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次期SSBNコロンビア級の建造にGO。二番艦はUSSウィスコンシンに。12隻建造で核抑止力の維持へ。

  建造に入る次期弾道ミサイル潜水艦(SSBN)コロンビアの想像図。海軍は同艦含め12隻 を建造する。(Navy)   米 海軍は ジェネラルダイナミクス・エレクトリックボート にコロンビア級弾道ミサイル潜水艦一号艦の完全建造とともに二号艦USSウィスコンシンの事前調達費用を94.7億ドルで進める契約を交付した。   この発表でコロンビア級事業の初期段階が完結した。海軍はコロンビア級を最優先事項としている。12隻建造し、オハイオ級と交代する。一号艦コロンビアは2031年に哨戒航海を開始し海洋抑止力を維持する。   DoD契約情報は「コロンビア級一号艦二号艦のSSBN826、SSBN827の建造・試験以外に関連設計作業・技術支援が含まれる」とする。 2020年代後半に建造が本格化し、海軍は毎年一隻の調達を目指す。   「実施準備が整った。契約が成立し本格建造に移る」と海軍の研究開発調達責任者ジェイムズ・グーツが述べた。「設計と合わせ事業そのものが従来型の潜水艦以上の成熟度を示している。さらに完成度をあげ、先行建造から本格建造に移る。さらに毎年一隻の建造に移行する」   肝心なのは初号艦を予定通り建造することとグーツは続けた。「一号艦を完成するのは大仕事だが、初めてなので重要だ」「ただそれで終わりではない。事業を完結させ国の要求に応える必要がある」   二号艦も契約に盛り込まれた。海軍関係者は2024年予定のオプションが行使でき、本格建造費用について協議は不要ということだと解説した。   コロンビア事業は巨額規模となる。海軍試算で一隻あたり75億ドルになる。2026年になると毎年一隻のコロンビア級調達になるが、そのためFY21予算で200億ドルを計上していることで規模が想定できる。コロンビア級だけで海軍の建造費を38パーセント消化するが、海軍が中国の脅威を意識して整備が必要と判断しているからに他ならない。   1月にコロンビア級の予算規模について海軍作戦部長マイケル・ギルデイ大将は海軍力整備には予算増が必要と述べた。「海洋部門で優勢を維持したいなら、海軍作戦を分散実施するためには、前方で一定の規模で作戦展開するためにはもっと隻数が必要だし、そう、もっと予算が欲しい」   ジョー・コートニー下院議員(民、コネチカット)は選挙区にエレクトリリックボート(EB)社があり、今回

中国、ロシアとの対決に動員できる機数が足りない! 米国の空軍力の現状を憂う報告書

    ア メリカの空軍力の勝利の方程式は敵より多くの機体を、優れた整備を経て配備することだ。だが現実には米軍はあまりにも多くのミッションへ対応を迫られ、戦闘に疲れてはないものの、整備が重荷になっている。   トラック台数が少ないのに配達先ばかり多い運送会社のようだ。米空軍力は酷使されているが整備が追いついていない。   RANDコーポレーションと米会計検査院(GAO)から二通りの報告書が昨年出た。ともに米空軍力の現状に悲観的だ。まずRANDは米空軍に将来想定される四種類のシナリオで戦闘力を発揮できるか検討した。①ロシアまたは中国との対決 ②大規模地域紛争として朝鮮戦争やヴェトナム戦争同様のシナリオ ③新しい冷戦として小規模な対決を砂漠の嵐作戦を想定、④対テロ作戦だ。類似例の事例からRANDは空軍が対応を迫られるミッションに8種類を上げた。制空、攻撃、空輸、空中給油、C3ISRがここに入る。   ほぼそのすべてで空軍は100パーセントの要求に答えられないとRANDは評価。地域紛争が長期化の場合、攻撃では60パーセントしかこなせない、空中給油も92パーセントの需要しか満足させられないという。       可能性が最も低いと思われる戦闘シナリオが空軍を最も疲弊させるのは皮肉としか言いようがない。RANDは「最大の驚きは平和維持活動が空軍に最大の負担となること」と述べている。平和維持活動の一環としての飛行禁止区域設定のシナリオではC3ISRの要求で29パーセントしか満たせず、給油機の需要では32パーセント、特殊作戦関連では40パーセント、爆撃機ミッションの46パーセントしか実施できない。   RANDはこの試算を「バルカン半島、中東での飛行禁止措置の長期化で戦闘機、給油機、C3ISR/BM(戦闘統制)の各機材でローテーション配備が必要となった」事例から導いた。言い換えれば、飛行禁止措置の執行のような普通の任務でも長期化すれば、重荷になるということだ。   一方で会計検査院報告書で2011年から2016年にかけ空軍、海軍ともに機体の稼働率目標が未達と明らかになった。空軍海軍の13機種について、GAOは重整備の遅れ、必要部品が生産終了となっている、整備要員の欠員、耐用期間を超えても飛行させている事例を指摘している。   「機体稼動率が目標を下回ると、訓練や実戦ミッションが期待

