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056型コルベット艦を沿岸警備隊に移管する中国が狙うのは尖閣諸島はじめ各地でのグレイゾーン事態だろう。

 

 

中国が海軍除籍の056型コルベット艦を沿岸警備任務用に改装中

 

 

一列島線をめぐり緊張が高まる中、中国は056型(NATO呼称江島Jiangdao)を人民解放軍海軍(PLAN)から中国海警(CCG)へ移管する作業を開始した。

 

対象艦は可変深度ソナーを搭載しない056型に限定され、(056A型はこれを搭載している)、艦齢8年と比較的新しい各艦で、CCGの火力が相当向上する反面、PLAN艦艇を太平洋方面で集中させる効果も生まれる。056型通算60隻目が2019年に進水ており、昨年も同型多数が就役している。

 

PLANの056型コルベット艦はH/PJ-26 76mm主砲一門、H/PJ-17 30mm自動砲二門、対艦ミサイル発射装置二門、HQ-10 SAM発射8セル、三重魚雷発射管装置2基を搭載し、センサーでは360型、347型レーダーを搭載している。対潜戦用ソナーは搭載せず、PLAN内で陳腐化が進んでいる。

 

 

進行中の改装は艦番号511(写真上)が対象でミサイル、魚雷発射管を除去し、LEDパネルを艦橋両側に取りつけ、警告文などの表示をめざし、退役したCCG艦艇から流用する。これだけの威力を有する艦艇が沿岸警備部隊に加わること自体がグレイゾーンになる。

 

小型艦といえども出自が軍艦の性能を第一列島線内で発揮する。主砲76mmで各国の沿岸警備艦艇を凌駕する。沿海域運用を想定した056型はCCGで今後活躍しそうだ。航続距離と長期間稼働性能を発揮し、火力は民間船舶ににらみを利かす。

 

056型は海警でどう運用されるのか


非軍事部門が運用する056型コルベットは、行動の自由度が高くなる。尖閣諸島付近含む紛争水域で威力を発揮しそうだ。海警局の活動が合法か否かにかかわらず、外国艦艇に妨害された場合は、中国メディアは自国艦を無罪とし、外国艦艇を不当な侵略者として国内外に報道しかねない。

 

中国がアメリカをまねて「銀河事件」*を再現する可能性もある。国際水域で外国船舶の動きを封じる、交通量の多い南シナ海の海上貿易網を脅かす、台湾のような弱い国の重要輸送路を混乱させ、本格的な軍艦が実行したら起こる結果を避けながら、相手国に要求を呑ませるのである。■

 

*1993年7月23日、アメリカは入手した情報を理由に中国の貨物船「銀河」がイランへ化学兵器原料を輸送中と非難し、中国に制裁を課すと脅しをかけた。「銀河号」はインド洋公海上でアメリカ海軍に航行を阻まれ、三週間拘束された。中国政府はアメリカに厳重に抗議した。中国政府はアメリカ政府の臨検の要求に応じた。9月4日に「銀河」の貨物調査が終了したが、化学兵器はなかった。中国側はアメリカ側に公式謝罪と賠償を求めた。アメリカ政府は謝罪を拒み続けた。

 

 

China Transferring Navy Type 056 Corvettes to the Coast Guard - Naval News

Naval News Staff  24 Dec 2021


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