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F-22予算に大統領拒否権をちらつかせる

Obama threatens vetoes on F-22, F136 decisions Flight International @flightglobal.com 6月25日 ロッキード・マーティンF-22の生産継続を求める議会決議ならびにF-35用にGE/ロールスロイスF136エンジンを代替エンジンとする予算計上を認める決議に対してオバマ政権は拒否権の行使でけん制している。この意向は6月24日に議会に送付され、下院軍事委員会が先週決議した2010年度国防予算に上記二件を取り入れたことへ明白に反対の立場を示すもの。 ゲイツ国防長官は4月6日に米空軍にはF-22は合計187機で十分と発言している。また、F136エンジンは不要、プラットアンドホイットニーのF135だけでF-35の装備用には十分だとも考えている。しかし、ゲイツ長官の方針が下院軍事委員会で6月17日にわずかな票差で覆され、2010年度には360百万ドルでF-22を12機購入し、600百万ドルでF136開発を完了させ、生産型エンジン4基を購入する内容が盛り込まれた。下院軍事委員会は国防予算の審議と承認にあたる小委員会のひとつにすぎないが、上院で大統領拒否権を覆すには上院で60票が必要となる。 オバマ政権には議会にも同調者がある。拒否権を示唆した前日にバーニー・フランクス下院議員が下院軍事委員会決議に対する批判を行った。「もしここで譲歩してしまえば、国防予算の無駄を省こうとする努力に悪影響がでる。ここで踏ん張れば何百億ドルが浮く」(同議員)  オバマ政権は同じく下院軍事委員会がジェネラルアトミックスMQ-1Cスカイウォリアー無人機予算を半額としたこと、ロッキードC-5Aの退役を先送りする内容で決議したことにも反対の意思を表明している。軍用輸送機では下院がC-17の追加購入の予算を追加計上している。 コメント: F-22の話題には皆さんも多大のご関心をお持ちのことと思います。はやくも大統領拒否権の話題が出てきました。上院の60票というのはそんなにハードルが高くないと思いますが、ゲイツ国防長官のようにF-22を新型戦争には対応できない旧思考の産物と考える人たちには、地元雇用の維持のためにF-22生産を継続したい議員の動機は理解できないのでしょうね。わが国にとっては旧思考であろうとF-15の戦闘能力の延長戦で

日本向けF-22価格の中身

Japan Could Be Offered $290 Million F-22 aviationweek.com 6月25日 上院歳出委員会委員長ダニエル・イノウエ上院議員(民主 ハワイ州)から在ワシントン日本大使宛書簡でF-22ラプター合計40機を輸出した際の単価見積もりを290百万ドル(約276億円) と伝えている。 【増えてきたF-22推進派議員】 イノウエ議員と下院国防歳出小委員会委員長ジョン・マーサ下院議員(民主 ペンシルベイニア州)ならびに他の上下両院議員がF-22の輸出を認めるように動いている。しかし、大統領が拒否権を行使する可能性とペンタゴン上層部から一貫して反対の声が出ていることから、ワシントンでは予算審議をめぐり緊張が高まっている。 【上院軍事委員会は反対】 さらに、上院軍事委員会の指導層は大統領と国防長官の側に立ち、下院での決議に持ち込む構え。 【イノウエ案の内容】 イノウエ議員からの書簡は2010年初頭に合意形成する前提で、「おおむね4ヵ年の開発期間で地上テストと飛行テストを含む」開発全体を示している。リードタイムが長い資材の調達を2011年に開始し、生産は2014年の中ごろに開始する。日本への初号機の引渡しを2017年としている。「開発と生産準備費用は23億ドル」と同書簡はしており、「40機の生産コストは93億ドルなので、総額116億ドル。これを40機で分担すると一機の平均費用は290百万ドルとなる」あわせてゲイツ国防長官宛の付随書簡では「空軍提供の情報に基づく」数字であるとしており、「日本政府は同機の購入に関心を高額にもかかわらず示すものと考えます」としている。 【大統領の拒否権行使か】 議会内でF-22生産続行への支持が増えていることが緊張を生んでいるが、航空宇宙業界のアナリスト筋はホワイトハウスがラプター生産継続と輸出を認めないのであれば言葉の遊びに終わるだろうと見ている。ペンタゴンが同機購入した際の単価は複数年度購入契約で142.5百万ドル。航空宇宙業界のアナリスト筋はF-22生産が一度停止するとその後は追加コストが発生するという。一方、ホワイトハウスの業務管理予算室は2010年度国防予算法案の議会通過で譲れない線を示している。6月23日付けの行政方針声明ではホワイトハウス業務管理予算室は11年度のF-22先行調達として369百万

F-X導入の背景をアメリカの視点で見る

Japanese Patient For Tacair Opportunities aviationweek.com 6月23日 日本政府はF-XとしてF-22の導入を粘り強く進める姿勢を示している。F-Xは合計40から50機の第五世代戦闘機を生産するもの。 【F-4を使い続ける】 F-XはF-4Jファントムの後継機として必要とされている。すでに中国に近く運用頻度がましている沖縄のF-4はF-15に切り替えられている。「F-4でF-35が導入されるまで機体寿命が残っているだろうか。現在はF-4の稼動を制限してF-35が投入されるまで使用する予定と見える。そのため、那覇基地にはF-15Jを配備したのだろう」(米側関係者) 【F-22】 ロッキード・マーティンのF-22ラプターの輸出型の導入に関心を示す声は日本側に見られる。米議会は輸出禁止を決議しており、ペンタゴン内部にも輸出を嫌う向きは多い。一方、ボーイングはステルス性を向上したF-15サイレントイーグルを発表し、ロッキード他の競合各社への対抗をしている。 【F-15J改修】 航空自衛隊の内情に詳しい米側関係者はF-15Jのうち36機がアクティブ電子スキャンレーダー(AESA)の改修をこの二年間で受けていると明かす。「レイセオンが航空自衛隊と共同してF-15の性能向上をしてきたところです。中期防衛計画でF-Xの予算が計上されていなかったので、F-15の改修を実施したのです」(同関係者)しかし別の航空宇宙業界関係者は航空自衛隊はF-15JのAPG-63(v1)を改修し、デジタル性能の信頼性を確保したが、AESA能力はないという。機械式スキャンレーダーがまだ残されている。日本側はAESAアンテナの装備に必要な予算獲得をめざしており、これでレーダーはv3モデルとなる。この追加改修によりレーダーの有効範囲は3倍になり120から150マイルの間となり、巡航ミサイルやステルス機のような小型目標のロックオンが可能となる。 「つなぎ機は必要ないのではないでしょうか。日本はF-4からF-Xに一気に機材更新したいと考えていますが、未確定の要因がたくさんあります。機種選定、生産・納入の予定等です」(上記関係者)  【クラスター爆弾配備中止の余波】 あわせてクラスター爆弾の使用禁止に同意すると、日本は東シナ海の領土問題で防衛能力を自ら縛る

E-2Dの開発状況

Navy Awards E-2D LRIP aviationweek.com 6月19日 ノースロップ・グラマンE-2D発達型ホークアイはE-2早期警戒機の新型機で、C認証の山場を越えて固定価格・報奨金なしの契約432百万ドル相当で米海軍から受注した。今回の発注はナン・マカーディ条項(コスト増加の歯止め)違反の余波を受けて成立。 契約内容は低レート初期生産(LRIP)でロット1およびロット2を組み立てるもので、これまで19億ドルを使ってきたシステム開発設計契約(2003年)の延長線にある。海軍は2009年度と2010年度に各2機を受領し、合計75機を調達する。 今年3月に議会監査報告で同機の基本技術が成熟しているのに開発の遅れが確実と判明した。開発関係者は同機の初期作戦獲得が1年から2年遅れるとともに予算削減に伴い同機単価が20パーセント上昇すると回答していた。予算削減で先行2ヵ年度の生産機数を3機から2機にし、パイロット訓練とメンテナンス訓練に必要な機数が不足する。さらに、飛行テスト初期段階が4から6ヶ月遅れたのは同機の高出力循環システム、油圧系統、アンテナ出力増幅器の技術的問題と天候不良のためと会計検査院は分析している。 機体ではE-2Cから「センサーおよび通信機器全部が変更に」なっており、E-2Dのレーダーはテスト中に「性能緒元を超える性能」を発揮したという。原型機2機のテスト期間中の飛行時間は1,000時間でノースロップ・グラマンと海軍は今年後半に初の空母着艦を予定している。

ABL 空中発射化学レーザー開発の行方は微妙

ABL Team Argues For More Testing Funds aviationweek.com 6月18日 空中発射レーザー(ABL)開発陣は次年度予算でもっと多くの資金がないと軍事的意義の実証が出来ないと訴えている。ボーイングのABL担当部長マイク・リンはボーイング主導のチームは予算拠出を続けてABLの広範な用途を証明する機会を求めている。「ミサイルの初期上昇段階以降にも応用可能で、大きな可能性があります。」 ABL搭載母機は現在は747-400貨物機だが、小型化の可能性の鍵は巨大な化学酸素ヨードレーザー(COIL)を別の機体に収納できるように改良すること。一方、ゲイツ国防長官はABLは研究段階に限定すべきとの考え方を示している。 リンによると二号機はゲイツ国防長官がキャンセルしようとしているが、COILの重量軽減と仕様の変更を実現する機会になるはずだったという。 同機は5カ年計画の予定で、747-800の利用が前提となっていた。リンによると二号機の完成が遅れると、それだけ計画の信頼性が崩れ機器メーカー各社も動揺することになる。一度の技術革新でCOILを小型化し747より小型の機体に搭載することはリンによれば可能性が少ない。 一方議会筋ではオバマ政権の要望である2010年度ABL予算187百万ドルの内容に賛意を示し、民主党主導の下院軍事委員会はABL予算増額およびミサイル防衛増強として長距離射程の地上配備中間コース防衛システムの実現を図る保守派議員の提案をことごとく否決した。 これに対し共和党はABL技術を国防上必要な将来技術として開発を継続すべきであると主張。民主党はゲイツ国防長官の提言内容を指示し、近い将来の脅威・戦域単位の脅威をより正確に把握すべきだと反論した。 コメント:  敵ミサイル発見の直後にその破壊が可能としたらABLはまさに夢の兵器です。光学系、電子系のセンサー能力の飛躍的向上とABLの目標捕捉能力、さらに化学レーザーの信頼度の向上が一桁以上必要ですね。747サイズにしか搭載できないとなると、ABL母機の支援、護衛に飛行隊が必要となるでしょうね。日本としてもこの技術が実用化になるのかどうかは大いに関心のあるところで、共同開発の話も出てくるかもしれません。