米国内演習にMi-24ハインドが投入されているのはなぜか。超大国間戦に備える姿がそこにあった。もっとすごいのは民間企業がハインドを保有していることでは。

        米 空軍の救難ヘリコプター部隊が2019年11月に強力なソ連時代のミルMi-24ハインド攻撃ヘリコプターを前に模擬戦闘訓練を展開した。   演習はアリゾナのデイヴィス-モンタン空軍基地で展開され、同基地駐留の第55救難飛行隊にヘリコプター同士の戦闘に備える機会となった。   Mi-24の2機が同基地に飛来した。空軍公式写真では大型複座の同機が砂漠上空を低空飛行する様子やハンガー内で第55救難飛行隊のシコースキーHH-60Gぺイヴホーク救難ヘリコプターと肩を並べる姿が写っていた。       ソ連崩壊を受け、米軍は1990年代初め以来ハインドを実際に所有し、借り上げている。うち軍所有のMi-24の2機はネリス空軍基地に配備されている。   さらにVTSエイヴィエーション社が二機所有し、一機はブルガリアが運用していたMi-24Dで、アラバマ州ハンツビルに常駐する。VTS社のハインド各機は一時は博物館展示機だった。   The Aviationistのトム・デメリーによれば今回アリゾナに展開したMi-24はVTS所有機という。デイヴィス-モンタン基地での訓練は同基地部隊には難易度がきわめて高い内容だった。ハインドはじめソ連時代のヘリコプターは対地攻撃、空対空攻撃の双方をこなす。   空対空モードではハインドは機首の機関砲や無誘導、誘導式双方のロケット弾で敵ヘリコプターを排除する。ヘリコプターで敵ヘリコプターを攻撃するのは容易な仕事だ。   このため米空軍ではA-10攻撃機をヘリコプター援護に使い、敵ヘリコプターからの攻撃に備える。F-16よりもA-10の低速飛行性能が適している。しかし、ハインドは対ヘリコプター攻撃に性能を発揮する。   「ネリスのウェポンスクール以外の場所でこの訓練を展開するのは今回が始めて」と55救難隊のカート・ウォーリン大尉がいう。「HH-60G対HH-60Gの訓練しかしていないので今回は大変化だ」「この訓練で他機種が敵の場合にどんな状況になるかわかるので戦術や手順も対応できる」   55救難隊のぺイヴホークはUH-60ブラックホークの派生型だ。HH-60Gには追加センサー、空中給油用プローブがつき、大型機関銃も搭載する。   空軍にぺ一ヴホークが100機ほどあり、墜落機のパイロット救出のほか、地上部隊の救出、傷病兵搬送を危険地帯で実

