スキップしてメイン コンテンツに移動

USSコネティカット修理に米議会が予算を計上したが、最終費用と工期は不明。同艦がそれだけ重要な装備品である証拠。ただし、インフレ調整でドル価値が減っていることに驚く。

 

USNI News

 

米議会はUSSコネティカット修理に50百万ドルを計上したものの、修理費用ははるかに膨らみそうだ。

 

2022年度国防政策法案の最新版からUSSコネティカットの修理費用の概略がうかがわれる。同法案では10百万ドルで艦首ソナードームを調達し、さらに40百万ドルでその他「緊急を要する修理」を実行するとある。

 

 

Forbes記事でクレイグ・フーパーCraig Hooperが真っ先にコネティカット修理の内容を伝えている。同法案は上院を通過しており、ジョー・バイデン大統領の署名を待つのみだ。同法案は今月初めまで国防認可法案(NDAA)と呼ばれていた。コネティカットは南シナ海で水中海嶺に衝突し、ソナードームを喪失したほか各所に損傷を受けた。

 

US CONGRESS

 

NDAAではシーウルフ級潜水艦用の艦首ドーム調達費用を計上している。単位は千ドル。

 

US CONGRESS

 

その他「緊急修理」費用も計上されている。単位は千ドル。

 

海中衝突事故後に同艦はグアムへ移動し、ほぼ2カ月かけて損傷の初期評価(内容不詳)を受け、緊急修理および内容不詳のテストを受けた。同艦はグアムからサンディエゴ移動を経て週末に最終的にワシントン州に帰港した。

 

事故後のコネティカットは安全に潜航できなくなり、ソナードームを喪失し制御が難しくなり、航行の安定性を欠いており、太平洋横断は悪夢の経験になったはずだ。

 

法案をこれ以上見てもコネティカット修理の情報は他になく、同艦を復帰させるため必要な作業がこれ以上あるのかも不明だ。ソナードームが10百万ドル超の装備であることに驚く向きもあるかもしれないが、同艦を完全復帰させるにはさらに費用が掛かるのは大いにあり得る話だ。

 

USSコネティカットがワシントンン母港へ到着(UPDATED)

By Joseph Trevithick

Posted in THE WAR ZONE

USSコネティカットのサンディエゴまでの移動は悪夢の体験 (UPDATED)

By Tyler Rogoway

Posted in THE WAR ZONE

USSコネティカットがサンディエゴを出港 (UPDATED)

By Tyler Rogoway

Posted in THE WAR ZONE

損傷を受けたUSSコネティカットがグアムからこっそりサンディエゴへ帰港 (UPDATED)

By Tyler Rogoway

Posted in THE WAR ZONE

USSコネティカットが海嶺へ衝突し、ソナードームをもぎ取られた模様By Joseph Trevithick

Posted in THE WAR ZONE

 

比較するとロサンジェルス級攻撃型潜水艦USSサンフランシスコが海嶺に衝突し艦首を大損傷した事故があり、2006年の修理費用は79百万ドル(現在の価値で109百万ドル)だった。その際の修理ではUSSホノルルの艦首部分全体を引きはがし、三年の工期で134百万ドル(現在の173百万ドルに相当)をかけ同艦を復帰させた事例がある。

 

PUBLIC DOMAIN/WIKIMEDIA

USSサンフランシスコの海中衝突事故(2005年)後の姿

 

海軍がこの修理方法を採択した理由としてサンフランシスコは燃料交換を実施したばかりで、ホノルルが同様の修理をまもなく受ける予定で、当時の試算で170百万ドル(現在の234百万ドルに相当)とされていたためだ。

 

コネティカットでは同様の「艦首取り換え」は実効不能だ。シーウルフ級は三隻しかなく、各種特殊任務に引っ張りだこな状態だ。USSジミー・カーターはさらに特殊改装を受けた唯一の艦で、艦体を100フィート延長し多任務プラットフォームMulti-Mission Platform (MMP)を挿入している。同艦ではMMP以外各種改装を行い水中諜報活動に投入されており、海底の物体採取ほか要員の回収等にとあたっている。

 

シーウルフ級の隻数が少ないことに合わせ、設計年次が1980年代で、製造後相当の年数がたっていることのため海軍や建造企業ジェネラル・ダイナミクス内の知見が消えていることから修理費用の最終額にも影響が出そうだ。USSシーウルフはじめ同級各艦は史上最高が鵜の潜水艦で1985年当時の建造費31億ドルは現在の85億ドルに相当し、USSジミー・カーターはさらに高額となっている。

 

PUBLIC DOMAIN/WIKIMEDIA

USSコネティカットが1990年代に建造された。

 

こうしてみると50百万ドルという費用計上はコネティカット修理の頭金にすぎないのではないか。最終費用と工期は現時点で不明だ。

 

同時に海軍による次世代攻撃型潜水艦SSN(X) の発注は2031年以降との予想が出ており、SSN(X)はシーウルフ級後継艦の位置づけも期待されている。中国やロシアとの交戦を想定し、潜水艦部隊が増勢に向かうのは同年以降となる。中国やロシアの潜水艦部隊の脅威により、米海軍は対潜戦能力の整備に改めて関心を高めているところだ。

 

そうなると、コネティカットの有する比類なき能力を活用するためにも米海軍としては費用に糸目をつけないのではないか。■

 

Congress Has Already Allocated Tens Of Millions For USS Connecticut Repairs

BY JOSEPH TREVITHICK DECEMBER 21, 2021

コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