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QDRに見る米国防力の今後の方向性

QDR Is Beginning To Show Results aviationweek.com 8月4日 QDR(四年毎の国防体制見直し報告書)から部隊構成ならびに運用能力の両面から大きな変化が読み取れる。これを「方向性で高Gの変化で、高Gで痛みが生じる」と米空軍の関係者が表現している。さらに、規模を縮小して再編する方向で検討中の多機能部隊の費用が今後5年間で500億から600億ドルと見積もりが出ており、2015年度まで実質予算増なしと言う目標があやうくなっている。国防総省による分析では分野によっては予算増が見られると、デイビッド・オクマネック国防副次官補(国防力計画担当)は語る。長らくランド研究所で調査に携わった同副次官補はQDRの中枢にいる。QDR提言が採択された場合の米国の国防力の評価を尋ねられ、オクマネックは以下回答した。「朝鮮半島での戦闘とイランへの対応を同時に実施する兵力は十分にあるだろうと思います」 この例としてF-22部隊は186機で調達打ち止めとなる見込みである。(187機のうち1機が墜落事故で全損しているため) 「F-22は両方の戦闘で同時に必要ではありません。規模の大きい方に投入すべきです。その他の装備の近代化が計画通り進行すれば、とくにF-35が装備されればその他の地域内の脅威に適切に対応できます。」(オクマネック) 米空軍中将ハリー・ワイアット3世はオクラホマ州判事を務め現在は州軍航空部隊の司令官である。同中将はF-22の生産継続を唱えていないものの、州軍部隊に空軍第一線部隊と同じ装備で訓練を課すべきと主張している。また、予備役部隊が長期の戦役では部隊交代が発生するため重要な役目を負うという。 巡航ミサイル迎撃含むF-22の機能は必要不可欠だ。そのほか、高度65,000フィートでの作戦行動、超音速巡航ならびに小型ステルス目標の捕捉能力、センサー統合、見通し線外通信、高機能レーダー装置があげられよう。 「だからといってF-22がもっと必要だと言うつもりはない。性能には関心があるが」と同中将は言うが、予備役及ぶ州軍でも同じ性能が必要となる日がすぐ来る。同中将は第四世代戦闘機が当面はニーズを満たしてくれると言うが、F-22が搭載するような第五世代センサーがついていればの話だ。 F-22のような高性能機を州軍で使用するのは理解できる。というのも

E-2D取得に関心示すインド海軍

Indian Navy Mulls Northrop Advanced Hawkeye aviationweek.com 9月2日 先月の米国政府による輸出審査結果を受けて、ノースロップ・グラマンはE-2D性能向上型ホークアイ空中早期警戒管制(AEW&C)機の商談をインド海軍と行えることになった。インドは同機合計6機の要望を出しているといわれる。 米海軍のジョン・ボーリューがインド海軍向けに延べ8時間のプレゼンを行い、E-2Dの技術諸元を説明した。これは昨年にインド海軍から同機の情報開示の要望があったことへの対応。 「両国政府の共同体制はこれまでになく密接です。インド海軍向けに初期段階のブリーフィングをすべく当地にやってきました」(ボーリュー)  インドは長年にわたりAEW&C能力獲得に関心を示してきた。「相互共通運用は大変大事な要素です」(ボーリュー) 「この早期警戒機が空中にあればとても有益ですが、自国部隊だけでなく世界の同盟国舞台と通信ができなければ役に立ちません。インドが米海軍やNATOとデータリンクを通じて共同部隊運用を希望するのなら、この機体はその要望にかなうものです」 ノースロップは同機の陸上基地運用型提供を求められている。インド海軍の運用機はスキージャンプ発進能力が必要とされ、通常型のカタパルト発進はないため。 現在のところ、陸上基地からの運用が最も実現性が高い。冷戦時代の遺物の元栄海軍空母ヴィラートは退役間際であり、ロシア空母アドミラル・ゴロシコフの引渡しは延期されている。 E-2D用に開発されたAN/APY-9レーダーはイージス戦闘システム搭載の水上艦艇と協調して巡航ミサイルの補足、追跡、攻撃が広範囲で可能であることに関係者は注目している。 インドはすでにP-8I長距離海上監視偵察機合計8機を発注済で、老朽化の目立つツボレフTu-142M海上監視ターボプロップ機を代替させる予定。

