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J-20が威力を増し、大規模生産に入ったと喧伝する中国だが、西側航空戦力に対抗する性能が本当にあるのか疑わしい(今のところは)

J-20は国産WS-10C エンジンに換装した  Twitter   中 国が第五世代戦闘機J-20を増産し、人民解放軍空軍の域内での優勢度をあげようとしていると環球時報が伝えている。   中国には海上からの兵力投射手段となる艦載第五世代戦闘機がないため、陸上運用型のJ-20を投入せざるを得ない。▼太平洋での兵力投射では中国は米空軍力へ苦戦するのは避けられない。▼だが、域内となれば話は別だ。▼日本、台湾はともにJ-20の戦闘半径に入る。   成都J-20が機内兵装庫を開いている wikipedia   ▼中国にJ-20は現在50機程度しかないとの報道があり、域内有事の場合、同機は盤石の体制ではない。▼米3軍で2,000機以上のF-35運用を計画中で、日本は数十億ドルでのF-35購入を決定しており、太平洋での中国の制空権確保は確実ではない。▼中国政府をバックとする新聞環球時報が、J-20量産を報じた背景には、こうした要因がある。▼中国は大規模な産業基盤を有し、空母、駆逐艦、揚陸部隊を迅速に戦力化している。▼そして航空機生産でも迅速に動いている兆候がある。   J-20は最近、国産WS-10エンジンに換装しており、生産は合理的かつ効率的になり、より高いテンポになっている。▼「輸入エンジンから国産に切り替えたことで、大量生産が可能になった...エイビオニクス、レーダー、兵装の各システムなどJ-20はすでに国産化されている」と環球時報は述べている。▼J-20の生産拡大の範囲とペースは明確でないが、意図と生産能力は共にあるようだ。▼孫子の「質量問題」原則が、現代の戦争でも適切かつ重要であるとのコンセンサスを考えれば、航空優勢で競合するにはより多くのJ-20が中国に必要だ。   同時に、J-20外観のステルス構成やF-22、F-35との類似性などあっても、日米の第5世代機に対抗できると判断できる情報がない。▼J-20が、センサー有効範囲、照準精度、マルチロール航空制圧などでF-35に対抗できなければ、大量保有しても、大きな差は出ないかもしれない。▼例えば、長距離で高精度のF-35搭載センサーがJ-20を先に発見すれば、F-35一機でJ-20編隊全機を撃滅できる。   最後に、陸上運用J-20で日本や台湾に決定的な影響を与えらないとは言えないものの、前方基地がないと中国の航兵力投

2022年の米空軍はB-21ロールアウトと新型給油機構想公募がハイライトになりそう。2023年度予算案が年初に姿を現せば、旧型機処分を迫られそう。

    B-21レイダーがエルスワース空軍基地(ノースダコタ)に配備された際の想像図。(Courtesy of Northrop Grumman)   米 空軍が待ち望む新型ステルス爆撃機のロールアウトが来年に実現する。一方で2022年予算には厳しい選択が控えており、その他機材の退役も予定される。     B-21レイダーは2022年ロールアウトとあるが具体的な日程は非公表だ。ロールアウト後に初飛行が控える。   「B-21では特別なことを考えている」と空軍参謀総長CQ・ブラウン大将 Air Force Chief of Staff Gen. CQ Brown は公開式典あるいは初飛行について9月にDefense Oneに語っていた。   新型爆撃機の登場は30年超ぶりとなる。 ノースロップ・グラマン B-2スピリットが空軍42プラントのあるカリフォーニア州パームデイルで公表されたのは1988年11月のことだった。B-2は翌年7月に初飛行した。   だが空軍長官フランク・ケンドール Frank Kenda ll は12月9日、レイダーは2022年も極秘扱いを続けると語っていた。   「詳細は公開しない」とケンドールは述べ、「敵側に有利になる情報は開示したくない。国民に知らせるし、議会にも伝えるが、実際の情報は限定させていただく」   ケンドールは空軍協会主催のシンポジウムでB-21合計5機が42プラントで製造段階にあると認めた。   戦略国際研究所の航空宇宙及び国防予算分野の研究院トッド・ハリソン Todd Harriso nは2023年度予算要求が来年早々に登場すればB-21の詳細がわかるはずと見ている。ハリソンは12月10日に空軍の調達案と供用開始時期の開示を期待している。「2022年はB-21にとって重要な年になる」   一方で2023年度予算要求で空軍は旧式機材を整理して予算をひねり出そうとしている。予算が厳しくなるのを前提に、機材近代化が思ったように進められなくなる。ケンドール始め空軍上層部は対中戦などハイエンド戦闘で効果が期待できない旧式機材の廃止を認めるよう議会に求める声を強めている。   次回の予算要求ではこれまでを上回る規模の戦力構造の変化が盛り込まれそうだ。   空軍は空中給油機分野でKC-46Aペガサスに加え次世代機材の調達を目指しており、20