レイルガンの夢と現実。

  「指向性エナジー兵器」構想は早くも19世紀の通俗小説にあらわれたが、SFの世界をそのまま現実にする兵器技術をフランス人発明家が第一次大戦中に提唱していた。   レイルガン構想は化学反応では到底無理な距離まで発射体を大型電気回路で飛ばそうというもので、提唱したのはアンドレ・フォション-ヴィレプレーだった。このフランス人は簡単な構造の電気砲を作り、フランス軍の注目を集めた。当時ドイツが運用中の「パリ砲」に対抗可能な長距離砲が欲しかったからだ。   1918年にフランス軍需省発明局の命令でフォション-ヴィレプレーは簡単な電気砲の作成に取り掛かった。今日でも画期的な同装置はフランス軍には未来と写ったはずだ。   だがフォション-ヴィレプレーのレイルガン開発が進展を示す前に終戦となってしまった。   第二次大戦中にナチドイツのヨハヒム・ヘンスラーもレイルガン構想を提唱し、秒速2千キロで発射弾を飛ばすと豪語していた。終戦後に研究内容を発掘した米調査団は構想の弱点として発射には当時のシカゴの半分の照明用にあたる電力が必要だと理解した。   レイルガンは数々のコンピュータゲームに登場しているが、大型の「レーザー砲」との誤解がついてまわっている。ゲームではレイルガンは大型ライフルや機関銃の扱いを受けたり、ロボットの腕に装着されたりしている。ゲームデザイナーにはこれだけの威力を誇る兵器にどれだえ電力が必要となるのかわかっていないようだ。   レイルガンとは基本的に大型電気回路であり、電源、レイル二本、移動式回転部品の三要素で構成される。こういうと単純な構造に聞こえるが、問題は必要な電力があるかだ。中大型レイルガンでは百万単位のアンペアが必要となる。   レイルは伝導性の高い銅などで形成するとしても30フィート超の長さが必要だ。そうなるとライフルや機関銃の大きさのレイルガンなど実現困難だとわかる。   レイル二本の間をつぐぎ回転部品や伝導性の高い金属部品が必要だ。電流は電源の正極からプラス荷電のレイルを伝わり、回転部品を通過してマイナスのレイルを伝わり、電源に帰ってくる。   簡単に言えば、これで電磁力が生まれ発射体を高速度で打ち出す。   レイルガンの長所   化学爆発を利用する従来型兵器に対しレイルガンには大きな利点がある。まず発射速度が圧倒的に高くなる。海面上でマッハ10に達し