ジョイントSTARSの行方

Joint STARS Eyed As Budget Victim aviationweek.com 8月28日 議会が9月に会期を再開すると、国防予算を巡る論戦が再度活発となり、E-8C共用監視目標攻撃レーダーシステム(JSTARS)の性能改修が予算削減の対象となり大鉈を受ける可能性がある。地上監視を目的とした同機は来年の夏よりアフガニスタンに投入される予定で、これはリアルタイムの空中監視システムで荒れた土地の上で人員を追尾できる能力が必要という現地の要望にこたえるもの。しかし、JSTARSを高地航空基地で運用するには機体、エンジン、センサーの改修が必要で、岩だらけのヒンズクシ山脈で情報収集・監視・偵察(ISR)任務を実施するのは難易度が高くなる。さら現地では人員は徒歩で移動しており、JSTARSの想定する車両移動は見られない。 【改修の中身】 近代化改修には旧式PW-TF33-102Cエンジンを新型PW-JT8D-219に交換することもある。新型エンジンで推力の増加以外に、発電容量も増え、追加センサーに供給される。搭載済みのAPY-7フェーズドアレイレーダーはソフトウェアの改修で小型・低速移動の目標が追跡できるようになる。また、エンジン換装でJSTARSの強力なレーダーが高高度で運用されることで情報集能力が改善されると期待される。新規装備のSYERS III(シニアイヤー電気光学偵察システム)はもともとU-2用に設計されたが搭載されなかった装備で、多重スペクトラル検知およびフルモーションビデオ画像が利用できるようになる。JSTARSはレーダー画像のみで武器投下を指令することはない。目標の画像イメージが必要となるが、レーダーとSYERS IIIを同じ機体に搭載することで迅速に視覚的識別が可能となるとJSTARSはいっそう手ごわいリアルタイムの戦闘航空機となる。 【先行きは不透明】 改修装備でこれだけの性能向上となる一方で、空軍は地上監視データの収集戦略の再考を進めており、JSTARSの今後は不確かなものになっていると、業界および政府関係筋が認めている。ゲイツ国防長官は問題を抱える計画の取り消しあるいは棚上げになんら躊躇しておらず、厳しい財源と変化する国防ニーズを考慮して想定される効果について厳しい質問を投げかけている。E-8Cの新エンジン開発は進んでいるが、調達

UAV運用の制約:空域と操縦適性

Debate Soars Over UAVs in Civil Airspace aviationweek.com 8月18日 英国防省はMQ-9Aリーパーの導入を断念する発表をした。経済情勢を理由としているが、実は英空軍は無人機の自国領空内での運用に自信が持てないのだ。米空軍は小型のMQ-1Lプレデターから大型のリーパーに総入れ替えする方向にある。これによりホロマン空軍基地(ニューメキシコ州)に第二の訓練基地を準備しているところ。またリーパーの運用に当たり、24時間監視体制の維持には州軍航空部隊の人員も利用する意向だが、24時間飛行体制が平時に必要なのか、確信が持てない状態だ。戦場の上空で無人機を飛行させるのは民間航空の行き来する空域よりもはるかに容易。米空軍高官がある会議の席上で民間空域内で無人機を飛行させる可能性を聞かれたことがあった。「連邦航空局(FAA)の方はここにおられますか。いない? よかった」と前置きして同高官は航空領域を管轄する民間航空当局への不満を表明した。「何年間にわたりFAAに対して無人機運用をいつどれだけできるのかとたずねてきたが」 戦闘地帯ではプレデター・リーパー部隊は3次元の空域ブロックをGPSで定義した中で飛行し、その空域内には他の航空機は飛行を禁止され、各地上局は軍事航空管制システムに接続される。しかし米国内では「小型民間機で敵味方識別装置や警告装置のないものがたくさん飛んでいる」のが現状。 空中衝突や突然の降下の回避が大切。その際に空軍、陸軍あるいは税関・国境パトロール(CBP)が運用する無人機の区別は出来ない。特にCBPのMQ-9リーパーが誤ってアリゾナ州ノガレス近郊の地上に激突している事例がある。当初、CBPは同機の機体構造に故障が発生したと説明していたが、実は同機は完全に作動しており、遠隔操作の誤りでエンジンを停止してしまったと判明した。陸軍が長距離長時間飛行のUAV運用を開始するに当たり、空軍が支援をしている。陸軍の計画はMQ-1Cウォーリヤーを多数配備するもの。「陸軍が自前の空軍を作る決定をした際に当方との間で考え方の相違があることが判明しました。」と米空軍リメイ政策開発教育センター所属のデイブ・ハイデマン中佐は語る。「陸軍の考えは一等兵ならみんなパイロットになれると言うもので、猿にもバナナをたくさん与えれば空を飛べるよ