US:ミサイル防衛方針に変更

Missile Defense Planning Guides Emerge aviationweek.com 6月17日 ミサイル防衛体制の見直しについて多くの批判がある中、6月16日の議会証言で国防総省上層部が今後数年間にわたる大規模支出の方向性を左右する基本方針を明らかにした。 国防総省が望むのは、ミサイル防衛の重点を米本土防衛から初期段階での迎撃へ再編することだ。これにより仮想敵国は巨額の出費を求められ、味方陣営の前線部隊や同盟国の安全が確保されるからだ。地上配備の中間軌道ミサイル防衛(GMD)は広く支持され、内容も向上していると、国防副長官ウィリアム・リン三世、海兵隊大将ジェームズ・カートライト(統合参謀本部副議長)、陸軍中将パトリック・オライリー(ミサイル防衛庁長官)は意見を共有している。また、ロシアおよびNATO加盟国と共同してイランへ強いメッセージを送ることは実施する価値が高いとも考えている点で共通する。 「30基のサイロで44発のミサイルを準備することで直面する脅威に対応できる」とリン副長官は国防総省の2010年度予算要求では既存の地上配備迎撃ミサイル(GBI)(アラスカ州とカリフォルニア州)の配備数を現状数で打ち止めにしようとしている。 「一番にほしいのはイランから発射のミサイルの早期発見と早期追跡能力だ。」とオライリー長官も同意する。同長官は無人機と強力なセンサーを運用し、探査範囲を拡大し、赤外線センサー搭載の衛星で地球規模の監視が出来る体制を想定している。 それでも上院軍事委員会の各委員は政治的な側面から初期段階での迎撃・戦域防衛を進めるペンタゴンの姿勢を支持しつつも、GBI配備に歯止めをかける提案には抵抗がある議員もおり、オバマ政権が前政権のボーランドおよびチェコへのGMD配備交渉については言葉を濁していると感じている議員もいる。ジョセフ・リーバーマン上院議員(無所属 コネチカット州)とジェフ・セッションズ上院議員(共和 アラスカ州)はブッシュ政権下の言い分を撤回することはNATO同盟国に無礼なことになると考える。一方アラスカ州の新人議員マイク・ベギッチ(民主)はGMDの方針変更の根拠となっている分析に対して信頼度とライフサイクル費用で疑問をなげかけている。 国防総省は上院の意見には冷静であり、ヨーロッパに配備予定のミサイル防衛の代替策を

US: 2010年度国防予算案が下院で承認された

House Panel OKs $8.9B For Special Ops aviationweek.com 6月17日 下院軍事委員会はオバマ政権の2010年度国防予算要求案を6月16日に採択し、89億ドルを特殊作戦軍団(SOCOM)に、6.03億ドルを共用打撃戦闘機の代替エンジン選定にそれぞれ認可した。総額5、504億ドルの支出が認められ、対テロリズム小委員会の提言でSOCOMには上記89億ドル以外に3.08億ドルが別の重要項目に全額認められた。 その他委員会が通過させた内容には国防総省の要望する非殺傷兵器システム、サイバー操作要員の採用および雇用延長、国防情報局のバイオメトリクス応用の情報分析技術開発の継続がある。 あわせて同委員会によりF-35の代替エンジンの調達、研究開発予算措置が継続さされる。6.03億ドルをロールスロイス/GEのF136エンジンに支出し、2010年度の購入機数を30機から28機に削減して出費を抑える。削減の2機は空軍と海兵隊それぞれ一機とする。 同時にペンタゴンに対し、F-15、F-16、F-18改修型購入の検討と報告書提出を求める。これは、2015年から2025年の間に予想される「戦闘機ギャップ」として旧式F-15とF-16の退役が多くなる一方でF-35生産が本格化するまでの不足を補うためのもの。この決議でペンタゴンにはいわゆる4.5世代戦闘機の購入をすべきかの検討をさせる。一方、マイケル・ターナー下院議員(共和 オハイオ州)の改正案で地上配備ミサイル迎撃機の予算復活は否決となった。その分の予算は北朝鮮の仮に交渉が妥結して核開発施設撤去に使うものとしている。

F-35の電子戦能力向上へ

Stealthy Jammer Considered for F-35 aviationweek. com 6月15日 F-35に搭載する新型低視認性の電子戦ポッドの検討が完了し、同機の電子戦能力をさらに拡張できる見込み。F-35は次世代ジャマー(NGJ)の候補機であるものの、従来型のポッドでは同機のレーダー断面積が増大する。そこで、ステルス性の高いポッド設計が必要となる。NGJの予想実戦化は2018年で、ブロック5のF-35開発と同じ。ブロック5の詳細仕様は現在準備中だが、ジャマー含むソフトウェアの「フック」が盛り込まれる予定。海兵隊はF-35でEA-6BプラウラーとALQ-99を交代させた電子戦(EW)と電子攻撃(EA)能力を期待している。基本形F-35にもEW/EA能力は相当レベル搭載されている。同機のAPG-81アクティブ電子スキャンアレイレーダーはスタンドオフで地対空ミサイルで接近するものあるいはこれから発射するものをジャミングすることが可能で、SAM交戦能力を相当程度低下させる。現在の運用部隊編成には電子戦専用機は少数しかないが、JSFでは基本機体能力にEW技術を組み入れるので作戦立案が柔軟になる。 アルマズ・アンテイS-400(SA-21グラウラー)のような新世代のSAMは現役世代の攻撃機には大きな脅威となる。S-400派生型がロシアから輸出されている。 海兵隊はF-35のEA/EW能力を漸進的に向上させEA-6Bと交代させる意向。また、無人機で交代させる可能性も検討中。または無人機をF-35の補佐役に使えないかとも考えている。

ボーイングのF-15サイレントイーグル続報

Boeing Studies Stealth Eagle Options aviationweek.com 6月11日 ボーイングはF-15SEサイレントイーグルのレーダー断面積(RCS)がどこまで縮小できるかをで研究中であり、このあと同機の輸出可能性について合衆国政府からの許認可を求める。 【RCS削減】 RCS実験室内テスト含む専門研究が開始されており、このデータがどのレベルのステルス性なら同機に関心を有する各国に輸出できるかを政府と議論する際の参考データとなろう。テストには新造のサイレントイーグルと既存機改造機体を使う。RCS削減に効果があるのが機体一体型兵装庫で現行のF-15が装備する一体型燃料タンクを取り替えること。 【韓国が顧客第一号か】 ボーイングはRCS研究を早期に完了し、次のライセンス許認可プロセスに移りたい意向。同社はF-35とほぼ同水準のRCS特性を持つ同機の輸出を合衆国政府が許可することを期待。最初に同機の採用国になりそうなのが韓国だという。 【兵装庫】一方でF-15SEの兵装庫の設計が進んでいる。扉の開閉に電気、油圧あるいは圧縮空気のいずれを使い、迅速な開閉を実現するかがポイントだ。研究には海外のパートナーも関与する可能性があり、完成に時間がかかるかもしれない。同機に関心を持つ各国から同じ兵装庫にその他装備として側方監視レーダー、電子戦ジャマー等を格納できないのかとの引き合いが来ている。 【飛行特性の変化】 F-15FEの発表があった3月以来、ボーイングは既存機改修オプションの作業をしており、既存一体型燃料タンクを交換した際の飛行距離への効果についての研究が進んでいる。改修型のF-15Eでは半径220から240海里分の航続距離減少となる。新造機のF-15SEでは斜め配置に尾翼設計が変わり、デジタルのフライバイワイヤーと電子戦装備が加わり、180から200海里の減少となるだろう。一体型タンクを取り外すと、1,500米ガロンの燃料がつめなくなるが、デジタル式電子戦装備がこれまでの三つの系統をひとつにまとめるため、その分だけは燃料を搭載できる計算。デジタルのフライワイヤーで機械式飛行制御系装置が不要となり、重量・容量ともに節減効果が出てくるが、斜め配置尾翼により揚力が発生し、先頭部からバラスト400から500ポンド分を取り外すことができる。

F-35の導入計画が具体化している各国のケース

F-22はあきらめてF-35を勧められている日本ですが、肝心のF-35の他国への導入予定はどうなっているのでしょうか。 Norway To Begin F-35 Negotiations aviationweek.com 6月10日 ノルウェー国防省はロッキードF-35A最大56機の購入交渉を開始する。これは同国議会がサーブ・グリペンNGを退けJSFを推奨する決議を行ったため。交渉期間は2ヵ年の予想。ノルウェーはJSF共同開発国のひとつ。今年度に交渉を開始し、納入開始を2016年、作戦能力を2020年までに獲得の予定。ロッキード・マーティンのノルウェー向け計画は購入開始を2014年としており、第8次低レート生産バッチ分から供給するとしている。 【その他国向け発注ずみ】 カナダ、デンマークも同時期の発注をしている。そのほかには英国は同国向け生産割り当て合計17機の中から最初に2機を試験用に発注している。オランダ向けには試験機1機があるが、同国の最終判断は2010年以降となる。英国向け試験機三号機とオランダ向け二号機は低レート生産第四バッチの合計32機の中から来年割りあてとなる予定。オーストラリアは合計100機のF-35A購入を確約しているが、第六低レート生産分(LRIP6)からの納入となり2012年が初号機購入の予定。イタリアはA型B型合計131機、トルコはA型100機を導入予定で同じくLRIP6生産分から購入することになる。 【これから商談開始の国】 ロッキード・マーティンは現在AV-8Bハリアー+を運用するスペイン向けにはF-18の後継機としてF-35を打診中。同様にフィンランド向けにも提案を作成中。イスラエル向けにはA型25機をまず販売する交渉が続いているが、2014年までの導入を希望する同国向けには早期の交渉合意が必要だ。 コメント:  この中で日本が本当にF-35を獲得できるのでしょうか。それとも相当のプレミアム=割り増し金の負担を求められるのでは。どうしてもF-22へのこだわりが続くと本当にそうなるでしょうね。くやしいですが。

F-X選定を遅らせる日本 でもその代償は?

