How Romney, Ryan Differ on Defense Spending
aviationweek.com August 20, 2012
. 国防予算支出で大統領・副大統領候補選出が濃厚なミット・ロムニー Mitt Romneyとポール・ライアンPaul Ryanの二人の考え方が共和党の中でも違いが目立つ。航空宇宙・国防政策の内容を分析している専門家にはライアンという選択そのものが国防産業にとって 先が思いやられる移行が共和党内ですでに起こってしまったことの証拠と見られている。
- ライアンと言う選択で「国防タカ派から予算タカ派への移行が完成した」とみるのはティールグループTeal Groupの航空宇宙担当アナリスト、リチャード・アボウラフィアRichard Aboulafiaだ。
- 業界が資金を提供しているレキシントン研究所Lexington Instituteのローレン・トンプソンLoren Thompsonは国家安全保障に危急の脅威がない一方、国防支出が膨らんでいるためにこの移行となったと見る。
- 「ライアンの予算構想の裏に流れているのは主要国防プログラムの規模縮小が必要とする考え方です。これが実現しないと増税か国防力削減のいずれかを選択せざるをえなくなります」
- ロ ムニーの選挙運動ではヘリテージ財団が前回2008年大統領選の際に作成した公約案を再度取り上げている。GDPの4%を国防支出にまわすべき、と言うの がその内容。ライアンによる下院共和党の予算案は大幅な国防予算削減は求めていないものの、ロムニー構想と比べると4年間で16億ドルも少ないとリベラル 派のケイトウ研究所のクリストファー・プレブルChristopher Preble副理事長(国防・外交政策研究)は言う。
- この相違は共和党内部の意見対立そのものの反映で、ブッシュ前政権時から延々と続く国内問題に焦点をあわせるべきかの議論である。ただ10年たってもアフガニスタン駐留は解消しておらず、国防タカ派は記録的な規模の国防支出を継続させている。
- .ロムニー・ライアン間では支出規模での違いがめだつ。ライアン案では1,580億ドルの追加支出を国防関連で認めながら来年1月想定で5,040億ドルを予算削減のみ実施分罰則として取り上げようとする。
- .「ライアンが予算に詳しいという印象を与えたいのであれば、それで手に入る資金をどこに使うのかを説明する必要があります」と言うプレブルは国防予算1兆ドル削減をかれこれ10年間主張している。
- ロムニー陣営からはむしろオバマ政権への攻勢を強め、大統領が予算削減を進めているように見せかけようとしているとの非難を強めている。
- 「オ バマ大統領は退役軍人現役軍人に冷たい。大幅予算削減で海軍は1916年以降で最小規模になる。陸軍は1940年以後で最小規模になる。空軍も大幅縮小 だ。」と本誌にメールを送付してきた。」ロムニー知事とポール・ライアンは国防体制の維持保全で共通の姿勢。ロムニー案は大統領の削減方針を逆転させ、わ が軍を再建させる。またライアン下院議員提案の予算案では国防予算の強制執行停止をさせないこととオバマ案の国防予算削減には反対している。
- ライアンは国防分野で実績はわずかしかない。それでも共和党も民主党も実績がなくてもそれなりのものを作ってしまうのである。
- . 「国防に詳しくない人にはこういうことは珍しくない」と断言するのは全国安全保障ネットワークNational Security Networkを主宰するヘザー・ハーバートHeather Hurlburtだ。全国的な関心が過去に経歴のない候補者に寄せらると共和党は新保守派のイメージをうちだしてくるという。
- . ジェイムズ・ジェイ・カラファーノJames Jay Carafano, a defense analystは保守派ヘリテージ財団 Heritage Foundationで国防アナリストを務めており、ライアンの国防支出に対する姿勢はロムニーに近く、さらに候補者指名のずっと前に形成されていること を指摘する。昨今の経済情勢を考慮するとライアンの予算案で国防支出を温存するのは相当のことだという。
- カラファーノは米国は国防予算削減または増税のどちらかを選択スべきだとする考え方を一蹴する。「これで心臓発作と脳動脈瘤のどちらで死にたいですかと聞くようなものだ」
- 国 防にGDP4%をあてるべきかで米国が苦しんでいるたった一つの理由は国家財政がちゃんとしていないからにすぎない、とカラファーノは解説する。敵性な投 資を国防分野に続ければ、ペンタゴンは攻撃型航空戦力を再編成し、第五世代戦闘機による近代化、海軍の艦船数増加をいずれも実現できるのだという。
- カラファーノ以外にも国防タカ派は2011年にライアンがアレクサンダー・ハミルトン協会Alexander Hamilton Societyで行ったスピーチを同議員が保守派が大切に考える論点全てを優先的に考えている証拠だとする。つまり、軍事、外交両面の政策での重要点を財政赤字を削減しつつ、大切な価値観をを守りながら実現できるというのだ。
- 「財政政策と外交政策は衝突コースに入っているが、適正規模の予算を維持できければわが国は世界大国の地位を自ら落とす選択肢を取ることになります」とライアンは発言している。強力な国防と財政再建の両立は可能と付け加えていた。
- . ライアンの信望するサプライサイド経済哲学は共和党の実力者グローバー・ノーキストGrover Norquist(アメリカ税制改革運動Americans for Tax Reform会長)と一致するもので、ノーキストは小さな政府が最終的には経済拡大につながると主張している。
- ノー キストの外交政策への姿勢は国防支出の維持を求める向きと対立する。ノーキストはこれまでも共和党内で増税を戒め、ジョージ・W・ブッシュ前大統領の 2000年大統領選挙の基本線に回帰するよう各候補に求めてきた。「外交政策は国内政策にも影響を与える。前政権の考え方に戻るべきです。もし政府が勝手 に特定の戦闘に集中するあるいは占領統治を決めてしまうと、他にまわす余裕はなくなってしまいます」
- ノー キストが言っているのは議員連中と話していみると、国防予算のこれ以上の削減に反対しているものがいる、ただし少数にとどまっているのは良いこととする。 また、反対派は赤字対策議論の中心議員ではないと見る。「増税を口にしている共和党議員はほんのわずかで任期終わりで再選を求めていないのか、再選できる かわからない議員でしょう」
- リ ンゼイ・グラハム上院議員Sen. Lindsey Graham(共和、サウスカロライナ)、ジョン・マケイン上院議員Sen. John McCain(共和、アリゾナ)、バック・マッケオン下院議員Rep. Buck McKeon(共、カリフォーニア)が国防予算削減の拡大を求めて動いている。特にグラハムは税控除等の抜け穴を塞ぐことで税収増を測れば増税は回避でき ると堂々と主張している。
- これに対しノーキストは税制改革論者に「今は対立している」議員は国防予算では何もできないと言っているのと同じだと見ている。この税制改革論者の一人が今回副大統領候補になっているのだが。
- しかしハーバートは副大統領候補の選択は航空宇宙国防産業に何ら影響を与えないと見ている。「予算が下がることはだれにもわかっています。うまく下がるのか、愚かにも急降下してしまうのかが問題でしょう」■
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