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米中が空中給油機開発を懸命に進めている。中国はY-20改装、米国は無人機MQ-25とアプローチが全く異なるのが興味深い。

 


MQ-25スティングレイがF/A-18スーパーホーネットへの空中給油に成功した Courtesy photo/Boeing

 

  • 米中両国で新型空中給油機開発に大きな進展

  • 輸送機、無人機と形態は異なるが、空中給油機として僚機の運用距離を延ばす効果を期待


中両国で新型空中給油機開発が進んでいる。両国軍それぞれで長距離作戦運用を重視する動きを反映したもので、広大な太平洋を考えると当然といえる。


Y-20


11月28日にY-20空中給油機1機がその他軍用機26機とともに台湾防空識別圏に進入した。中国機の大量侵入は日常茶飯事となっているが、11月28日はY-20戦略輸送機の空中給油型が初めて加わり注目された。


China Y-20 aerial refueling aircraft

Y-20空中給油型の写真を台湾国防部が公表した. Taiwan Ministry of Defense



Y-20タンカーはJ-20など戦闘機やH-6爆撃機への空中給油が可能で、H-6は11月28日にも5機が加わっていた。


中国の空中給油機は現在30機ほどあり、旧ソ連製Il-78やH-6爆撃機を改装したHU-6がある。中国国営通信によればY-20タンカーは燃料90トンを搭載し、Il-78に近いが、HU-6を上回る。


タンカーの「大きな意義」は「H-6K爆撃機の作戦行動半径を延ばすことにあり、米艦艇や台湾東海岸も脅威を受けることにあるとRANDコーポレーションのティモシー・ヒースTimothy Heath主任研究員が評している。


中国軍に関する最新レポートをまとめた米国防総省はY-20給油機の登場で中国の航空戦力は「第一列島線外でも運用可能となる」としている。


Y-20タンカーは完成した機体ではなく、ソ連製エンジンに代わり中国製エンジンに換装し、性能向上が期待される。


中国は空中給油の経験を増やす中で、Y-20タンカーについて「PLAは時間をかけて新機材の運用の経験を積むだろう」とヒースは見ている。


MQ-25


数日後に米海軍から最新鋭無人空中給油機MQ-25スティングレイが空母USSジョージ・H・W・ブッシュ艦上で初の「空母艦上運用テスト」を開始したとの発表が出た。


米海軍は2018年8月にボーイングへMQ-25契約800百万ドルを交付し、同機は一年後に初飛行した。


2021年6月に海軍のF/A-18スーパーホーネットへ無人機による初の空中給油を行った。


飛行を伴わない空母艦上テストでMQ-25は「飛行甲板上を移動させ、取り回し特性を検分する」「カタパルトへの移動、固定、着艦地帯他各種の動きをまず見る」(同上報道官)


海軍はMQ-25を72機調達する。搭載燃料は15千ポンドで二機分の給油に相当し、空母から500カイリ地点へ進出すれば、スーパーホーネットの運用半径が300カイリほど伸びる。


MQ-25は米海軍空母航空団の飛行距離を拡大する効果を生むべく、今は空中給油に軸足を置いている。海軍上層部には同機で別のミッションも実行させる期待もある。情報収集や空爆任務だ。


海軍はMQ-25の第一線運用を2025年ごろには開始したいとしており、同機は陸上及び艦上で各種テストを受ける予定で今後は空母発着艦も行われる。同機の投入で空母航空戦力の飛行距離が延びるのは事実だが、中国には対艦弾道ミサイル等の攻撃手段があり、中国沿岸には接近が難しくなっている。この点をハドソン研究所レポートが指摘している。


同レポートではMQ-25調達が72機では空母から遠く離れて運用するその他機材への支援として不十分との指摘も見られる。


数が限られてもF/A-18部隊に安堵感が生まれる。同機にはタンカー任務も兼用する運用があり、タンカー用途に当たるパイロット・機体は給油任務に不適だと指摘するのは元スーパーホーネットパイロットのケヴィン・クランKevin Chlan(戦略予算評価センター主任研究員)だ。


「無人機運用が始まれば戦闘機による空中給油が不要となり、負担感が大きく減る効果が生まれる」(クラン)■


US, China Developing New Aerial Refueling Tankers to Extend Range

Christopher Woody 23 hours ago


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