ミサイル防衛 Thaadの改良型開発

MDA Eyes Longer-Range Thaad Options aviationweek.com 8月17日 終末高高度防衛ミサイル(Thaad)は最新鋭の弾道ミサイル迎撃システムであるが、その有効範囲を広げる検討が進んでいる。 現行のブースター直径14.5インチに対して21インチに拡大したブースターの採用が一番の関心となっている。「21インチにすると射程距離が3倍から4倍に増え、防衛対象面積も増えます」(ウィリアム・ラム陸軍大佐 ミサイル防衛庁(MDA)Thaadシステム主査) 同大佐によるとMDAは主契約社のロッキード・マーティンが提示した案を検討中で、2011年度予算案に盛り込むことを考えていると言う。 ブースターを大型化することで現地指揮官にミサイル迎撃の判断をする時間が増える。指揮官が最初に発射した迎撃ミサイルの効果を確認の後、必要に応じて第二弾を発射するというもの。 「これだと迎撃ミサイル一基を発射して、向かってくる敵の再突入ミサイルを破壊できたのかを判断します。つまり、まず発射して、評価し、その後、破壊できなければ再度発射するわけです。」(ラム大佐) 無駄な迎撃ミサイルを発射しなくてもいいのであれば装備の節約になると同大佐は強調する。 Thaad用の推進装置を作成するエアロジェットは21インチ試作機と第二段部分の静止作動試験を 2006年に実施している。ロッキード・マーティンのトム・マグラス副社長によると、試験結果は成功だったという。 二段式発射の構想で性能の幅が広がり、交戦段階で側方運動性が高まるとマグラスは説明する。21インチへの拡大で速度が高まり、対応範囲が広まる。 この2方向の改良でロッキード・マーティンはThaad先端の攻撃部分へのハード上の設計変更はないと見ている。ただしソフトウェアの改良が必要となる。 MDAがThaad改良型の開発案を承認すれば、地上配置の発射システムにも改良が必要となる。直径21インチの本体だと現在は8基を格納する発射機に5基しか入らない。Thaadの各部隊は最大9基の発射機を扱うこととなるが、現行では3基を想定している。 ただし、MDAでこのプロジェクトの予算化に向けた動きはない。それでも、ラム大佐によれば21インチのブースターの発射実験は承認が下りれば三年で実現できると言う。MDAには試算資料が行っている

