スキップしてメイン コンテンツに移動

M1エイブラムズの新型v3、v4の登場で大型装甲戦車の君臨はまだまだ続くと米陸軍は見ている。

 



New Army High-Tech Abrams M1A2 SEPv3 Joins Operational Unit, Next-Gen v4 Prototype Underway

General Dynamics

 

望の次世代エイブラムズ戦車が登場した。実践投入に備え、米陸軍部隊に配備され、高度戦力を有する敵勢力に備え新時代の近代戦に対応し、各種ドメインの脅威にも耐える装備品となった。

 

地上戦闘車両開発事業の主管グレン・ディーン准将Brig. Gen. Glenn Deanはv3仕様が実戦部隊で作戦投入可能となったと述べている。

 

M1A2 SEPv3の特徴


米陸軍はジェネラルダイナミクスのランドシステムズM1A2 SEPv3に陸上戦で新技術を導入し、戦闘力を維持しつつ、機能面威力面で新時代を迎える車両とした。パラダイムを一変する兵装、センサー、サイバー技術とネットワーク効果で今後の戦闘シナリオが変わる。

 

M1A2 SEP v3を単に新型エイブラムズと呼ぶ。新たに高解像度ディスプレイが砲手、車長に搭載され、新型電子装備としてLine Replaceable Unitsを導入した。また操縦手の制御パネル、砲塔制御ユニットも一新した。新型エイブラムズでは内容を一新した砲弾データリンクと電子戦機能を搭載した遠隔制御即席爆発物対策電子戦対応(CREW)を統合した。

 

v3エイブラムスではアドバンスト・マルチパーパス・ラウンド(AMP)と呼ばれる先進的な弾薬を発射する。

 

AMPは、戦車乗組員が1発の弾丸から特定の爆風効果を選んで調整できる先進弾薬技術を導入した。例えば、高火力対戦車弾、多目的対戦車弾、移動中の地上戦闘員攻撃用の断片キャニスター弾、貫通弾などである。可変信管、弾薬デーリンク、エアバースト技術でこれが実現した

 

この機能は湾岸戦争時の戦車戦の戦訓から生まれた。米陸軍エイブラムズはイラクのT-72をスタンドオフ距離で捕捉破壊できたが、イラク側には探知できず、この差が米軍の勝利につながった。

 

AMP以外にイーサネットで車両間のセンサー情報共有が実現する。v3と今後登場するv4車両で特筆すべきは長距離高解像度熱探知機能で通常なら不可能な標的も捕捉できる。

 

陸軍技術陣は長年にわたり、以前は制限要因と見られた要素の対処、緩和、克服を続けてきた。マッピング、センシング、マルチノードネットワーキングなど高度な航法技術により、機動力が向上し、一見近寄りがたい市街地で最適な進入地点を選択できるようになった。橋や狭い場所がエイブラムスに制限となる場合、位置情報とマッピングの高度ネットワーキングで、新しい代替輸送ルートを迅速に計算できるようになった。

 

エイブラムスはオフロードを走破できるため、代替ルートは十分に考えられる。エイブラムス戦車を使う機械化部隊は、同戦車の70トン重量に耐える運搬式橋りょうで移動でき、機動的かつ高速移動しながら攻撃と前進を続けられる。

 

イブラムスにはまた、新しい電子機器、コンピューティング、センサー、EW技術をサポートするための補助電源ユニットを搭載している。

 

陸軍は現在、エイブラムス戦車の改良型次世代型の試作型一号車両を製造中で、1980年代に生まれた戦闘車両に長期的なビジョンが期待されていることがわかる。

 

M1A2 SEP v4の登場


陸軍とジェネラル・ダイナミクス社はM1A2 SEP v4改良型を数年中に登場させる予定で、今後も戦闘性能を確保し続けるためのアップグレードが組み込まれ、拡張されていく。v4改修の一部は保安上の理由から不明だが、画期的なセンサー技術に関連する調整について、グレン・ディーン准将が The National Interest 誌に語っている。

 

画期的なセンサーは、新世代のFLIR(Forward Looking Infrared)照準センサーを統合し、解像度、距離、画像処理のパラダイムを変えるレベルだとディーン准将は説明してる。

 

「最初の試作型で、今後各種のテストを行う。試作型数両を作らなければならず、実戦部隊への投入は何年か先になる。試作型は現在製作中で、22年6月頃には完成予定」とディーン准将は語った。

 

その他、v4では、新型カラーカメラを採用し、レーザー距離計技術、気象センサー、火器管制または武器照準器を改良する。車載ネットワークもv4では、車両全体の情報の流れを合理化するために新しいイーサネットスイッチを搭載する。これにより、情報の流れが合理化されるとともに、「ボックス」の数が減り、ハードウェア設置面積が縮小または統合される。


A M1A2 SEPV3 Abrams Tank fires at multiple range targets during a range warfighter exercise, April 11, 2021, Fort Hood, Texas. The visit with foreign allies allows the U.S. Army to boost interoperability of staff members and warfighting capabilities with the M1A2 SEPv3 Abrams Tank. (U.S. Army photo by Sgt. Melissa N. Lessard)

M1A2 SEPV3 が演習で複数の標的へ砲火を浴びせている。フォートフッド(テキサス州)April 11, 2021, 演習には各国部隊も加わり、米陸軍のめざす共同作戦体制の推進が図られた (U.S. Army photo by Sgt. Melissa N. Lessard)

U.S. Army

 

 

V4の登場は、1980年代登場のエイブラムス戦車が今や全く別の車両といっていいほど広範囲に性能向上されているという、重要だが過小評価される現象を物語る。コンピュータ、エレクトロニクス、照準技術、装甲保護、センサーは、最初に登場した水準を何世代分も超えている。陸軍兵器開発部門では、エイブラムスは今後何年にもわたり優れた性能を維持し、重装甲戦闘車両は今後も存続する、と見ている。■

 

Army's New Abrams M1A2 SEPv3 is Combat Ready - Warrior Maven: Military and defense news

UPDATED:DEC 21, 2021ORIGINAL:DEC 21, 2021

KRIS OSBORN, WARRIOR MAVEN



Kris Osborn is the defense editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Master’s Degree in Comparative Literature from Columbia University.


コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