スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

ラベル(2022年ウクライナ侵攻)が付いた投稿を表示しています

大晦日の夜に恐ろしい攻撃を受けロシア兵が大量に戦死した事件の背景。

  HIMARS. Image Credit: British Army.     ロ シアはウクライナ軍から致命的なロケット攻撃を受けたのを兵士の不注意のせいにしている。 戦闘中の休憩時間に個人の携帯電話の使用を控えるのは、どの兵士にとっても難しい。しかし今回は実際に、携帯電話の使用が命取りになったようだ。ウクライナ軍は携帯電話の位置情報を利用しロシア軍を収容する建物を攻撃し、元旦の真夜中過ぎに数十名が死亡したと伝えられている。  ロシア国防省は、ウクライナのHIMARSから少なくとも25発のロケット弾が発射され、ロシア兵89人最大の戦死者と思われる。ウクライナは、死者数は数百人にのぼると考えている。   HIMARSの再攻撃  ロシア兵は、ドネツク東部の町マキィフカの職業訓練校で休んでいたが、彼らの位置がウクライナによって追跡された。その後、HIMARSロケットがその場所に降り注ぎ、建物は完全に破壊された。  ロシアの将軍は、携帯電話の使用は「無許可」なまま、広まっていると述べた。兵士たちは、携帯電話を使用すれば敵に見つかると警告を受けている。  ロシアを批判する向きにとって、今回の事件は戦闘がうまくいっていない証拠だ。犠牲者は前線近くにいることに慣れていない徴募兵で、携帯端末を使う危険性を知らなかったのだ。   最も忠実なロシア人作家でさえ不満を感じている ある親ロシア派のブロガーは、政府発表に不満を持ち、標的はウクライナのドローンや他の索敵装置により行われた可能性があると主張している。ロシアに有利なニュースを明らかにするセミョン・ペゴフ Semyon Pegov は、国防省発表は 「説得力がない」、「非難の矛先を示す露骨な試み」だと述べた。  ペゴフは、実際の死者数はロシア国防省発表より多いとみている。   弾薬庫の近くで休憩する兵士たち 他の独立系作家は、建物の選択について、弾薬庫の近くであったため、爆発がより強力になり、さらに兵士が殺されたと批判している。  ロシア軍の陣地に深く入り込み、しばしば兵站や補給地を攻撃するHIMARSロケット弾に、軍はまだ慣れていない。米国が提供するHIMARSでウクライナ軍は驚きと勢いを得つつ、戦争における主導権を握っている。    ウクライナは電子戦に優れている  今回の攻撃は、ウクライナが戦場でロシアを打ち負かすために

M2ブラッドレイ歩兵戦闘車両はウクライナ戦にどんな活躍をするのか。保守整備のインフラ確保が課題になる

 ウクライナ軍はブラッドレイ歩兵戦車を有効に活用できそうですね。これが突破口になれば次は主力戦車の供与も視野に入ってくるのでしょうか。ロシア軍がどう対抗するのか、冷戦時からの戦術の有効性が試されそうです。Task and Purpose記事からです。   25mm砲を発射するブラッドレー戦闘車両 (Staff Sgt. Charles Porter/U.S. Army).   米 国政府はウクライナにブラッドレイ戦闘車を提供すると発表した。ブラッドレー戦闘車は、ロシアやソ連時代の車両よりウクライナ軍の保護と機動性が高くなると、専門家は語っている。    国防総省報道官パトリック・ライダー空軍准将は、木曜日にウクライナへの次回米軍援助にブラッドレイ戦闘車両が含まれると確認したが、それ以上の詳細は不明だ。  ブラッドレ イ は、ソ連時代のBMPやBTRの旧型など、ロシアの侵攻以前からウクライナ側が保有する戦闘車両のほとんどと比較し、重要な利点があると、ランド研究所で防衛政策を研究しているJ.D.ウィリアムズ退役海兵隊大佐は言う。  ウィリアムズは、ブラッドレ イ は無限軌道車両で、車輪付き車両より機動性があり、特にウクライナの冬から春にかけての泥だらけの時期に威力を発揮すると語った。  ブラッドレ イ 戦闘車両は光学系、射撃システム、通信などでも、ソ連時代装備より進んだ戦闘システムを持っているという。ブラッドレーは25mm砲とTOW対戦車ミサイルを装備し、BMPやBTRよりも生存率が高い装甲アップグレードがつく。  BMP-1やBMP-2は装甲が薄く、部隊が出入りする後部ドアに外装燃料タンクがあるため、後方の待ち伏せに弱いという。   2021年2月21日、リトアニア第21ドラグーン大隊との合同訓練に参加し、ブラッドレ イ 戦闘車の後部から下車する歩兵部隊。(Sgt. Alexandra Shea/U.S. Army)     第1騎兵師団を率い、イラク多国籍軍団を率いたピーター・キアレリ退役陸軍大将retired Army Gen. Peter Chiarelliは、「ロシアは、乗員の生存率を我々ほどに真剣に考えない」と述べた。  例えば、ソ連時代ロシアの戦車は共に砲塔基部に最大20発の弾薬が入るオートローダーがつくが、戦車が攻撃を受ければ全てが爆発する可能性があると

