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中国の極超音速兵器開発に先を越された米国は有効な防衛力を実現できるのか



China Hypersonic Missile Testing

PLA Daily



中国のペースにあわせ、米国は極超音速兵器を月産10基以上製造する必要があるが、現状はそこまで行っていない....

 

国がFOB核運用極超音速滑空体のテストを行ったことで米国並びに太平洋地区同盟各国に戦術戦略上の脅威が加わったとペンタゴンで兵器開発にあたっていた専門家が指摘している。

 

マイケル・グリフィン博士Dr. Michael Griffinは研究開発担当の前国防次官補で、中国の極超音速兵器体系が米国を上回ればグアムや台湾のような死活的な地点への米軍・同盟国軍の接近が阻まれると発言。

 

「中国のFOBは戦術装備ながら戦略的な意味があり、手ごわい装備だ。中国がグアム西方に立ち入り禁止区域を設定すれば世界的な影響がでる」と高度核兵器アライアンス抑止力センターAdvanced Nuclear Weapons Alliance Deterrence Center主催の「極超音速兵器が政策と核抑止体制に与える影響」イベントで発言した。

 

中国が一方的に有利な形で極超音速兵器配備を進めると、米軍・同盟軍へ一斉攻撃を行い、戦闘継続できなくなる事態が生まれるとグリフィンは想定している。

 

中国の極超音速兵器の脅威

 

中国に実用レベルの極超音速兵器が各種そろい、米国にないとなると、太平洋に展開する米軍部隊に防衛手段がなくなる、というのがその考えだ。

 

その場合、米軍部隊は極めて脆弱になり、グリフィンは米軍同盟国軍は台湾あるいはグアムへの接近を「阻止される」事態となるのを恐れる。

 

中国の弾道ミサイル、核ミサイル等一斉発射に対し、防衛手段が実質上ない状態を想定している。防衛側を上回る飽和攻撃が「青天のへきれき」シナリオで想定されており、極超音速ミサイルが加われば事態はさらに深刻となる。

 

そのため大量の極超音速ミサイルの飛来を食い止める唯一の手段は、現状では敵に壊滅的被害を与える反撃手段以外にないと考えられている。

 

米抑止力はどこまで


攻撃を受ければ確実に反撃を行うとの抑止効果が極超音速兵器による大規模強襲への唯一の予防手段となる。ここをグリフィンは強調し、米国は中国に歩調を合わせた形で新型極超音速兵器の開発、生産、配備が必要だと主張している。

 

「極超音速攻撃手段では中国がわが国の先を走るのは明らか。こちらには一斉発射の阻止で手段がない。中国を上回る攻撃能力が整備できないと、中国の行動を縛ることができない」(グリフィン)

 

ペンタゴンは極超音速兵器生産を増し、パラダイムを一変させる「価値観を根底から覆す」技術を模索する必要がある。

 

通常・核双方の新型ミサイル生産を加速化する必要がある。

 

 

米装備の現状

 

米空軍では空中発射式迅速対応兵器をAir Launched Rapid Response Weapon と呼び、極超音速発射体として航空機から運用する構想が急進展している。

 

米陸軍は長射程極超音速兵器 Long Range Hypersonic Weapon (LRHW) を2023年までに実用化すると発表した。ペンタゴンは実戦用極超音速兵器の実現だけでは足らず、中国に対抗し、抑止効果をあげるため大量整備に迫られる。

 

中国が核運用可能な極超音速滑空体の試験を行ったことに大きな関心が集まったのは当然で、ペンタゴン上層部の懸念が現実になった。極超音速ミサイルの製造配備で中国は米国に先行している。

 

「現在は月産二基の極超音速兵器製造に向かっている。これを月産10本に増やす必要がある。中国はわずか12本の極超音速ミサイルでは脅威を感じない」(グリフィン博士)

 

同時にグリフィン博士は「既存価値観を覆すような」技術を開拓し現在開発中の極超音速ミサイルを超える新世代装備の開発を訴えており、弾頭部、誘導手段、推進手段で既存の空気吸い込み式や加速滑空型極超音速兵器体系を超える装備が必要と言いたいのだろう。実現のカギを握るのは迅速な試作・試験とグリフィンは見ている。

 

「テストを毎週実施すべきで、三カ月に一回ではまに合わない」(グリフィン博士)

 

中国のFOB兵器実験で緊急度はさらに高まっている。中国の新兵器は軌道上に長時間「留まる」機能があるとの観測があり、これが最大の懸念事項だとグリフィンは指摘する。つまり中国兵器は標的を選択し、飛翔経路を最適化して予想外の方向から攻撃する可能性があるということだ。

 

「軌道上に待機させ、任意の方位角で標的を狙う機能を懸念する」(グリフィン博士)■

 

 

China's Hypersonic Weapons: A Significant Global Security Threat

KRIS OSBORN, WARRIOR MAVEN


 

Kris Osborn is the defense editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Master’s Degree in Comparative Literature from Columbia University.

 

 

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