Japan Likely To Delay F-X Order aviationweek.com 6月9日 防衛省はF-X次期戦闘機発注手続きを平成23年度の開始までは遅らせる模様。これでロッキード・マーティンの受注可能性が増す。今回の手続き凍結はF-35ライトニングIIが不利とされる就役開始が未完了という点を打ち消すことになる。また、防衛省は米国に対してロッキード・マーティンF-22ラプターの輸出禁止方針の変更を求めることにも時間を利用したいと考えている。時間ができたことで、日本の武器輸出禁止方針も終止符が打たれる見込み。ただ、今回の先送りは更新対象のF-4EJ改をさらに延長して運用することとなる点で問題。防衛省によると今回の措置でファントムの飛行時間を制限した運用にするという。これで同機の運用期間は延びるが、老朽化を食い止めることにはならない。 当初案ではF-Xの予算要求を平成22年度予算案に盛り込む予定であった。F-Xの要求内容として50機を新規購入し、F-4の空対空任務を引き継ぐことが期待されている。本当はF-22がほしいのであり、米国政府が許可すればロッキード・マーティンから同機を購入することになろう。 日本が他にF-X候補としているのはボーイングF/A-18E/Fスーパーホーネット、F-15FXイーグル、ユーロファイター・タイフーンとダッソー・ラファール。ラファールがこの中では一番可能性がないと見られ、ダッソーも競争に加わる熱意は低い。ロッキード・マーティンのF-22とF-35に関する情報があまりにも不足しているので、同省は検討に時間が必要となっている。同省がロッキード・マーティンの二機種を比較検討しているということから、F-22が結局導入不可能となれば、F-35が強力な候補となろう。

北朝鮮がミサイル発射を準備 その対応は

North Korea Presses On With Missile Program aviationweek.com 6月9日 北朝鮮はミサイル発射を引き続き準備中であり、長期的には核実験とミサイル発射を実施することで周辺国に対する力の均衡と禁輸措置への対抗を目指している。 【MDAの対応】 一方、米国ミサイル防衛庁(MDA)は最悪の事態も想定している。すでに、同庁は北朝鮮ミサイル発射をシミュレートした目標に対するミサイル防衛実験を三回実施している。 【ミサイル発射準備のもつ意味】 最新の動向ではノドン級ミサイルの追加発射が同国東海岸で準備中と見られる。また長距離ミサイルテポドン2発射の準備が中国国境と近い北東沿岸地方で進んでいる。合衆国関係者は北朝鮮にとっては国際社会への非難と武力衝突の可能性を想起させることが同国の存在意義を訴える唯一の手段であり、実際には北朝鮮は戦争を望んでいないと見る。戦闘行為が発生しても短期間であり、連合国側の反撃が開始される前に交渉に持ち込む狙いと見ている。朝鮮戦争の終盤2年間に実際に同じ戦術が取られているが、北朝鮮は休戦協定は現在無効と一方的に宣言している。 【センサー能力に依存する米政府】MDAはセンサー能力が向上しており、仮にミサイル発射がテストなのか実弾なのかを政府トップに知らせることが可能としている。詳細は明らかにされていないが、このセンサー能力により米国には実際の攻撃が開始となっても反応する時間の余裕が大きくなっている点は特筆すべきだ。現在検討中のオプションには無人機システム(UAS)に赤外線探知といったセンサーを搭載し、発射時の既存センサー探知を開始させるというものがある。UASなら目標近辺の飛行が可能であり、データを米軍に送信するとともに、雲に隠れて発射を探知することが可能。国防支援計画の宇宙配置赤外線探知システム(SBIRS)に搭載した装備はミサイルブースターの赤外線探知を上昇中に雲から出たところで捕捉することが可能。 【確立されていないミサイル迎撃技術】 直近の地上配備中間段階迎撃(GMD)システムは12月にアラスカ州コーディアックから発射の目標を細くし、カリフォルニア州ヴァンデンバーグ空軍基地から発射の軌道ブースト飛翔体迎撃機が北朝鮮ミサイル発射に向けた飛行経路をシミュレートしている。ただし実験関係者は目標ミサイ

VH-71中止方針に異議高まる

Objections To VH-71 Cancellation Grow Louder aviationweek.com 6月5日 ゲイツ長官が次期大統領専用ヘリコプターVH-71調達の中止を発表したことへ各方面から反対の声が高まっています。 【議会から】 直近で反対の声を出したのはモーリス・ヒンチー下院議員(民主 ニューヨーク州)で選挙区にはロッキード・マーティンのVH-71プロジェクト本部があるオウェゴがある。同議員の反対意見の主な点はペンタゴンが議会に相談せずに中止を決めたことにある。「憲法では明らかに連邦予算の支出を決定する権限と責任が議会には与えられております」とヒンチー議員は話す。国軍の最高司令官たる大統領およびホワイトハウス関係者が搭乗するヘリ機種の決定は議会が最終的に行うべきと同議員は主張する。産業界寄りのレキシントン研究所主催のテレビ会議でロスコー・バートレット下院議員(共和 メリーランド州)はゲイツ長官方針への批判として海軍による中止決定の法的根拠ならびに道徳的根拠に疑問を呈した。「国防長官が本計画を中止するのは長官の権限外の行為ではないか」と同議員が発言。「ペンタゴンとホワイトハウスとはパートナーですが、われわれを差し置いた今回の決定を遺憾に思います」 【イタリアから】一方、イタリアの国防相イグナシオ・ラ・ルッサはゲイツ長官への書簡で、同国の懸念はアグスタウェストランドが機体を供給しており、イタリアおよび英国内の雇用が危機に瀕することであり、大臣自身の「解決策」を教示している。また、アグスタウェストランドも広範な協力を惜しまず同計画の進行につながるための最良の選択肢を見つけることができるとも伝えている。同相はアメリカとの共同航空開発プロジェクトが多数あることとしてF-35JSFをレイとしているものの、報復は考えていない点を伝えている。VH-71がイタリアのシルビオ・ベルルスコーニ首相とオバマ大統領の初の首脳会談の議題に上る可能性がある。 【業界の見方】アグスタウェストランドと親会社のフィンメカニカは引き続きVH-71中止はオバマ政権の政治上の決断ととらえており、運用上あるいは予算上の問題からではないとの立場。代替案結局保安上は弱く、費用は高くつくと専門家は指摘している。

CSAR-Xは仕切りなおしへ

DOD To Get CSAR Requirements By September aviationweek.com 6月4日 国防総省は戦闘捜索救難(CSAR)ヘリの要求性能水準を9月までに再作成する。調達責任者アシュトン・カーターは5月末に150億ドル規模のボーイングHH-47 CSAR-Xヘリコプター計画を中止とし、カーターは「国防長官は計画評価分析部長と統合参謀本部に対し、各軍と協力の上、CSAR-X要求性能水準の再評価を命令した。」とメモを配信した。 【中止に戸惑う空軍】 空軍の主張は長年にわたりこれまでのCSAR-X要求内容は徹底的な調査開発の結果であり、各軍部隊の共通ニーズを考慮の上、正しくまとめあげられたというもの。例を挙げると、空軍は代替案検討内容は電話帳の厚さになったと指摘している。 【ペンタゴンの考え方】 カーターの前任者ジョン・ヤングはCSAR-Xの空軍評価結果に対して疑問を呈しただけでなく、この任務に専用機がそもそも必要なのかという根本的な質問をしている。ヤングの要点はCSAR-X計画の前提に対する疑問だ。V-22オスプレイでCSAR任務が実施できるではないかとしている。同機はCSAR-Xコンペで価格が高いことと下降流が問題として対象から早期に外れていた。ヤングの見解はCSAR関係者の中に反論を引き起こしたが、これがペンタゴン上層部で反響を呼んでいるようで、CSAR-Xが調達リストから外れることになった。 【困るのは前線部隊】 CSAR運用部隊は現行機材の老朽化が進む中で各機の修理、改修を続けながら任務の要求にこたえることになるが、専用機は不要という考え方をペンタゴンから払拭したいと考えている。 コメント:  オバマ政権の財政再建のしわ寄せが救難ヘリ開発にも及んできました。人員の救難を優先して実施するのは人命重視だけでなく、志気の維持に大きく作用しますから本来後回しにできないのですが。当面はHH-60等を使いまわすのでしょうが、前線は大変でしょうね。(写真 結局飛行する姿を見られなくなったHH-47)

ABL 空中発射化学レーザー実験の今後

ABL Laser Gets MDA Nod Thus Far aviationweek.com 6月3日 ミサイル防衛庁(MDA)長官は空中搭載レーザー(ABL)のミッションシステムズの性能実績にこれまでのところ満足しているものの、搭載機体の 747-400Fに耐空性で問題が生じている。 米陸軍中将パトリック・オライリーはABLのレーザー発射試験で100キロメートル先を対象に大気中補正で実施した回数合計が12回となり、直近では先週末に行われていると明らかにした。大気中の分子を補正してレーザーの持つエネルギーが拡散されないようにすることがシステム機能の大きな鍵だという。この大気補正を100分の一秒単位で決定することがシステム上可能と同中将は語る。この結果が将来のABLシステムにも応用される。ABLの基本任務は打ち上げ後の加速段階にある弾道ミサイルの動力部にレーザー光を照射しミサイルを破壊することにある。オライリー中将はABLには「スリーストライク」の考え方で対処していると話す。一番にシステムをスカッドミサイルと同等の目標を対象に試験し、早くて今年9月になるが10月の可能性が高いという。これが失敗に終わると、年末に再度実施される。最後の予定は来年春で、仮に毎回失敗するとゲイツ国防長官に対してこれまで数十億ドルを支出してきた同計画の今後について相談しなくてはならなくなるだろう。ミサイル撃墜テストに先立ち、技術陣はABLの光学システムに手を加え、「第二世代」光学系装置として汚染への耐性がつよいものに換装するという。ただし、この計画の障害となりそうなのが使用している 747-400F母機の「調子が悪くなっている」ことだと中将は説明。同機の油圧系統とブレーキで問題が生じており、その理由の大きな部分は同機にレーザー装置を搭載する際に同機が地上待機となる時間が長かったことにある。「飛行開始直後の問題発生を経て同機は飛行可能状態に戻り現在は定期的に飛行しています」(ボーイングABL担当副社長 マイケル・リン)「先週も数回の飛行を実施しました。初期段階の問題は急速に解消しつつあることがわかりました。」  2010 年度国防予算要求ではゲイツ長官はABLは研究プロジェクトとしてのみ維持し、今後の実戦配備の可能性を排除している。オライリー中将もこの方針に同意しており、化学レーザーシステム

F-22を求める日本の動きはこれからか

Japanese F-22 Campaign Lives On aviationweek.com 6月3日 【なぜ日本にF-22が必要か】日本の防衛関係者はF-22導入を断念しておらず、日米の実務者サイドは中国の戦闘機能力向上と巡航ミサイルの脅威に注意を喚起するとともに、将来は尖閣諸島近辺での石油ガス開発をめぐり、領有権を主張する各国との外交対立が武力衝突に発展する可能性も予測している。同地区への飛行距離が長いことと近隣に有効な航空基地が不足しているので航空自衛隊には固有の運用上のニーズが生じている。KC-767空中給油機とE-767空中早期警戒機で該当諸島のパトロールは可能なものの、日本と中国の間の広大な海洋上空に十分対応可能な速度、高度、ステルス性、攻撃精度、小型目標を捕捉可能なレーダー性能を持つ戦闘機を上空に配備する必要がある。小型目標の捕捉能力は巡航ミサイル対抗手段に必要で、精密攻撃能力は該当諸島が仮に敵勢力に占拠された際に必要だ。 【導入計画は】 日本側関係者は一貫して装備規模の拡大は否定しているのでより高性能な機体を導入する必要に迫られている。FーX計画でF-22クラスの高性能機合計20機から60機を購入するのが目標。その後のF-XXでF-35クラスの機体をもっと多く導入する目論見だ。ともに既存機体を差し替える予定。 【輸出禁止決議をどうするか】米国議会がF-22の外国売却を禁止している点が引き続き障害だ。ロッキード・マーティンが米空軍装備の外国向け販売をめざしたロビー活動はしていないと否定しているものの、議会内には米空軍にF-22に輸出可能なタイプの生産をすることで生産コストを下げる可能性を求める決議の動きがある。米国航空宇宙関係者は海外販売の可能性は不確実でF- 22生産ライン閉鎖の日程が未確定であることから考えられるいろいろなオプションとそのコスト効果について混乱が生じているという。「オプションのうわさがあがっていますが、輸出禁止方針を変更できるのは議会であり、今のところだれも60機の追加生産契約が有効になっているのか見えていません。補正予算での追加4機購入が確実でないとなると、ロッキード・マーティンもラインを完全に閉鎖するのか、生産再開を前提に製造停止するのか決めかねるでしょう。」  【空軍も否定的」 米空軍高官も先週開催された空軍参謀総長ノーマ

