相変わらず、焦点があっていないメディアは日本の防衛力増強を「戦前」「戦争」「説明義務の不全」といったレッテルを貼って報道していますが、(1月7日のTBS系列『報道特集』がその一例)、抑止力とはなにか、なぜ抑止力が必要なのか、どこまで状況は深刻になっているかは全く触れていませんね。また地政学の観点も欠落しています。そこで、ホームズ教授の講義を御覧ください。1945の記事からです。
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日経アジアはこのほど、元海兵隊中将で国防次官補だったウォレス・"チップ"・グレグソン(19FortyFiveの寄稿者でもある)に、中国と台湾の両岸戦争で日本がどう貢献できるかをテーマにインタビューした。チップは、自衛隊の共同戦力の必要性、日本にある約7000の島々を移動し侵略者を撃退する能力の強化、反撃用兵器の獲得について述べた。つまり、東京は1945年以後の受動的な国防アプローチを放棄し、大国としてふさわしい姿勢をとるべきだというのである。
しかし、インタビューで最も重要なのは、次の言葉だ。
「台湾有事で日本ができる最大の貢献は、日本の領土を堅固に守ることで、他のことは米国がやってくれる」。
確かにそうだ。
日本が自国を守るのに十分な軍備と武力を有していれば、米軍は不要だ。米国は日本ではできないこと、例えば核抑止力の拡大や日本から遠く離れたシーレーンの安全保障を提供し、その間に台湾の安全保障など同盟国の利益を高める他の活動に集中できる。むしろ、これを一般的なルールとすることもできるだろう。同盟国協力国への働きかけを管理する国防総省のスローガンは、「同盟を助けるには、自分を助けよ」だろう。
同盟国の強化は、自国の利益と共通の大義を助けることになり、好循環を生み出す。
同盟国が米軍事力に過度に依存せず自国を防衛できるようになれば、米軍は遠征任務に専念できる。米軍は、相手国の領土を守る必要性にとらわれず、中国やロシアといった卑劣と極悪の巣窟の住人を撃退するため力を発揮できる。米国は同盟国を対米従属から解放する必要がある。そうすれば、1945年以降の覇権的同盟体制を対等な同盟体制に転換できる。
覇権国と劣等な同盟国との一方的な議論よりも、相互に敬意を払う仲間同士の戦略的議論の方が健全で実りあるものとなる。さらに、ホスト国が自国防衛を主な任務とする対等なパートナーシップは、国際関係における最も基本的な要素つまり利己主義に関与することになる。自衛のためのゲームに参加するのは簡単なことなのだ。
日本の話に戻ろう。グレグソン大将が思い通りにやるなら、つまり日本が防衛の重荷のほとんどを負い、アメリカが同盟の打撃部門を提供するなら、米軍は台湾近辺で戦闘行為を行う聖域を享受できる。聖域は、しばしばハードランの紛争における勝利の重要な要素である。敵対勢力には与えず、自軍にそれを作り出そうとする。
聖域とは、作戦を行う、あるいは戦闘による損害を修復する、あるいは貯蔵品、燃料、弾薬を補充する安全な基地を持つことである。そのような避難所を持たない遠征軍が勝つことは難しい。そのため、中国は過去四半世紀にわたり、航空、地表、地中の戦力を背景に、陸上の巡航ミサイル、弾道ミサイル、そして今では極超音速ミサイルといった、反アクセス防衛や領域拒否防衛に資源をつぎ込んできた。中国の要塞は今や、西太平洋における米軍の潜在的な聖域をすべて覆っている。
アメリカの砦であるグアムでさえ、人民解放軍の弾道ミサイルやミサイルを搭載した戦闘機の攻撃を受ける可能性がある。この点を見逃さず、中国の兵器専門家は、巧妙な手口で、PLAロケット軍のDF-26弾道ミサイルを「グアムキラー」と名づけている。このような兵器の背後にある論理には反論の余地がない。米軍の聖域を拒否すれば、後方支援も拒否される。後方支援を拒否すれば、米軍は立ち去るか、活動停止に陥る。いずれにせよ、中国の勝ちとなる。
つまり、グレグソンは正しい。自力で国土を守れる筋肉質な自衛隊が西太平洋に聖域を取り戻し、侵略を打ち負かす同盟の能力が強化することができるのである。日本が基地を守り、米軍が海外に行くとのは、素晴らしい役割分担のように思える。
東京は今後数年間で防衛費を倍増させ、地域の平和と安全のため自己主張を身につけると宣言した。これは早急に実現しなければならない。■
Japan Matters If China Invades Taiwan
Japan Matters if China Invades Taiwan - 19FortyFive
Dr. James R. Holmes is J. C. Wylie Chair of Maritime Strategy at the Naval War College and a Nonresident Fellow at the Brute Krulak Center for Innovation & Future Warfare, Marine Corps University. The views voiced here are his alone.
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