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米西海岸の物流トラブル対策で米海軍が港湾施設を民間に開放

一見すると大きなニュースではないのですが、日本企業の物流の悩みを解消する大きな流れの一部になるかもしれません。USNI Newsの記事です。


米海軍はオックスナード港湾地区に協力し、ポートヒューニーム施設を開放し、ロサンジェルス郡の港湾施設の混雑解消の支援で全国的なサプライチェーン危機の解決の一助をめざしている。Nov. 22, 2021. US Navy Photo

 

カリフォーニア港湾施設が処理能力オーバーとなっている中、パンデミックでサプライチェーンが影響を受け、貨物輸送に遅延が目立つが、米海軍は同州ポートヒューニームPort Huenemeの軍用ふ頭を民間商船に開放している。

 

ポートニューニームはサンフランシスコ、ロサンジェルス間で唯一の大型船取扱い可能港だ。

 

海軍の決定は2002年の「共同使用合意」を適用するもので、オックスナード港湾地区xnard Harbor Districtと取り交わし、第三ふ頭(全長1,000フィート)とあわせ21エーカーの工業用地の利用により貨物積み下ろし、一時保管を、軍事利用を妨げないことを条件に認めている。

 

貨物ターミナルと沖仲士を運用するポーツアメリカPorts America が40フィートコンテナーを貨物船から降ろし、休暇シーズンの需要増加に対応するべく作業を開始したとヴェンチュラカウンティー海軍基地Naval Base Ventura Countyが海軍報道資料で発表していた。

 

先週月曜日に自動車運搬船MVDelphinus Leaderが第三ふ頭に接岸しているのがMarinetraffic.comで確認された。先週金曜日にはコンテナ船MV Chiquita Ventureが港外で投錨していた。同船は11月11日にメキシコ、グアテマラ経由でポートヒューニームに寄港した。また金曜日にはMV Del Monte Harvest(コンテナー船)、MV Grand Race(自動車運搬船)が寄港していた。

 

共同使用合意により基地利用が可能だが、船員、基地従業員はともに荷物積み下ろしには従事できないことになっている。同海軍基地は「ふ頭及びコンテナ保管場所を提供するが労務提供はしない」とベンチュラカウンティー海軍基地広報がUSNI Newsに述べている。

 

ロサンジェルス、ロングビーチ両港湾施設で依然として積み下ろしの順番を待つ船舶が多い中で、同基地ふ頭の追加は朗報だ。

 

ロサンジェルス、ロングビーチはともに全国有数の大規模港湾施設ながら一時は沖合に100隻もの貨物船が順番を待つ状態だった。そこにCOVID-19が港湾労働者に広がり、コンテナ不足、トラック運転者不足、倉庫不足、鉄道便が利用できないことが加わったが、パンデミックで世界的に経済活動が低迷していた中で需要が最増加しており、取扱い施設は混雑の度を深めている。

 

連邦政府州政府は運輸規制の緩和を図り、利用料金徴収を猶予しているため混雑の解消につながりそうだ。各港湾も24時間作業に向かおうとしている。だが感謝祭により取扱いが止まり、貨物ターミナルでは日曜日には一切の作業をしていない。

 

ただし、各港湾は取扱能力をフル活用していない。11月23日にロサンジェルス港にはタンカー1隻、バルク貨物船1隻、コンテナー船18隻がふ頭に係留していたことが同港ウェブサイトでわかる。だが94隻がサンペドロペイに入港あるいは待機し、ロサンジェルス港では45隻が入港の順番待ち状態だった。

 

オックスナード港は海軍のポートヒューニームとオックスナード港湾区の二つを抱える。このうち、海軍は港の西部と北部の用地を管理し、四つある大型ふ頭が艦艇運用に供され、海軍工兵隊センターもある。オックスナード市が東、南側を管理し、大型ふ頭二つと民生用倉庫群がある。

 

ポートヒューニームのふ頭が一つ追加されただけで大きな効果にはつながらないものの、船舶運用側には選択肢が広がるわけで、特に多忙となる休暇シーズンの海運需要を考えると意味があり、さらに海軍自身の運用にさしたる影響は発生しない。

 

同港湾区のトップ、ジェイソン・ホッジは「NBの協力を感謝し、休暇シーズンの作業量増大に呼応する追加スペースの提供に感謝する」と述べているのを海軍広報は伝えている。「ともに必需物資の物流という課題に取り組むことができるのも長年の協力関係のたまものであり、全国的なサプライチェーン問題の解決に取り組んでいる」

 

「海軍は地域社会の一員としての重要性を認識しており、運用上の要求に応えるべく支援を提供している」と同基地司令ロバート・キムナック大佐が述べている。合意により「港湾施設の混雑解消を直接支援しつつ全国規模のサプライチェーン不足に対応し、海軍と地元社会の協力関係の好例」

 

米海軍は同港を1942年に接収し、その後第1第2ふ頭は民生用に開放したとポートヒューニームのウェブサイトが沿革を述べている。同港ではバナナ、自動車、食用油、生鮮食品を取り扱っており、今年9月までの実績で80億ドルの貨物が同港を利用した。ただし、ロサンジェルス、ロングビーチ両港合わせ年間4.600億ドル(2020年実績)なので微々たる規模である。■

 

Navy Opens Up Military Deep-water Pier to Merchant Ships to Ease California Cargo Crisis - USNI News

Navy Opens Up Military Deep-water Pier to Merchant Ships to Ease California Cargo Crisis

By: Gidget Fuentes

November 29, 2021 4:58 PM

 

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