グローバルホークが不時着

Global Hawk Emergency Prompts Hard Landing aviationwek.com 6月1日 米空軍所属グローバルホーク無人航空機システム(UAS)が飛行中に緊急事態に遭遇し、エドワーズ空軍基地に5月28日不時着する事態になっていたことが空軍関係者から明らかになった。緊急事態は同日夜間に発生し機体は乾湖に着地したという。該当機はブロック20の機体で主翼を延長し、3,000ポンドのペイロードを搭載可能。空軍はこの型にゆくゆくはU-2が実施している高高度監視活動の実施を期待している。飛行は同機の離発着重量増加を目指した限界テストの一環と思われる。 ただ、事故発生のタイミングが悪い。アシュトン・カーター(新任ペンタゴン調達トップ)が国防調達委員会(DAB)の検討の一環としてグローバルホークを取り上げる予定の前夜に発生したのだ。米空軍関係者がカーターに対し同事件を説明したが、調査結果未着につき結論は伝えていないという。DABはブロック20/30のグローバルホークの初期作戦能力試験および評価方法を作成中。

北朝鮮が開戦に踏み切ったらどうなるか

North Korea's Annoyance Campaign aviationweek.com 5月31日 ご注意 以下は昨日のエントリーの続きです。 北朝鮮が大規模な戦闘行為に突入する可能性は低いが小規模な行動は起こりうると米軍情報関係者は見る。 【北朝鮮のロジック】 一見すると支離滅裂な北朝鮮だが、同国が平和な状態を受け入れられないのだと考えると理解できる。完全な平和が実現すれば、同国は第3世界の一ヶ国にすぎず世界に対する影響力はなくなってしまう。かといって開戦に踏み切っても勝利の可能性はない。「北朝鮮は国際社会から無視されることは甘受できないのです。これまでは西側の反応をみて同国も行動してきました。ばかげた話ですが、同国の思考方法は合理的です。戦略論からは相手方の行動に対応するのではなく、こちらから行動を選択すべきなのは明らかなのですが。北朝鮮の次の行動を予測するのは困難ですが、予想はできます。合衆国が過剰反応することはむしろ危険です。」(朝鮮半島情勢を長年にわたり見てきた空軍関係者) 【警戒態勢引き上げ】 休戦状態を停止するという北朝鮮発表のあと米韓連合軍は警戒態勢を引き上げている。空軍の分析専門家は今後もミサイル発射実験、核実験の追加、核開発計画再開、ミサイル・核技術の輸出復活、サイバー攻撃ならびに非武装地帯での軍事衝突を予測。 【対艦ミサイルの脅威】 国際的に懸念が広がっているのは北朝鮮が対艦ミサイルの開発と試射に成功していることだ。西側情報筋がKN-01と呼称する同ミサイルはソ連時代のスティックスを原型としつつ、ロシア製のSS-N-25「スイッチブレイド」に類似している可能性がある。中距離射程で海面をすれすれに飛ぶ同ミサイルが本格生産に入り、相当数が配備となると侮りがたい脅威となるだろう。 【核実験の影響①】 あたかも戦争状態のような宣伝文句が流布しているが、国連安全保障理事会決議で北朝鮮船舶の臨検を認める可能性が出てくると、韓国が「核兵器輸送拡散対策」を支持する姿勢を示した。北朝鮮はこれを宣戦布告とみなすと警告。 【核実験の影響②ミサイル防衛の整備】 今回の核実験で日本と韓国はそれぞれ北朝鮮ミサイル迎撃の体制整備を早めると予測される。北朝鮮がミサイル搭載可能な弾頭兵器を実用化するにはまだ数年かかると見られるが、韓国はその間に弾道ミサイル

北朝鮮の軍事行動に備える米韓軍

U.S. Experts Weigh North Korean Capabilities aviationweek.com 5月28日烏山空軍基地にて 北朝鮮関連の情報収集は一筋縄ではいかない。人的情報源がわずかであることに加え、険しい地形、地下施設の分布、また上空飛行ができないことがその要因であると米軍専門家は明かす。だが、米国は韓国と共同でこの困難な作業にあたっている。「情報収集は通常兵力の対峙の最後の防御です。開戦が現実のものとならないことを祈るばかりですが、毎日の準備は怠りません。警告時間の余裕がなく、厳しい状況ですので、第一に考えているのは相手側対象の識別と警報発令です。」(ゴードン・イスラー米空軍大佐 第7空軍情報部隊司令官) 【ソウル攻撃の可能性】 北朝鮮軍のソウル攻撃態勢は均衡がとれておらず、1950年に成功した攻撃で米軍・韓国軍を釜山まで追い詰めた経験を再現することは不可能と見られる。韓国軍と米軍の最大の課題はソウルへの砲撃、ミサイル攻撃の阻止にある。北朝鮮は特殊作戦部隊、戦術ミサイル(スカッド改良型)、大量破壊兵器(化学弾頭)と多岐の作戦能力の維持に努めているようだ。 【北朝鮮の装備近代化】「装備の近代化もすすんでいます。テポドン2の追跡誘導はいっそう正確になっており、射程距離も伸びてきました。」(ジョー・ディヌオボ大佐 在韓空軍情報収集偵察監視グループ司令官)「コンピュータ利用による指揮命令能力が向上し、防空網のネットワーク化を進めています。ただ、資源に乏しいため演習経験が不足しており、作戦目標も限定しています。その結果、ソウル攻撃能力を示すことで交渉材料としようとしているのです。」(同大佐) 【開戦のシナリオ】 米韓連合軍の防空体制のあらましが本誌に判明した。大規模攻撃が北から開始の場合は、韓米軍は一日あたり3,000回の出撃を実施し、「非常に能力の高い防空網」に対処する。「北朝鮮の軍事力の多くを目標とする」(マイク・ケルツ准将 第7空軍副司令官)ものだという。「相手側の配備には旧装備としてSA-2、SA-3、(長距離の)SA-5がありますが、コンピュータと光ファイバーで非常にうまく統合しています。今や予想可能な周波数をもらすこともありません」(同准将)「控えめにみても北朝鮮は開戦24時間から48時間以内に25万発の重火器を発射する可能性があ

KC-767J IOCを獲得

ボーイング社ウェブサイトより 5月26日 セントルイス発 ボーイングは本日KC-767J空中給油機3機が初期作戦能力(IOC)を獲得し、航空自衛隊(JASDF)部隊に正式に配備となったと発表。「日本にとっても、当社の給油機事業にとっても記念すべき日になりました。JASDFの歴史上初めて空中給油能力が利用可能となり、同時に人員・貨物輸送能力も向上になります」(給油機事業担当副社長デイブ・ボーマン) 防衛省およびJASDF関係者はKC-767Jを4月に小牧基地での式典で「作戦実施可能状況」と認定していたが、それに先立ち同機は一年以上の技術評価を受けていた。発注合計4機のうち三号機は3月にウィチタ工場での改修後、JASDFに予定通り予算範囲内でフェリー飛行の後引渡しされている。一号機、二号機は2008年2月および3月に引渡し済み。残る4号機は代理店伊藤忠商事に12月に納品ののち、2010年第一四半期に防衛省へ引渡しの予定。現在ウィチタ工場改修センターで最終工程に入っている。767-200型をベースとしたKC-767には当社の発達型空中給油用ブームと遠隔空中給油操作システムII型が搭載されている。日本向けの機体は給油任務、輸送任務への切り替えが可能でいずれの場合も空中給油能力を発揮できる。ボーイングはイタリア空軍(ITAF)向けKC-767給油機2機の総合飛行試験を実施中であり、別の2機向けの機体改修も実施中。イタリア向け初号機の引渡しは今年中の予定。

DARPAはすごいことを考えています

Darpa Plans Triple-Target Missile Demo aviationweek.com 5月22日 【モード切替が可能なミサイル】 DARPA(国防高等研究計画局)の2010年度予算要求には32.5億ドルで新型高速長距離空中発射兵器を開発し、対航空機、ミサイル、防衛網突破を目的とするものが計上されている。三つの目標に対応できるので、T3(Triple Target Terminator)と呼称され、戦闘機・爆撃機および無人機の外部あるいは内部搭載され、空対空、空対地の切り替えが可能で、一回の任務で対象とできる目標の範囲が広がることになる。2010年度はまず7百万ドルでT3計画を開始させ、推進動力、マルチ・モードのシーカー、データリンク、デジタル誘導制御、発展型弾頭の技術要素を求めることから始める。 【他にもこんな変なものがいっぱい】 その他の新規事業で2010年度から開始を目指すものは以下の通り。①自動空中給油: 高高度で無人機への宮中給油をプローブとドローグを装着したグローバル・ホークで実施する。②トランスフォーマー車両: 地上走行可能な航空機で、ハイブリッドの電気ダクトファン推進により、1から4名を二時間飛行させる ③潜水航空機: 飛行と潜行が可能な機体。そのほか企画中のものにサイレントトークがある。これは発声なく神経信号により特定の語彙を伝えるもの。「頭脳は単語固有の信号を形成し,声帯に電気インパルスを送っている」とDARPAは説明する。脳波計を使い、この「発声信号」を捕らえ、各信号を単語レベルで整理することを目指し、機密性のある意思疎通をめざすという。DARPAの狙いは第一段階として戦闘状況でよく使われる100語の特有の脳波パターンを把握すること。 コメント: やっぱりDARPAのプロジェクトには相当奇妙なものが入っていますが、これが情報操作なのかはわかりません。とまれ、創造力の維持発展のために技術的な挑戦をあえて進めているようです。「変なもの」と書きましたが、DARPAは懸命に実現を追及するのでしょうし、その中から本当に実用となるものが生まれるのでしょう。自動空中給油はその中でもまず早く実用化してもらいたいものです。