米海兵隊・海軍の対中戦略は「スタンドイン」で、第一列島線からの撤退を拒否。中国をじわじわと苦しめる「潰瘍」戦術を展開する。ホームズ教授の解説。

    デ イヴィッド・バーガー大将 David Berger が目指すのは習近平に潰瘍の苦しみを与えることだ。今月初めに米海兵隊総監のバーガーがサインしたのが「スタンドイン部隊構想」 Concept for Stand-in Forces で戦略指針として小規模海兵部隊をアジアの第一列島線沿いに展開し、米海軍と連携し、中国の人民解放軍海軍(PLAN)を苦しめようという構想で、東シナ海、台湾海峡、南シナ海での実施を目指す。   同構想は、米中戦略競争の武力論争における声明文としてとらえてみよう。戦略的競合では、各競争相手が軍事装備を開発し、誇示することで、有事に自国が勝者になると納得させようとするものである。   成功した側は敵対勢力を抑止または強要し、敵対勢力の同盟国協力国を説得して、敗北が明らかな大義を捨てさせ、同盟者協力国を説得し、勝利が明らかな大義の側に集結させる。   中国は米中間の競争で先行し、接近阻止領域拒否構想(A2/D2)を開発し、実現のため軍備を整備してきた。これが軍事論争におけるPLAの冒頭陳述だ。すなわち、PLAロケット部隊、航空部隊、艦艇は、前方展開する米軍を開戦時に打撃し、米本土から太平洋を西進する援軍の合流を阻止するはずだ。   その過程で、PLAは台湾を制圧するなど、他国が武力介入できないうちに目的を果たす時間を稼げる。そして、米軍は一時期、A2/ADの前提、有事に地域から撤退し、再び戦場に戻るという構想を受け入れていたようである。ペンタゴンで短命に終わった「エアシーバトル」構想も、この考え方に基づくものであったようだ。   ただし、第二次世界大戦の再演は中国に狙い通りの時間を与えることになる。日本軍による真珠湾攻撃から東京湾の戦艦ミズーリでの降伏式典まで4年近くが経過した。台湾、日本、その他中国のライバル国が、アメリカの援助なしに長く持ちこたえられる可能性はほとんどないといってよい。   戦力を温存すべく西太平洋から撤退すれば降伏に等しい。それゆえ、米海兵隊は近年、A2/ADに対抗し地域にとどまり、中国を阻止する方法を探求している。海兵隊・海軍は、艦隊と地上軍を小規模、安価で、より多くの部隊に分割し、新技術を装備し、威力を維持しようとしている。   海軍は、小型戦闘艦の大群を「分散」して戦わせ、また宇宙空間でも分散させアクセス拒否の

