U.S. Defense Exports Still Dominate Market
aviationweek.com Dec 2, 2009
1. 軍事製品の輸出販売で中国、フランス、ロシアが積極的に拡販をしているものの、依然として米国が首位の座にありさらに販売は拡大している。
2. さらに米国とインドの関係が改善していることで軍事製品輸出の最高記録が更新となる可能性があり、販売額も単に一時的な額ではなく今後継続される可能性がある。米国防衛産業にはこの見方は心強いものであり、米国政府が財政赤字を理由に装備近代化を大幅に縮小する動きを示している中では特に強い。
3. 10年前には米国の海外軍事販売(FMS)は100億ドル規模だった。これが2008年には280億ドルとなり、ペンタゴンでは多くの関係者が一時的な現象だろうと見ていたが、その後減少の動きはなかった。国防安全保障協力庁長官ジェフリー・ウィエリンガ海軍中将によるとFMS成約額は昨年度で 381億ドルで、今年度は交渉中案件を含めると500億ドルを上回るという。
4. 米国は世界の潮流に反しているだろうか。国防装備メーカーにはサーブのように売り上げが低調になっている例が多い。顧客側に大規模装備の購入意欲が減退し手いるのが理由だという。タイ、マレーシアのように国防支出を削減している諸国もある。ただ、世界規模の財政危機が軍事装備導入の意思決定を阻害しているとする証拠は見えていない。
5. 米国ではいわゆる第1206号条項権限と呼ばれる費目での支出は大幅に増えている。これは2006年度予算で創設されており外国軍の訓練と装備を可能とするもの。
6. 米国の視点では軍事装備販売には多くの利点があり、同盟国が同等の装備品を使用すること自体に運用が円滑になることもある。また、国内産業の強化にもつながる。たとえばF-15の生産にはシンガポールや韓国からの調達品が前提となっている。反対に輸出需要があるのでF-16の生産は維持されている。これでロッキード・マーティンのフォートワース工場ではF-35の生産が立ち上がるまでの従業員の雇用が可能となっている。
7. だが米国は現状に甘んじる余裕はない。かつては米国からの装備を買うだけだった諸国が自国調達が可能になってきているためだ。
8. その例が日本だ。ユーロファイター・タイフーンのコンソーシアムが日本政府に強力に売り込みをかけている。同コンソーシアムは三菱重工業に相応の作業分担を提案している。しばらく前には日本が主力戦闘機を米国以外から調達する可能性は考えられないものだった。いまや状況は変わっているのである。
9. ヨーロッパ各国もこれが大変な仕事であるのを認識している。「相手方を納得させるのは一苦労です」とピーター・アンスティッス(タイフーン輸出担当役員)は認める。米国製装備品は依然として有利な立場にあるものの、米軍事関係者も今後については不安を隠せない。
10. 米国にとり最重要の新規市場がインド。両国関係が好転したのをうけ、受注が急増している。ボーイングP-8海上警戒機およびロッキード・マーティンのC-130J輸送機がその中で目立っている。両国の防衛装備品調達・生産部会は非常に建設的だったとウィエリンガ提督も認める。インドはさらにC- 17合計10機の購入を検討中で、主力戦闘機の更新合計126機では熾烈な競争が続いている。米国からはF-16とF/A-18E/Fが提案され、ダッソー・ラファール、サーブ・グリペン、タイフーン、MiG-35がこれに対抗。
11. ただし、米国政府の技術政策が支障となる。最近の例ではブラジルでF/A-18E/Fがラファール・グリペンと競合する中で同国大統領がこの問題を取り上げている。
12. 米国関係者はこれは過去の問題であり、現在は各国と共同作業する段階にあると強調。さらにウィエリンガ提督はオバマ政権が輸出管理体制を見直す決定をしていることを指摘。その中には軍民両用に利用可能な技術藻含まれている。
13. 米政府が海外販売にやる気がない一方、米国民間企業は提携関係を通じては欧州競合会社ほど積極的に海外顧客に営業をしていないという評価に苦しんでいる。アラブ首長国連邦の政府高官は同国産業の創立にも雇用の創出にも努力が不足していると米企業幹部に苦言を呈している。
14. それでも短期的には米国は現在商談中の案件数件からの恩恵を受ける立場。サウジアラビアと米国で高レベル協議が続いている。その中にはF-15、ペイトリオットミサイル防衛装備、海軍艦艇近代化が含まれる。後者ではMH-60ヘリやファイヤースカウト無人機の販売が想定されている。