USAF:グローバル打撃軍団が作戦実施可能状態に

USAF Global Strike Command Announces IOC aviationweek.com 8月10日 米空軍が公式に空軍グローバル打撃軍団(AFGSC)を立ち上げたことで核戦力の展開が再強化されると空軍長官マイケル・ドンレイと空軍参謀長ノートン・シュワルツ大将が発言。空軍上層部により同軍団の概要が発表され、司令部はフランク・クロッツ中将の指揮の下、「アメリカの持つ大陸間弾道弾、核任務遂行可能爆撃機の編成、訓練、装備を進め、重要な任務に熱意と職業意識を持って遂行できるようにする」(シュワルツ大将)のが目的なのだと言う。 同軍団は初期作戦能力を獲得したが、完全に機能するには今後数ヶ月かかる。ミサイル部隊の移管は12月初旬に完了し、爆撃機部隊は来年2月に移管されるとドンレイ長官が明らかにした。さらに、第20空軍も12月までにAFGSCに移管され、その後第8空軍が2月までに編入されるとドンレイ長官が発表している。 AFGSCは監査長を持ち、部隊監査を「より厳しく、内部に踏み込んで、より要求水準を上げて」(シュワルツ大将)実施する。この監査には国防脅威削減庁も全日程に参加する。 同軍団は2009年1月のシュレジンジャー報告の産物。同報告書では国防総省が核抑止力の心理的・政治的重要性への理解が不足と批判し、核装備管理の大幅な刷新を提言していた。 AFGSCの管轄に入るのは空軍の戦略核ICBMおよび有人爆撃機。司令部はバークスデイル空軍基地(ルイジアナ州)で、今回の再編により5年間で750百万ドルの支出が見込まれる。 AFGSCはミノー空軍基地(ノースダコタ州)とバークスデイルに各2飛行隊という現在のB-52部隊編成に加え5番目の飛行隊をミノーに編成する。 米空軍の運用する爆撃機3機種のうち、B-1は核任務機体ではないので、引き続き航空戦闘軍団に所属する。残るB-52とB-2は両用任務が可能な機体としてグローバル打撃軍団に移管する。この根拠はグローバル打撃軍団には核攻撃ミッションに専念させ、B-2およびB-52部隊は「通常兵器ミッションにも転用できるように編成、訓練、装備していく」ことを確実にすることだ。とくに協調されたのが、B-2には新型の地下深くの強化施設を目標とする設計の大型貫通型爆弾を搭載可能なことだ。 通常戦は統合部隊司令部(JFC)が担当し、

第一線配備に近づくEA-18G

Classified Tests Show Growler Ready for Ops aviationweek. com 8月6日 EA-18Gグラウラーの本格生産の決定をにはQDR(四年毎の国防体制見直し)で海外展開部隊に26機から30機の空中電子攻撃(AEA)航空機が必要としていることがはずみとなるだろう。米海軍によるデジタル電子攻撃機の運用テスト結果が完了してグラウラー/グリズリー電子攻撃機の生産機数が増えることになろう。ペンタゴン高官が海外展開部隊で機数が不足していることを議会公聴会で明らかにしている。敵のレーダーの存在しない戦闘空域でどんな空中電子攻撃機能が必要なのかを論じることを関係者が躊躇しているが,同機のデジタル方式による位置発信と識別能力が機能リストの上位に来る。敵の指揮命令内容を探知し、ネットワーク構造を解明し、通信内容を傍受できる。また簡易爆発物の駆除にも大きな役目を果たすことが出来る。 ボーイングのF/A-18E/F ならびに EA-18Gの生産ラインは海外展開部隊からの要望で生産増加となりそうだ、とリック・マーティン(ボーイング社EA-18G計画主任)も認めている。これまでのところ海軍に引渡し済みは12機で9月と10月に2機追加されるが、契約全体では34機の製造で、一機あたり価格は65百万ドル。海軍が運用能力を実証したことで今秋に追加54機の完全生産の決断が下る見通しで合計88機の調達計画になる。 EA-18Gは運用効果が高いとのお墨付きを得て、空母部隊への配備が7月に勧告されたもの。 この勧告をしたのは海軍運航テスト評価部門。これでグラウラーは実戦で電子戦実施能力ありとみなされたことになる。 グラウラーはEA-6Bを代替し、グリズリーへの搭載がはじまった新型のデジタルICAPIII電子攻撃システムを搭載することで能力ギャップを埋めるように設計されている。今後は次世代ジャマー計画で改修を受ける。次世代ジャマーはより高度の電子戦、サイバー戦、ネットワークかく乱の分野で大きな飛躍となる能力を発揮する。 同機のシステムの柔軟性が高い例としてマーク・ダラー大佐(F/A-18とEA-18G計画主査)はソフトウェアの問題をあげる。テスト中に発見されたソフトウェア上の欠陥は今年後半にはリリースされる次回のソフトウェアでは更新され解決されるという。 こ