スキップしてメイン コンテンツに移動

ミニガンで武装したMojaveドローンが毎分6000発でターゲットを撃破、軽武装ヘリコプターの代替策として売り込みを図るジェネラルアトミクス

 プレデターからはじまった無人機の系譜がついにミニガンを発射するまでに至りました。対地攻撃をガンで行えるということは遠隔操作のスピードや精度が従来より画期的に向上しているからなのでしょうが、同時にアフガニスタン戦役のような航空優勢がいつも確保されている前提での作戦でなければこうした構想は使えないのではないかとの懸念もあります。The War Zone記事からのご紹介です。


General Atomics' Mojave short takeoff and landing drone armed with a pair of Minigun pods recently conducted a first-of-its-kind live-fire demonstration.

GA-ASI



このクラスのドローンでMinigunポッドが実弾発射されたのは今回が初で、

すでにこの能力を拡大する計画が進行中


ェネラルアトミクスGeneral AtomicsのモハーヴェがディロンエアロDillon AeroのDAP-6 Minigunポッドで武装し今月初めに行われた世界初の実射デモンストレーションで、複数の静止標的をズタズタにした。同社はこの新しい攻撃能力をさらに高める計画を持っている。また、米陸軍が直近の武装偵察ヘリコプター計画を中止したのを受け、モハーヴェと同社のMQ-1Cグレイ・イーグルのハイブリッドを、新たな武装偵察プラットフォームとして米陸軍に売り込もうとしている。

ジェネラル・アエロノーティカル・システムズ社(GA-ASI)が本日発表したプレスリリースとビデオによると、DAP-6を搭載したモハーヴェは4月13日複数の地上目標と交戦した。ビデオのある場面では、シボレーのピックアップトラックが爆発している。ミニガンが発射する7.62x51mm弾は爆発しないが、トラックには爆発物が仕掛けられていたか、あるいは内部の燃料に引火した可能性がある。

 全7行程で合計10,000発の7.62x51mm弾が発射され、1回あたり平均約1,428発が発射された。GA-ASIは、アリゾナ州にある陸軍のユマ実験場で、自社資金で実射デモを実施した。

A Dillon Aero DAP-6 gun pod on display. <em>Joseph Trevithick</em>

A Dillon Aero DAP-6 gun pod on display. Joseph Trevithick


ディロンによればDAP-6ポッドに搭載されたミニガンの発射速度は毎分3,000発。デモでモハーベが搭載していた2つのポッドを合わせた発射速度は毎分6,000発だった。DAP-6の最大弾倉容量も3,000発で、総発射時間は60秒。ポッドには少ない弾薬を装填して、全体の重量を減らすことができる。空の状態でのDAP-6の重量は162ポンド(73.5キログラム)だが、満載すると約350ポンド(158.8キログラム)になる。

 GA-ASIのマーケティング&戦略コミュニケーション・シニア・ディレクター、C.マーク・ブリンクリーは、本誌に語った。「銃を使用するためには、ハードウェアとソフトウェアのアップグレードが必要であり、翼の定位置から銃を発射して正確にターゲットを照準するために、地上でのさまざまな試射が行われました。照準ターゲットは、高さ約4フィート、幅約8フィートのビルボードサイズの壁で、遠くに設置されました。

 「パイロット・チームが各銃から発射された弾丸の個々の着弾点を理解すると、デモを飛行させ、空中から標的を攻撃することができました」とブリンクリーは続けた。「将来的には、航空機のセンサーボールに連動する回転銃のシステムを構想しています」。

 様々な角度で回転するガン・ポッドというアイデアは新しいものではない。ソ連は冷戦時代、このようなポッド銃システムを数多く設計し、実戦配備していた。

 「とはいえ、初期テストとしては大成功だったと考えています。機体は問題なく兵器を搭載し、発射しました。振動や反動にも問題はありあませんでした。開発を続けるにつれて、精度と有効性が向上してしょう」。

A graphic with details about Mojave's six underwing hardpoints. It is depicted carrying 16 Hellfire missiles, a loadout option that GA-ASI regularly highlights in discussions about this drone. <em>GA-ASI</em>

A graphic with details about Mojave's six underwing hardpoints. It is depicted carrying 16 Hellfire missiles, a loadout option that GA-ASI regularly highlights in discussions about this drone. GA-ASI


本誌は、GA-ASIが2022年に翼の下にDAP-6ポッドを搭載したモハーヴェの写真を初公開したときに、このようなドローンに銃ベースの武器システムを統合することの難しさを強調した。当時、本誌はこう書いていた:「そもそも、ガンポッドで武装した機体をオペレーターがどのように遠隔操作するのかは、すぐにはわからない。特に7.62x51mm砲システムで地上の標的を空爆するには、地面の近くでのダイナミックな操縦と、GA-ASIの他の製品ラインのマンインザループ無人プラットフォームとは異なるレベルの状況認識が必要となる。これが、精密誘導弾に注力する主な理由である。精密誘導弾は採用の基本概念が大きく異なり、通常は中高度で使用される」。

 DAP-6ガンポッドは、モハーヴェが搭載する可能性のある武器の一部にすぎない。2021年に初公開され、同年に初飛行したモハーヴェは、主翼下に3つのハードポイントを備えている。また、過去にはAGM-114ヘルファイアやAGM-179統合空対地ミサイル(JAGM)を搭載した姿も公開されている。GA-ASIはこの無搭乗機がヘルファイア最大16発のを搭載できると宣伝してきた。

 GA-ASIのブリンクリーは、2022年に本誌に語っていた。「レーザー誘導弾が好ましい攻撃オプションですが、アームド・オーバーウォッチタイプの任務を含む、将来のUAS(無人航空機システム)任務のためのガンポッドのアイデアを排除すべきだということにはなりません」。