ヴァージニア級攻撃型潜水艦の後継艦はコロンビア級並みに大型化し、重武装、ステルスを前面に出すのは中国、ロシアへの対抗のため。

  ヴァージニア級高速攻撃型潜水艦USSミズーリ(SSN-780) on May 31, 2018. US Navy Photo   米 海軍の次期攻撃型潜水艦はコロンビア級で採用した技術を流用し、艦体も現行ヴァージニア級より相当大型化すると BWXテクノロジー社 のCEOが11月2日第三四半期営業報告の席上で述べている。同社は空母、潜水艦用の原子炉を製造している。▼「潜水艦としては大型となり、コロンビア級並みになるとみているが、これ以上お話しできない。ただし、米海軍と検討中であり、製造に移すことになる」とレックス・ジヴェーデンが述べた。▼「正式名称が決まるまではSSN(X)とされるヴァージニア級高速攻撃潜水艦後継艦は2030年代末に登場する」   ジヴェーデンが言及しているのは潜航時排水量ではなく艦体の直径だ。コロンビア級は20千トンと、現行のオハイオ級弾道ミサイル潜水艦より2千トン増える。ヴァージニア級の排水量は約8千トンだ。コロンビア級の直径は約42フィート、ヴァージニア級は36フィートだ。▼艦体の幅が広がるとステルス性があがり、設計時にノイズ低減技術を大幅に導入できるし、速力を増やす装備の収納容積も増える一方で、建造が大掛かりになる。 同CEO発言と軌を一にしてマイク・ギルディ作戦部長が将来の艦隊戦力の主軸として大胆な戦力を有する攻撃型潜水艦の開発を求めている。 「水中で有利になれば優位性が拡大する。水中からの攻撃力を高めたまま永遠にこれを維持したい」(先月の発言)「攻撃型潜水艦は司令官の思いのままに動き、敵標的をどおりに攻撃する。そのため高速移動可能な艦が必要だ」   冷戦後の米潜水艦部隊は深海潜航可能で強力な兵装を有するシーウルフ級攻撃型潜水艦からヴァージニア級に主役が移った。ヴァージニア級は情報収集や特殊作戦運用の沿海域での実施に特化している。▼「次世代攻撃型潜水艦は高速、ステルス、魚雷搭載数のいずれもヴァージニア級を上回る性能が必要となり、シーウルフ級に近くなる」との発言も2018年に出ていた。▼重武装の高速潜水艦への回帰は国家安全保障戦略構想でロシアや中国を脅威リストのトップに掲げたことに合わせている。 ジヴェーデンCEOは同社が今後も空母、潜水艦用の原子炉作成を続けられると楽観視している。   BWXTに海軍から年間3隻建造の方針はまだ伝えられて

「大型艦」で地上イージスアショアを代替するのは安易な発想。あくまでもイージスアショアを設置すべきだ。

    日 本国内報道で日本政府が「スーパー護衛艦」を二隻建造し、中止されたイージスアショア二か所の代替手段にする可能性を検討中という。地上施設は技術問題、費用さらに反対の声を受け中止となった。   新建造する艦艇は北朝鮮弾道ミサイルへの対応を主任務とし ロッキード・マーティン のAN/SPY-7長距離式識別レーダーを搭載する。もともとイージスアショア用に開発されたレーダーだ。   報道では11月半ばに防衛省に中間報告が寄せられ、政府は今年中に案を進めるか決定するとある。 Nikkei Asia では実現は了承済みとある。 ミサイル防衛に関し日本は専用船あるいは沖合施設を使えないか検討してきた。「スーパー護衛艦」よりは 安価だが、ともに空、水中からの攻撃に脆弱すぎる。これに対し新型艦は柔軟性が抜群ながらミサイル防衛以外の任務にも投入できる。   ただし日本側が完全な新型艦または既存設計の改良艦を想定しているのか不明だ。海上自衛隊がまや級イージス艦の追加建造に向かう可能性はある。まやに続く二号艦が2021年に編入される。まや級では新型イージス戦闘システムが導入され、先行するあたご級を改良した。このあたご級もこんごう級の発展型であり、これも元をたどれば米海軍のアーレイ・バーク級駆逐艦にたどり着く。   U.S. NAVY/SEAMAN SANTIAGO NAVARRO 海上自衛隊のはたかぜ級駆逐艦しまかぜ(DDG 172)(手前)、あたご級駆逐艦あしがら(DDG 178)、カナダ海軍フリゲート艦HMSCウィニペグ(FFH 338)の上空を通過する航空機編隊。キーンソード21演習の行われたフィリピン海にて。2020年10月。     共同通信は政府想定は基準排水量9千トン艦と伝える。まや級は8,200トンだが、これを拡大した改良型が生まれないとはいえない。まや級は4隻建造となり、後期建造の二隻がAN/SPY-7レーダー搭載の拡大型になる可能性が残る。   共同通信記事では新型艦を大型化する理由に居住空間の拡大があり、「北朝鮮弾道ミサイル警報の中で厳しい勤務環境」があるとする。米海軍もフライトIIIのアーレイ・バーク級で同様の方向をめざし排水量9,700トンとし、艦体を拡大する。   記事では新建造艦にAN/SPY-7レーダーを搭載し、イージスアショアと同じ性能にするとあ