スキップしてメイン コンテンツに移動

民間クラウドサービスに模擬攻撃をかける、DoDのゼロトラストによる厳しい姿勢があってこそセキュリティが保証される.....

今回の記事は難解かもしれません。ただし、軍の活動も情報セキュリティがあってこそ可能となるのでこうした厳しい検証が必要なのですね。なお、レッドチームとは既存の枠組み規制にとらわれず行動を許されるトップ直轄の組織で、技術に長けた専門家が必須です。DoDやDARPAあるいはNSAにはいつでも使える人材がプールされているのでしょう。「文系」偏重の日本の行政組織では手も足も出ず、結局外部リソースに依存するのでしょうね...

Cloud storage graphic.  (Getty Images)


今春開始のテストは、Joint Warfighting Cloud Capability 契約の要件ではなく、ペンタゴン CIO の Zero Trust オフィスによる「独立した」実験だと、担当ディレクターが述べている


Zero Trust, but verify (信頼せず実証する): これは国防総省が新しい民間のクラウドプロバイダーに試行する戦略である。

国防総省のゼロトラスト・オフィス責任者によれば、今春から、国家安全保障局のレッドチーム・ハッカー(場合によっては軍のレッドチームも)が、Amazon Web Services、Google、Microsoft、Oracleの各社が運営するクラウドでのゼロトラストのセキュリティシステムに対し数カ月にわたる連続攻撃を開始する。

 ゼロトラスト・ポートフォリオ管理室長のランディ・レスニックRandy Resnickは、本日午後、Billington Cybersecurityのウェブキャストで、「レッドチームが侵入してデータを搾取できるかを判断する敵の攻撃となる」と述べた。「ゼロ・トラスト・オーバーレイが正しく実装されているか、非常に良い感触を得ることができるだろう」。

 また、「クラウドでゼロトラストを実現できるかどうか、国防総省に提言する道筋を示すものとなる」と述べた。「もし......実際にそれが可能だという結論に達すれば、革命的なことになる」。

 なぜこの4社なのか?12月7日に発表されたJoint Warfighting Cloud Capability (JWCC) 契約の対象であり、失敗したJEDIプログラムの後継であったからだ。

 「JWCC契約で将来サービスを提供する CSP(クラウドサービスプロバイダ)4社があるので、JWCCと関係なく、4 社にゼロトラストの話題を持ちかけ、こちらのゼロトラストの定義を説明し、各社のクラウドインフラで目標レベルのゼロトラストができると思うかどうか聞いてみたい」と、レズニックは説明している。

 ただし、要請であって義務ではないこと、そしてレズニックのゼロトラスト基準はJWCC契約自体の要件ではないことを理解する必要がある。これは、ハイエンドの商用CSPが、国防総省のゼロトラスト戦略で設定された基準をどれだけ早く導入できるかを見るための実験だ。これはレスニックのオフィスが作成した5ヵ年計画で、軍のネットワークを、ファイアウォールを通過すれば誰でもフルアクセスできる境界防御に依存する現状から、すべてのユーザーの行動と認証情報を継続的に監視しダブルチェックする多重防御に移行させるためのものだ。

 レスニックは、指定された保護機能少なくとも91項目を必要とする基本的な「ターゲット」レベルまでは実現できると確信している。4社のうち1社以上は、さらに61項目が要求される厳しい「Advanced」レベルへ到達する可能性がある。

 ベンダーは、4社とも「ターゲット」レベルを達成できると言っている。「完全なゼロトラストとまではいかなくても、ほぼ全体に近づくことができる 」。

 しかし、それは「紙の上」の話だとレスニックは強調している。証明してほしいという。

 「私たちが計画しているのは、各社の主張を実際にテストすること」と言う。「今年の春から夏にかけて、あるいはラウンド2に戻るかどうかにもよりますが、秋にも、4つのCSPすべてをテストするつもりです」。

 「NSAのレッドチーム、そしておそらくサービスのレッドチームにも攻撃させます」。

 なぜか?国防総省がゼロトラストのクラウドを苦労して自前で構築したり、民間企業が既存のサービスにゼロトラストのプロトコルを重ねるのを待ったりするのではなく、軍は既製のクラウドサービスを購入すればよいからだ。例えばJWCC契約に基づいて、ゼロトラスト保護が組み込まれていると完全に確信できればよい。

 「ゼロトラストは、基盤の一部として組み込まれている」とレスニックは熱く語る。「ルールやポリシー、ユーザー側の作業はまだ必要ですが、すべてまとめて、私たちが戦略で話しているすべての機能を統合する大変な作業は、すでにほとんど終わっています」。

 「ゼロ・トラストの実現で、これは劇的な変化です。リスクを減らせます。コストを削減する。ゼロトラスト移行を大幅に簡略化することができます。

 民間CSP4社のレッドチームテストと並行して、NSAは米国サイバー司令部のDreamPort構想の一環として政府が開発したNative Zero Trust Cloud(NZTC)のレッドチームも行う予定だとレスニックは付け加えている。NZTCは、ゼロトラスト保護の「Advanced」レベルの要件をすべて満たすことができるはずで、国防総省に最高レベルのセキュリティを備えた自社製の代替クラウドを提供する。

 その目的は、軍隊や防衛機関、その他DoD組織に、拘束力のある選択肢のかわりに、選択肢を豊富に与えることだとレスニックは述べている。ミッションクリティカルな機能には、クラウドへの移行が全くできないものもあるかもしれないという。その場合、ゼロ・トラストプロテクションを既存のオンプレミスシステムに移植する必要があるが、この手間は2027年までかかるとレスニックは予想する。「そのため5カ年計画があるのです」。

 DoDの既存システムをゼロトラストにアップグレードすることを、レスニックの戦略&ロードマップでは「行動コースCOA 1」と呼ぶ。COA2は、ゼロトラストのクラウドサービスを民間から購入するもので、JWCC以外に他ベンダーのサービスも利用できる。そして最後にCOA3は、CYBERCOMのNZTCのように、DoD自身が構築・運用するゼロトラスト・クラウドを求めるものだ。

 「現在利用中のネットワークの一つひとつを見直す必要があるため、各サービスはCOA1、2、3のいずれかを組み合わせて利用することになるだろう」とレズニックは述べ、「万能のソリューションはありません。柔軟な選択肢を最大限に提供しているのです」。■


NSA red team will attack JWCC providers to test zero trust security - Breaking Defense

By   SYDNEY J. FREEDBERG JR.

on January 19, 2023 


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...