必要が生じた。その成果が積極防空構想であり、既存装備の調達(例 ペイトリオットIII)であり、新装備の調 達(例 アローIII高高度弾道ミサイル対応)であり、アイアンドーム(低空ミサイル、ロケット対応)だ。アローIIIはテスト中でアイアンドームは四個 中隊が配備済み。各中隊には固定レーダーx1、指揮命令所および発射機x3が装備されている。 「今 後数年間でアイアンドーム部隊は二倍規模

X-51A三回目フライト失敗の原因

Fin Failure Dooms Third X-51A Flight aviationweek.com August 15, 2012 8 月14日の空軍研究所U.S. Air Force Research Laboratory’s (AFRL)によるボーイングX-51AウェイブライダーBoeing X-51A Waverider極超音速実証機の三回目フライトでは機体制御用の安定板が今回は作動せず、スクラムジェットエンジン点火前に機体制御を喪失してしまっ た。 X-51Aの初飛行は2010年5月でマッハ4.88までスクラムジェットで加速して成功とみなされた。二回目の飛行が2011年3月で数秒で終了したのはスクラムジェットが始動用エチレンからJP-7燃料に切り替わらなかったため。 ボーイングは第四号機も製造しているが、実験飛行の予算がとれていない。AFRLは実験飛行の継続実施を決定できていない、と空軍は声明文で伝えた。 X-51三号機は300秒の飛行でプラットアンドホイットニー-ロケットダインSJX61ラムジェット・スクラムジェット二重モードエンジンでマッハ5に加速する予定だった。 同機はB-52から太平洋上空で午前11時36分(現地時間)に発射された。切り離しは成功し、ブースターは予定通り作動した。 16秒後にブースターの作動中に飛行安定板で故障が見つかったと空軍が発表。ブースターから分離したX-51は制御できず喪失したという。 「サブシステムで問題が発生し、スクラムジェットの点火まで至らなかったのは残念であった。記録データではエンジン点火までの状況は完璧でこのままテスト目的の達成を期待していた」とAFRLは声明文で伝えた。 三号機では2号機の失敗を教訓にハードウェア、ソフトウェアを改良し搭載していた。 炭化水素燃料へ切替得ようとした際に同機はインレットが作動しないためエンジンへの燃料供給が止まり、エンジンが停止してしまった。再始動を試みたが、うなくいかなかったのがその際の状況であった。 そこで三号機ではエンジンの燃料系統のインターフェイスで改良を施し、第一回目飛行では「焼付け」が起こっていたと想定されることから高温ガスが機体内部に浸透することを防ぐシーリング改良が行われた。 一号機はマッハ5に達しなかったが143秒のスクラムジェ

イージス艦の性能改修で日米間の協議が進んでいます

US, Japan Said Discussing Missile-defense Ship Upgrades aviationweek.com August 16, 2012 米国と日本は日本が運用中の駆逐艦二隻のシステムアップグレードにより弾道ミサイル防衛体制の強化を協議中と国防総省との大手契約企業幹部が15日に明らかにした。 あたご級誘導ミサイル駆逐艦の改修は米海軍艦船と同じ弾道ミサイル防衛能力を整備するものと、ロッキード・マーティンで海軍向け事業を統括するニック・ブッチNick Bucciが表現した。 北朝鮮の核開発と弾道ミサイル実験に脅威を感じる日本はミサイル防衛のすべての局面で米国の最大のパートナーとして注目される存在だ。 米国の現在の年間支出は全部で100億ドル程度で、北朝鮮とイランへの懸念を反映した形になっている。 Lロッキード・マーティンが提供しているイージスシステムの構成はレーダー、コンピューター多数、ソフトウェア、ディスプレイ、兵器発射装置および兵器そのもので水上、空中、水中の脅威に対応するものだ。 イージスシステムはルーマニア、ポーランド両国の陸上で2015年めどで配備される予定で、欧州をイランなどの弾道ミサイルの脅威から防衛するとともに、米国艦船も増強される予定だ。 日本は2003年にこんごう級駆逐艦4隻にレイセオン製スタンダードミサイル-3迎撃ミサイルを搭載し弾道ミサイルを撃破する能力を整備する決定をしている。 今回の協議の中心は海上自衛隊のあたごとあしがら二隻のイージスシステムの性能向上によりこんごう級を超える性能の実現にあると、ブッチは電話取材に答えた。 今回の想定対象はイージスシステムのレーダー情報を処理する新しい頭脳となるコンピューターであり、弾道ミサイルとあわせ他の空中攻撃を撃退する能力である。 この近代化であたごとあしがらはSM-3ミサイルの発射能力が装備される。こんごう級の各艦には別個に性能改修が必要だ。 今回とりあげられているSM-3は正確にはブロックII-Aと呼ばれ、オバマ大統領提唱のNATO欧州向けミサイル防衛ロードマップで言及されている重要な構成部分である。 同ミサイルではロケット推進部が大型化され、弾頭部分も高性能になっていることから防御範囲が広がっていると見られる。弾頭部分は目標と衝突す

