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2023年の展望② 中共はCOVID-19でつまづき、国内は今年大きな変動に包まれる。習近平体制が盤石と思ったら大間違い。

 2023年令和5年の干支は「癸卯」で何かが終りを迎える、何かが始まる予兆の年といわれます。昨年末の突然の北京のコロナ政策方針変換について、例によって国内メディアは表面のみ伝え、中国に取って触れられたくないものには口を封じているようですが、容赦ない西側メディアに北京は逆ギレしていますね。(Know Your Enemy最新記事を御覧ください)。いつも言っているように目に見える事象とは思考の結果で、中共のあまりにも異質な思考が今回の結果を招いていると言っても過言ではありません。自らを毛沢東にダブらせたい習近平ですが、任期途中での退陣あるいは消滅もありえ、偉大なる中華民族の夢が文字通り絵に描いた餅になりかねません。大陸は今年大きな変動の波につつまれるでしょう。

1945の記事で、中国ウォッチャーのゴードン・チャンが中共にとって都合の悪い観察を伝えています。

 

China's Xi JinpingChina's Xi Jinping

 

習近平はCOVID-19に屈した。

 

 

シンガポール経営大学のヘンリー・ガオHenry Gaoは、中国の支配者習近平が、世界で最も厳しい一連の疾病管理措置である「ダイナミック・ゼロ・コビット政策」を突然覆したのは、自身のプロパガンダを信じ、事態の処理への政権の能力を過大評価していたためと論じている。

 その余波は恐ろしいものになる。科学陣は今冬に中国で8億人が感染すると予測している。また、11億人の予想もある。オタワのマクドナルド・ローリエ研究所のチャールズ・バートンCharles Burtonが1945に語ったように、「病気と悲惨な死の大波が中国全土に広がっている」。

 ガオが考えるように、習近平は政策を誤ったのだろうか。

 実は習近平は何も「決断」していない。むしろ、習近平は病気に屈服しただけと見る方が正しい。

 なぜか。

 そもそも、習近平の政策は封じ込めに失敗していた。世界保健機関(WHO)は、現在の中国の患者数の「爆発的増加」は、ゼロCOVIDを放棄した結果ではないと考えており、リークされた中国の患者数は、国際機関の主張を支持する傾向にある。

 また、共産党と中国中央政府は、防疫体制を運営不能になっている。第一に、中国国民が10月末からの異常な抗議行動を通じ、今後3年の習近平の苛政を受け入れないと明らかにした。 

 第二に、「ゼロCOVID」実施のコストで大半は自治体が負担し、余裕がなくなった。首都北京でさえ、予算が底をついていた。

 第三に、習近平の政策は、中国経済を急速に、より深く収縮させた。ゼロCOVIDは極端な方法で実施され、生産と輸送の両方に大きな支障をきたし、工場も中国から逃げ出した。

 習近平のやり方が破滅的であることは明らかであったのに固執した。10月16日に開催された第20回共産党全国代表大会の冒頭、2時間近くに及ぶ演説「工作報告」で、方針を倍加させた。

 その結果、習近平は党内でも支持を失った。元英国外交官で『China Coup』の著者ロジャー・ガーサイドRoger Garsideは、「敵対勢力は彼に屈辱を与えた」と指摘する。

 習近平がわずか数週間前ほど強力でないのを示す兆候は他にもある。今月開催された中央経済工作会議で習近平の看板政策「共同富裕」計画が破棄されたようだ。

 習近平が共産党への支配力を失いつつある一方で、共産党は幹部への支配力を失いつつある。事例を紹介しよう。12月23日、米英のメディアは中国の国家衛生委員会の秘密審議を詳細に報じた。内容は衝撃的だった。議事録によると、12月20日に3700万人近くがこの病気に罹ったとある。今月最初の20日間で約2億4800万人がCOVIDに感染した。Bloomberg Newsは、この大流行を 「圧倒的に世界最大」と呼んだ。文書が流出し、オンラインで公開されている。驚くべき開示は、当局者があまりに嫌気がさして、自分たちの党の国家を弱体化させることにしたのを示唆している。

 中共はパニック状態にあるようだ。容赦ないプロパガンダは、不可能を可能にしようとしている。ゼロCOVID政策とその完全かつ突然の放棄の両方を、賢明なものとして描写している。ガーサイドは、「ゼロCOVIDシナリオは、今や変化した」と1945に語っている。

 では、明らかな結果から、中共はどのように逃れるのだろうか。

 ガーサイドも指摘するように、戦略は、災難を他人のせいにすることだ。「下級役人、ワクチン製造者、外国勢力」だ。12月下旬、「中国外務省は再び群狼モードに入り、党のゼロCOVID政策の終了に関する混乱した処理について『誇大広告と歪曲』として『西側』ニュース・メディアを攻撃した」と指摘した。

 党は、自らを歴史の必然的な力を代表した存在と信じこんでおり、自らの批判はできない。中国人民には党は常に無謬で、「偉大で、栄光があり、正しい」と言っている。このような考え方が、不合理で明らかに誤ったプロパガンダの語り口、「極端な偽り」を生んでいるとバートンは指摘する。「プロパガンダの機械は残業している」と著者に言った。

 「民主的であれ独裁的であれ、どの政治体制でも、トップリーダーの看板政策が放棄されたとき、変更を自分が決定したかのように見せかけ、権威を維持しようとする」とガーサイドは観察している。「習近平はそれをしていない」。

 つまり、習近平は失敗したのだ。その結果、中共上層部で激しい内紛が起きているようだ。

 中国は不安定な様相を呈している。■

 

The Chinese Communist Party Has Surrendered to COVID-19 - 19FortyFive

ByGordon Chang

 

 

A 19FortyFive Contributing Editor, Gordon G. Chang is the author of The Coming Collapse of China. Follow him on Twitter @GordonGChang.

In this article:CCP, China, Chinese Communist Party, COVID-19, featured, Gordon Chang, Xi Jinping

 


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