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ドイツもインド太平洋に海軍艦艇を派遣。フリゲート艦バイエルンは本国を出港し、長距離航行を開始した。

  ドイツが派遣するのは一隻だけで寂しい気持ちもありますが、フリゲート艦とはいえなかなかの艦容を誇る艦のようです。各国と協調するといいつつ、中国とは微妙な一線を守ろうというドイツの姿勢が各国にどう受け止められるのでしょうか。 The German navy's Brandenburg-class frigate Bayern set sail for the Indo-Pacific on Aug. 2, 2021. (German navy photo)   ド イツ海軍はインド太平洋海域にフリゲート艦一隻を派遣し、開かれた海上交通路と国際法の順守へ向けたシグナルを送る。(ドイツ海軍報道発表より)   南シナ海へ派遣されるのはバイエルンで、ドイツ政府は昨年公表したインド太平洋ガイドラインを遵守する。同地区の戦略的重要性が増えていることを考慮している。   「より強力な防衛安全保障協力を他国と実現し、オーストラリア、日本、南朝鮮、シンガポールの各国との協力関係を強化していく。 「世界の貿易量の9割超が海上輸送されており、特にインド太平洋を経由している」と同ガイドラインは特記している。こうした海上交通路や付随するサプライチェーン各種を安全に守り維持する必要がある。   「わが国の繁栄は世界各地の活動で実現している。アジアでの結果が直接影響してくる。わが国旗を掲げた艦艇を同海域に派遣することを嬉しく思う」とドイツ国防相アネグレ・クランプ-カレンバウアーが述べている。 今回派遣が決まったフリゲート艦バイエルンは21世紀の地政学的中心地への関与をこれまで以上に深めるドイツの意図を伝える手段になる。各国との協調を通じドイツ連邦共和国はルールに基づく国際秩序を守る動きに加わる意思を示す。   「世界の海洋は全世界のものだ」とドイツ海軍作戦部長カイ-アキム・シェーンバッハ大将は述べ、インド太平洋内の領土をめぐる対立に触れ、ドイツは大切な提携国の側に立つとした。ドイツは世界規模の経済繁栄とともに国際社会での権利を守る側に立ち、決して後ずさりしないとした。   同時にドイツは南シナ海での対決は選ばないとした。「通常の通商航路をいかなる国でも利用可能とする」と同大将は述べた。   フリゲート艦バイエルンが乗組員230名とともに2022年2月までの期限で派遣される。同艦は8月2日

アジア太平洋の重要位置にあるインドネシアへ米中の関心が強まる。非同盟主義の同国も中国を意識し軍備増強、西側との協力強化に向かうが、中国との関係も維持する姿勢ですっきりしない。

  Business Insider記事からのご紹介です。 インド太平洋地区での影響力をめぐり米中両国が綱引きしている 注目を集めるインドネシアは一方の陣営に組みすることに抵抗を示してきた だが中国への懸念が高まる中でインドネシアは軍備増強に乗り出した イ ンド太平洋で緊張が高まりを続けており、中国の経済成長と軍事力近代化に域内のみならず世界各国が懸念を強めている。 米中両国が域内で影響力を強めようと競合する中、両国から注目を集める国がある。歴史を通じ外交関係で一定の距離を保ってきたインドネシアだ。 人口270百万人のインドネシアは世界第四位、アジアでも三番目の大国だ。17千を超える島しょ国家で太平洋とインド洋を結ぶ位置にあり、重要なマラッカ海峡を抑える位置にある。 「これからの地政学でインドネシアの戦略的位置は重要性を強めていく」というのが戦略国際研究センターのアジア日本部門上級研究員マイケル・グリーンの見解だ。 中国、域内、さらに世界にとってインドネシアの重要性はどれだけ強調しても足りない。同国は大部分の問題で中立を維持しつつ、大幅な軍事力強化を目指している。 非同盟主義の伝統 インドネシアは超大国の一方の陣営にくみすることを避けてきた。オランダ植民地だったが1949年にスカルノ大統領の下で独立を勝ち取って以来、反帝国主義を貫いてきた。 インドネシアは非同盟運動を冷戦時に提唱し、1955年に第一回世界会議を主催した。1960年代に入り中国や共産主義ブロックへの傾斜を強めた。 これに対し米国西欧の支援を受けた軍部が1965年にインドネシア共産党員を粛正し、左翼陣営や少数派を活動停止させた。 この中で50万人から3百万人が1965年から1966年にかけ殺害されたといわれ、共産主義は今日も禁止されたままだ。ただし、インドネシアは西側に完全に組したわけではない。 グリーンは「インドネシアの対米関係の歴史は複雑で振り子のように行き来している」と表現。 インドネシアの西側との関係は20世紀後半に気まずくなった。オーストラリアがインドネシアの人権実績を非難し、米豪両国が東チモール独立運動を支援したためだ。 2000年代に入ると米軍の中東介入をインドネシアは否定的にとらえた。同国は世界最大のイスラム教徒を抱える国家である。 その後の関係修復の背景に安全保障面の協力の強化、特に対

