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F-22を海軍仕様に改装する構想があった.....だが実現しなかったのはなぜか.....久しぶりの夢に終わった装備のシリーズ再開です

 




空軍のF-22ラプターは世界最高水準の制空戦闘機といわれるが、あと少しで海軍仕様のNATF-22として加わるはずだったのは知られていない。


Artist’s rendering of the NATF-22



ロッキード・マーティンF-22ラプターは米空軍の高性能戦術戦闘機調達で完全新型機としてソ連のスホイSu-27やミコヤンMiG-29に対抗制圧可能な機体を求めた結果として生まれた機体だ。Su-27やMiG-29は米F-15イーグルやF-16ファイティングファルコンへの対抗を狙い開発されており、1980年代のソ連は終焉に向かっていたが、米空軍は新世代戦闘機の調達を進めていた。


(異論もあるが)F-22はノースロップYF-23との競作で優秀さを認められ、その背景にはロッキードの優れたプレゼンテーションと対照的にノースロップが評判を落としていたことがあった。YF-23が航続距離とステルス性能で優れるとの触れ込みだったが、YF-22及び生産型F-22は堅調な性能に加えロッキード・マーティンの軍用機供給の実績を上手く売り込んだ。YF-22が選定に残ったが、両機とも世界最高水準のステルス戦闘機になる資格は十分あり、新世代機の水準を塗り替える機体だった。YF-23が選定されていれば、海軍仕様も検討されていた可能性は十分ある。


F-23が優秀な戦闘機になっていたはずと主張する向きが今もあるが、F-22は低視認性、スピード、機体制御性で優秀さを示した。ラプターはマッハ2.25を出しながら「スーパークルーズ」でアフターバーナー使わず超音速巡航が可能だ。エンジンはプラット&ホイットニーF119-PW-100双発で推力偏向制御で飛行方向と関係なく、パイロットが機体制御できる。


F-22の高性能ぶりを認め、米議会は海軍にも同機の可変翼型をNATF(海軍向け高性能戦術戦闘機)として採用するよう求めた。またF-22を原型にFB-22にするコンセプトもあり、この場合は三角翼にしたF-22を空軍向け戦闘爆撃機にする構想だった。


海軍がNATFを空母運用機材として検討する一方で、米空軍は艦載ステルス爆撃機として当時開発中だった高性能戦術機(ATA)A-12をF-111後継機として検討することにしていた。


理屈の上では空軍は海軍のR&D結果を活用し新型機を実現できるはずだった。開発費用を各軍で共有すれば、海軍、空軍、海兵隊の機材で最高の存在となるとの主張でF-35共用打撃戦闘機事業が生まれたといえる。ただし、同機は結果としてとんでもない高額事業になってしまったが。


NATF事業およびNATF-22は負担不可能なほど高額になることがわかった。1990年にF-22初飛行から7年が経過していたが、海軍で新型戦闘機開発を主管していたリチャード・ダンレヴィー大将はF-22原型から調達可能な価格水準の海軍機が実現する見込はないと発言していた。その結果、NATF-22構想は1991年に中止となった。


米海軍が空母運用型F-22の実現を進めたとしても、技術面で乗り越えるべきハードルが数々あったはずだ。空母運用型機では陸上運用機と異なる離着艦機能が求められる。機体本体ははるかに堅牢としカタパルト発艦とフックを使用した短距離着艦の大きな衝撃に耐える必要がある。NATF-22はF-14で実用化した可変翼を採用し、安全着艦のため速力を制御するとしていた。


可変翼構造は技術陣には課題だった。まず何といっても、海軍はF-14トムキャットの可変翼の整備保守に高費用負担を強いられていた。新型可変翼でも高運用コストそのものを解消する見込みはなかった。海軍の判断は正しかった。固定翼機構造のF-22でさえも史上最高額の運用経費となっていた。


また可変翼でステルス性が犠牲になるとも判明した。可変翼の接続部分がレーダーに反射すればロックされ兵器が発射されかねない。そうなれば戦闘機として決定的に不利となる。F-22は機体操縦性が高いとはいえ、海軍の既存F-14トムキャットのほうがはるかに高速飛行が可能だった。ただし、整備費が高いとはいえ、空軍が投入した開発内容を流用すれば製造費はずっと低くなる。


NATF-22 Artist’s rendering.


結局のところ、米海軍がNATF-22を断念した理由は簡単だ。NATF-22は複雑かつ高価でありながら、既存艦載機と比較してわずかな改善しかもたらさなかったかもしれない。とはいえ、実用化と無関係かに、可変翼型F-22がスーパー空母艦上で、ファンの多いF-14トムキャットの遺産を継承するコンセプトはあまりにも格好がいい。


F-22は結局186機が製造されたにすぎない。空の世界で君臨する期間は悲しくなるほど短くなる運命だ。もし海軍型のF-22が実現して、同機製造が予算削減の犠牲にならなかったどうなっていただろうか。


現実にはならなかったものの、その姿を想像すれば格好良い結果になっていたはずだ。■



NATF-22: The sweep-wing F-22 Congress wanted for carrier duty - Sandboxx

Alex Hollings | December 20, 2021


This article was originally published 12/1/2020

Feature image: Lockheed Martin concept art


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