
High-Altitude Airship Demonstrator To Fly in August Aviationweek.com 4月6日
ロッキード・マーティンは今夏に監視用プラットフォームとして飛行船を成層圏で運用するコンセプトを実証する。飛行船は無人で数週間にわたり高高度にとどまることができ、月単位も可能かもしれない。高高度から高感度センサーと通信有効範囲を大きくとることができる。ただ、強風と昼夜間の繰り返しの中で一定位置を維持できるかが問題となる。【実証機HALE-D] 「次の段階は実証機の建造です」(ロン・ブラウニング 在オハイオ州アクロン、ロッキード・マーティン社海洋システム・センサー開発担当部長)同社は縮小モデルを高度長期間飛行実証機(High Altitude Long Endurance Demonstrator, HALE-D)の名称で8月に飛行させる予定。HALE-Dは米陸軍宇宙ミサイル防衛司令部(SMDC)の予算で開発中の高高度運用実証機のひとつ。「長時間滞空には大きな需要があります」(ブラウニング) 陸軍科学委員会の2008年夏季研究会で中高度および高高度で飛行船および無人機を運用すると長時間にわたる通信、監視、偵察用プラットフォームとして最高との結論が出ていることをブラウニングは指摘する。
【開発経緯】ロッキード・マーティンは高高度飛行船(HAA)の開発に数年間従事しているが、同機のコンセプトへの支持を議会内で得るには苦労して来た。同社は2005年に総額149百万ドルでミサイル防衛庁契約を獲得し試作機製作をすることになったものの、2008会計年度にこれがキャンセルとなった。その後HAAはSMDCに移管され、縮小版の実証機を製作し、無人自立型で太陽電池を電源とする同コンセプトの技術実現性および軍事有用性を証明することとなった。
【HALE-Dの詳細】 一ヶ月飛行可能で、高度6万フィートで500ポンドのペイロードを持つ最終目標の代わりにHALE-Dは二週間50ポンドのペイロードという設計。二週間あれば日周の繰り返しの中で成層圏にとどまる機能を証明できる。HALE-Dは全長270フィート、直径70フィートで船体容積は500,000立方フィート(約14,000立方メートル)あり、グッドイヤー飛行船の二倍の規模であり、ロッキード・マーティンの係留式飛行船エアロスタットよりわずかに大きい。動力には宇宙船からの流用である高信頼性のフィルム状の太陽電池を船体上部にアレイ状に配置し15kwを推進力とペイロード用に供給し、40kwhをリチウムイオン電池に充電する。複数の通信機器、GPS/INS航法・飛行制御コンピューターがを搭載し、後者にはバックアップ用の電池が付属している。推進器は合計2基の2kwモーターであるが、ブラウニングは「本当は4基あれば制御が楽だし、冗長性が生まれる」と話している。SMDCからは通信装置とカメラのペイロードが供与される予定。
【飛行計画】HALE-Dはグッドイヤー飛行船のふるさとアクロンエアードックにて建造される。「アクロンで進空してから未定場所へ移動し、同地上空に滞空して有用度を証明したいですね」(ブラウニング) 「8月に飛行して気候条件を最大限利用したいのです」(ブラウニング) 夏の長い日照時間は太陽発電量を大きくし、電池に蓄積して夜間の飛行動力となる。また夏には米国大陸部上空では「風が温和となる」という。HALE-Dの巡航速度は高度6万フィートで20ノットで、風が吹いても定位置の維持が可能だ。「これ以上風が速くなるのであれば、もっと静かな地点を模索する必要が出るでしょう」(ブラウニング)
【実用機のスペック】 SMDCの期待は実用型のHAAが半径2キロメートル以内に留まる2,000ポンド搭載、高度65,000フィート、30日間滞留可能というもの。
参考 ロッキード・マーティン社ウェブサイトでのHAA紹介ページ: http://www.lockheedmartin.com/data/assets/ms2/High_Altitude_Airship_productcard.pdf
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