スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

電子戦で米国は一層の努力が必要, F-35は重要なEW機材

Pentagon Taps EW For Second Wind aviationweek.com Apr 27, 2011 米国は電子戦に遅れを取っている。しかも20年前から。 これがオバマ政権が国防予算の削減を求める中で電子戦(EW)にその他ごくわずかの分野とともに予算増加を認める根拠だとフランク・ケンドール国防次官補(国防装備調達・技術担当)は説明する。 「EWへの支出を増強する必要があります。今後はEWを重視します」とし、国防予算からの資金捻出を図る動きだ。 米 空軍はEF-111EW兼戦術ジャミング機を1998年に退役させており、これがEW実戦力の退潮のはじめだったとされる。その後わずか数ヶ月でイラク北 部上空を飛行中のU-2はイラク防空網の脅威に直面している。同国の防空網の改善は海軍が指摘していたが、空軍にそれが伝わらなかったのは空軍のEW部門 が分散してしまいEWの効能を説得できる高位の将官がいなかったためと言われる。 EF-111退役とEW任務の海軍移管は表裏一体だが、ケンドール次官補はそれだけが理由ではないという。 「これまで我が国はEWでこれまでよりも実戦力があると信じてきましたが、能力面でも優位性でも衰退しています。これを脱するためにも現実の直視が必要です」 「80 年代90年代からEW部門が国防総省にあり、開発中の技術は豊富にありましたが、戦闘の様相が変化を示す中、われわれも進歩を続ける必要があるのですが、 唯我独尊になっていました。その理由の一つに国防力の統合再編成があったのかもしれません。今やEWを再活性化するべき時期です。」 指向性エネルギー兵器として高密度レーザーや高出力マイクロ波があるが近い将来に実戦レベルになるとは見られていない。 「指 向性エネルギーはいつも5年先の技術です。80年代には私は陸軍でミサイル防衛に携わっておりましたが、当時すでに指向性エネルギーは話題になっており、 数年先に実用化となると見ていました。たしかに研究は大きく進歩しましたが、実用的な兵器にするためには研究課題が残っています。EWの再活性化案は情報 監視偵察(ISR)、指向性エネルギー、サイバー作戦、電磁戦場管理EMBMが交差するところで出て

中国の軍事力整備で戦略バランスはどう変わるのか

Chinese Buildup Upsets Strategic Balance aviationweek.com Apr 29, 2011 対艦弾道ミサイル開発に成功し、海軍力を増強している中国を改めて軍事大国とみなすべきであるとの点で軍事アナリストと米海軍は一致している。 1. 中国の意向は軍事バランスそのものに影響を与えるのは必至で、米国のアジア太平洋における長期的軍事・地政学的政策は見直しを迫られるだろう。 2. ただし中国の軍拡の加熱に対する意見は分かれている。ひとつだけ確かなのは次回台湾海峡で危機状況が発生した場合、米国は直ちに1996年のように空母戦闘群を派遣する可能性は少ないということだ。 3. ただし中国に本当に米海軍空母戦闘群を駆逐する能力あるいは意図があるのかと問われると自信をもって回答できるものは皆無だ。また軍事力増強で中国が何をめざしているのかも測りかねているのが現状だ。中国がアジアのリーダーとして旧ソ連圏のように各地に影響力を行使のではと見る向きがある。あるいは軍事力は中国の領土保全、通商交通路確保また領土主張の裏付けとして使われるのではないかと見る向きもある。 4. たしかに中国は自国領土を守り、政治的対立を回避する決意があるようだ。その鍵は対艦弾道ミサイル(ASBM)通称空母キラーのDF-21Dの開発だ。 5. 数カ月前に同ミサイルは米国流では初期作戦能力獲得の段階に達している。ペンタゴンはこれに対して同ミサイルはまだ実戦想定の試験を実施しておらずとしこの状況を直視していないが、アナリストの中にも同ミサイルの実際の性能を測りかねるのが現状だ。 6. 「ASBMの実際の性能はJ-20と同じく中国の情報収集・監視・偵察能力の実力、ネットワーク能力がわからないと判断は不可能です。兵器体系は目標情報を入力できなければ役に立ちません」(国防コンサルタント) 7. 「最終突入段階の誘導システムで疑問があります。空母が移動目標であることも一因で、予め範囲を想定して発射しても最終誘導が必要です。そのため誘導システムの精度が重要なのです」(海軍力・海洋安全保障専門のアナリスト) 8. ペンタゴンは最新報告の中で中国の軍事力に

