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ダイヤモンド翼の中国無人機「WZ-7 Soaring Dragon」がここに来て運用を拡大しているのは、今後の予兆と思われる
中国のWZ-7偵察機が東シナ海上空に2日連続で現れ、日本の戦闘機が毎回スクランブル発進した。中国最新鋭の無人機「WZ-7」の迎撃を日本当局が発表したのは初めてで、同海域に展開した空母「遼寧」機動部隊と関係がありそうだ。結合翼というユニークな設計の同機は情報・監視・偵察(ISR)無人機としてRQ-4グローバルホークに匹敵する能力を提供し、広い地域で常連になる可能性は十分にある。
1月1日、防衛省は、現地時間午前から午後にかけて、WZ-7(別名「Soaring Dragon」)1機が東シナ海で活動したと明らかにした。防衛省発表によると、偵察機は東シナ海上空に現れた後、沖縄本島と宮古島を隔てる宮古海峡を通過した。フィリピン海を通過した後、同機は先島諸島の南、さらに西に飛行し、その後、コースを反転し沖縄本島に向かった。
防衛省による1月2日出撃のWZ-7の飛行経路。前日のドローン飛行もほぼ同じ経路をたどった Japan Ministry of Defense
これに対し、日本の防衛省は、航空自衛隊の南西航空部隊の戦闘機がスクランブル発進したと確認した。未確認情報によると、F-15Jイーグル戦闘機が関与したという。
過去2日間のドローンによる傍受に関連する島のおおよその位置。 Google Earth
本日、防衛省は別のWZ-7ドローンによる活動を発表した。同じ時間帯に、東シナ海からフィリピン海へほぼ同じ経路を飛行し、沖縄やその他の日本の離島に接近した。日本領土や日本の排他的経済水域にどれだけ接近したかは不明だが、WZ-7が国際空域を離脱した形跡はない。さらに西には、日本最西端の与那国島があり、台湾東海岸のすぐ近くであることも注目に値する。最近、日本が地対空ミサイル防衛部隊を同島に配備する計画を発表し、中国にとって関心が高まっていると思われる。
一方、防衛省は、空母「遼寧」が1月1日に宮古海峡を通過したと明らかにした。フィリピン海から東シナ海に通過した艦隊は、人民解放軍海軍の055型駆逐艦「鞍山Anshan」と「無錫Wuxi」、052D型駆逐艦「成都Chengdu」、054A型フリゲート「左庄Zaozhuang」、901型高速戦闘支援艦「胡潤湖Hulunhu」を従えていた。防衛省によると、先週水曜日から土曜日にかけて、遼寧は延べ約20機の戦闘機の発進と回収、延べ約40機のヘリコプター離着陸を含む飛行作戦を実施した。また、空母戦闘機の活動に呼応して、航空自衛隊の戦闘機がスクランブル発進した。一方で12月17日から31日にかけて、PLAN空母は戦闘機とヘリコプター合計で約320回の離着艦を行ったと防衛省は明らかにしている。
WZ-7は、菱形の主翼と垂直尾翼の基部で結合したデザインが特徴だ。2011年に技術実証機として登場して以来、デザインは大きく変化し、2013年末には垂直尾翼が斜めになった改良型として再登場した。貴州飛機工業公司Guizhou Aircraft Industry Corporationが生産するこのドローンは、2021年珠海航空ショーで一般公開された。
ソアリングイーグルの原型機 Chinese Internet
2022年11月に珠海で開催されたエアショー・チャイナで、高度に洗練され運用されるWZ-7。Infinty 0/Wikimedia Commons
WZ-7はジェットエンジン搭載で、推定航続距離は4,350マイル、実用最高高度は約6万フィート。滞空時間は不明で、少なくとも10時間と思われるが、通常の長時間ミッションでもそれよりもはるかに高くなる可能性がある。この曖昧さは、例えばRQ-4グローバルホークと比較すると、高高度・長時間飛行(HALE)のカテゴリーではやや劣ることを意味する。しかし、高高度性能と大きなセンサー積載量により、国際空域から地域の敵対国の深部を覗くのに十分適している。さらに大型で飛行性能も高いため、今後数年で増大する中国のHALEニーズに対応することになりそうだ。また、ステルス型も考えられる。
