イスラエルが国家存亡の危機に直面すれば、水中の核戦力を起動させる事態になること事態が抑止力になるのであり、イスラエルが想定する攻撃対象はことごとく近隣諸国なので現行の巡航ミサイルで十分と考えているようですが、防空体制の進展を考えるとより大型の弾道ミサイルの搭載が可能なより大型な潜水艦調達に走らないとは限らないと思います。核保有を肯定も否定もしないイスラエルの姿勢は狡猾ですね。National Interest記事からです。
ドルフィン級潜水艦はドイツのHowaldtswerke-Deutsche Werft(HDW)が建造した小型ディーゼル潜水艦でイスラエル核兵器戦力の切り札だ
小型ディーゼル潜水艦を「切り札の」技術とするのは通例に反するが、イスラエルのドルフィン級潜水艦がまさにその例なのだ。超静粛な潜水艦にイスラエルが核巡航ミサイルを装備しているからである。
イスラエルの核の2本柱とは
したがって、アメリカやロシアの弾道核ミサイル潜水艦ほど強力ではないものの、ドルフィン級はイスラエルにとって不可欠な第2攻撃能力を与えている。
ドルフィン級潜水艦のおかげで、イスラエル軍は現在、核の二本柱(陸と海の核発射能力)を有している。
イスラエルは、核兵器搭載可能な巡航ミサイルを発射する目的で、この小型のディーゼル潜水艦を調達したと公式に認めていない。
事実イスラエル政府はいまだに核兵器プログラムの存在を認めていない。
しかし、2000年にアメリカ海軍がインド洋でイスラエルのミサイル発射実験を探知したことで、これは実質的に確認された。そのイスラエルの軍事演習では、ドルフィン級潜水艦に核弾頭を搭載した巡航ミサイルが装備されていた。
核兵器専門家の間では、イスラエル軍が米国製のハープーン対艦ミサイルを核弾頭搭載用に改造したのか、それともガブリエル4LR対艦ミサイルを改造したのかについて議論がある。
だがイスラエルの核弾頭搭載巡航ミサイルは、ポパイ・ターボ巡航ミサイル(ポパイ対艦ミサイルの亜種)だと考えられている。
しかし、イスラエルが潜水艦発射の核兵器能力をすでに保有している事実に異議を唱えるものは皆無だ。
ドルフィン級は現在5隻
イスラエルはドルフィン級潜水艦を5隻保有しており、4基の魚雷発射管を持ち、核弾頭を搭載した巡航ミサイルを発射できる。同級の潜水艦は小型で、例えばイラン沿岸のホルムズ海峡のようなライバル国の沿岸の比較的浅く近い沿岸水域で活動可能で、かなり静かである。
つまり、これらのプラットフォームはイランの海岸近くに潜み、浮上し、ペイロードを一緒に弾き飛ばし、イランの標的に深刻なダメージを与えることができる。これらのユニットは、イランが支援するシリア政権とイランが支援するレバノンのヒズボラから発せられる弾道ミサイルの脅威に対応して、2010年からイラン沖に配備されている。
その時点から、アラブの春(実際にはイスラム主義の冬)が勃発し、最終的にシリア内戦が始まると、イスラエルはドルフィン級潜水艦を少なくとも1隻ペルシャ湾に常駐させることを決定した。
イスラエルの潜水艦搭載核兵器
巡航ミサイルは200キロトンの核弾頭を搭載すると考えられている。
200キロトンの核爆発は2.2秒間続く。このような兵器の火球半径は約1マイル。爆風の被害半径は起爆地点から約3マイルの幅である。
さらに放射線半径は、起爆地点から約8マイルの範囲に及ぶ。中程度の爆風被害は、起爆地点から14マイル弱の地点で発生する。熱線による被害は、起爆地点から約54マイル離れた地点でも発生する。イスラエルの200キロトンの核兵器による軽い爆風被害は、起爆地点から約92マイル離れた地点に及ぶ。
ドルフィン級が発射できる核弾頭搭載の巡航ミサイル以外にも、この潜水艦をイスラエルの敵にとって危険なものにしているさまざまな特徴がある。ドルフィン級には2つのモデルがある。
ドルフィンI級は水上巡航時で1,640トン、潜航時1,900トン。ドルフィンII型はやや大型で、水上航行時2,050トン、水中航行時2,400トン。
ドルフィン級のその他の特徴
ドルフィンI級の最大速力は20ノット(時速23マイル)、ドルフィンII級の最大速力は25ノット(時速28マイル)以上である。
ドルフィンI級が3基のMTU 16V 396 SE 84ディーゼルエンジンを搭載するのに対し、ドルフィンII級は前級と同じ種類のディーゼルエンジンを搭載し、空気非依存推進(AIP)システムを搭載しているため、ドルフィンII級はドルフィンI級より長く水中にとどまることができる。
核巡航ミサイルの他に、ドルフィンは16本の魚雷で武装している。これらの魚雷は533mmサイズと大型の650mmサイズがある。その他この潜水艦は機雷や特殊部隊を展開することもできる。
ドルフィン・クラスは致命的な効果を生むシステムであり、イスラエルは追加調達を開始している。イスラエルの陸上核兵器をスマートかつコスト効率よく補完する。
イスラエルが地域の敵に対抗しつつ、国家存続に真剣に取り組む姿を思い起こさせる存在がドルフィン級潜水艦だ。■
About the Author
Brandon J. Weichert, a National Interest national security analyst, is a former Congressional staffer and geopolitical analyst who is a contributor at The Washington Times, the Asia Times, and The-Pipeline. He is the author of Winning Space: How America Remains a Superpower, Biohacked: China’s Race to Control Life, and The Shadow War: Iran’s Quest for Supremacy. His next book, A Disaster of Our Own Making: How the West Lost Ukraine, is due October 22 from Encounter Books. Weichert can be followed via Twitter @WeTheBrandon.
Image Credit: Creative Commons
コメント
コメントを投稿
コメントをどうぞ。