スキップしてメイン コンテンツに移動

イランが大口を叩いても本格的な攻撃を実施できない理由-----ヒント 国内情勢と統治の正当性

 神権政治を現在に復活させたイランイスラム共和国が共産主義と同様にイデオロギーが存続理由になっているので、言っていることとやっていることがくいちがうのはよくあることです。イスラエルがシリアのイラン大使館を直接攻撃し、IRGC要人を排除したのに対し、イランが報復を叫びながらまだ大きな動きを展開できていないのは深刻なジレンマがあるためでしょう(記事掲載後に大規模攻撃があれば即座にこの記事を撤回します)国民の中に不満が高まるとある時点で爆発しかねず、そのときに現体制は存続の危機に直面することになります。これは北朝鮮ややや長いスパンで見た中国やロシアにも共通する時限爆弾ですね。1945記事からのご紹介です。



イランがアメリカやイスラエルとの戦争を恐れる理由

イランがイスラエルやアメリカとの直接戦争に消極的な理由のひとつとして、イラン国内の混乱と戦略的同盟国の欠如がある

ラン・イスラム共和国は現在、イスラエルとアメリカの両方に長年にわたり対立している。イスラム革命を背景に、新たな支配者となった神権国家は、欧米とイスラエルに対しファトワ(イスラム法による決定)を宣言し、武装を呼びかけてきた。

しかし、40年にわたる厳格なイスラム法、公開鞭打ち刑、数千件の処刑、全国的な抗議行動の結果、ムラ(聖職者)はますます不人気になっている。社会経済の後退、分離主義運動、敵対的な隣国、地域で勃発する紛争に直面し、支配者はイスラエルやアメリカとの直接戦争の可能性をめぐる岐路に直面している。

イランの現状

パーレビ王朝から政権を奪取した最高指導者ホメイニ師とその支配聖職者たちの目標は、中東全域に神権的影響力を輸出することであった。

その結果、現在のイスラム共和国は、イラク、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、イスラエルといった国々と真っ向から対立することになった。イランの革命防衛隊(IRGC)はムラの私兵であり、戦争で荒廃したレバノンの支配を強固にするためヒズボラを創設した。

ハマス、パレスチナ・イスラム聖戦、アンサール・アッラー、イラク人民動員軍など、その他過激派グループもすべて、IRGCから資金と訓練を受けて直接支援されている。これらの派閥は過去数十年にわたり、中東で米軍や同盟国を攻撃してきた。

地域のネットワークが拡大しているにもかかわらず、イスラム共和国は国内で反撃を経験している。数年に一度、全国的な抗議デモが起こり、ムラー派が避けようとしている国際的な注目を集め続けている。

経済的混乱で発展を妨げられ続け、テヘランは社会経済状況に対処しようとせずかわりに、不人気な国際的活動を続けている。

反イスラム感情が高まっている

地域全体にテロを輸出するだけでなく、与党の聖職者たちは強硬な神権政治も行い、イラン国民の間でますます不人気になっている。監視サイトNCRIによれば、1981年以来、イスラム法に従わないという理由で12万人以上のイラン人が処刑されている。

現大統領であるエブラヒム・ライシは、"死の委員会 "に参加したことから、通称 "テヘランの虐殺者"として知られている。この委員会はカンガルー法廷を運営するトップクラスの聖職者で占められており、適正手続きなしに何万人ものイラン国民に死刑を宣告している。

ライシは、ハメネイやIRGCの司令官と同様、イラン国民から嫌われつつあり、マーシャ・アミニ抗議デモのように数年ごとに抗議が高まっている。

世界的に報道されたイランの抗議デモの余波で、ムラはここ10年で最も強硬な措置を実施し、2023年には2015年以来最多となる853人以上を処刑した。処刑された人々の大半は、マーシャ・アミニ運動に参加した反体制派であった。

ムラの古臭い法律のせいで、イスラム教はイランで、特に若い世代の間でますます不人気になっている。『ジャーナル・オブ・デモクラシー』誌によれば、2000年にはイラン人の3/4がイスラム教の祈りを捧げておらず、2009年には国内モスクの半数以上が活動を停止していた。

戦争で体制の崩壊につながる懸念

イスラム共和国がイスラエルやアメリカとの直接戦争に消極的な理由のひとつが国内の混乱と自国を取り巻く戦略的同盟国の欠如だ。

イランは北部で敵対的なアゼルバイジャンと国境を接しているが、アゼルバイジャンはトルコと相互防衛協定を結んでおり、武器の多くをイスラエルから調達している。イスラエルがアゼルバイジャンを発射台として利用するのではとの懸念が、イスラム共和国を苛立たせている。

パキスタンやタリバンが支配するアフガニスタンとの西部国境での衝突やISISの攻撃も、イランにとって重要な安全保障問題になっている。また、分離独立の危機に見舞われており、イランの安全保障体制は手薄になっている。

イスラエルやアメリカと直接戦争になれば、さまざまな外敵、過激派グループ、何十万人もの反体制派、分離主義運動が勢いづき、動き出すチャンスを得ることになるが、イラン軍に複数の戦線を維持する能力があるのか不明だ。

イランにはイラン革命防衛隊だけでなく、国軍もある。国軍は全男性に強制される徴兵制で、イランの実質的な軍隊であるのに対し、IRGCはハメネイとムラーの個人的な軍隊であり、自発的なものである。

IRGCの目的は、イスラムのムラの神権的なビジョンを広めることであり、40年にわたる古臭い法律の後、ほとんどのイラン人が嫌悪している。IRGCが対外戦争を起こせば、イラン軍がIRGCを助けに来ないという不測の事態は、ムラが恐れる現実である。

イスラエルがIRGCの要員を標的にできるときはいつでも対峙するという対外政策は、支配的な聖職者たちが若く啓蒙的なイラン人たちから適切な支持を得られないというギャンブルであり、対外戦争は体制の不安定化や崩壊につながる可能性が非常に高いという見方もできる。

そのような不測の事態に備え、イスラム共和国は、自ら戦う代わりに、イスラエルやアメリカと戦う代理勢力を使い続けるだろう。■

Why Iran Fears a War with America or Israel - 19FortyFive

One of the main reasons the Iran is reluctant to a direct war with Israel or America is due to their internal turmoil and lack of strategic allies surrounding their country.

By

Julian McBride



コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