WZ-7はPLANとPLAAFの両方が使用しており、PLAAFでは、チベット周辺でインド国境を窺う用途が目立つ。また、北朝鮮国境に近い戦略拠点である宜春屯基地Yishuntun Airbaseから飛行することもある。
航空自衛隊はこれまでWZ-7を迎撃したことはないが、東シナ海や宮古海峡を飛行する中国の無人機に対応するため戦闘機をスクランブル発進させることはこれまでも多数ある。以前、TB-001とBZK-005という中高度・長時間滞空型(MALE)ドローンが活動を行っていた。
中国の海上哨戒機や電子情報機も同様のルートを飛行しており、日本も2021年に空母「遼寧」部隊など、宮古海峡を通過する中国海軍の艦艇を監視している。
同型ドローン対応の迎撃は、中国軍が進めている無人航空機能力の急速な発展を物語っている。東シナ海とフィリピン海、さらに西太平洋を結ぶ海上交通路として、同海域の戦略的意義は明白だ。
しかし、WZ-7は、TB-001やBZK-005と比べ、能力が拡大している。サイズが大きいので、長時間、遠隔地まで、マルチセンサーによる情報収集が可能だ。また、高高度運用でセンサーの到達範囲も広がり、視線外の接続能力も向上している。これは、空母含む海軍の機動部隊のネットワーク構築にも活用できるかもしれない。
全体として、WZ-7の性能とセンサーの適合性に関する具体的な詳細情報はまだ少ないが、同無人機は、非常に戦略的な宮古海峡周辺などで情報を収集する非常に効率的なプラットフォームを中国に提供している。先週、台湾の防空識別圏(ADIZ)に入った有人航空機ドローン計71機(台湾国防部発表)にWZ-7も入っていた。
宮古海峡周辺でのWZ-7が、遼寧機動部隊の動きと関連している可能性は高いと思われるが、確証はない。新たな空母を建造し遠くへ兵力投射する全体的な能力を向上させるにつれて、空母運用を中心にPLANの外洋海軍への野心の高まりはますます大きくなっていくだろう。中国海軍の空母群が西方へ作戦を拡大すると、無人偵察機の活動も増加する可能性が高い。
いずれにせよ、宮古島海峡通過の前後でWZ-7が待機していれば非常に有用な能力となる。例えば、日本や外国の軍艦の動きを監視したり、中国空母艦隊に対応する敵のレーダーや通信システムからの電子放射を収集し、カタログ化できる。さらに、高解像度のレーダーマップを作成し、目的の船舶の画像を収集することも可能だ。また、無人機に対する航空自衛隊の対応を監視し、対応時間や戦術、技術、手順などのデータを提供することも重要な要素となる。また、こうしたドローンは、下方の空母群に重要なデータ中継機能の提供もできる。
今後、WZ-7が海峡上空や周辺に出現し続けるのか、最近の遼寧の動きと関連した一時的な活動なのか、興味深いところだ。中国メディアは、同空母が米軍の重要拠点グアムにこれまでで最も近づいたと報じている。そのため、WZ-7の投入はさらに太平洋の彼方で見られるかもしれない。
いずれにせよ、この2日間のWZ-7の出現は、中国の無人機能力の変化のスピードと、人民解放軍全体が現在、非常に高度で異例なデザインの装備を提供している事実の証明だ。極めて戦略的なインド太平洋地域で緊張が高まり続ける中、特に中国が自国を遠く離れての軍事作戦を拡大し続ける中、WZ-7のような無人機の重要性は今後ますます高まっていくと思われる。■
Japanese Fighters Intercept China's High-Flying WZ-7 Drone For First Time
BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED JAN 2, 2023 1:55 PM
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