ここに来てウクライナ敗北の証が見えてきました。潮目がかわったのです。やはり西側の軍事装備支援の中断が大きな原因です。それに加え国民の厭戦気分も強まってきました。このままではプーチンの思うツボです。ウクライナという国家が地図から消えてしまってもおかしくないとの見立てですが、このままでいいのでしょうか。POLITICO記事からご紹介しましょう。
Increasingly it looks as if Putin’s bet that he can grind down Ukrainian resistance and Western support might pay off. | Spencer Platt/Getty Images
ロシア侵攻から3年目の今年、潮目が変わらなければ、ウクライナという国家は過去のものとなってしまうだろう。
ウクライナの兵士に、西側諸国が "必要な限り"キーウの味方をしてくれると信じているか聞いてみればいい。ある軍人が前線で訴えたように、砲兵部隊が最後に砲弾を撃って4週間も経っていれば、その誓約は空虚に響く。
ウクライナ軍の弾薬が不足しているだけではない。欧米諸国からの援助が遅れているため、ウクライナには砲弾以上に供給が困難なもの、つまり勝利に必要な闘志が危険なほど不足している。
容赦ない砲撃、最新兵器の不足、そして戦場での損失によって、部隊の士気は低下している。戦線から何百マイルも離れた都市では、戦争初期に軍隊に入ろうと列をなしていた若者の群れは姿を消した。今では、新兵になる資格を持つ者たちは徴兵を逃れ、代わりにナイトクラブで午後のひとときを過ごしている。その多くが国を離れている。
先月ウクライナを取材してわかったことだが、政治指導者、軍人、一般市民への何十回ものインタビューから浮かび上がってきたのは、この国が破滅に向かって滑り落ちているという姿だった。
ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領が、ウクライナは後退しない方法を見つけようとしていると断言しているときでさえ、軍の将校たちは内心、この夏、さらなる損失が避けられないことを受け入れている。問題は、それがどの程度になるかだ。
参謀長アンドリー・イェルマクは、本誌取材に対し、「我々は、国民の士気が低下していることを承知していますし、地方知事や国民自身からもそう聞いています」と語った。イェルマクと彼の上司は、市民と兵士を戦いに結集させるため、「最も危険な場所」に行くと彼は言った。「私たちは人々に言う。"あなたの名前は歴史に残るだろう "と」。
ロシアの侵攻から3年目となる今年、流れがすぐにでも変わらなければ、現在のウクライナという国家は過去の存在となってしまうだろう。
これほど時代を決定づける重要な戦争であるにもかかわらず、キーウにロシアの侵略者を撃退させるための西側諸国の指導者たちの行動は、美辞麗句をはるかに下回るものだ。その失望は、塹壕を掘る兵士から国を運営する閣僚まで、あらゆる階級のウクライナ人を疲れさせ、苛立たせている。
本誌がドミトロ・クレバ外相に、片手を縛られたままウクライナを戦わせるのを西側諸国が放置していると感じるかどうか尋ねたところ、彼の判断は明快だった。「そう思う」と外相は同日午前中にロシアによるミサイル攻撃があった直後の執務室で答えた。
ゼレンスキーは、アメリカ議会が支援に乗り出さなければ、ウクライナは「敗戦するだろう」と述べた。
ウクライナの抵抗と西側の支持を削ぎ落とすというプーチンの賭けが実を結ぶ可能性がますます高まっている。
欧米の先進的な武器と資金供給が大きく変化しなければ、ウクライナはプーチン軍が現在保持している領土の解放はできないだろう。そうなれば、プーチンは今後数カ月から数年のうちに、傷ついたウクライナを自由に齧りつくことができる。ロシアがウクライナを完膚なきまでに叩きのめせなかったとしても、部分的な勝利によってキーウのEUやNATO加盟への希望は宙に絵に描いた餅となる。
このような結果が世界に及ぼす影響は深刻だ。プーチンは勝利を国内で主張するだろうし、西側の弱点を露呈させることで奮起し、帝国主義的野心を海外でさらに強めるかもしれない。リトアニア、ラトビア、エストニアは、プーチンの次の標的リストに載ることを特に恐れている。中国はすでにモスクワにとってますます信頼できるパートナーとなっており、その姿勢を変える理由はほとんどないだろう。