イラン戦を一ヶ月以上、都市住民500名死亡と想定するイスラエル

Possible War With Iran Could Be Month-long Affair: Israel Minister By Reuters August 15, 2012 イラン攻撃が実行されれば作戦は一ヶ月にわたり、戦線は多方面に拡大し、イスラエルの各都市にミサイル攻撃が加えられ、市民の犠牲は500人を超えるとイスラエルの民間防衛担当大臣が取材に回答していることが明らかになった。 「慌てふためく余地はありません。イスラエル国内はかつてないほどの準備をすすめています」とマタン・ヴィルナイMatan Vilnai(退役将軍、まもなく駐北京大使として赴任予定)は日刊紙マーリフに語っている。 取材は各メディアがイスラエルによるイラン核施設攻撃のタイミングが米大統領選挙前になると報道しているのと同時期に行われた。 イスラエルがイラン攻撃を実施する必然性があるのかとの問には「ここで論議している余裕はない」としながらもヴィルナイは「米国は我が国の最大の友邦国であり実施の際は両国で協調する必要がある」と語っている。 エフド・バラク国防相Defence Minister Ehud Barakと同じようにヴィルナイもイランはイスラエル各都市を数百基のミサイルで攻撃し、死者は500名ほどになると発言している。イランは攻撃を受ければ即座に強力な報復を行うと公言している。 「死者はこれ以上になるかも、以下になるかもしれませんが、これが専門家の助言による最も実現性のあるシナリオです」 「この想定は戦闘が30日間つづき、多方面で攻撃を受けるというものです」とし、イランが支援するヒズボラがレバノン、パレスチナからイスラエルにミサイルを発射する想定をほのめかしている。 イスラエルが構築したミサイル防衛体制で一斉発射されたミサイルの一部は迎撃されると見られ、民間防衛演習も定期的に行われており、ミサイル攻撃を想定している。 ヴィルナイは攻撃が一ヶ月に及んだ場合の経済効果について、とくに商業中心地であるテルアビブが長距離ミサイル攻撃を受けた場合のイスラエル経済の行方については発言していない。 テルアビブはガザ渓谷を巡る三週間戦争(2008年-2009年)、34日間に渡るヒズボラとの戦闘(2006年)でもミサイル攻撃を受けていないが、湾岸戦争(1991年)でイラク

【緊急】イスラエルのイラン空爆は間近に迫っているのか:事態の変化に注視が必要だが、日本の視点は大丈夫か

まず、イスラエル国内の報道の論調は開戦間近というものですが.... Israel Media Talk Of Imminent Iran War Push aviationweek.com August 10, 2012 イスラエル首相・国防相はそろってイラン核施設攻撃を11月の米大統領選挙前に実行したいと考えているが、内閣、軍内部で支持がまだ得られていない、とイスラエルで報道があった。 同国で最大の購読者を誇るイディオト・アハロノトYedioth Ahronoth の記事は観測高まる中で掲載されており、政府内外のリーク情報からも、イラン攻撃は迫っており、たとえ米国との関係を損なっても実施されるとしている。 「ベ ンジャミン・ネタニヤフ首相Benjamin Netanyahuとエフド・バラク国防相Ehud Barak次第でイスラエルによるイラン核施設攻撃は秋にも実施されよう。11月の大統領選挙までになる」とイディオト紙は報道しているが、国防相の発言 は引用していない。首相府はコメントを拒否している。 イディオトによると閣内で即座攻撃案は反対にあったとのことで、軍も作戦内容から戦術戦略面で難易度が高いことから反対しているという。 「過去の実績から首相と国防相は尊敬を集め、これが今までは多くの軍事上の決断につながっていたが、今やその威光は消えている」と同紙は伝える。「人も変わるが、状況の現実そのものがこれまでと異なっているのである」 イスラエルはこれまでも宿敵を攻撃すると脅かしをかけ、特にイランの核開発を決定的な脅威とみなし、限定軍事攻撃の機会を伺ってきた。米国はこれに対しイスラエルに外交手段に注力するように説得してきた。 イスラエル、米国はそろって両国間の意見の相違をなるべく見せないようにしてきたが、とくに米国は軍事力行使は最後の手段だと公言してきた。 ロイターによる世論調査(3月)ではアメリカ人の多数は軍事行動を支持し、それが米国政府あるいはイスラエル政府によるものでも同じだとしたが、イランが核兵器を開発しているという証拠がある場合に限るとし、その結果ガソリン価格が上昇しても受け入れると回答している。 た だし、11月の再選をねらうバラク・オバマ大統領はイスラエルによる一方的な行動は時期尚早として歓迎しない。大統領はネタニヤフ