USAF 戦闘機の機数不足を既存機寿命延長で乗り切れるか

USAF F-15s May Get Service Life Extension aviationweek.com 5月26日 米空軍はF-15C/D/E型の疲労試験を実施し、同機の耐用年数延長化(SLEP)が可能性を判断する。同機は約8千飛行時間の耐用性があると予想されており、マーク・シャックルフォード中将(調達副責任者)はSLEPでこれが12千時間になるという。 【F-16にもSLEP】  同時にF-16にもSLEPを実施し、同機の耐用は4千時間から8千時間に延長となる。旧式化しつつある第四世代戦闘機の耐用年数延長は空軍にメリットが大きいのはF-16・F-15部隊がF-22・F-35に入れ替わる際の機数不足が予測されているから。 【州軍の機体更新へ懸念】 本件は議会関係者にも切実な問題。ガブリエラ・ギフォーズ下院議員(民主 アリゾナ州)は州軍鉱区部隊のF-16・F-15が次期機体の手当て見込みなしに退役する予定であることを危惧している。F-35が実用化となるまでには空白が生じる。空軍は2010年度に戦闘機合計250機を退役させる計画。ギフォーズ他の議員は5月20日の下院軍事委員会空陸小委員会公聴会で空軍将官3名を州軍航空隊の現役機から新世代機への移行案について激しく追及。空軍側は四年に一度の国防体制見直しの後11月に移行案発表の見込みと回答した。 【深刻な州軍機材の不足】 同案の内容は州軍航空隊合計18飛行隊のうち2飛行隊にF-22を配備するもの。4飛行隊に性能改修型「ゴールデン・イーグル」を配備し、残る12飛行隊については未定。無人機が配備される可能性もあるし、飛行任務そのものが実施できない隊も出るかもしれない

北朝鮮の核実験データを待つアメリカ

U.S. Awaits North Korean Test Results aviationweek.com 5月27日  韓国 烏山基地発 北朝鮮による二回目の地下核実験ならびに一連のミサイル試射が今後のトラブルを引き起こすことは明らか、との立場を在韓米軍のトップは取っている。ただし、韓国への攻撃の可能性は小さいと見ている。 【黄海上で衝突?】 想定リストの上部には黄海上の衝突があり、韓国、北朝鮮、中国の漁業利権が絡み合っている。軍事アナリストはまもなくはじまる蟹漁が引火点と指摘。核兵器開発を進める北朝鮮の行動は現政権維持のための戦術的な意味合いが強いと見る向きがある。その他、大きなイベントとなる可能性があるのは弾道ミサイルの追加発射、ミサイル・核技術の輸出拡大、およびサイバー攻撃。 【まだ分析が出来ない】 合衆国は5月25日に起こった核実験の整理で手が回らないのが現状。確実な証拠はマグニチュード4.7の地震計記録しかない。2006年10月の実験時の記録は4.1。確実なデータは実験後4日以上たたないと入手できないが、放射能を帯びたチリが地下実験場から出て日本海上空を漂えばWC-135Wコンスタント・フェニックス機が大気標本を収集できる。同機は第55飛行大隊第45偵察飛行隊(ネブラスカ州オファット空軍基地)の所属。2006年実験の際は分析に3週間以上が必要であった。 【5月25日実験と今後の動向】 情報関係者の一人は今回の実験規模は「2キロトン以下で前回よりも大きいものの予想規模を下回る」と語るが、データ詳細がまだない現在では単なる推察に過ぎないことに注意。また同関係者は「実験は2006年と同じ地下施設で実施されています。実験継続に必要なプルトニウム貯蔵量は十分あると見ています。」と語る。ただ、今回の核爆弾原料がプルトニウムなのかウラニウムなのかはまだ不明。さらに弾道ミサイル発射テストが近々に実施される可能性について「活動は認められるものの、断言するのは困難」と同関係者は話した。

武器輸出を解禁する日本

Japan to Drop Arms Export Ban aviationweek.com 5月26日 日本は武器三輸出原則を緩和し、最終的には西側防衛産業との統合プロセスが開始となるだろう。長年にわたる国内技術調達方針を変えて、武器開生産の共同開発を解禁する。一括禁止は1976年より続いており、その間に政府はアメリカと弾道ミサイル防衛開発を可能とした経緯はある。同原則は法律の定義がない政策方針であり、政府により変更は可能。テロ支援国家・人権軽視国家・輸出入管理の不十分な国家への武器輸出禁止は継続。武器輸出禁止の終了により日本国内の防衛産業はコスト削減と需要拡大を期待できると日経新聞記事は報じているが、政府筋の発表内容を基にしているのは明らか。 【F-Xへの波及】 次世代戦闘機がコスト低減と技術上の恩恵を受ける最初の例となろう。ゲイツ国防長官は日本政府に対し、ロッキード・マーティンF-35ライトニングの購入を求めていると報道されている。そこで、武器輸出禁止の解除は日本にF-35生産またはその他F-X候補機の生産がしやすくなることを意味する。マクダネル・ダグラスF-4ファントムの後継機として6機種を検討中の日本の購入予定は合計50機。ロッキード・マーティンのF-35およびF-22ラプター、ユーロファイター・タイフーン、ダッソー・ラファール、ボーイングF-15FX およびF/A-18E/Fスーパーホーネットである。米議会はこれより先にロッキード・ラプター輸出の可能性に道を閉ざしている。 【先制攻撃論】 それとは別に日本が平和主義色を薄め、自民党の内部に自衛隊による敵基地攻撃を自衛のため許す提言を出す動きがある。北朝鮮による第二回原子爆弾実験が5月25日にあり、防衛目的の攻撃を容認する政府決定が出やすくなってきた。ただし、この考え方はまだ全面支持されていない。 コメント:  日本国内報道では輸出禁止の「緩和」なのに本記事では「解禁」です。この差はなんでしょうか。記事を読む方は日本も武器輸出が可能となったと理解されるのではないでしょうか。あるいは政府の真意が英語記事と同じであれば国内向けには「温和な」表現しか使っていないことになります。緩和と解禁は同じではないかと思うのですが。

国防総省に巨額の非公表支出支出が見つかった

DOD Pays Billions For Unnamed Contractors aviationweek.com 5月22日 ペンタゴンは2008年度の「その他支出」のうち総額27億ドルを超える規模を「非公表」の契約先に支出している。国防総省文書ではきわめてまれな事例が同省の契約データベース分析から判明した防衛関連アナリストの言では今回の取引は極秘事項扱いで情報関連とのこと、かつ議会の監督関係者には契約先名称および実施内容の情報が提供されているという。 【その他支出全体の規模】 同年度のその他支出全体はおおよそ70億ドルで、同年度の国防総省関連予算項目の中では8番目の規模となっている。「その他支出」がペンタゴンのトップ20支出項目に入ってきたのはこの10年間ではじめてのこと。非公表業務のうち、大部分の24億ドルがイラク関連の取引行為とされており、残りはアフガニスタン向けである。アナリストは両国関連で千を超える企業体がペンタゴンとの取引のために設立されているという。 【では内容は?】 今回の「非公表」契約先はその他支出の38パーセントを占めただけでなく、この不明企業が合計7,950の取引のうち85パーセントを占める規模であることに注意。文書中に記述が省かれたことに疑いの余地は少ない。契約先の名称が「非公表」ということは秘密のアクションがあったということとアナリストは見る。たとえば、衛星関連の調達を隠蔽することはよくあることらしい。契約先社名が黒塗りされたり、隠されている場合の大多数は契約自体が不成立の状態であることを意味する。具体的な契約内容を公表するよりも、コードを表示するだけの場合もある。しかしながら、ばらばらに表記されている表示内容を組み合わせても、衛星あるいはその関連との関係を示すものは出てこない。また、公表されている内容の中には軍事情報収集活動と重なるものもあるという。2008年度補正予算からペンタゴンは総額49億ドルを情報収集活動に支出済み。 コメント:  要はわからないということですが、相当な規模のプロジェクトが突然その他支出にもぐりこんできたということですね。これまではCIAはじめとするブラック支出がさりげなく、隠されてきたのですが、あまりにも唐突な規模と出現タイミングです。衛星でない情報関連となるとやはり何度も噂される超高速有人偵察機でしょうか。

イタリア陸軍向けICH-47F

Italian Army Signs Deal For CH-47F Chinooks aviationweek.com 5月14日 アグスタウェストランドはイタリア陸軍向けICH-47Fチヌーク大型ヘリ16機受注分の一号機を2013年に納入する。契約は総額12.2億ドルで5月13日に調印された。契約内容には当初5年間のロジスティック支援および追加オプション購入4機を含む。当初契約は昨年秋に調印の予定であったが、予算不足により延期となっていた。このため、納入予定は一年間遅れることになった。 【配備計画】 チヌーク新造機は陸軍航空隊第一連隊(ローマ近郊ビテルボ)に配備される予定。ICF-47の導入はアフガニスタンでの作戦行動で既存ヘリが消耗しており急いで必要とされている。イタリアは同機を陸軍特殊作戦部隊用(現在派CH-47C+を使用中)にも使いたい意向だったが、この希望は「輸出妥当性」が理由に却下された。その中には空中給油用ブーム、低高度航法レーダーおよび改良型機体防衛装置として指向性赤外線妨害装置(DIRCM)ミサイル用のジャマーが含まれていた。F型の基本構成は特殊部隊用ではないが、イタリアはオプションを評価検討し、ICH-47FにDIRCM用にイタリアのエレットロニカとイスラエルのエルオプが共同開発中のジャマーを後日装備することにしている。 【生産体制】 アグスタウェストランドがICH-47Fの主要契約者となり、システム統合と最終組み立てを同社のベジアーテ工場で行う。ボーイングはフィラデルフィア工場から同機の胴体を供給する。アグスタウェストランドとボーイングはCH-47生産をめぐる提携関係の成立に時間がかかった。その内容は今回の契約内容を超えるもので、フィンメカニカの子会社がCH-47の生産販売で英国含むヨーロッパに加えてモロッコ、リビア、エジプトで権利を有する。 【中古機輸出】 アグスタウェストランドはさらにイタリア陸軍と交渉中で現役使用中のCH-47C+ヘリを改修修理の後、中古機市場へ販売する可能性を模索している。両者で合意が出来ていないのは各機の残存価値に関する点。イタリア陸軍でのCH-47Cの運用は21機までに減ったが、当初の調達合計は40機であった。チヌークの需要は国際的に高いことから、C型は運用機がすぐにでもほしい国や新造F型には手が出ない国から買い手