2023年の展望② ウクライナ戦の決定要因は弾薬数だ。西側防衛産業は増産が不可避となる

2023年の展望。ウクライナ戦は消耗戦へ。 西側兵器産業の増産は避けられない。 Image: Russian State Media. ウ クライナ戦争は、2カ月足らずで1周年を迎える。ウクライナ軍の戦果とウクライナ国民の総合的な回復力が予想を超えた事実で祝福されるべきだろう。ウクライナの決意は揺るぎないが、同時に、プーチンとモスクワのとりまきたちは、勝利にむけたコミットメントを倍加させているように映る。      これはもはや消耗戦であり、人口や領土の面ではモスクワが有利に見えるものの、この戦争では人的要因と弾薬が決定的となる可能性がある。  ウクライナ戦争は、戦争における人的要因の決定的な重要性を示している。独裁者の誇大妄想がいかに危険で破壊的であるか、特に長期にわたって権力を握ってきた者がいかに危険な存在かを明らかにしている。また、ロシア伝統の腐敗が、自国の軍事力について歪んだ情報評価を常に生み出し、プーチンに行き過ぎた行動を取らせている。  何よりも、政治学の「現実主義」パラダイムに反し、故郷が攻撃され、同胞が殺害される事態に対し、動員された自由と愛国心のある人々が何を成し遂げられるかをウクライナは、再び示している。  しかし、ウクライナ戦争は急速に数の戦争になりつつある。簡単に言えば、弾薬量の問題だ。これはロシア側にもウクライナ側にも当てはまる。ロシア自慢の弾薬は、NATOとの全面戦争に備え、ソ連時代に計画されたものだが今や恐ろしい速度で枯渇しつつある。夏の最盛期、ソ連の戦術書に従い大規模な砲撃で作戦を遂行したとき、ロシア軍は1日に約6万発、ときにはそれ以上の弾丸を発射していた。現在、ロシアは1日にせいぜい2万発、時にはそれ以下しか撃てず、その限られた量を維持するために備蓄から蔵出ししている。一方で、ロシアはイランや北朝鮮をはじめ、世界各地で軍需品の買い付けを行っている。  さらに、ロシアがベラルーシから持ち込んだ弾薬の備蓄は、ほぼ使い尽くされたようで、モスクワにとって状況は厳しい。「ソ連流の戦争方式」を維持できる軍産複合体かが問われている。  ロシアが新たな30万人規模の攻撃部隊を訓練する準備を進めている中で直面しているもう一つの問題は、新編成部隊が、昨年2月にウクライナで活動した部隊の質に及ばない可能性だ。ヴァレリー・ゲラシモフ将軍の改革が生み出したロ

ペイトリオットがウクライナへ。では、イスラエルのアイアンドームの提供は? 一筋縄ではいかないイスラエルの事情でカギとなるのはイランだ。

      ジ ョー・バイデン米大統領とウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は水曜日に会談し、決意と結束の明確なメッセージをクレムリンに送った。会談はまた、ウクライナでの残忍な戦争を支援するためにロシアに武器を提供してきたイラン政権にも重要なメッセージを伝えた。  ゼレンスキーの訪問中、バイデンは米政策で特に重要な変更を1つ発表した。ロシアの無人偵察機、ミサイル、空爆からウクライナの空を守るために、米国はペイトリオット防空システムを送付する。  ある意味で、この動きはイスラエルにスポットライトを当てることにもなる。イスラエルは、ロケットやミサイル、UAVなどを90%以上の確率で迎撃する、最高級兵器システム「アイアンドーム」の提供をウクライナに拒否した。ウクライナ当局は、大統領府、外務省、国防省、在イスラエル・ウクライナ大使館から公式要請を出し、これらのシステム入手を強く求めてきた。  イスラエルが拒否している理由はいくつかある。まず、最も重要なことは、イスラエルは、もし自国システムが配備された場合、戦場でロシアに捕獲されるとの正当な懸念を抱いている。そこからイランに送られ、解析されるのはほぼ確実だ。分析から、イランの代理人とイスラエルが対峙する戦場において、イランがこれらのシステムへの対抗手段を見出すことができる。そうなれば、ヒズボラやハマス、パレスチナのイスラム聖戦は、将来イスラエルに有利となる。イスラエルの前政権は、このようなリスクは負いたくないと明言した。新政府もおそらく同じことを言うだろう。  第二に、イスラエル国防軍は自国防衛のためにより多くのシステムと迎撃ミサイルを獲得することが緊急に必要であると評価しているため、イスラエルはこれらのシステムを他の場所に送ることに躊躇している。ヒズボラとハマスの武器庫は、イスラエルがイランの武器密輸を阻止することにほぼ成功しているが、密輸は増加の一途をたどっている。必要な数のシステムと迎撃ミサイルの生産には時間がかかり、ウクライナ輸出でスケジュールが後退する可能性もある。  第三に、ウクライナ軍に「アイアンドーム」を運用させる訓練に時間がかかるため、短期的にはウクライナの役には立たない。成功率を考えれば、ウクライナが同システムを欲しがる理由は理解できる。しかし、ペイトリオットの方がウクライナ軍の訓練は簡単だろう

ウクライナからのA-10供与要請が開戦直後に米国に出ていた。ペンタゴンは応じなかったが、実現していれば....