M1エイブラムズの新型v3、v4の登場で大型装甲戦車の君臨はまだまだ続くと米陸軍は見ている。

  General Dynamics   待 望の次世代エイブラムズ戦車が登場した。実践投入に備え、米陸軍部隊に配備され、高度戦力を有する敵勢力に備え 新時代の 近代戦に対応し、各種ドメインの脅威にも耐える装備品となった。   地上戦闘車両開発事業の主管グレン・ディーン准将 Brig. Gen. Glenn Dean はv3仕様が実戦部隊で作戦投入可能となったと述べている。   M1A2 SEPv3の特徴 米陸軍は ジェネラルダイナミクス のランドシステムズM1A2 SEPv3に陸上戦で新技術を導入し、戦闘力を維持しつつ、機能面威力面で新時代を迎える車両とした。パラダイムを一変する兵装、センサー、サイバー技術とネットワーク効果で今後の戦闘シナリオが変わる。   M1A2 SEP v3を単に新型エイブラムズと呼ぶ。新たに高解像度ディスプレイが砲手、車長に搭載され、新型電子装備としてLine Replaceable Unitsを導入した。また操縦手の制御パネル、砲塔制御ユニットも一新した。新型エイブラムズでは内容を一新した砲弾データリンクと電子戦機能を搭載した遠隔制御即席爆発物対策電子戦対応(CREW)を統合した。   v3エイブラムスではアドバンスト・マルチパーパス・ラウンド(AMP)と呼ばれる先進的な弾薬を発射する。   AMPは、戦車乗組員が1発の弾丸から特定の爆風効果を選んで調整できる先進弾薬技術を導入した。例えば、高火力対戦車弾、多目的対戦車弾、移動中の地上戦闘員攻撃用の断片キャニスター弾、貫通弾などである。可変信管、弾薬デーリンク、エアバースト技術でこれが実現した   この機能は湾岸戦争時の戦車戦の戦訓から生まれた。米陸軍エイブラムズはイラクのT-72をスタンドオフ距離で捕捉破壊できたが、イラク側には探知できず、この差が米軍の勝利につながった。   AMP以外にイーサネットで車両間のセンサー情報共有が実現する。v3と今後登場するv4車両で特筆すべきは長距離高解像度熱探知機能で通常なら不可能な標的も捕捉できる。   陸軍技術陣は長年にわたり、以前は制限要因と見られた要素の対処、緩和、克服を続けてきた。マッピング、センシング、マルチノードネットワーキングなど高度な航法技術により、機動力が向上し、一見近寄りがたい市街地で最適な進入地点を選択できるようになった。橋や

2021年の回顧 米海軍の作戦面でのこの一年

    2 021年の米海軍は再び多方面作戦のバランス確保に努め、アフガニスタン撤退の一方でインド太平洋地区の重視を強めた。   米同盟国複数が今年は艦艇をインド太平洋へ派遣し、米艦艇は各地で演習を展開できた。   中東へは米海軍艦艇を派遣が続いたが、ここ数年で初めて航空母艦を一隻も米中央軍隷下に派遣しなかった。   今年は新型CMV-22Bオスプレイ艦載輸送機、F-35CライトニングII共用打撃戦闘機が海軍で初めて配備された年にもなった。   COVID-19ワクチンにより艦艇乗員の配転前制限が緩和されたり、寄港が以前のように復活した。また旧USSホンノムリシャー(LHD-6)の艦内火災事故の後処理ならびに海軍工廠での補修作業の積み残しが顕在化した都市にもなった。     インド太平洋方面     インド太平洋では空母プレゼンスを維持した。バイデン政権誕生で同地域と太平洋への重視が続くことが明らかになった。   USSセオドア・ローズヴェルト(CVN-71)は今年二回の出動となり、年初数カ月はインド太平洋司令部隷下で各地に展開した。   セオドア・ローズヴェルト空母打撃群がマキンアイランド揚陸即応群と南シナ海を航行した。April 9, 2021. US Navy Photo   4月にTR空母打撃群はマキンアイランド揚陸即応群と南シナ海とフィリピンで演習を展開した。その時点で中国海上民兵舟艇がフィリピンのウィットサン礁付近に集結し、ペンタゴンが懸念を表明していた。その後6月にフィリピンは米国との相互防衛条約破棄の作業を中断した。   他方で米海軍は台湾海峡航行をほぼ毎月行ってきた。中国はこれに対し抗議している。航行を繰り返すことで米国は台湾と中国の緊張激化への懸念を示しており、中国は台湾防空識別圏へ繰り返し侵入した。   海軍は南シナ海でも航行の自由作戦を数回にわたり実施した。   日本へ前方配備中のUSSロナルド・レーガン(CVN-76)は2021年春季パトロールでインド太平洋に出動し、その後中東方面に進出した。   8月からカール・ヴィンソン空母打撃群がインド太平洋で活動を展開し、海上自衛隊や英海軍空母打撃群21、ドイツ海軍、オーストラリア海軍との共同訓練を行った。   ヴィンソンCSGでは海軍最高戦力の航空団を展開し、第五世代F-35Cと新型CMV-22B