スキップしてメイン コンテンツに移動

米海兵隊、陸自が各地で展開するレゾリュート・ドラゴン演習のねらいは島しょ部防衛。その真意を伝えないままでいいのだろうか。

 これだけ重要な演習が展開されているにもかかわらず、メディアが演習の大きな目的をスルーするのはどうにも理解できません。防衛(軍事)記者が絶望的に足りないのか、報道しない自由なのかわかりませんが。


レゾリュート・ドラゴン演習で通信システム設営にあたる自衛隊員。八戸演習場にて。(U.S. Marine Corps photo by Lance Cpl. Jonathan Willcox)


大規模な日米共同演習レゾリュート・ドラゴン2021は太平洋を舞台とするキーンエッジ演習にも直説の影響を及ぼす。


本で米海兵隊数千名規模が陸上自衛隊とともに海兵隊の遠征前線基地構想を試し、同盟国軍も交えた指揮命令機能の実効性を試している。


来年に予定される大規模演習の予行の意義もあると海兵隊は説明している。


「INDO-PACOMで目指す各国が力を合わせるEABO構想を試す意義がある」と第四海兵連隊指揮官マシュー・トレイシー大佐が述べている。同連隊数百名がレゾリュート・ドラゴン2021演習に参加している。


EABOとは海兵隊用語で遠征前方拠点作戦運用Expeditionary Advanced Basing Operationsの略で、海兵隊は設営が簡単な小規模拠点多数を戦闘地に展開するのをめざしている。


トレイシー大佐は海兵隊と陸上自衛隊は沖縄から矢臼別演習場で遠征活動拠点12か所を設営したと説明している。矢臼別演習場は沖縄から1,800マイル離れる。


「キルチェーンの構築よりもっと大事なのは意思決定チェーンの考え方だ。海兵隊だけが戦うのではない。ここは日本の領空、日本の主権が及ぶ領土内だ」(トレイシー大佐)


また今回の演習の目的として米日間の指揮命令系統を統合し、共同作戦を通じ構築することがあると大佐は説明。レゾリュート・ドラゴン演習で得た知見をインド太平洋司令部の大規模合同演習キーン・エッジに来年応用するという。


「体得した学びを応用し、INDO-PACOMは実戦レベル演習を展開し、太平洋全域で戦術レベルの応用を行う。日本列島の島しょ部防衛能力がこれで飛躍的に伸びると期待している」


レゾリュート・ドラゴン演習は米海兵第三師団と陸上自衛隊第九師団により12月4日から17日まで日本各地で展開すし、米国は2,600名、日本は1,400名を参加させ、さらに太平洋地域及び米本土からの遠隔支援人員も加わるとトレイシー大佐は説明。日米両国の演習として2013年以来最大規模となる。


航空戦力では海兵隊はMV-22Bオスプレイ、CH-53Eスタリオン、AH-1Zヴァイパー、UH-1Yヴェノム、F/A-18Eスーパーホーネット、KC-130Jハーキュリーズを同演習に参加させている。


海兵隊、陸上自衛隊に加え、米海軍艦艇が架空シナリオで高機動砲兵ロケットシステムを駆使した敵の探知掃討作戦を展開する。その他、市街地での地上戦闘作戦、共同給油補給演習のほか、大規模負傷者援護訓練も行う。


大規模演習キーン・エッジは統合参謀本部議長が指揮しインド太平洋内で隔年で実施されている。米各軍に自衛隊が加わり実施されている。■


Resolute Dragon: US Marine-Japanese exercise is a precursor to 2022 Indo-Pacific event

By   JUSTIN KATZ

on December 13, 2021 at 2:19 PM


なお、陸上自衛隊は次の広報資料を公開しています。


令和3年11月11日 陸 上 幕 僚 監 部

 令和3年度国内における米海兵隊との実動訓練(レゾリュート・ドラゴン21)の 概要について


 陸上自衛隊は、日米同盟の抑止力・対処力を一層強化すべく、以下のとおり令和3年度 国内における米海兵隊との実動訓練(レゾリュート・ドラゴン21)を実施しますので、 お知らせいたします。 


1 目 的 陸上自衛隊及び米海兵隊の部隊が、それぞれの指揮系統に従い、共同して作戦を実施 する場合における相互連携要領を実行動により訓練し、日米の連携強化及び共同対処能 力の向上を図る。 

2 期 間 令和3年12月4日(土)~12月17日(金) 

3 場 所 王城寺原演習場、岩手山演習場、八戸演習場、霞目駐屯地、矢臼別演習場等 

4 担任官 (1) 陸上自衛隊 東北方面総監 陸将 梶原 かじわら 直樹 なおき (2) 米海兵隊 第3海兵師団長 少将 ジェイ M バージェロン (Jay M. Bargeron) 5 訓練実施部隊 (1) 陸上自衛隊 ア 第9師団第5普通科連隊基幹 イ 東北方面特科隊、東北方面航空隊等 (2) 米海兵隊 ア 第3海兵師団 第4海兵連隊 第2-8大隊基幹 イ 第1海兵航空団 第36海兵航空群等 陸上自衛隊

6 特 色 (1) 陸上自衛隊の領域横断作戦(CDO)と米海兵隊の機動展開前進基地作戦(EABO)を踏まえた日米の連携向上のための訓練を実施 (2) 国内において海兵隊と実施する最大規模の実動訓練であり、東北方面隊と在沖米海兵 隊が複数の演習場を使用し、空中機動作戦に係る訓練、AHによる射撃訓練、対艦戦 闘訓練等を実施 (3) 平成28年9月の日米合同委員会合意に基づく、MV-22等の訓練移転に係る事 業として実施 

7 新型コロナウイルス感染症対策 (1) 自衛隊員は、防衛省・自衛隊が定める方針に基づき必要な感染症対策を実施 (2) 在日米海兵隊関係者は、米海兵隊の定める基準等に基づき、自衛隊と同様に必要な 感染症対策を徹底


コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