F-X選定 震災被害が追い風になる可能性

F-X Bidders Could Gain From Tsunami Damage aviationweek.com Apr 29, 2011 F-Xの調達数を拡大案が検討されている。 三菱重工業 製F-2B練習機18機が3月11日の東日本大震災で被害を受けておりその修復は困難との見方が広がっているためだ。 1. 防衛省はこのうち三機が修復完了出来れば運がよい方だと見ており、これがF-X選定を急ぐ理由にもなっている。18機の修復費用は136億円相当と見積もられる。 2. 震災前に運用していたF-2Bは合計33機でこのうち18機が海水につかってしまい残存運用機数は15機となる。 3. そこで日本の選択は以下の四点だ。①運用機数の減少をそのまま甘んじる ②F-2Bの追加生産を行う ③米国より ボーイング F-15D在庫機を取得する ④F-X取得機数を増やす 4. このうち最初の二つは可能性が少ない。 5. 損傷を受けたのは全部が複座機なので、訓練部隊に大きな打撃で機数の回復は高い優先事項となる。 6. 三菱重工業は今年内の最終納入をもってF-2生産ラインを閉鎖する予定だが、部品メーカーはすでに生産を中止している。 7. そこで追加発注をすると非常に高額な発注となる。ましてや同機は1990年代の機体でありそこにあえて大金をつぎこむのか、という議論になろう。 8. 防衛省も部品生産を再スタートするコストを考慮して、むしろ予備部品を活用して損傷機の修理をする可能性がある。 9. 防衛省はF-15DJを運用しており、F-15Dと類似したこの練習機でF-15Jへの機種変更訓練を実施しているのだが、F-15Dを取得するとしても在庫機数、機体寿命以外に-2Bの代替機としての適性が問題になる。F-2BはF-2A以外にF-4EJパイロットの訓練に使用されている。 10. では第四番目の選択はどうか。防衛省は各入札社にF-2B交代分の調達数上乗せの可能性について説明していないといわれるが、損傷機のうち何機が回復可能かがわかっていたら調達数増加は当然ありえるはずだ。 11. 塩水に浸かった戦闘機の回復は実現性なしと言われるが、90

F-X選定 政治的なリスクも

Three Contenders Remain For Japan F-X aviationweek.com Apr 28, 2011 今年中にF-2最終機が 三菱重工業 から引き渡されると戦後日本の戦闘機生産は45年で一旦終了となり、戦闘機の生産技術が継承の機会を失う。 ■ このことはF-X選定に携わる関係者には重い事実で、選定が早ければそれだけ早く戦闘機生産の産業基盤が再活性化されるのだ。 ■  防衛省によると BAEシステムズ は 住友商事 とともにユーロファイター・タイフーンを、 ロッキード・マーティン はF-35、 ボーイング はF/A-18E/Fでそれぞれ応じてきたという。 ■ 同省によると昨年の時点でロッキード・マーティンF-22、ボーイングF-15、 ダッソー ・ラファールも候補にあがっていたが、F-22輸出の可能性がなくなり、F-15については防衛省が完全な新型機を採択する方向になったため選にもれたとのことで、ダッソーからはコメントは出ていない。 ■ 平成24年度予算にF-X調達を盛り込むタイミングで今回の公募となり、来年度予算の都合上、提案各社は9月までに応募をする必要がある。その後、選考過程を経て12月末までに内閣に選考結果を提言する運びだ。したがって選定には三ヶ月しか時間がない。 ■  防衛大綱でF-Xは40機ないし50機調達するとしており、最初の12機の納入を平成28年度末までに実現するとしている。機体開発の成熟度で見ればF- 35はF/A-18E/Fおよびユーロファイター・タイフーンに遅れをとっているので、後者ニ機種は選定過程の締切りに間に合う。ただロッキード・マーティンも平成28年度内の納入は可能と見ている。 ■ 早期納入は重要な要素となる。F-XはF-4の後継機種と言う位置づけでF-4の機齢は30年を越えている。F-4の退役は飛行時間累計に左右されるが、 10年以内に避けて通れない予測だ。そうなると三菱重工業はF-X国内生産を急速に立ち上げる必要がある。業界には早期納入の日程および防衛省が費用面で厳しい要求をしていることからF-Xの初期ロットは輸入に頼らざるをえないのではとの見方がある。 ■ 日本は防衛装備の国内生産を求めており、一部部品・システムも国内開発が望ましいとしてきた。しかし、

中国初の艦載戦闘機の開発が進んでいます

New Chinese Ship-Based Fighter Progresses aviationweek.com Apr 27, 2011 中国から瀋陽J-15フライングシャークの写真が流出しており、同機は中国初の空母に搭載するため開発されている。 ■J-15はJ-11Bを原型とする。J-11BはスホイSu-27フランカーからライセンスを得ずに中国が改良した機体だ。J-15自体はロシア製艦載型のSu-33と酷似しており、主翼折りたたみ式、拘束フックを備え降着装置は強化されている。J-15はスキージャンプ式離陸の設計であり、Su-33とこの点でも共通だ。相違点はフラップの設計と中国製高性能エイビオニクスの搭載。 ■同機が正式なライセンスを取っていないことでロシアとの摩擦が生じている。 ■ J-15にはカナード翼がついているがSu-33も同様なことから飛行制御システムは類似していると見られる。さらに、J-15のモックアップ機体がダミーの対艦ミサイルを搭載しているのが目撃されており、同機が攻撃任務を想定しているのがわかる。Su-33はこれに対して空中戦闘任務で設計されている。 ■ 同機が大型であることから中国の海洋戦略が沿岸防衛から兵力の海外展開に切り替わる際の基礎となることがわかる。同機はまずロシア製空母旧名称ワリヤグに搭載されると見られる。同機の写真は瀋陽航空工業の第112工場で撮影されている。 ■ 同機には外部ミサイルレールおよび広角ホログラフィによるヘッドアップディスプレーの搭載が判明している。 ■このことから同機の性能について評価が分かれている。ロシアのリア・ノボスティ通信は同機はSu-33より性能が劣ると伝えるが、中国側関係者によるとSu-33のエイビオニクスは旧式だと見ており、中国製のセンサー類、表示装置、兵装を採用したという。同機のエイビオニクスには高性能対艦探知レーダーがJ-11Bから流用されている。 ■ 同機の第一線配備は2016年より以前になると見られる。 ■中国国内の情報筋によると同機初飛行は2009年8月31日に決行されており、ロシア製AL-31エンジンを搭載していたという。ウクライナが中国向けのSu-33フランカーDを供給しており、この点を米国アナリストも認めている。