 その時、ブリンクリーはまた、モハーヴェの武装がガンポッドであったことは熱望的であったことを示し、GA-ASIは、その設計が将来提供することができるものについての "議論を鼓舞する"ために、その翼の下にDAP-6を持つ無人機の写真を共有したと述べた。

 巻き添え被害のリスクを低減するために設計された高度な小型化精密誘導爆弾やミサイルと比較しても、銃は小さな標的やその集団に集中砲火するという点で利点がある。銃で武装したモハーヴェは、精密誘導弾を使用した場合よりも、パスからパスへと、あるターゲット・エリアから別のターゲット・エリアへと、より迅速に焦点を移すことができる。 これらはすべて、密集市街地での近接航空支援や、友軍や罪のない傍観者が敵の陣地に危険なほど接近しているような状況で特に威力を発揮する可能性がある。銃はまた、より広い範囲の標的を攻撃し、制圧射撃を提供する方法を提供する。

 MQ-1Cから派生したモハーヴェは、半整備された着陸帯や限られた後方支援しかない遠隔地や過酷な場所からの作戦に適するように設計されている。

 GA-ASIは現在、最大1,000ポンドの貨物を搭載できる翼下ポッドを使用して、モハーヴェを小型の物流プラットフォームとして使用するアイデアも模索している。同社のポートフォリオにある他のドローンも、こうしたポッドを搭載できる可能性がある。米軍では、紛争環境における将来の作戦を支援するため多様な分散型ロジスティクス・チェーンが不可欠になると見ている。

 一般的な性能としては、モハーヴェは陸上でも海上でも印象的な短距離離着陸(STOL)能力を発揮する。英国海軍の空母HMSプリンス・オブ・ウェールズの甲板から離着陸する一連の実験的な飛行テストを昨年行い、海上デビューを飾っている。

 GA-ASIのデビッド・アレクサンダー社長は、本日のプレスリリースの中で、「当社のモハーヴェがこの実戦デモを行ったのは、同機の多用途性を強調するものだ。モハーヴェは、脅威環境と脆弱性を緩和し、人命を守りながら、センサー、シューター、サスティナーとして機能する能力を持っている」。

 これらを念頭に置いて、GA-ASIは現在、グレイ・イーグルSTOLと呼ばれるモハーヴェとMQ-1Cの要素を融合させたハイブリッドドローンの設計に取り組んでいる。同社はまた、モハーヴェの経験を生かしたMQ-9リーパーファミリー用のSTOLキットも提案している。

 同社はコンセプト段階のグレイ・イーグルSTOLを、武装偵察機や監視プラットフォームとして米陸軍に売り込もうとしえちる。2月、陸軍は新型武装偵察ヘリコプターFARA(Future Attack Reconnaissance Aircraft)プログラムを中止すると発表した。

 GA-ASIのアレクサンダーは、FARAプログラムのキャンセルに伴うつなぎとしてグレイイーグルSTOLを売り込むことについて、最近のインタビューでBreaking Defenseに語った。

A US Army MQ-1C Gray Eagle. The proposed Gray Eagle STOL design would blend elements of Mojave with this drone. Mojave is itself an MQ-1C derivative. <em>US Army</em>

A US Army MQ-1C Gray Eagle. The proposed Gray Eagle STOL design would blend elements of Mojave with this drone. Mojave is itself an MQ-1C derivative. US Army


 「モハーヴェ実証機は、グレイ・イーグルの技術的延長であり、遠征用の短距離離着陸(STOL)能力を備えている。グレイ・イーグルSTOLは、陸軍に、これまでの無搭乗システムとは異なる新たな攻撃偵察能力を提供できます」と、GA-ASIのブリンクリーも本誌に語っている。 「我々はすでに、未舗装道路からの運用能力、海上の船からの離着陸能力、そして今度は機銃掃射による目標攻撃能力をモハーヴェで実証しています」。

 ここで注目すべきは、米陸軍の精鋭部隊である第160特殊作戦航空連隊も、AH/MH-6リトルバード・ヘリコプターの少なくとも一部の代替機としてFARAに注目していたことだ。AH-6は通常、2対のミニガンと他の武器で武装している。

 同時に、MQ-1Cのような非ステルス性の中高度武装ドローンの生存性、ひいては有用性については、特に統合防空網やその他の脅威に満ちた高級戦闘空間では大きな懸念がある。銃を効果的に使用するために低空飛行するのはリスクをもたらす。GA-ASIは旧式ドローンの脆弱性を軽減するために、消耗品の対抗措置や警告センサーを搭載したポッドなどの新機能を開発してきた。同社はまた、グレイ・イーグルの将来的な継続性を確保するための他の方法について陸軍と緊密に連携している。

 「グレイ・イーグルSTOLは、各種サイズと能力を持つ空中発射エフェクトを配備し、精密誘導弾を使用し、地上補給のためのコンテスト・ロジスティクスを実施することができます。「グレイ・イーグルは、すでに20万回以上の打ち上げと回収を無事故で行っています。自動離着陸ソフトウェアは、機体操作に必要な地上要員を削減し、世界中のどこからでも衛星経由で制御できます。グレイ・イーグルSTOLは、近代化されたエイビオニクス、データリンク、ラップトップ・コントロール・システムを含む同様のシステムを、新型グレイ・イーグル25Mと共有します」。

 一つ確かなのはガンポッドでの地上目標との交戦能力を示したモハーベとグレイ・イーグルが進化をしていくことだ。■


Minigun-Armed Mojave Drone Now Blasting Targets At 6,000 Rounds Per Minute

BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED APR 23, 2024 1:57 PM EDT

AIRNEWS & FEATURES


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...