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【緊急】イスラエルのイラン空爆は間近に迫っているのか:事態の変化に注視が必要だが、日本の視点は大丈夫か

まず、イスラエル国内の報道の論調は開戦間近というものですが....

Israel Media Talk Of Imminent Iran War Push


aviationweek.com August 10, 2012

イスラエル首相・国防相はそろってイラン核施設攻撃を11月の米大統領選挙前に実行したいと考えているが、内閣、軍内部で支持がまだ得られていない、とイスラエルで報道があった。

  1. 同国で最大の購読者を誇るイディオト・アハロノトYedioth Ahronoth の記事は観測高まる中で掲載されており、政府内外のリーク情報からも、イラン攻撃は迫っており、たとえ米国との関係を損なっても実施されるとしている。
  2. 「ベ ンジャミン・ネタニヤフ首相Benjamin Netanyahuとエフド・バラク国防相Ehud Barak次第でイスラエルによるイラン核施設攻撃は秋にも実施されよう。11月の大統領選挙までになる」とイディオト紙は報道しているが、国防相の発言 は引用していない。首相府はコメントを拒否している。
  3. イディオトによると閣内で即座攻撃案は反対にあったとのことで、軍も作戦内容から戦術戦略面で難易度が高いことから反対しているという。
  4. 「過去の実績から首相と国防相は尊敬を集め、これが今までは多くの軍事上の決断につながっていたが、今やその威光は消えている」と同紙は伝える。「人も変わるが、状況の現実そのものがこれまでと異なっているのである」
  5. イスラエルはこれまでも宿敵を攻撃すると脅かしをかけ、特にイランの核開発を決定的な脅威とみなし、限定軍事攻撃の機会を伺ってきた。米国はこれに対しイスラエルに外交手段に注力するように説得してきた。
  6. イスラエル、米国はそろって両国間の意見の相違をなるべく見せないようにしてきたが、とくに米国は軍事力行使は最後の手段だと公言してきた。
  7. ロイターによる世論調査(3月)ではアメリカ人の多数は軍事行動を支持し、それが米国政府あるいはイスラエル政府によるものでも同じだとしたが、イランが核兵器を開発しているという証拠がある場合に限るとし、その結果ガソリン価格が上昇しても受け入れると回答している。
  8. た だし、11月の再選をねらうバラク・オバマ大統領はイスラエルによる一方的な行動は時期尚早として歓迎しない。大統領はネタニヤフ首相の不満をおさえるべ く政府トップ高官を派遣している。これに対し共和党のミット・ロムニー候補はネタニヤフの旧友であり、イスラエルの安全保障を協力に擁護する立場で、自身 も先月エルサレムを訪問している。
  9. 前出のイディオト記事では出所をあきらかにせずイスラエル、米国の政府顧問は共通して11月以前に攻撃を敢行するとオバマに不利となりロムニー当選の可能性を増す結果になると考えていると報じている。
  10. イディオトによるとイスラエルによるイラン攻撃の目的はエスカレーションを狙い、米軍部隊の介入をひきおこすことだという。ただし、バラク国防相はこの点で懐疑的だという。「同相は米国は参戦せず、逆に全力で戦闘の回避に出てくるだろう」と見ている。
  11. ネタニヤフ首相は明らかに米国の外交政策の干渉を受けたくないのは明白で米国内の超党派によるイスラエル支援に感謝しつつ、自国の安全には自国で責任を果たすと主張している。
  12. リベラルな有力紙ハアレツHaaretzはネタニヤフ政権内部の匿名の関係者の声として中東地域で唯一の核保有国と言われる同国には1967年の中東戦争前夜にイランから現在以上の脅威に直面していたとの指摘があると報じる。この見方が国内で支持を広めているようだ。
  13. 8 月10日付の大衆紙マアリフMaarivによる世論調査ではイスラエル国民の41%がイランには非軍事手段では圧力をかけられないと信じ、これに対し外交 手段の有効性を信じるのは22%に過ぎない。その一方で39%はイラン問題は米国他世界主要国に任せるべきと考えており、35%は最後の手段としてのイス ラエル単独攻撃を支持するとしているが、後者は前回の調査では22%だったので増加が注目される。■


これに対し米国の見方は「イスラエルはイラン攻撃を決断していない」

Israel Hasn't Decided On Iran Strike: Pentagon

aviationweek.com August 14, 2012

米 国はイスラエルがイラン原子力施設攻撃の決定を下しているとは見ていないとレオン・パネッタ国防長官が8月14日に発言した。これはイスラエル高官の発言 で金融市場が緊張したことを受けてのこと。パネッタ国防長官はイスラエルを2週間前に訪問しており、軍事行動はあくまで「最後の手段」であり、制裁はらび に外交圧力が功を奏するまでまだ時間があると報道陣に語った。
  1. この発言は攻撃の可能性をしきりに強調しているイスラエルと対照的で、在米イスラエル大使は8月13日にCNNに軍事行動を回避する可能性は「どんどん小さくなっている」と発言。同大使はイスラエルの考えるタイミングはワシントンよりも早く動いていると指摘している。
  2. イスラエル側の発言へのコメントを求められたパネッタ長官は「この時点でイスラエルがイラン攻撃を決定したとは思っていない」と発言。「外交交渉の余地は未だある」
  3. イランからは核開発はあくまで平和目的であり仮に攻撃を受ければ広範囲の反撃をすると警告が出ている。
  4. イスラエル金融市場は8月13日にイラン開戦を巡る議論の高まりを受け大幅安となった。ただし翌日に反撥している。
  5. マー ティン・デンプシー統合参謀本部議長General Martin Dempseyからはイスラエルによる空爆でイラン核開発の破壊は不可能であり、単に遅らせるだけだと警告が出ている。「イスラエル軍の装備について全て 把握しているわけではないが、破壊は不可能でせいぜい核開発を遅らせることしかできないと言っておくのが適当だと思う」■

コメント  きな臭くなって来ました。イスラエルが相当の閉塞感を感じていることは明らかです。ただし、相当な防御を施されていると言われるイランの核施設を一撃にし て破壊することはイスラエル空軍と言えども困難でしょうし、統合防空体制を打破するためにも電子戦の支援が必要となるとイスラエル単独攻撃は可能性が少な いのではないでしょうか。前哨戦としてサイバー攻撃、ISR活動が強化されるはずですが、こればかりは報道機関では把握のしようがありませんね。

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