南シナ海での運用をにらんで水上機飛行艇のリバイバルがやってくる(?) 米海軍が中国新型大型飛行艇AG600を意識。しかし、技術は日本が握っている。

  沿岸警備隊のHU-16Eアルバトロス水陸両用機がマサチューセッツ・オーティス空軍基地に配備されていた US Navy 今 年の3月で米軍から水上機が姿を消し38年になった。沿岸警備隊のHU-16Eアルバトロスが最後の水上機だった。 第二次大戦で水上機は海軍の勝利に大きな役割を演じた。冷戦時初期にも投入構想があったが、優位性は消えていた。ところが中国が大型水上機を開発していることで水上機の有用性に注目が改めて集まっている。 2020年7月に中国はAG600水上機クンロンの海上運用テスト開始を発表した。 AG600は世界最大の水上機で山東省の空港を離陸し、青島沖合に着水し、4分間水上移動した後、離水し無事帰還した。 米軍では水上機を過去の遺物とみなしていたが、同機の登場で一気に関心が集まった。 かつては必須装備だった コンソリデーテッドPBY-5Aカタリナ US Navy 水上機はかつては米海軍で必須装備だった。空母が支配の座に就くより前に、水上機母艦が長距離航空作戦に必要な艦種とされた。水上機母艦は大型クレーンで水上機を吊り上げ、機体の補給整備を行った。米海軍初の空母USSラングレーは元は給炭艦で水上機母艦に改装されてから1920年代末に空母になった。 その後、水上機は艦艇が発進させるようになり、長距離型は対潜戦、捜索救難、海上制圧や偵察任務のような重要な役目に投入された。本艦隊から数百マイル先で敵部隊を探知できる能力が特に重宝された。 その中で最も米国で記憶に残る機体がPBYカタリナ飛行艇だ。コンソリデーテッド航空機が製造し、海軍が1936年に制式採用した同機はミッドウェイで日本艦隊の位置をつきとめ、海上を漂う搭乗員や水平数千名を救助したほか、枢軸国潜水艦20隻以上を沈めた。 英国に供与されたカタリナに米人パイロットが登場し、ドイツ戦艦ビスマルクを発見したのは1941年5月で、米国の参戦7カ月前のことだった。 冷戦時の運用構想 水上機補給艦USSサリズベリーサウンドがマーティンP5M-1をクレーンで釣り上げている。1957年サンディエゴ。 US Navy 水上機の役割は第二次大戦終結を契機に弱体化した。枢軸側潜水艦が姿を消し脅威は減り、太平洋で獲得した各地の基地から米海軍は長距離地上運用機材を飛ばした。しかし、海軍は水上機を直ちに放棄しなかった。冷戦初期には水上

台湾領空への中国機進入相次ぐ。米軍がいなければ大変なことになる。日本はどう動くべきか。

中台で緊張が高まっていますが、日本も台湾だけの問題ではないと気づくべきでしょう。地政学というか視点をどこまで広げて考えられるかがポイントです。武漢ウィルスに気を取られてばかりでは流動的な安全保障環境についていけなくなりますね。 中 国軍用機がまたもや台湾領空を侵入し、情報収集や偵察を行った他、米偵察機の動向をつかもうとした。 中国政府がバックにつく環球時報は人民解放軍が台湾南西部の領空内に航空機を送ったのはこれで八回目と記している。記事ではミッション回数はっ増加中と堂々と述べ、訓練が目的であり、同時に対象空域内を飛ぶ米偵察機の監視もしているとある。 飛行回数増加は「台湾の軍事情報を収集し、米日両国が宮古海峡、バシー水路を経由して増援部隊派遣に動く可能性を牽制するのが目的」と記事にある。また中国軍の動きは台湾南西部の軍事基地の監視を目指しているとの書きぶりもある。記事では機種が示されていないが、J-10、J-11、Su-30の各戦闘機およびY-8「特殊任務機材」が飛来している。 中国機の飛来そのものには驚くべき要素はないが、米国が太平洋全域で飛行ミッションを強化し、偵察行動、各国との共同訓練を展開する中で中国がフライトを実施していることに要注意だ。米議会は太平洋における米軍活動を強化すべく予算増を急いでおり、下院軍事委員会の有力議員マック・ソーンベリー下院議員(共、テキサス)提出の構想にはインド太平洋構想の名称がつき、太平洋方面での米軍活動向けに60億ドルの増額を求めている。 緊張の高まりに火を注ぐように環球時報では中国が行った米軍事力のアジアにおけるプレゼンスの分析結果にふれ、米海軍は6割の艦船をアジアで運用し、陸軍は55%、海兵隊は3分の2だとする。「85千名とハイテク装備新型装備を大量に前方配備した米軍はアジア太平洋で絶対的な優位を維持している」とある。 戦略面で米中の軍事力構成と活動の強化ぶりを見ると冷戦時代の枠組みが想起される。両国で多大の経費が発生し、不安を駆り立てられそうだ。ただし、興味を惹かれるのは米軍の増強で域内の安全安定が強化されやすくなる皮肉な結果で、抑止力の強化としてとらえられるからだ。前方配備装備も実戦で使用しないために現地展開しているのだ。相互にディエスカレーションがのぞましいのはいうまでも