米陸軍のLEMV監視飛行船が飛行試験を開始しました

Army’s LEMV Surveillance Airship Begins Flight Tests aviationweek.com August 13, 2012 .米空軍は監視偵察用の飛行船開発を断念したが、米陸軍は独自に計画を進めており、 ノースロップ・グラマン の 長時間飛行多用途情報収集機材Long Endurance Multi-Intelligence Vehicle (LEMV) が初飛行を8月7日に完了した。 同 機はハイブリッド飛行船で全長300フィート、初飛行では有人で90分間マクガイア・ディックス・レイクハースト共用基地(ニュージャージー州)からの飛 行に成功した。「初回飛行では発進と回収の安全性を確認することが第一で、次に飛行制御系の作動確認を目的にした」と宇宙ミサイル防衛軍団/陸軍戦略司令 部が発表。 「初飛行では耐空性テストと実証が目標であり、システムレベルでの作動確認が加わっていた。全ての点で目標は達成されている。追加して有人飛行が機体の点検のあとで予定されている」(陸軍) ノースロップ・グラマンが総額154百万ドルでLEMV開発の契約を調印したのは2010年6月で初飛行はその後12ないし13ヶ月後の予定だった。同飛行船はテスト終了後はアフガニスタンで運用される。 LEMVは高度2万フィートで21日間連続運用でき、16kwの発電容量があり、ペイロード2,500ポンドの各種センサーを稼働させる。英国の Hybrid Air Vehicles が飛行船のメーカーとして同契約を下請参加している。 空軍はブルーデビル2監視用飛行船を5月に契約先の MAV6 の業務内容が期待以下という理由で開発中止している。

イスラエルのEW技術がF-35運用各国に大きな利益をもたらす

Israel, U.S. Agree To $450 Million In F-35 EW Work August 06, 2012 総 額450百万ドルでイスラエルとロッキード・マーティンが合意したイスラエル開発の電子戦(EW)装備をF-35搭載の承認はイスラエルの計画する19機 27.5億ドルの第一期導入に道を開くことになり、中東における防衛協力の大きな柱となる。だがそれ以外の意味もある。 長く待たれていた今回の合意でステルス性能の技術的経済的な制約を認めたうえで、高性能レーダーの出現でJSFのステルス性を長期間確保する必要性があらためて浮き彫りになった。 F- 35導入の決め手はステルス性能のはずだが、それだけで歴史上最大規模の装備調達に加わるわけではない。レーダー断面積が小さいことは隙間的な能力だが、 新型レーダーの開発でその重要性が減少する。中国、インド、ロシアがそれぞれ自国開発に乗り出してステルス機の弱点に気づきはじめている。 「ステルスによる防御能力は5年10年は有効でしょうが、機体は30年40年稼動しますから、EW能力は簡単に高度化できるようにしておくことが必要です」(イスラエル空軍IAFのある関係者が本誌に) も うひとつの重要な観点は費用だ。「イスラエルにとってF-35が装備の中にないことは考えられないです。生産機数が増えて単価が下がればF-35はF- 16の後継機となります。」(上記イスラエル空軍関係者) たしかにF-35の現在価格は高価だが、イスラエルは維持が高くつく老朽機を処分したいと考え ている。イスラエルは実質的に米国の援助を受けているのだが。 「旧式機の保守点検での追加費用発生分は米国の軍事援助では手当てされません。そのためF-35調達が遅れるとそれだけ国防予算の負担が増え、その他にまわす余裕がへります」 2008 年の最初の合意内容では75機152億ドル(約1.2兆円)調達のオプションがあり、第二飛行隊を複数年度調達で整備することが盛り込まれていたが、この オプションは他の国防装備調達案と比較検討されている。だがイスラエルに追加飛行隊の本体価格は第一飛行隊より低くなるとの連絡が入っている。 今 回の最新合意によりイスラエルは自国生産の無線 ・データリンク他を自国購入分のF-35に装備することが可能になった。オリ