米陸軍のJMR新型ヘリコプター開発は思惑通り進展するか

U.S. Army Moves On Next-Gen Helo aviationweek.com Apr 15, 2011 米陸軍は次世代回転翼機開発に向かいつつあるが、業界では「通常通り」の技術実証を重視する姿勢では何よりも必要とされる技術革新に結びつかないのではと懸念が強い。 1.陸軍が準備を進めているのは来月中に共用多目的回転翼機(JMR)の技術実証にむけた契約締結だ。もともと共用多目的という用語はこの10年間に見え隠れしてきたもので、現行の攻撃ヘリ、多用途ヘリの後継機を各軍共用で運用する考え方だ。これが今では米軍各部隊が運用するヘリの四種類をカバーする概念として拡大解釈されている。 2.JMRとは具体的な機種ではなく、重量別に軽量級、中間級、重量級、超重量級の四つに分かれるものと言うのが陸軍の考え方だ。重量別に分類する際の区分を空力学的な機体構造で考えるが、四区分全体で偵察、攻撃、輸送、大型輸送をカバーするもの。 3.JMRが想定する運用開始は2025年から2030年で、現時点ではまだ確立されていない技術を利用する。現行機種の生産は2018年を境に減少する見込みで多少の改修はあろうが、同じ頃に陳腐化してしまうと米陸軍は見ている。 4.そこで陸軍の対応はJMRの技術実証で2010年代末までに次世代回転翼機の開発を開始することだ。 新型機種の開発にはまだ時間があるが、技術開発予算が制約を受ける中で技術要素を取りまとめる意味でもJMRにより陸軍は前に進むきっかけになる。 5.陸軍の航空応用技術局がbroad agency announcement (BAA)通達でJMR実証機の構成要求を1月に発している。まずこの研究段階で広範囲な性能要求に関する中核技術の定義をする事で今後の投資分野を把握しようというものだ。 6.この研究はJMRでいう中間重量級に焦点を当ててAH-64D、UH-60M、AH-1Z、UH-1Yのそ各後継機種を検討する。さらに軽量級ではOH- 58D、重量級はCH-47Fの場合でも共通した技術要素を取り上げる。超重量級は今回は想定外であるのは米空軍が中心となり共用将来型戦域輸送機(JFTL)構想の対象範囲とのため。陸軍の研究対象である超大型垂直離着陸機は空軍のC-130J後継機種開発に統合されJFTLとなった。ただ代替手段研究(AOA)は承

F-35の供用は2016年以降になる見込み

US Navy, AF May Field F-35s Later Than 2016 Apr 21, 2011 米空軍および海軍のロッキード・マーティンF-35の実戦配備が2016年以降になる可能性が出てきたと、ペンタゴン関係者が21日明かした。 ■ヴェンレット海軍中将が報道陣に語ったもので同機のテストは進行中で生産は今年始めに体制を建て直した上で一定の進捗を示しているという。ただ、同中将によると性能試験とウェポンシステムの進捗が問題だという。 ■同中将はテストの完了は2016年より前に完了しない見込みとし、空軍と海軍が同機の初期作戦能力の獲得宣言のも同年以降になるということを意味する。 ■ ヴェンレット中将によるとペンタゴンとロッキード・マーティンは今年の夏にも再度同機の開発契約で再交渉するという。 ■ゲイツ国防長官が昨年にロッキードの実績で改善がない限りは契約報酬の6.14億ドルは凍結すると発表していた。なお、同機開発の総額は3,820億ドルで米軍向け三機種、合計8カ国向け機種を開発する規模になっている。 コメント   やれやれ、ということですね。ひょっとするとF-35は最大の失敗プロジェクトになるどころか、西側の空軍力整備を20年遅らせることになるのでは。それでも同機は防衛省のFX候補で、採択されれば今から日本が相応の負担を求められる=当然多額の資金提供者として期待されても、納入は2010年代後半だったらまだよいほうということになりはしませんか。そこまでの価値がある機種なのでしょうか。