USAFはアジア太平洋でこう戦う---沖縄演習で垣間見えた中国対抗戦略とは

Aviation Weekに注目の記事がありましたのでお伝えします。次期空軍参謀総長にPACAF司令官が横滑りするのはいよいよ対中国戦略の実施が現実になってきた証拠でしょうか。   嘉手納基地のZZ記号を付けたF-15の2機が第909給油飛行隊のKC-135からウェストパック・ラムランナー演習で給油を受けている。 Credit: Sr. Airman Matthew Seefeldt/U.S. Air Force 米 空軍はこれからの航空戦に向け新しい対応策を検討中だが、その片鱗が嘉手納航空基地で見られたので紹介したい。 基地防衛の試行 攻撃下の補給活動とは 沖縄で1月に実施された演習はウェストパック・ラムランナー WestPac Rumrunner の名称で制空任務を想定した。 ボーイング F-15Cの24機は嘉手納ABから100マイル東に進出し、「侵攻軍」の米海軍F/A-18E/F(岩国MCASより発進)を迎撃した。同時に特殊作戦部隊(SOF)所属の機材が沖縄へ侵入を試みた。 この設定から将来戦の片鱗が見える。嘉手納基地のF-15C4機は燃料と装備を普天間海兵隊基地で補給した。日本配備中のE-2Dが嘉手納のF-15C部隊を支援し、侵入を試みるF/A-18E/FおよびSOFに対応させた。空軍が進めるアジャイル戦闘展開 Agile Combat Employment(ACE)戦略構想を試す機会になった。さらに海軍のノースロップ・グラマンE-2D部隊と現地のMIM-104ペイトリオット部隊(陸軍)で防御側の戦闘統制を試した。 ウェストパック・ラムランナーではACEや統合全ドメイン指揮統制Joint All-Domain Command and Control (JADC2)のすべてを試していないが、中国東方に位置する第一列島線の各基地に大きな意味がある。 「アジャイル戦闘展開や基地防御の知見を演習から得たい」と太平洋空軍(PACAF)司令チャールズ・ブラウン大将がAviation Weekに2月に述べていた。PACAF隷下の航空部隊は新構想を試し、技術以外に考え方の変化も求められている。 「答えを全て得たわけではないが、フィードバックし実効性を試せる」「そのあとで『これを戦闘教義にどう反映し対応策を変えるべき

主張 トランプ新政権の南シナ海問題への取り組みに期待

アジア太平洋特に対中国問題でオバマ政権が8年という時間を空費してしまった以上次期政権にはいきなり期待が高まります。米国には中国の意図を正確に理解できる人材もありますので、政治トップの価値観が今後重要になります。その意味で徐々に出てきた新政権人事を見守りましょう。 Donald Trump's South China Sea Challenge: 4 Ways America Can Push Back Against China Harry J. Kazianis November 25, 2016 http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/donald-trumps-south-china-sea-challenge-4-ways-america-can-18511 次期大統領がホワイトハウスで仕事を始める初日から世界中の問題が肩にのしかかってくる。イスラム国、ロシアとの緊張、シリア内戦で新政権は直ちに手を打つ必要がある。それだけではない。上記課題より他年度に渡るジレンマは世界規模の難題、中華人民共和国による挑戦だ。 最大の課題 米中関係の緊張要因は色々あるが、重要なのは一つだけ、中国政府が米国の様子をうかがうことは不要と判断しアジア太平洋におけるアメリカ主導の国際秩序を拒否していることだ。中国の意図はアメリカをアジアから徐々に追い出すことにあり,代わって世界で一番経済成長が著しい地帯を支配することなのは明らかだ。 中国関連の諸問題にはトランプには経済軍事課題とともに日本へ東シナ海問題で圧力をかける事、台湾との緊張など多々あるが、新政権の外交手腕・戦略観が試されるのは何と言っても南シナ海だ。 南シナ海の重要性 南シナ海を「アジアの煮えたぎる大釜」と呼ぶのは理由がある。5兆ドル超の交易が同海域を通過し、うち1.2兆ドルは米国製品である。経済大国の日本、韓国、中国に必要な資源の航路もある。南シナ海の支配者がアジアを支配する。中国が人工島、軍事施設を建設し、領有権を既存事実にしようとする理由は将来の支配権を一発も銃弾を撃たずに実現することだ。 ではなぜ現政権は中国の南シナ海進出に反対しなかったのだろうか。アジア重視を2011年に打ち出したオバマ政権は出