NASAの宇宙発電システムがピンチ

Aviationweek 5月11日号より NASAのプルトニウム238のストックが枯渇している。核兵器製造の副産物として太陽光の利用が困難な範囲で活動する宇宙探査機の発電用に使っており、深宇宙探査の継続のために早急に生産再開が望まれると全国研究協議会は考える。オバマ政権の2010年度予算案でエネルギー省分には30百万ドルでアイダホ州およびテネシー州の原子炉を再稼動させ、宇宙機のラジオアイソトープ熱電発電機(RTGs)用の燃料を確保する案が含まれている。Pu-238は1980年代以降は各処理場で製造されておらず、NASAのロシア側供給先でも貯蔵量が減少している。NASAはすでにPu-238供給不足を織り込んでミッションの規模縮小を開始している。ただ、オバマ予算案の30百万ドルは頭金にすぎない。生産再開の費用は総額で150百万ドルを下らないとの見積もりがある。
Senators Push Panel For 15 More C-17s aviationweek.com 5月13日 上院議員19名の連名で上院歳出委員会に対し2009年度緊急戦時追加予算案にC-17輸送機の追加発注を含めるように求める動きが出ている。同委員会は定数30名でイラク、アフガニスタンに加えて新型インフル対策として総額853億ドル内容の支出案を5月14日に採択する予定。書簡はバーバラ・ボクサー(民主 カリフォルニア州)とクリストファー・「キット」・ボンド(共和 モンタナ州)両上院議員が起草し、上院に対し追加分として15機のC-17調達に必要な予算を盛り込むよう求めている。C-17はボーイングのロングビーチ工場(カリフォルニア州)で組み立てられており、ボンド議員の選挙区。議会内のボーイング支持勢力は以前の生産中止の動きを何とか阻止してきたが、C-17関連で43州合計3万人の雇用があることを強調している。書簡では輸送需要の増加要因としているのはアフガニスタン国内の作戦の増加に加え、ドイツに新設されたアフリカ軍団に陸軍と海兵隊部隊が増強されること。 【国防長官は生産中止方針】 ゲイツ国防長官はC-17調達は205機で終了としたいと言明している。ゲイツ長官はC-17生産ラインの停止に必要な予算を2010年度予算に計上している 【下院予算にもC-17追加購入】 下院歳出委員会の戦時補正支出法案は総額943億ドルでその中には31億ドルでC-17を8機、C-130を11機調達する内容が盛り込まれている。 コメント: C-17の運用機数が大いに越したことはないのは利用者側の意見でしょう。一方、苦しい財政事情の中で国内を優先するオバマ政権(この内向き姿勢が大きな代償をともなうことになります)が予算捻出のためプロジェクトを整理する方針のため、政界で意見が分かれているのでしょう。一方、わがC-Xの開発が遅れると、C-17の購入あるいはリースというオプションが出てくるのでは。その意味でもC-17生産ラインが本当に終了となるのかここが正念場です。

米空軍2010年度予算の概要

USAF 2010 Request Lacks Major New Initiatives aviationweek.com  5月7日 米空軍の2010年度予算概算要求総額1,605億ドルは毎回新規プロジェクトを加えてきた例年に比してさびしい内容。C-17およびF-22の生産終了で空軍予算案には新規プロジェクトはわずか二つとなり、439百万ドルでKC-135空中給油機の後継機種選定を再開することと、9.5百万ドルで共用垂直離陸輸送機計画(CVLSP)を開始することのみ。後者は空軍宇宙軍団が核兵器運送の支援およびアンドルース空軍基地で要人輸送任務の支援に使用中のUH-1Nヒューイの後継機。 【予算の全体構造】 2010年度要求額は前年度査定額の1、614億ドルを下回る。ただし、後者は補正予算分を含む。2010年度分には戦闘作戦の追加予算160億ドルを期待。空軍がブルートップラインと称する自由裁量予算総額は約20億ドルの増加で、インフレを考慮すると実質減額とパトリシア・ザロキーウィッツ空軍予算局長は説明。同局長によると今年の空軍予算は人員削減の動きが止まり、来年度は総員331,700名体制となることもあり「均衡がよくとれている」とのこと。 【F-22の将来は未決】 C-17生産ライン閉鎖費用として91百万ドル、F-22生産ラインの閉鎖には64百万ドルが必要としている。ただし、F-22生産設備を「使える」状態で保存するのか、生産を完全に停止するかは未決定。(同上予算局長)  【ISR機】 概算要求が強調するのが情報収集・監視・偵察(ISR)用機の予算ならびに核兵器体系の維持管理予算。後者は空軍内部で核兵器取り扱いの不祥事が頻発したため。ISR向けにはセンサー開発も含め9億ドルが要求されているとのこと。 【CSAR-X先送り】 次期戦闘捜索救難ヘリ(CSAR-X)調達および次世代爆撃機提案競技は先送りとするとゲイツ国防長官が4月6日に発表ずみ。CSAR-Xの延期でH-60M合計2機とHH-60Gペイブホーク合計95機を追加購入する。 【輸送機】 空軍は共用貨物輸送機(JCA)開発の管理を陸軍から引き受けるが、詳細は未整理。また、C-27J輸送機合計8機を購入する。

ファンタムレイ:ボーイング自社開発UAV

Boeing Unveils Phantom Ray Combat UAS Aviationweek.com May 8, 2009 無人戦闘航空機ファンタムレイPhantom Rayは中止となったX-45からボーイングが自社資金で開始した短期試作プロジェクト。2010年にホワイトサンズミサイル試射場(ニューメキシコ州)での初飛行をめざす。ファンタムレイはX-45を単純に復活させるものではない。同機は政府の要求水準に具体的を満足するために作られておらず、他社と競合するものでもない。また、政府による指導監督の対象でもない。ボーイングは飛行実証後に兵器搭載、電子戦、情報収集、偵察、また指向性エネルギー兵器運用含む同機の運用可能性を実証する予定。 【ボーイング戦闘航空機の将来】 2001年に共用打撃戦闘機提案協議をロッキード・マーティンに奪われ、2007年には海軍向けの無人戦闘機システム(UCAS)をノースロップ・グラマンのX-47の前に敗北を喫し、ボーイングは戦術航空機事業の戦略を構築に苦労してきた。セントルイスが戦闘機生産の拠点であり、現在は韓国・サウジアラビア・シンガポール向けにF-15E派生型、米海軍向けにF/A-18E/FスーパーホーネットとEA-18グラウラーを生産中。この先の将来は未定だ。 【ボーイングの目論見】 国防予算が伸び悩む中、ボーイングにとってはファンタムレイ他のプロジェクトで世代機開発に技術陣を従事させる。また、設計スタッフも予算削減で人員削減となっているため従来の方法にとらわれない方法で航空機開発に挑戦せざるを得ない状況だ。海軍は再度提案競技を開催する予定で、おそらくX-47の飛行試験が終了する2013年より後となると見られるが、空母運用の次世代無人ステルス機を開発となる。ボーイングのファンタムレイ開発はその際には大きく生かされるだろう。 【社内開発】 ファンタムレイプロジェクトはボーイング社内では「リブループロジェクトProject Reblue」の呼称で2007年にコンセプトがまとまったもの。本格的開始は2008年6月。今月までは社内でも少数の幹部とエンジニアを除きその存在が秘密となっていた。 【ファンタムワークス】 以前は先端航空機システムズと呼称されていたファンタムワークスが2月に再発足された。旧名称の復活により、試作機製作の伝統も復活

P-8Aポセイドンの開発状況

Australia To Help Upgrade P-8A Poseidon Aviationweek.com 5月6日 【オーストラリア国防省の期待】 オーストラリアはボーイングP-8Aポセイドン海上哨戒機購入の第一歩としてアメリカとの協定に基づき同機の改修作業に参画する。先週発表のオーストラリアの国防白書では空軍所属のP-3Cオライオンの後継機として有人機合計8機(ポセイドンが想定)および最大7機の大型無人機(ノースロップ・グラマンRQ-4グローバルホークを想定)を導入する計画。P-8A改修の第一段階スパイラルワンに加わることで同機の情報を入手でき、オーストラリア産業界にも機会が生まれる。また、P-8A改修に同国の意見が反映される可能性が高まると期待。ただ、同国の負担金額は未発表。同国のP-3Cの退役は2018年の予定。 【2号機】 一方、米海軍向けP-8A二号機T-2はボーイングのレントン工場(ワシントン州)で完成に近づいており、隣接するボーイングフィールドへのフェリーフライトが予定されている。同機はミッションシステムの試験に供され、一号機T-1は4月25日に3時間31分の初飛行に成功しており、二号機とともに海軍のテストプログラムに2010年の第一四半期に加わる予定。T-1は現在ボーイングフィールドでシステム艤装中。 【海軍におけるテスト予定】 T-1がフライトテストを開始するのは9月ごろの予定で、その後三号機T-3も加わり、シアトルを数ヶ月間は拠点とする。これは海軍がボーイングのフライトテスト実施能力をより多く利用してからパタクセントリバー海軍航空基地(メリーランド州)で引渡しを受ける方針にしたため。T-3は兵装システムのテスト機材となり同機の胴体部分はスピリットエアロシステムズ(カンザス州ウィチタ)よりレントンに今月到着の予定。 【構造上の特色】 P-8Aは737-800の胴体部分・尾翼を補強したもの以外にストレッチ型-900の主翼を強化して使う。胴体下部に兵装庫がある。また主翼下部に兵装装着部分があり、主翼の先端はウィングレットではなく、熊手状に傾斜角がついている。 コメント:前段はオーストラリアのかかわり方についてですが、記事の後半の方が情報量が多くなっていますので、オリジナルの表題はふさわしくありません。Aviationweek電子版では記事がよく

大統領専用ヘリVH-71は復活できるか

AgustaWestland Pitches VH-71 Compromise Aviationweek.com 5月1日 ゲイツ国防長官により開発中止と機種選考の仕切りなおしの方向性が示されてしまった次期大統領専用ヘリVH-71についてメーカーのアグスタ・ウェストランドは反論を展開しており、端的に言えばここまで開発が進んでいるのにやり直しはないだろうというもの。第一期契約分のヘリをスクラップにするよりも同社はしかるべく型式証明を取れば機体寿命は10,000時間あり、仕様要求性能の1,500時間を超えていると主張する。ペンタゴンは同機の使用年数は5から10年しかなく配備するのは無駄と考えている。改装のもととなるAW101型はすでにメーカーの言う飛行時間の証明を受けている。さらに、同社によるとこれまでに33億ドルが費やされており、あと35億ドルあれば第一期契約分の機体計19機を納入できると反論する。この経費合計額は当初のVH-71予算案に近いもの。同社はさらに1.5型と呼ぶ性能向上型の構想を持っており、これが具体化すると当初の計画性能を実現できるが、総費用は130億ドルの当初予算以内になるという。同社は先行生産型としては第五号機のVH-71を英国ヨービル工場から納入したところだ。CEOであるジュセッペ・オルシは実施予算は当初の二倍となってしまったが、ヘリ機体に限ると予算超過規模はわずか8パーセントかつ遅延は6ヶ月に留まっていると語り、これは全部設計変更(大規模なものが50件、小規模なものは800件)によるものという。同社の第一期契約分のVH-71機体は予定の9機がすべて完成し、ロッキード・マーティンによる装備等の完成作業を待つ状態となっている。 コメント:おさらいしておくと、老朽化進むVH-3(S-61)の後継機として合計23機を購入しようという計画があり、アグスタ・ウェストランドのEH-101を原型とするVH-71「ケストレル」が採択されていたのですね。ロッキード・マーティンがインテグレーターとなるといっても機体は外国製というのはいろいろ波紋を呼んだ選択であったはずです。その後性能が思ったより出ない割には大幅に予算が膨らんで、という悪い話題しか聞こえてこなかったので、ゲイツ国防長官も大鉈を切ったのでしょう。メーカーとしては層ですか、と引き下がったのでは話にならないの

