
Japan Could Be Offered $290 Million F-22
aviationweek.com 6月25日
上院歳出委員会委員長ダニエル・イノウエ上院議員(民主 ハワイ州)から在ワシントン日本大使宛書簡でF-22ラプター合計40機を輸出した際の単価見積もりを290百万ドル(約276億円) と伝えている。
【増えてきたF-22推進派議員】 イノウエ議員と下院国防歳出小委員会委員長ジョン・マーサ下院議員(民主 ペンシルベイニア州)ならびに他の上下両院議員がF-22の輸出を認めるように動いている。しかし、大統領が拒否権を行使する可能性とペンタゴン上層部から一貫して反対の声が出ていることから、ワシントンでは予算審議をめぐり緊張が高まっている。
【上院軍事委員会は反対】 さらに、上院軍事委員会の指導層は大統領と国防長官の側に立ち、下院での決議に持ち込む構え。
【イノウエ案の内容】 イノウエ議員からの書簡は2010年初頭に合意形成する前提で、「おおむね4ヵ年の開発期間で地上テストと飛行テストを含む」開発全体を示している。リードタイムが長い資材の調達を2011年に開始し、生産は2014年の中ごろに開始する。日本への初号機の引渡しを2017年としている。「開発と生産準備費用は23億ドル」と同書簡はしており、「40機の生産コストは93億ドルなので、総額116億ドル。これを40機で分担すると一機の平均費用は290百万ドルとなる」あわせてゲイツ国防長官宛の付随書簡では「空軍提供の情報に基づく」数字であるとしており、「日本政府は同機の購入に関心を高額にもかかわらず示すものと考えます」としている。
【大統領の拒否権行使か】 議会内でF-22生産続行への支持が増えていることが緊張を生んでいるが、航空宇宙業界のアナリスト筋はホワイトハウスがラプター生産継続と輸出を認めないのであれば言葉の遊びに終わるだろうと見ている。ペンタゴンが同機購入した際の単価は複数年度購入契約で142.5百万ドル。航空宇宙業界のアナリスト筋はF-22生産が一度停止するとその後は追加コストが発生するという。一方、ホワイトハウスの業務管理予算室は2010年度国防予算法案の議会通過で譲れない線を示している。6月23日付けの行政方針声明ではホワイトハウス業務管理予算室は11年度のF-22先行調達として369百万ドルあるいはF-35JSFの代替エンジン向けに603百万ドルが含まれるのであれば大統領拒否権を行使すべきと推奨している。
以下は拒否権の対象とならない内容。
*ミサイル防衛庁に対し、合衆国のミサイル防衛をNATO加盟国とその他欧州各国に限定する
*アフガニスタン、イラク対象に有志連合各国の通常および特殊兵力の能力増強を求める提案を追加する
*戦略空輸機316機体制を維持するためC-5退役を遅らせる
*日米合意を不安定にしかねない普天間基地代替施設の制限
*米空軍による早期機材退役を制限する
*陸軍の長距離多用途無人機計画予算を163百万ドル削減し、当初計画の予算規模を10年度は半分にする
コメント: F-22輸出への道がまったく閉ざされたわけではないとは言え、これからの注目点はオバマ大統領に移っていくでしょう。ライセンス生産というオプションは存在していません。それにしても米軍仕様の二倍の価格で一部装備を省略した輸出型を購入することになるのは率直に言って納得しがたいものがあります。ここはイスラエル他購入に関心を示す国と共同歩調をとり、何とか単価を下げられないでしょうか。とはいえ、大統領が拒否権を使えば全部だめになってしますのですが。それよりも予算案のうち、ミサイル防衛、普天間のくだりのほうが日本には切実な関心を呼ぶかもしれません。
本当に悔しいですがF-22がほしいのは事実なので仕方がないですよね。
返信削除匿名様。おっしゃるとおりです。ここでも何度もとりあげているように、制空権を確保するには一定の機数が必要なのに、大量の旧世代機が今後退役する中でわずか187機ではどう見ても足りるはずはないのですが、ゲイツ長官始めとする一派はF-22は不要と切り捨てています。UAVを使えばいいと思っているのでしょうか。相であれば、思い切って日本の資金でF-22ラインを維持し、生産機を米国に逆リースするというのはどうでしょうか。
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