    USAF   オースティン国防長官は、ウクライナからのA-10型100機提供の要請を、非現実的とし、同機は脆弱と却下していた     ウ クライナのオレクシー・レズニコフOleksii Reznikov国防相は、ロシアによる2月の全面侵攻から数週間後に、ロイド・オースティン国防長官に、地上攻撃機A-10ウォートグ100機を直接要請していたと語っている。その際、オースティンは、要求は実現不可能であるばかりか、ロシア防空網に危険なほど脆弱であるとし、あからさまに拒否したと言う。  レズニコフのコメントは、ワシントン・ポストが本日未明に掲載した、過去8ヶ月にわたるウクライナ軍向け米軍援助の規模、範囲、展開に関する詳細記事の一部で、全文を読む価値がある。この間、ウクライナに送る兵器システムやその他装備に関するアメリカ政府の立場は大きく変化し、最近は地対空ミサイルシステムのペイトリオット砲台を譲渡する決定をしたが、アメリカ当局者は固定翼戦闘機の送付には慎重なままだ。  レズニコフは、3月下旬のオースティンとの会談でA-10を要請した理由について、「大量の爆弾を運搬できるし、(ロシアの)戦車隊にも使える」とワシントンポストに語っている。  ウォートグは、30mm GAU-8/A アベンジャー回転バレル砲に加え、8本の翼下パイロンと中央胴体下の3本のパイロンに、各種ミサイル、精密誘導爆弾、「ダム」爆弾、ロケット弾、その他を搭載できる。   30mmGAU-8/Aアヴェンジャー回転バレル砲を発射する地上攻撃機A-10ウォートグ。 USAF     3月、首都キエフの北西40マイルの道路でロシアの大規模な機械化部隊が停滞しているのが明らかになるや、米国では議員を含め、ウクライナへのA-10送付を支持する国民が急増した。戦車や重装甲車、大砲など支援車両でいっぱいの隊列は極めて脆弱に見えたため、ウクライナ軍の攻撃をどう支援できるかが議論されていた。  レズニコフは、「ウクライナ政府は、公開情報をもとに、100機のA-10が余剰であると結論づけた」という。この情報は、アリゾナ州のデービスモンサン空軍基地に保管中機材である可能性が高い。  11月時点で、49機のA-10Aと51機のA-10Cの合計100機のウォートグがボーンヤードに保管されていた。しかし、機体の多く、特にA型は、長

ゼレンスキー大統領の米議会演説が残したインパクト。改めて言葉の力に強い感銘を受けた(2022年12月21日)

mainichi     昨 日、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、米議会合同会議で演説し、米国の支援に感謝するとともに、戦争へのさらなるコミットメントを呼びかけた。ゼレンスキー大統領の訪米は、極秘に計画された。     訪問が発表されたのは演説前日であったが、以前から準備が進められていたことは各方面が認めている。まだ、効果は実感できないが、これまでに主要ネットワークで生中継され、絶賛を浴びているようである。 ゼレンスキー、議会を沸かせる ゼレンスキーは重要目標を達成した。ウクライナの戦いを米国の歴史的経験に位置づけ、「バルジの戦い」におけるバストーニュ防衛とウクライナ東部のバフムートの粘り強い防衛を比較した。  また、サラトガの戦いを引き合いに出した(独立戦争の主要な出来事をあまり覚えていないアメリカの聴衆の大部分は困惑しただろう)。ゼレンスキーは、ウクライナの戦旗を前線から持参し、アメリカ議会に渡すことで、この比較に感嘆符を打った。   「ウクライナ兵が新型戦車に乗り、新型飛行機に乗り、米国がウクライナに渡していないシステムを使えれば、米兵は不要になる」と指摘した。  また、欧米の対ウクライナ援助は慈善事業ではなく、投資であると強調した。米国内では、ゼレンスキーやウクライナの戦争努力への批判の多くは、コストに焦点が当てられている。  ゼレンスキーはロシアとウクライナの和平交渉で10項目の提案を行ったが、これはキーウの戦争目的が最大主義的であるとの批判に配慮したのだろう。  提案は、ロシアの完全撤退と大規模賠償を想定し、現状では交渉の針を動かす可能性はほとんどないが、キーウの柔軟性を示唆している。  この文脈での和平交渉の議論は、少なくとも戦争を終わらせる方法を考えたいウクライナの意欲に対し、欧州各国の神経を和らげる役割も果たすかもしれない。   ゼレンスキーは新しいチャーチルか? 演説は、1941年12月26日に行われたチャーチル首相の議会演説との比較を呼び起こした。この演説でチャーチルは、枢軸国に対する世界的な戦争努力へ米国を歓迎し、米国との長期にわたるつながりを強調し、究極の勝利への道のりで両国が直面する課題を詳細に説明した。  チャーチルもゼレンスキーも、米国はすでに戦争に参加しており、米国の将来は戦場での同盟国の成功にかかっていることを強