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複雑なミサイル防衛の利害(ヨーロッパ諸国)

No Easy Answers To Missile Defense aviationweek.com Dec 7, 2009 1. 米国のミサイル防衛方針はこの数ヶ月で急激に変化した。まず、中間段階での迎撃から「初期迎撃」の重視に切り替えられ、大型地上配備迎撃ミサイル(GBI)から海上配備および地上配備型の米海軍・レイセオン開発のSM-3に変更となった。さらに9月にボーイングのGBIをボーランドに配備する案が取りやめになり、段階的状況適応型(PAA)配備のSM-3に変更となった時点でもはや誰も驚かなかった。 2. この変化はNATO加盟国にあまりにも急速と写り、米政府には同盟国の懸念がわかっていないのかと感想を述べる向きもある。10月末に開催されたワルシャワ会議で、問題の複雑さが改めて脚光を浴びた。 3. 例を挙げれば、昨年夏のミサイル防衛会議がアラバマ州ハンツビルで開催されたが、その席上では「迎撃の結果影響」という専門用語は使われていない。ワルシャワ会議でも同じ。簡単に言えば、それは「ミサイル目標ではない国の上空でミサイルを迎撃し、迎撃ミサイルのブースターが発射地点から数百キロ離れた場所に落下してくることだ」とデイビッド・スパークス(NATO指揮命令通信庁のミサイル防衛部門長)は説明する。迎撃に成功した場合でも「爆発物のシャワーの結果になる」可能性がある。米国内では「迎撃しなかった場合の結果」のほうが受け入れがたいと考える向きが多数だが、バルカン諸国がドイツ国内の目標のために被害を受け入れるだろうか。ましてや米軍基地のためにはどうだろうか。 4. ミサイル防衛が迅速に行われるため迎撃手段の発射権限は現地指揮官に与えるしか選択肢がないのが現状だ。「指揮官がアメリカ人だろうとヨーロッパ人だろうか。指揮官は米国内にいるのか、ヨーロッパにいるのか。迎撃後の被害以上に多くの議論が出てくる。」とスパークスは会議の席上発言。これもハンツビル会議では話題になっていない。 5. PAAは四段階に分かれ、脅威(主としてイラン)の評価により決まるが、長距離ミサイル開発の現状を軽視している。2011年のフェーズ1では海上配備のSM-3ブロック1Bミサイルに「遠隔交戦」誘導をTPY-2レーダーから与えて使用する。陸上配備型のSM-3ブロック1Bには新設計の

革新的な次世代ヘリの開発にコンソーシアム結成

Pentagon Eyes Consortium To Spur Rotorcraft aviationweek.com Dec 3, 2009 1. 米国の回転翼機メーカーが非難の表に立たされている。ペンタゴンからの要求に対し、部分的改良や再製作で対応する一方、十分利益が上がる契約を維持してきたため。ペンタゴンは各メーカーには新技術を迅速に実用化する能力がないと見ている。 2. 逆にメーカーの立場から見ると国防総省からの研究開発予算の不足で、現行機種の生産が終了する2018年から2020年以降も実用に耐える次世代回転翼機の設計能力が低下すると警鐘を鳴らしてきており、同省からの指弾にも動じるところはない。 3. ところがイラク、アフガニスタンでの作戦でヘリコプターへの依存度が高まったことで状況は変化し、苛酷環境下で現行機種に性能、安全性および生存性の問題が浮上した。ペンタゴンの最大の懸念はヘリの事故率で2001年10月から2008年12月の間に327機を損失し、このうち80%以上が戦闘行動とは無関係の損失。 4. そこで国防総省は各メーカーに対し、学術機関および技術的に革新的な新興企業とともに、垂直離着陸機開発のコンソーシアムを創設し、現行機の性能を大幅に上回る新技術を迅速に開発し、次世代機の基礎の確保を求める。メーカー側はこの構想には賛同するものの技術開発予算の増額が実現するかは半信半疑だ。 5. 「この業界は国防総省の調達方針により形成されてきたものだ。今作ろうとしているのはいままでとはちがう方向性でこれまでにない機体をつくろうというもの。コンソーシアム向け契約で議論を進めたい」(トニー・メリタ 国防総省地上戦・武器弾薬部長兼将来型垂直離着陸機計画主任) 6. 「現状は決して誇れるものではない。何かこれまでとは違う努力が必要で今回のコンソーシアムが出てきた。これで現状あるいは将来の問題を全部解決はできないが、意見交換や業界に新しい視野を与え、低リスクで研究開発ができるようになる」(メリタ) 7. 10月26日付けのアシュトン・カーター(調達担当国防次官補)のメモにより、この開発計画は議会から2010年7月を期限を与えられた垂直離着陸機の技術評価の一部となる。目標は技術ロードマップの作成であり、詳細な内容の科学技術(S&a