プーチンの大目標はウクライナ第2の都市ハリコフだ
今、ウクライナが最も緊急に必要としているのは、何百万発もの砲弾だ。さらにウクライナは、前線部隊を守り、数週間にわたって猛烈なミサイル攻撃と砲撃を受けているキーウに次ぐウクライナ最大の都市ハリコフを防衛するために、少なくとも20基のパトリオット防空システムが必要だとしている。
ロシアが近々、ウクライナ第2の都市を地上攻撃の標的にするのではないかという懸念が高まっている。
「ハリコフがウクライナの最初の首都だったというのは象徴的だ。大きな標的だ」とゼレンスキーは先週、本誌の親会社アクセル・スプリンガー傘下のメディア各社とのインタビューで語った。
ウクライナ軍は、今後数カ月でさらに被害が拡大すると覚悟している。ウクライナ軍総司令官のオレクサンドル・シルスキーは、ウクライナ東部戦線の状況は「ここ数日で著しく悪化した」と警告している。ゼレンスキー自身が別の場所で述べたように、「我々は後退しない方法を模索している」。
前線の脆弱性に対する懸念は、ウクライナ電力網を麻痺させることを意図したロシアの前例のない攻撃の連打で、さらに強まっている。
本誌との最近の会合で、ウクライナの政治指導層は、国民の精神が落ち込んでいることを認めた。
ウクライナの首席外交官クレバは、「パトリオットをよこせ」とキレた。外務省でインタビューに応じた彼は、遅れに苛立ちを隠せず、ロシアの石油施設を攻撃しないといった西側兵器に付随した縛りにも苛立ちを隠せなかった。
クレバはもちろん、過去2年間にわたる西側同盟国からの支援には無条件で感謝している。しかし彼は、ウクライナは悪循環に陥っていると警告した:ウクライナが必要とする武器が提供されなかったり、遅れると、西側同盟諸国はキーウが後退していると不満を漏らし、今後さらに援助を送る可能性が低くなる。(本誌がクレバと会談した後、ドイツがパトリオットの供与に同意したが、十分かどうかは疑問だ)。
軍上層部の雰囲気は、クレバ以上に暗い。
上級将校は、名前を伏せる条件のもと、本誌取材に応じた。彼らは、この夏、ロシアが数を高め、甚大な死傷者を覚悟の上で攻勢に転じると、前線が崩壊する可能性があるという厳しい見通しを示した。さらに悪いことに、彼らは、ウクライナ自身の決意が弱まり、絶望的な物資不足で部隊の士気が低下することを恐れている。
ウクライナの指揮官たちは、戦闘兵士がもっと多く必要だと叫んでいる。前トップ司令官のヴァレリー・ザルジニーの見積もりでは、50万人の追加兵力が必要だという。
しかし、ゼレンスキーとウクライナ議会は、大規模な新規招集を命じることに躊躇している。本誌インタビューで、ウクライナ大統領府の有力者イェルマクは、大規模動員を開始しない重要ながら部外者には意外な理由を示した。ゼレンスキーはまだ"国民の大統領"だと彼は言う。「彼にとって、それは非常に重要なことであり、命令されたから何かをするのではなく、国民が自ら何かをすることが非常に重要なのだ」。
そこに問題がある。西側諸国は必要なことを打ち出せず、その結果、ウクライナの意志を弱めている。
ウクライナは存亡の危機に直面しており、プーチンはウクライナを文字通り地図から消し去ろうとしている
ウクライナは近隣のヨーロッパ諸国と変わらない。最近の世論調査では、たとえ自国が攻撃を受けていても徴兵を拒否する人が多い。しかし、ウクライナは戦争中の国である。このような存亡をかけた戦いは、国民を総動員しなければ勝つことはできない。
にもかかわらず、紛争が続く中、最前線から離れたキーウやウクライナの中央部や西部に住むウクライナ人は、ある意味、普通の生活に戻れるのであれば、東部で戦争が激化しても我慢する準備ができているように見える。
それゆえ、徴兵逃れが行われている。徴兵される可能性のある若者たちは、午後遅くまでヒップスター・バーやテクノ・クラブに入り浸り、自分の時間を使っている。
ボクシングの元ヘビー級チャンピオンで、現在はキーウ市長を務めるヴィタリ・クリチコは、人々が普通の生活に戻りたいという気持ちは理解できると述べ、それが健全なことだと主張した。彼は本誌に対し、日常的な活動を再開したい願望は、国民を疲弊させようとするプーチンの試みに対する反抗の表現だと語った。
そうかもしれない。しかし、容赦のない敵に直面し、装備が整わない防衛軍が相手に劣勢になっているのだから、このような手放しの態度はリスクが高く見える。
