このブログでは初めてですが、Weapons and Strategy に気になる記事がありましたのでご紹介します。趣旨は①海兵隊HIMARSを与那国島②配備スべきと主張したが、バイデン政権が反対している。②日本の12式対艦ミサイルでもHIMARSよりは劣るが効果はある ③日本は米国依存を脱し、自らの意思で安全保障の維持を模索している一方、米国は東シナ海の安全保障に消極的になる
Weapons and Strategy
与那国島は琉球列島の一部で、台湾に近い小島だ。両筆者は『台湾侵攻を阻止せよ』の中で、与那国にHIMARSを配備する提案を出した。海兵隊が支持してくれたが、バイデン政権は、与那国へのHIMARS配備に反対している。そのため、海兵隊は当分の間、この構想から外れる。しかし、日本はこのゲームに参加したいと考え、中国が台湾を攻撃するだけでなく、防衛力の弱い琉球諸島を占領しようとする事態をますます懸念している。そうなれば、中国は重要な海上交通路を支配するだけでなく、沖縄での米空軍と海兵隊の作戦に立ち向かえる重要な戦略的優位性を得ることになる。
HIMARSは装輪車両がベースの高精度多連装ミサイルシステムで、撃ちながら移動できる。ウクライナ戦争でその有効性と致死性が証明されている。ロシアはHIMARSへの対抗に大きな苦慮しており、配備されたHINMARS発射装備をほとんど、あるいは全く攻撃できてしていないようだ。
HIMARSは船舶を含む移動目標も攻撃できるため、台湾に侵攻する中国軍を撃破する上で重要な役割を果たす可能性がある。中国が成功するためには、大規模な水陸両用攻撃を行う必要がある。台湾は空軍と陸上防衛を展開し(HIMARSも発注済み)、HIMARSは中国軍の侵攻に大きな問題を提起することができます。
日本はHIMARSを持っておらず、HIMARSロケット、特にATACMS(MGM-140)として知られる重要な長距離HIMARSロケットを扱う必要がある。問題は、ATACMSの生産が終了していることと、既存のATACMSが寿命延長プログラム中であることだ。
ATACMS
ATACMSの射程は190マイル。与那国は台湾から67マイルしか離れておらず、ATACMSは中国の水陸両用攻撃をノックアウトするのに最適な距離だ。
米国は、ATACMSを長距離精密射撃(PrSM)と呼称する新型長距離ミサイルに置き換えようとしている。しかし、PrSMは2023年まで使用できず、完全に能力発揮するのは2025年になる。このため、有事には既存の在庫のギャップと、製品の置き換えのギャップという2つのギャップが控えている。
日本は現在、与那国に防空設備を設置し、12式対艦ミサイルを配備する予定だ。同ミサイルは、艦艇地上双方から発射できる。射程距離もかなりある(185マイルまで延長可能)。液体燃料を使うが、キャニスターで発射されるため、迅速対応が可能だ。12式はHIMARS ATACMSには劣るが、与那国に必要な能力を与える。
12式対艦ミサイル
バイデン政権がなぜ海兵隊の勧告に反対し与那国にHIMARS部隊を置く構想を却下したのか、理由は明らかではない。バイデンが中国に甘い、また不可欠な戦争物資の台湾向け納入を遅らせているとの疑惑が高まっている。政権は今週、台湾への新たな武器売却を発表したが、その後、予期せぬ遅れがあると「発見」している。台湾向けの新型F-16戦闘機も遅れており、いつ台湾に届けられるのか、誰にもわからない状態だ。
一方、日本は一生懸命ボールを拾っている。日本は初めて防衛費を大幅に増やし、台湾との政治接触を強め、中国を困らせている。
2018年3月、当時の明仁天皇皇后が、台湾に「手を振る」ため、初めて与那国を訪問された。お二人訪問は、日本政府に重要なシグナルとなった。日本が自国と国益を守るために、そして何よりも米国に依存せず行動を起こすには、4年の歳月と強大化し脅威となる中国が必要だった。明仁天皇は2019年4月、健康を害し退位した。現在89歳だが、与那国が守られるだけでなく、問題の多い地域における日本の防衛力強化につながることを喜ぶはずだ。
これで、バイデン政権は、静かではないものの後退に映る政策をとることになる。これは台湾にとっても、日本にとっても、地域の安全保障にとっても悪いニュースとなる。■
Yonaguni and HIMARS
A Bridge too far for Biden?
Dec 29, 2022
コメント
コメントを投稿
コメントをどうぞ。