RQ-170 新型ステルス無人偵察機の存在を米空軍が認める

USAF Confirms Stealthy UAV Operation aviationweek.com Dec 4, 2009 1. 米空軍は本誌Aviation Weekに通称「カンダハールの野獣」といわれるステルス機に類似した形状の遠隔操作無人機(UAV)の存在を認めた。同機はアフガニスタン上空で2007年末に目撃されている。 2. RQ- 170センティネルは無尾翼の全翼機形状でセンサーポッドを左右主翼上部に搭載しているといわれ、ロッキード・マーティンの先端技術開発プログラム (ADP)つまりスカンクワークスで開発された。空軍関係者が本日「ステルス無人航空機システム(UAS)を開発中で偵察監視支援業務を前線配備の戦闘部隊に提供することが目的」と明らかにした。 3. 同機はこれまでも本誌の技術関連ブログAres他で論議の的となっていたが、米空軍から本誌への発表は同機の詳細をはじめて公式に述べるもの。 4. 「RQ- 170の配備はロバート・ゲイツ国防長官が情報収集、監視、偵察(ISR)支援の強化を戦闘部隊司令官各位に求めたのと軌を一にしており、空軍参謀総長ノートン・シュワルツ大将の目標とする無人機を今以上に利用する空軍のビジョンにもあうものだ」と空軍は発表した。 5. RQ-170を運用するのは第30偵察飛行隊(ネヴァダ州トノパ試験場)で、同地でF-117ステルス戦闘機もその存在が秘密となっている間の基地としていた。同飛行隊は空中戦闘軍団の432飛行群(ネヴァダ州グリーチ空軍基地)に所属している。カンダハールでは同機はジェネラルアトミックスエアロノーティカルシステム社のハンガーから運用されているのが目撃されている。 6. 第30偵察飛行隊は2005年1月に発足しており、同隊の実戦化は極秘作戦の動向を注視する関係者からはかねてから注目されていた。 7. RQ- 170という名称もF-117の命名と似ている。既存機種の形式名から隔絶しており、明らかにその存在を知られないための措置だ。RQは非武装機を意味し、MQがプレデターを武装化した機種およびリーパーに与えられている。空軍の説明にある「前線配備部隊への支援」に今回判明した詳細情報を加えると、ある程度のステルス性(鈍角にしてある前縁、単純なノズル形状、センサーポッドの翼

A400M地上走行テスト始まる

A400M Taxi Trials Set To Resume aviationweek.com Dec 3, 2009 1. エアバス・ミリタリーは12月2日にA400Mのタクシーテストをシステム調整後に再開し、来週後半に予定の初飛行の前段階とすると発表。 2. 同機は11月にフライトテスト部門に引き渡されてから、エンジン、ブレーキ他に不具合箇所が見つかった。すでに問題点は解決されたという。 3. タクシーテストは12月3日予定だったが、ソフトウエアのアップグレードで横滑り防止ブレーキシステムの検証が必要となった。以前の検査ではタコメーターの表示が消える事態が車輪で発生して、コネクタの不良が原因と判明している。不良の発生原因が特定されず、取り急ぎ応急処置で初飛行にのぞむことになる。 4. その他でも懸念が残る箇所がある。ひとつはナセルの加熱だ。地上での熱上昇度合いが想定よりも高い。その解決策として技術陣は高圧コンプレッサーから一部の排気をナセル・エジェクターに誘導し低出力でも良好な換気ができるようにした。そのためのスイッチは低速度かつ低風力時に地上でのみ必要となるが、今のところは手動で切入りしているが、今後自動機能を開発する。 5. 排気ガスがナセル後部でオーバーヒートすることが判明した。応急措置としてエアバスは断熱材と金属保護部材を取り付けた。恒久対策は飛行テスト用三号機に加わる。一方で補助動力ユニットでは熱の蓄積が予想よりも低いことが発見された。微調整をエンジンにしている。当面は高リバース出力は内側エンジンのみに限定される。にもかかわらず初飛行には影響ないという。 6. タクシーテストでは最高87ノットまで達し、リバースでは5ノットだったという。 コメント: いろいろ問題のある同機の開発状況ですが、こんな状態で大丈夫なのかと思わずいいたくなりますね。アジアでは唯一マレーシアが同機の購入に意欲を示していますが、買ってしまってから後悔することがなければいいのですが。グローバルリーチということからすればC-17、経済性からはC- 130とやはり選択肢はアメリカ製機体になってしまうのでしょうか。

