HIMARS. Image Credit: British Army.
ロシアはウクライナ軍から致命的なロケット攻撃を受けたのを兵士の不注意のせいにしている。 戦闘中の休憩時間に個人の携帯電話の使用を控えるのは、どの兵士にとっても難しい。しかし今回は実際に、携帯電話の使用が命取りになったようだ。ウクライナ軍は携帯電話の位置情報を利用しロシア軍を収容する建物を攻撃し、元旦の真夜中過ぎに数十名が死亡したと伝えられている。
ロシア国防省は、ウクライナのHIMARSから少なくとも25発のロケット弾が発射され、ロシア兵89人最大の戦死者と思われる。ウクライナは、死者数は数百人にのぼると考えている。
HIMARSの再攻撃
ロシア兵は、ドネツク東部の町マキィフカの職業訓練校で休んでいたが、彼らの位置がウクライナによって追跡された。その後、HIMARSロケットがその場所に降り注ぎ、建物は完全に破壊された。
ロシアの将軍は、携帯電話の使用は「無許可」なまま、広まっていると述べた。兵士たちは、携帯電話を使用すれば敵に見つかると警告を受けている。
ロシアを批判する向きにとって、今回の事件は戦闘がうまくいっていない証拠だ。犠牲者は前線近くにいることに慣れていない徴募兵で、携帯端末を使う危険性を知らなかったのだ。
最も忠実なロシア人作家でさえ不満を感じている
ある親ロシア派のブロガーは、政府発表に不満を持ち、標的はウクライナのドローンや他の索敵装置により行われた可能性があると主張している。ロシアに有利なニュースを明らかにするセミョン・ペゴフSemyon Pegovは、国防省発表は 「説得力がない」、「非難の矛先を示す露骨な試み」だと述べた。
ペゴフは、実際の死者数はロシア国防省発表より多いとみている。
弾薬庫の近くで休憩する兵士たち
他の独立系作家は、建物の選択について、弾薬庫の近くであったため、爆発がより強力になり、さらに兵士が殺されたと批判している。
ロシア軍の陣地に深く入り込み、しばしば兵站や補給地を攻撃するHIMARSロケット弾に、軍はまだ慣れていない。米国が提供するHIMARSでウクライナ軍は驚きと勢いを得つつ、戦争における主導権を握っている。
ウクライナは電子戦に優れている
今回の攻撃は、ウクライナが戦場でロシアを打ち負かすために高度な戦術を駆使しているあらわれだ。今回の標的は、NPOがウクライナに提供した高度な市販電子戦装備を使用することで嗅ぎつけられたようだ。
非営利団体から提供された機材が効果を発揮
このシステムはSoftware Defined Radioと呼ばれ、5G携帯電話の会話やBluetoothを含む敵の無線通信を検知し、位置を特定できるという。また、Software Defined Radioは、敵のドローンや司令部に対しても使用される。
ただし、このシステムは高価で、ウクライナ軍には手が届かないが、ニューヨークのAmerican Ukrainian Aid Foundationが提供しています。同キットは、各種無線システムを感知するソフトウェアを前線でプログラム可能で、ターゲットデータをHIMARSロケットランチャーに送る。
非対称戦の最たるもの
これは、ウクライナ軍が非対称戦争を巧みに利用しているもう一つの例で、ロシアが戦争中に直面すると考えもしなかったダビデ対ゴリアテのシナリオだ。送信場所を追跡され、ピンポイントで攻撃されたら、ロシア軍はどうやって通信するのだろうか。ロシアは通信手段を調整し、無線通信は短時間の使用にとどめ、個人的な携帯電話の使用は控える必要がある。
戦争が長引けば長引くほど、ウクライナ戦闘員は、同盟国の政府だけでなく、時には公式な手段よりも早く高度装備を前線に送り出すNPOなど、西側の支援で熟練度をあげていく。
ロシアが電子戦に不慣れかつ未熟な徴募兵に依存を深めれば、危険なHIMARSや通常砲撃に屈することになる。■
Putin Knows His War in Ukraine Is Falling Apart Fast - 19FortyFive
Author Expertise and Experience: Serving as 19FortyFive’s Defense and National Security Editor, Dr. Brent M. Eastwood is the author of Humans, Machines, and Data: Future Trends in Warfare. He is an Emerging Threats expert and former U.S. Army Infantry officer. You can follow him on Twitter @BMEastwood. He holds a Ph.D. in Political Science and Foreign Policy/ International Relations.
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