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イスラエルがF-15EX取得を米国へ要望。事情を勘案し前倒しで機体引き渡しとなる可能性も。運用中のF-15Eの後継機として想定か。

 イスラエルがF-15EX供与をペンタゴン経由で要請したということは、戦闘が長期化する、あるいは今後既存のF-15Eなどの喪失を想定していることになるのでしょう。Warrior Maven記事からのご紹介です。


米国防総省、イスラエルへのF-15EX引き渡しを加速か


F-15EXの最短引き渡しは2028年の予想だが、イスラエル政府が前倒しを米国に依頼する可能性がある


スラエルはペンタゴンにF-15EXを要請した。この動きは、民間人への被害を減らしつつハマス壊滅のための長期的な解決策となる精密空爆を提供する可能性を示唆している。

 イスラエル=ハマス間で進行中の紛争では、戦略的・軍事的力学が複雑で多面的なようだ。国防総省のサブリナ・シン副報道局長の最近の発言は、進展する状況における米国の視点とその役割に光を当てている。

 シン報道官は、1,000人以上を残酷に殺害したテロ組織ハマスの解体という目標はイスラエルと共有していると述べている。しかし、この作戦がラファ内でどのように実施されるかは、イスラエル政府との間で継続的に議論されている問題である。

 イスラエル国防軍(IDF)がラファに侵入し、フィラデルフィア回廊のガザン側を掌握すれば、ハマスにとって大きな後退となる。そうなれば、ハマスにとって最後の重要な大隊を奪われ、指導部や人間の盾として使われる人質を隠す最後の都市拠点を失うことになる。

 しかし、ラファでの全面的な軍事作戦は、約150万人のガザ人が同地に避難していることを考えると恐ろしいことだ。そのため、国際社会はイスラエルに対し、過密都市ラファへの攻撃を控えるよう求めている。

 イスラエルが大規模な侵攻なしにラファでハマス解体を行えるかどうかという問題は極めて重要だ。侵攻は、民間人の犠牲が多く、紛争が長期化して地域をさらに不安定化させる可能性があるなど、大きなリスクを伴う。

 一方、F-15やF-35のような最新鋭戦闘機を使った精密攻撃は、巻き添え被害を減らしながらハマスのインフラや人員を標的にする方法を提供する。

 F-15やF-35は世界で最も先進的な戦闘機のひとつで、ラファのような人口密集地での複雑な作戦に適した能力を備えている。制空権と攻撃能力で知られるF-15は、多種多様な弾薬を搭載でき、複数目標を同時に攻撃できる。ステルス性能と高度なセンサーを持つF-35は、敵の防衛網に侵入し、最小限の検知で精密な攻撃を行うことができる。

 イスラエルは米国にF-15 EX戦闘機25機を正式に要請した。イスラエル空軍はすでに、発注の倍増を望んでいる。F-15 EXの最短納入は2028年と予想されているが、イスラエル政府は前倒しを米国に要請する可能性がある。

 さらに、国防総省のシン副報道局長は、イスラエルに対するアメリカの支援を改めて強調した。米国がイスラエルにF-15とF-35を提供する可能性についての記者イベントでの質問で、シン国防総省副報道官は次のように述べた;

「安全保障支援について議論されました。それは、我々(アメリカ)がイスラエルに提供することを約束したものです」。

 さらに、ロイド・オースティン米国防長官は最近の記者会見で、ガザでの民間人犠牲者の数が「あまりに多すぎる」ことと、援助物資の輸送量が「あまりに少なすぎる」ことに懸念を表明した。しかし長官は、イスラエルには自衛権があるとの立場を繰り返し、米国は一貫して支援のために待機することを確約した。

 米国は、イスラエルへの軍事援助の提供者として、また軍事作戦の人道的影響を緩和しようとする外交的アクターとして、この紛争で重要な役割を果たしている。F-15およびF-35戦闘機の追加承認を含む安全保障援助の議論は、イスラエルの安全保障に対する米国のコミットメントを浮き彫りにしている。

 結局のところ、この紛争の解決には軍事力以上の存在が必要だ。紛争の根本的な原因に対処する外交的努力、民間人保護への支援、再建と和解へのコミットメントは、包括的な戦略の不可欠な要素だ。情勢が進展する中、国際社会は正義、安全保障、人間の尊厳の原則を守る解決策を提唱し、関与と警戒を続けなければならない。

 ラファにおけるハマス解体という課題と、イスラエルからの戦闘機の追加要求は、複雑な問題で慎重な検討と交渉を必要とする。シン報道官が強調しているように、こうした問題は現在も議論・検討中である。■


Pentagon May Accelerate F-15EX Deliveries to Israel - Warrior Maven: Center for Military Modernization



OLAWALE ABAIRE is a researcher, writer and analyst who has written many nonfiction books, He has master's degree from Adekunle Ajasin University, Nigeria. He also works as a web content writer with the International Lean Six Sigma Institute, UK


コメント

  1. ぼたんのちから2024年4月4日 11:00

    この記事で筆者は、イスラエルのハマス攻撃に絡めてF-15 EXの取得要求を理解しようとしているが、それは違うだろう。近接した目標に対する攻撃にF-15EXは相応しくない。もちろんF-15EXにできないことはなく、大量の精密誘導兵器を搭載し、比較的長時間、滞空することもできる。しかし、もったいない使い方だ。
    イスラエルは、ハマス攻撃以前の1年以上前からF-15EXを求めており、老いぼれバイデン政権は、許可せず手持ちカードにしているようだ。これはF-15EXが、イラン攻撃に使用されるのを抑制するつもりでいるのかもしれない。搭載量の少ないF-35は、イランの核関連施設の大規模攻撃に必ずしも相応しくない。
    過去からオバマ/バイデンの民主党政権は、イスラエルに必ずしも友好的でなく、むしろイスラエルの勢いを抑える政策を行っており、また、人権小児病や中東政策の無策が、今回のハマスとの紛争を招いたと思える。
    そして今、イスラエルはラファを攻撃し、多数の死者が出ると予想され、世界はイスラエルを抑制しようとしている。しかし、それならばハマスに降伏を勧告すべきだろう。さらに、外国で優雅に暮らしているハマス幹部を逮捕し、人道上の罪で裁くべきだろう。

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