軍事輸出で世界をリードするアメリカ

U.S. Defense Exports Still Dominate Market aviationweek.com Dec 2, 2009 1. 軍事製品の輸出販売で中国、フランス、ロシアが積極的に拡販をしているものの、依然として米国が首位の座にありさらに販売は拡大している。 2. さらに米国とインドの関係が改善していることで軍事製品輸出の最高記録が更新となる可能性があり、販売額も単に一時的な額ではなく今後継続される可能性がある。米国防衛産業にはこの見方は心強いものであり、米国政府が財政赤字を理由に装備近代化を大幅に縮小する動きを示している中では特に強い。 3. 10年前には米国の海外軍事販売(FMS)は100億ドル規模だった。これが2008年には280億ドルとなり、ペンタゴンでは多くの関係者が一時的な現象だろうと見ていたが、その後減少の動きはなかった。国防安全保障協力庁長官ジェフリー・ウィエリンガ海軍中将によるとFMS成約額は昨年度で 381億ドルで、今年度は交渉中案件を含めると500億ドルを上回るという。 4. 米国は世界の潮流に反しているだろうか。国防装備メーカーにはサーブのように売り上げが低調になっている例が多い。顧客側に大規模装備の購入意欲が減退し手いるのが理由だという。タイ、マレーシアのように国防支出を削減している諸国もある。ただ、世界規模の財政危機が軍事装備導入の意思決定を阻害しているとする証拠は見えていない。 5. 米国ではいわゆる第1206号条項権限と呼ばれる費目での支出は大幅に増えている。これは2006年度予算で創設されており外国軍の訓練と装備を可能とするもの。 6. 米国の視点では軍事装備販売には多くの利点があり、同盟国が同等の装備品を使用すること自体に運用が円滑になることもある。また、国内産業の強化にもつながる。たとえばF-15の生産にはシンガポールや韓国からの調達品が前提となっている。反対に輸出需要があるのでF-16の生産は維持されている。これでロッキード・マーティンのフォートワース工場ではF-35の生産が立ち上がるまでの従業員の雇用が可能となっている。 7. だが米国は現状に甘んじる余裕はない。かつては米国からの装備を買うだけだった諸国が自国調達が可能になってきているためだ。 8. その

KC-X ノースロップが仕様書に不服

Northrop Rejects Tanker Bid Under Draft RFP aviationweek.com Dec 1, 2009 1. ノースロップ・グラマンはペンタゴンに対し、同社が米空軍の空中給油機更新については現在の仕様書(RFP)の内容では入札に参加しない旨12月1日付書状で通知した。 2. 今回の同社決定は米空軍のRFPが変更になれば撤回することになる、と同社COOウェス・ブッシュが空軍長官および空軍次官に同時に伝えている。さらに米政府に対してはノースロップ・グラマンの取引先が200社近くあることを強調。 3. 総額350億ドルのKC-X調達計画では入札者資格認定でノースロップ・グラマンから合計373項目のうち、重要度が低い項目まで同じ重みで判定されるのは不服という訴えが出ていた。 4. 米空軍のコスト削減策ではより小型の給油機を重視する傾向があると外部からの声があり、ボーイング767改修案が浮上する(ボーイングからは同機改修案はまだ発表されていない)が、ノースロップ・グラマン提案はA330を元にするもので、ヨーロッパのEADSと共同開発する内容。 5. 「国防総省には当社の危惧する内容をすべて伝えており、RFP原案が性能が限定される小型機を優遇する内容であることも加えてある。また契約上、金銭上過大な負担となりそのままでは当社が受け入れられない内容の構造についても伝えた」とブッシュは記している。 6. 先回の競作ではノースロップ・グラマンが勝利を収め、ボーイングが米政府に決定を覆させたが、ノースロップ・グラマンは入札不参加を匂わせて影響力を行使している。 7. ノースロップ・グラマンの今回の動向が前回と同じように政府の妥協を目指しているのかは不明だが、ウォールストリートではノースロップ・グラマンが競争入札から脱落する事態は想定していないようだ。

WGS 軍の通信をグローバルに支える衛星

Third WGS Spacecraft To Launch Dec. 2 aviationweek.com Nov 25, 2009 1. 米空軍はボーイング製広帯域地球規模通信衛星(WGS)の三号機を12月2日にデルタIVロケットで打ち上げる。 2. WGSの打ち上げがデルタIVで行われるのは今回がはじめて。 3. ボーイングは同衛星を軌道上で三週間にわたり作動試験を行う予定。その後一ヶ月をかけて同衛星を運用上の軌道に移動し、欧州・アフリカに展開の米軍部隊向けの通信支援に利用する。搭載機器の校正には三週間が必要で、正式な運用は2月の予定。 4. WGS三号機はブロックIの最終機で価格は約3.5億ドル。一号機は太平洋司令部、二号機が中央軍(イラク、アフガニスタン含む)向けに稼動しているのに加わる。 5. ブロックIIの三機がボーイングのエルセグンド工場(カリフォルニア州)で製造中。 6. WGSは既存の国防衛星通信システム(DSCS)の衛星群に追加導入され広帯域通信を提供する。WGSの各衛星はDSCS衛星に比べて10倍の広帯域通信量を利用可能とするといわれている。 7. WGSではXバンドおよびKaバンド通信が可能。また、別のバンドを利用する相手先との交信ができる。中央軍ではWGSにより全地球放送システムが可能で前線の兵員が利用している。また高帯域のビデオ信号をプレデターおよびリーパー無人機から中継することもできる。 8. ブロックIIになると、無人機からのデータをチャンネル再振り分けを経由せず衛星に中継する能力があり、利用者向けの処理能力が増加するという。 9. 空軍関係者によると現在8機のDSCS衛星が軌道上で運用されているという。各機の寿命は今後数年間残っており、2020年以降も稼動できる燃料が残っている機体もある。設計寿命は10年で、多数がすでにその期間を過ぎている。 10. このうち、6機が廃棄軌道に移動している。このうち、一機は試験用途で時々利用されている。