高高度飛行船実証機の初飛行は本年8月

High-Altitude Airship Demonstrator To Fly in August Aviationweek.com 4月6日 ロッキード・マーティンは今夏に監視用プラットフォームとして飛行船を成層圏で運用するコンセプトを実証する。飛行船は無人で数週間にわたり高高度にとどまることができ、月単位も可能かもしれない。高高度から高感度センサーと通信有効範囲を大きくとることができる。ただ、強風と昼夜間の繰り返しの中で一定位置を維持できるかが問題となる。【実証機HALE-D]  「次の段階は実証機の建造です」(ロン・ブラウニング 在オハイオ州アクロン、ロッキード・マーティン社海洋システム・センサー開発担当部長)同社は縮小モデルを高度長期間飛行実証機(High Altitude Long Endurance Demonstrator, HALE-D)の名称で8月に飛行させる予定。HALE-Dは米陸軍宇宙ミサイル防衛司令部(SMDC)の予算で開発中の高高度運用実証機のひとつ。「長時間滞空には大きな需要があります」(ブラウニング) 陸軍科学委員会の2008年夏季研究会で中高度および高高度で飛行船および無人機を運用すると長時間にわたる通信、監視、偵察用プラットフォームとして最高との結論が出ていることをブラウニングは指摘する。 【開発経緯】ロッキード・マーティンは高高度飛行船(HAA)の開発に数年間従事しているが、同機のコンセプトへの支持を議会内で得るには苦労して来た。同社は2005年に総額149百万ドルでミサイル防衛庁契約を獲得し試作機製作をすることになったものの、2008会計年度にこれがキャンセルとなった。その後HAAはSMDCに移管され、縮小版の実証機を製作し、無人自立型で太陽電池を電源とする同コンセプトの技術実現性および軍事有用性を証明することとなった。 【HALE-Dの詳細】 一ヶ月飛行可能で、高度6万フィートで500ポンドのペイロードを持つ最終目標の代わりにHALE-Dは二週間50ポンドのペイロードという設計。二週間あれば日周の繰り返しの中で成層圏にとどまる機能を証明できる。HALE-Dは全長270フィート、直径70フィートで船体容積は500,000立方フィート(約14,000立方メートル)あり、グッドイヤー飛行船の二倍の規模であり、ロッキード・マーテ

ターミナル1に豚インフルエンザ関連記事を掲載

ターミナル1に豚インフルの影響①②を掲載しました。民間航空にとっては今回の事態はただでさえ、不況で苦しいときに泣きっ面にハチという感じでしょうか。海外出張の自粛が広がりそうですので、需要の回復にはさらに時間がかかりそうです。エアライン各社の株も下がってきました。ところで日本ではいつまでインフルエンザという言葉に執着するのでしょうか。フルーという短い言い方ができれば報道・発表のたびに大幅に時間が節約できるのですが。

UAV キラービーとは

Northrop Grumman acquires KillerBee UAV line Aviationweek.com 4月28日 ノースロップ・グラマンはスイフト・エンジニアリングを買収した。同社は無人機キラービーのメーカー。バットと名称が変更されるこの無人機は6.5フィートから33.2フィートの全幅の異なるモデルで製造される機体・主翼一体型。スイフトはこれまでレイセオンと共同でキラービーを米海軍・海兵隊の小型戦術無人機(STUAS)のティアーII計画として提案していた。ノースロップ・グラマンはバットをSTUAS他の候補機として提案するという。ノースロップ・グラマンは以前からスイフトと共同で小型無人機を開発しており、2006年3月にキラービー4(全巾10フィート)を発表している。しかし、両者は業務上の合意ができないまま、2007年に提携を終了している。その時点でノースロップ・グラマンはオーロラ・フライト・サイエンシズと提携してゴールデンアイ80ダクトファン式UAVをSTUAS/ティアーII用に提案する予定であったが、オーロラが要求性能に垂直離発着が入っていないことを理由に公募提案を辞退してしまった。ノースロップ・グラマンはSTUAS/ティアーII提案に応募するかを明らかにしていないが、STUAS計画では今年後半にユマ試験場(アリゾナ州)で飛行実証実験の実施が条件となっており、性能水準が技術対応度6以上となっていることを証明しなければならない。同社はスイフトに引き続きバットシリーズの設計改良、製造準備、飛行試験・支援と製造全般に当たらせる。スイフトはカリフォルニア州サンクレメンテに本社があり、レーシングカーも製造している。                                                                                                                                                                                                                                                                                   

米本土の防空体制に黄色信号

Questions On U.S. Air Sovereignty Mission Aviationweek.com 4月23日 米空軍における戦闘機の不足により、海軍が本土防空ミッションの補完にあたることになるかもしれない、と国防総省が予想している。米空軍で防空任務につく機数の8割で代替機ないまま退役を迎えることになるとの証言が下院軍事委員会公聴会において4月22日あった。州軍部隊合計16のうち、11隊がF-16を運用している。そのうち、8隊の機体寿命が2015年から2017年にかけて終期に到達。民主、共和両党の議員が国防総省に対して不満感を募らせている。これに対しピーター・ヴェルガ次官補は海軍・海兵隊の機体を利用して防空ミッションを補強する準備をしていると答弁。本誌に対し同次官補はF-15部隊が地上待機となっていた間に海軍の艦載機が任務を補完していた前例があると指摘した。 【海軍機で代替できるか】 同次官補は海軍機が必要となる時期については明言せず、どの機種を使うかも発言しなかったが、海軍もF/A-18E/F型の追加購入が出来ないと戦闘機不足になると予測している。ゲイツ国防長官は現在進行中のミッションの観点からは海軍には余剰戦術機があると考える。F-15部隊はその後、飛行可能となり復帰したが、老朽化が進む機体では同じような問題が突然発生し、空軍の作戦実施能力が損なわれる事態が発生すると憂慮する向きもある。ヴェルガ次官補に同調するのがデイヴィ・ダゴスティノ会計検査院本土防衛担当部長、ダニエル・ダーネル米空軍中将(空軍幕僚次長)およびハリー・ワイアット州軍航空部隊司令官である。ペンタゴンに対し最も反対の声を大きく上げているのがガブリエル・ギフォーズ下院議員(民主、アリゾナ州)である。「将来の任務実施が危うくなっている」と同議員は発言。空軍は「急速に近づく戦闘機不足」に目をつむっているというのだ。第162戦闘機部隊がアリゾナ州ツーソンに駐留しており、F-16を運用しているが、改修作業を実施しないと全機が6年以内に飛行不能となると同議員は発言。 【州軍で深刻な機材不足】 ワイアット中将は州軍航空部隊にF-22およびF-35が配属されるのは「遅すぎる」し、配下の部隊に第五世代ステルス戦闘機が早期に配属されたとしても、運用上は多くの問題に直面すると発言。各基地では2014年

NRO副長官人事

hit counter cheap ultram Sapp To Assume Key NRO Position Aviationweek.com 4月16日 ゲイツ国防長官は国家偵察局(NRO)の筆頭副長官にベティ・サップを任命した。サップの現職は国防次官(情報担当)付調達資材責任者。在任中は国防総省と各情報機関との間の政策対立として中止となった宇宙配備レーダーとBasicと呼称の電気光学衛星画像情報収集をめぐる対立等をまじかに見てきた。NROにおける課題の中には新型電気光学・赤外線情報収集衛星の調達戦略があり、本計画はオバマ大統領により承認をうけたばかりのもの。その狙いは複数の電気光学・赤外線衛星を配備し、アメリカの画像情報収集能力の優位性を確保すること。本案件はロッキード・マーティンが単独受注するものと広く信じられているものの、NROは調達方針を公表していない。ブレア国家情報長官はサップ人事を了承しているという。サップの登用は議会の承認を必要としないが、三ヶ月前に同局を退任したラルフ・ハラーの後任となる。また、スコット・ラージNRO局長も今月に退任予定だが、後任人事の発表はまだない。

エンブラエルの新型輸送機KC-390続報

hit counter cheap ultram Embraer Sees World Market for New KC-390 Tanker/Transport Aviationweek.com 4月19日  この不況下でエンブラエルにとって13億ドルの受注で軍用輸送機開発に着手できるのはこの上ない好機だ。同社は空中給油・輸送機をブラジル空軍向けに開発を開始することで防衛関連売り上げを伸ばし、民間機の好不況サイクルを緩和することも出来る。契約期間は7年でターボファン動力のKC-390を開発する。同機の開発で戦術輸送機の機種構造が変わり、ロッキード・マーティンC-130Jに真っ向から競争する機体が出現することになる。 【挑戦か】 逆にロッキード・マーティンは戦術輸送の想定される任務すべてを実行可能な機体を開発するのは生半可ではないと見ているが。KC-390はエンブラエルが手がける最大規模の機体となり、同社のみならず競合他社からも挑戦だと見られている。特に、エアバスA400M軍用輸送機の開発の遅延とロッキード・マーティンがC-130Jの実用化に相当の時間を必要としたことが念頭にある。ブラジル空軍が開発費用を負担するとはいえ、開発が遅れるとエンブラエルの防衛部門の業務拡大に影を落とすだろう。競合他社からは13億ドルで完全に新設計の軍用輸送機を作れるのだろうかという疑問もある。エアバスはA400M関連で50億ドルを受領していながら、同機はまだ初飛行に至っていない。ロッキード・マーティンはC-130改良型に12億ドルを投入している。 【ブラジルの狙い】 KC-390プロジェクトはブラジル政府の戦略で国防力とともに産業基盤を強化するもの。その他としてF-X2(新型戦闘機)を120機、ユーロコプターEC725輸送ヘリの現地生産、フランスの援助で原子力潜水艦建造、フランス宇宙開発期間CNESの支援で衛星打ち上げ能力獲得が含まれる。 【開発経緯】エンブラエルがC-390として軍用輸送機のコンセプトを発表したのは2007年のラテンアメリカ航空技術展示会においてであったが、設計は相当変化している。当時はエンブラエル190リージョナルジェットを「迅速かつ簡素に」6億ドルの費用(うち空軍が4億ドル負担予定だった)で改装する構想であった。C-390コンセプトに対する潜在顧客の反応が設計図を