追放されたウクライナのザルジニー総司令官が身をもって知ったように、物事がうまくいかないかもしれないという理性的な警告は、コメンテーターやアナリストを窮地に陥れる可能性がある。しかし、批判的思考を停止しても、この戦争に勝つことはできない。
西側諸国は、制裁がロシアを屈服させると信じ、制裁に過度の信頼を置いてしまった。また、死傷者数の多さでロシア人がプーチンに反旗を翻すとか、クレムリンのクーデターでプーチンが追放されるかもしれないという希望的観測もある。だが、ロシア経済は回復力を保ち、プーチンは権力への支配力を強めている。
2022年の侵攻を開始する前に、ロシアの指導者は、短時間の戦争ですぐに勝利が得られると、不手際な情報機関のチーフに惑わされていた可能性があるのは事実だ。
しかし、プーチンには待つ余裕がある。先月、彼はさらに6年の大統領任期を自らに与えた。膠着状態に落ち着くこともできる:ウクライナをNATOからもEUからも締め出し、勝利と敗北の狭間に閉じ込めておくのは勝利に等しい。
膠着状態に陥れば、ウクライナの回復力はどうなるのか。
徴兵センターに志願兵が殺到した初期の愛国的熱狂は蒸発した。推定65万人の戦える年齢の男たちが国外に逃亡し、そのほとんどが国境を越えて密入国している。
2年前ならウクライナから脱出する列車は女性や子供、高齢者ばかりを乗せていた。今週、この特派員を乗せた列車の乗客の3分の1ほどは、戦闘年齢の男性だった。どういうわけか、彼らは出国許可を手に入れたのだ。
バンコバ通りにあるゼレンスキーの大統領府で、政府関係者はまだ前向きだと主張している。しかし、西側援助、特にジョー・バイデン大統領が長い間延期している600億ドルの支援策に対しては、もう長くは待てないという。
ウクライナが勝利に必要な西側援助を得られなかったら、プーチンはどうするだろうか?「すべてを完全に破壊するでしょう。すべてをね」とゼレンスキーはアクセル・スプリンガーのメディアに語った。ウクライナ各地の都市は瓦礫と化し、数十万人が死ぬだろう、と彼は言う。■
Jamie Dettmer is opinion editor at POLITICO Europe
The West's failure to send weapons to Kyiv is helping Putin win his war.
By JAMIE DETTMER
in Kyiv
APRIL 17, 2024 4:00 AM CET
これほど明らかな侵略行為に対して国際社会が無力だと証明されればその悪影響は計り知れないだろう。
返信削除その責任はいわゆる欧米だけでなく、平和憲法の名の下にこの戦争に対し軍事的に無作為を貫いた日本も免れない。
ウクライナは、記事にあるように、西側からの支援が滞ったから敗北するという説が最近多いが、それは正しいのであろうか。あるいは、仮に多大な支援があったら、ウクライナは勝利できるであろうか。
返信削除これは、共に間違いだろう。その理由は、老いぼれバイデン政権の存在によると考える。
老いぼれバイデン政権は、武器等の支援の質と量を調節することにより、戦況をコントロールしようとしてきた。それにより、プーチンを絶望させないようにし、核使用のリスクを最小限にしようとしてきた。同じ理由により、ウクライナはロシア国内攻撃に大きなハンデを負わされている。
だが、プーチンはそれほど愚かでなく、少なくても戦線がロシア国内に及ばないうちは核の使用などあり得ないことだ。
このような老いぼれバイデン政権の後ろ向きの姿勢は、戦争前から明確であり、プーチンがウクライナを侵略すれば、ウクライナをロシアに差し出すつもりだった。
しかし、ウクライナ大統領の国外避難はなく、ウクライナ軍の予想外の奮戦で、老いぼれバイデン政権の見通しの甘さが露呈することになった。
ウクライナには悪いが、老いぼれバイデンの愚かな政権が存続する限り、敗北はあったにしても、勝利を得ることは、プーチンが自分で転ばない限り、望めないであろう。
お花畑のオバマから、老いぼれバイデンに続く民主党政権の中露に対する弱腰と、外交・軍事の失敗は、もし次も老いぼれバイデン政権となったならばさらに続き、取り返しのつかない世界的混乱へと突入する可能性が高いと予測する。そして、それは東アジアから始まるであろう。桑原桑原‼