aviationweek.com Dec 2, 2009
1. 軍事製品の輸出販売で中国、フランス、ロシアが積極的に拡販をしているものの、依然として米国が首位の座にありさらに販売は拡大している。
2. さらに米国とインドの関係が改善していることで軍事製品輸出の最高記録が更新となる可能性があり、販売額も単に一時的な額ではなく今後継続される可能性がある。米国防衛産業にはこの見方は心強いものであり、米国政府が財政赤字を理由に装備近代化を大幅に縮小する動きを示している中では特に強い。
3. 10年前には米国の海外軍事販売(FMS)は100億ドル規模だった。これが2008年には280億ドルとなり、ペンタゴンでは多くの関係者が一時的な現象だろうと見ていたが、その後減少の動きはなかった。国防安全保障協力庁長官ジェフリー・ウィエリンガ海軍中将によるとFMS成約額は昨年度で 381億ドルで、今年度は交渉中案件を含めると500億ドルを上回るという。
4. 米国は世界の潮流に反しているだろうか。国防装備メーカーにはサーブのように売り上げが低調になっている例が多い。顧客側に大規模装備の購入意欲が減退し手いるのが理由だという。タイ、マレーシアのように国防支出を削減している諸国もある。ただ、世界規模の財政危機が軍事装備導入の意思決定を阻害しているとする証拠は見えていない。
5. 米国ではいわゆる第1206号条項権限と呼ばれる費目での支出は大幅に増えている。これは2006年度予算で創設されており外国軍の訓練と装備を可能とするもの。
6. 米国の視点では軍事装備販売には多くの利点があり、同盟国が同等の装備品を使用すること自体に運用が円滑になることもある。また、国内産業の強化にもつながる。たとえばF-15の生産にはシンガポールや韓国からの調達品が前提となっている。反対に輸出需要があるのでF-16の生産は維持されている。これでロッキード・マーティンのフォートワース工場ではF-35の生産が立ち上がるまでの従業員の雇用が可能となっている。
7. だが米国は現状に甘んじる余裕はない。かつては米国からの装備を買うだけだった諸国が自国調達が可能になってきているためだ。
8. その例が日本だ。ユーロファイター・タイフーンのコンソーシアムが日本政府に強力に売り込みをかけている。同コンソーシアムは三菱重工業に相応の作業分担を提案している。しばらく前には日本が主力戦闘機を米国以外から調達する可能性は考えられないものだった。いまや状況は変わっているのである。
9. ヨーロッパ各国もこれが大変な仕事であるのを認識している。「相手方を納得させるのは一苦労です」とピーター・アンスティッス(タイフーン輸出担当役員)は認める。米国製装備品は依然として有利な立場にあるものの、米軍事関係者も今後については不安を隠せない。
10. 米国にとり最重要の新規市場がインド。両国関係が好転したのをうけ、受注が急増している。ボーイングP-8海上警戒機およびロッキード・マーティンのC-130J輸送機がその中で目立っている。両国の防衛装備品調達・生産部会は非常に建設的だったとウィエリンガ提督も認める。インドはさらにC- 17合計10機の購入を検討中で、主力戦闘機の更新合計126機では熾烈な競争が続いている。米国からはF-16とF/A-18E/Fが提案され、ダッソー・ラファール、サーブ・グリペン、タイフーン、MiG-35がこれに対抗。
11. ただし、米国政府の技術政策が支障となる。最近の例ではブラジルでF/A-18E/Fがラファール・グリペンと競合する中で同国大統領がこの問題を取り上げている。
12. 米国関係者はこれは過去の問題であり、現在は各国と共同作業する段階にあると強調。さらにウィエリンガ提督はオバマ政権が輸出管理体制を見直す決定をしていることを指摘。その中には軍民両用に利用可能な技術藻含まれている。
13. 米政府が海外販売にやる気がない一方、米国民間企業は提携関係を通じては欧州競合会社ほど積極的に海外顧客に営業をしていないという評価に苦しんでいる。アラブ首長国連邦の政府高官は同国産業の創立にも雇用の創出にも努力が不足していると米企業幹部に苦言を呈している。
14. それでも短期的には米国は現在商談中の案件数件からの恩恵を受ける立場。サウジアラビアと米国で高レベル協議が続いている。その中にはF-15、ペイトリオットミサイル防衛装備、海軍艦艇近代化が含まれる。後者ではMH-60ヘリやファイヤースカウト無人機の販売が想定されている。
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