KC-X: 二機種同時購入に反対の国防長官

hit counter cheap ultram Gates Continues to Oppose Split Tanker Buy Aviationweek.com 4月17日 懸案の次期空中給油機の導入でボーイングとノースロップ・グラマン/EADSから同時に機材を購入する案にはゲイツ国防長官は「体を張ってでも」反対するとマックスウェル空軍基地の空軍大学で空軍幹部を前に発言している。これに対する反応は大きな拍手であった。同日の記者会見で機種が二つになれば訓練、保守点検、兵站それぞれで二つの仕様が必要となるので反対だとの立場を表明。空中給油機が二機種になると開発費用は5年間で140億ドルにのぼり、一機種に絞り込む際の二倍になるとも説明した。国会議員の中には何度も仕切りなおしとなっている空中給油機導入問題の解決のためには政治的な理由から二機種同時購入案を支持する向きがある。ノースロップ・グラマンもこの案の支持があるかを打診している。 コメント:世紀をまたがったこじれにこじれた米空軍の大問題です。政治的には両方を取得すれば丸く収まるのですが、やはり長官の言うとおり=空軍運用側の考えるとおり、どちらかに決着をつけねばなりません。機体としてはKC-30(A330)の方が大きくて応用が利くように見えるのですが、日米伊で共用となることを考えるとKC-767に最終的には軍配が下るのでは。(写真 KC-767とKC-30それぞれの想像図)

プレデターC型アベンジャー

hit counter cheap ultram Predator C Avenger Makes First Flights Aviationweek.com 4月17日 長く噂されていた、ステルス性を強化してジェットエンジン搭載のプレデターC型アベンジャーがジェネラルアトミックス航空システムズGeneral Atomics Aeronautical Systemsで完成。 【性能】滞空時間は20時間。飛行速度は400ノット以上、運用高度は最高60,000フィート。外観からはステルス性が強化されたことが明白。動力はプラットアンドホイットニーカナダのPW545B(推力4,800ポンド)で排気の赤外線特徴にはシールドがかけられる。排気口まではS字型で、排気温度を下げ赤外線特徴を軽減するほかレーダー探知を難しくしている。 【装備】機体内部には500ポンド爆弾にGBU-38JDAMユニットとレーザー誘導を装着して搭載する。全長は41フィートで、兵装格納スペースは10フィートと思われる。兵装倉の扉を外せば広範囲監視ポッドを機体に半分格納して搭載できる。C型の兵装あるいはセンサー搭載量は3,000ポンド。ステルス性が必要なければ機体、主翼の外部に装備を搭載可能。兵装庫内に追加燃料槽を装着すれば飛行時間を2時間延長できる。機内の電源は45kvaとB型と同じ。全天候アクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダー以外に広範囲監視装置(米空軍が供与予定)を搭載できる。リンクスSARは機首下部に搭載すると思われる。試作機にはEO/IRターレットが見られないが他のプレデターに装着されているので、機体格納式になっているのかもしれない。 【海軍での採用可能性】主翼は折りたたみ可能で格納庫あるいは空母での運用を想定。かねてから同社は海軍向けにプレデターの運用可能性を訴えてきた。海軍はB型の性能に関心を示したものの、プロペラ動力機を理由に空母搭載を否定。C型には着艦フックがついており、同機の艦上テストが予定されていることが推察される。現状では米空軍ならびに英空軍の運用が最有望される。 【今後の見通し】初飛行は4月4日に成功しており、今後2,3ヶ月は試験を続ける。正式に採用側の予算が投入されれば10から12ヶ月で同社のポーウェイ新工場(カリフォルニア州)で作戦稼動機がロールアウトする見込みだ。同

エンブラエルKC-390空中給油・輸送機開発にゴーサイン

hit counter cheap ultram Embraer Launches KC-390 Tanker/Transport Aviationweek.com 4月15日 エンブラエルはブラジル空軍の契約を獲得し、13億ドル・7年間の期間でKC-390軍用空中給油機・輸送機の開発を立ち上げた。同機の初飛行は2012年、就役は2015年の予定。同機はターボファン双発、高翼の設計。4月14日にラテンアメリカ航空防衛ショー(リオデジャネイロ)で発表されたもの。ブラジル政府は試作機合計2機および生産用冶工具含む開発費用全額を負担する。エンブラエルCEOフレデリコ・F・クラドがAviation Weekの取材で答えたもの。同社は2007年の 同じショーで軍事輸送機の検討案を展示しており、エンブラエル190リージョナルジェットの改造型として6億ドルの費用で開発するコンセプトであった。ただし、クラドは「同機は現実的な機体ではなかった。任務のすべてを実行できなかっただろう。」と語る。フライバイワイヤ式のKC-390は高翼、ターボファン双発、T字尾翼の構造こそ同じだが、全面新設計でブラジル空軍の要求にこたえるばかりか、ロッキード・マーティンのC-130Jに対抗できる機体である。エンブラエルは今後二年間で詳細検討を完成させ、部品メーカー選定を空軍とともに行う。クラドはKC-390は「国家プロジェクト」であり、別メーカーあるいは海外の関与の決定は政府の決定事項という。同機の組み立てはエンブラエルのガビアオ・ペイホト工場にて行われ、同社にとっては最大の航空機となる。また、同社にとっても軍用機製造は久しぶりのことになる。 コメント 同社のプレスリリースによるとC-390の貨物搭載量は最大19トンとのことです。開発が遅れているわが国のC-Xが37トン、C-1( 8トン) C-130H(20トン)なので、確かにC-130に匹敵するクラスになるわけです。ブラジル空軍の必要とする機数は20機程度と限られていますが、いまや各国に販路を広げた同社ですので、当然C-390も各国の注目を浴びるでしょう。価格が訴求力になるのではないでしょうか。それにしても1950年代から稼動しているC-130が今でもこのクラスの輸送機の主流というのはひとつの驚きですが、その間に開発力をつけてきた新興国がもうそこまで来て

EP-X(次期米海軍電子戦専用機)

hit counter cheap ultram EW Competitors Begin Defining Efforts Aviationweek.com 4月14日 ボーイング737から開発の次期海軍哨戒機P-8Aポセイドンの初飛行は今年中と見られていますが、早くも派生型EP-Xを同機から作ろうという動きが活発化してきました。 次期電子戦用機材として海軍のEP-X、陸軍の空中共用センサー機、空軍のリベットジョイントの各計画があり、契約獲得を目指して各社が準備を始めた。「現在利用できる機材を幅広く検討しているところです。有人、無人を問わず、要求性能を実現できる機材を求めています。」(P-8AとEP-Xの計画責任者マイク・モラン海軍大佐) ブーズ・アレン・ハミルトンのロバート・ワッツがEP-Xの選択肢分析の責任者となったところであり、国防長官官房がEP-X検討の実施を承認した。 「データリンクを共用してP-8AとEP-Xの電子戦装備をEA-18Gにつなげて、以前のデータ、現在のデータ、ならびに今後の予測ができるようにする」EP-Xとグラウラーでシナジーが可能と、ボーイングは見ている。EP-Xが遠距離の発信源を探知し、グラウラーが発信源に対して電子攻撃を行う一方、EP-Xは別の行動を取れる。グラウラーには目標別に対応する能力があり、高出力のジャミングが可能だ。 EA-18Gの配備数とEP-Xの広範囲な探知能力を考慮して、個別・特化任務はグラウラーにまかせ、EP-Xには戦闘空域の監視、目標捕捉、電子戦任務を割り振ることになるのではないか。 ボーイングはEP-X用のレーダーの選択肢を検討している。アレイが大きいと小さい目標も捕捉できる。ひとつの考え方は機体中央線上にレーダーをカヌー形状で搭載すること。別の考え方では機体と一体型のアレイがあるが、実際にはアレイを機体に組み込んだり、平坦にする必要はない。 (写真はP-8Aの想像図です)

ミサイル防衛の新しい展開

hit counter cheap ultram Aviationweek.com 4月8日 国防総省関係者はゲイツ国防長官による懸案の地上配備中間コースミサイル防衛による弾道ミサイル迎撃に関する新しい方針が明らかにした。三段式の軌道推進式の迎撃兵器(GBI 地上配備迎撃機とも呼ばれる)を合計40基、フォート・グリーリイ(アラスカ州)とヴァンデンバーグ空軍基地(カリフォルニア州)に配備するのが当初の計画であった。しかし、新方針ではフォート・グリーリイへの配備は26基までとし、ヴァンデンバーグは4基となる。ただし、配備済み分の発射後あるいは撤去後の予備機の購入が実現するかは不透明。ブッシュ政権のGMD案ではいわゆる東欧第三配備地を想定し、チェコにレーダー基地とポーランドに二段式GBIを10基配備する予定であった。この案では2013年ごろに米軍の施設稼動を想定していたが、オバマ政権がロシアとの新外交を検討中であることを考慮し、説明上は動きを遅くしている。ゲイツ案では多弾頭破壊運搬機の開発中止とともに空中配備レーザーも開発の道を閉ざす一方で最終段階高度広域ミサイル防衛(THAAD)とイージス弾道ミサイル防衛システムを進めることを目指し、ミサイル防衛庁に変化を与えるもの。その反面、中間コース防衛は中心からはずれ、捕捉が困難とされる敵ミサイル加速段階での防衛に関心が高まっている。 (写真はTHAADミサイル) 

UAVが戦闘機編成の一部となる

hit counter cheap ultram Aviationweek.com 4月7日 ゲイツ国防長官は現在の戦術航空機編成は「要求数に対して著しく過剰」であるとし、この見方が2010年度に機齢が古い250機を退役させ、F-22生産を187機で打ち止めにする決定につながったと見られる。同長官は部隊編成案は空軍からの提案というが、ノートン・シュワルツ大将(米空軍参謀総長)はF-22はあと60機以上が必要と報道記者に発言している。この見解もゲイツ長官による国防計画の見直しの中で変化した。統合参謀本部副議長のジェイムズ・カートライト海兵隊大将は戦術航空機の新しい編成は高性能機・中程度性能機・低性能機の組み合わせでF-22、F-35および国防関係者には驚くべきことにリーパー無人機の構成という。ゲイツ国防長官は10月1日から始まる2010会計年度内に250機の古い戦闘機を退役させると発表。その多くはF-16とA-10であろうと関係筋は見ている。第一線から消える機数の一部がジェネラル・アトミックス製のリーパーで代替される。カートライト大将は「これまではF-16,F-15,F-15Eが想定されていた分野でリーパーの使用は想定されていなかったが、現在進行中あるいは今後の戦闘状況を考えると、必要な空域に長時間滞空でき、最大搭載量の運搬が毎回必要となるわけでないので、無人機の運用が質的な利点となる」と語る。そうなると、F-35と新型のリーパーが今後の戦術航空機生産の中心となることになる。ゲイツ長官はすでに新型爆撃機の調達を中止する決定をしているからだ。 ゲイツ案が議会で承認されればボーイングのセントルイス工場はスーパーホーネット31機の生産を期待できる。これは海軍向けF-18の複数年度調達の開始を意味することになろう。一定数の購入をF-35や海軍の沿岸戦闘艦で実行することが産業基盤の維持につながる戦略であるとゲイツ長官とカートライト大将は考える。「F-22とF-35では性能がちがいますが、両者を組み合わせたほうがF-22とF/A-16やF-16やF-15との組み合わせよりも効果が高くなります。F-22とF-35の組み合わせで現在そして将来の脅威に十分対応できるものです。」 一方でF-35計画のてこ入れとして同副議長は同機のテスト用機材購入を追加し、空対空また空対地能力のテストを同