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北朝鮮に米空母撃沈は可能? 答えはYES


North Korea vs. a U.S. Navy Aircraft Carrier (Who Wins?)

北朝鮮が米海軍空母に挑めばどうなるか
You might be suprised.  驚きの結末になる
March 6, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: North KoreaMilitaryNavyAircraft Carrier

朝鮮軍に米海軍空母撃沈は可能か。可能だが空母のタイプによるし、米海軍司令官の空母配置場所や北朝鮮軍が戦術上の利点を活用できるかにもよるし、戦闘で幸運に恵まれるのがどちらかでも変わる。運とは実に簡単に相手を替え一旦手を離れても戻ることが戦闘では往々にしてある。米空母が水中、空中から攻撃にさらされるか疑問だが戦闘で絶対にない、とか必ずこうなると断言するのは愚者のみであり、劣勢な勢力が強力な相手に逆に勝つこともよくある。
これを前提に可能性を見てみよう。.
まず、予備知識だ。DPRK海軍が水上艦を沈める能力があることは判明している。まさしく2010年にこれが発生し、潜水艦が韓国海防艦ROKS天安を撃沈した。同艦は単独行動しており空母や揚陸部隊の場合とは違い護衛艦と同等の対潜装備がなかったのは事実だ。だが天安事件は一つの根拠となり、水中戦では旧式ディーゼル潜水艦で鈍足でも静かに敵に接近し攻撃撃破が可能だ。韓国海軍艦艇が新型で乗員に高度能力があってもこれだったので米海軍で同じ事が起こってもおかしくない。
弱小海軍が潜水艦で強力な敵に対決した事例は多い。1982年に英海軍任務部隊がフォークランド諸島防御にあたる中で英国の対潜装備全部をもってしてもアルゼンチンの209型ディーゼル電気推進潜水艦ARAサンルイ一隻を掃討できなかった。アルゼンチン艦長は艦を海底に安置し捜索を逃れたとのことである。推進を止めれば機械音が消え同艦は探知されなかった。第二次大戦中の戦術が洗練され弱小国でもNATO加盟国の高度の対潜能力の裏をかいたわけだ。
2006年の例もある。中国の039型宋級ディーゼル潜水艦がUSSキティホーク空母打撃群の防御陣を突破し空母から5カイリ地点に浮上した。空母群は対潜警戒態勢をとっていなかったが、米海軍が潜水艦接近を探知できなかったことが警戒を呼んだ。対潜戦は簡単ではないが米海軍は冷戦後に腕を磨いていないことが問題だ。その時点で海軍上層部は「抜本的にこれまでとちがう海軍部隊」に変革する決意をいだき、水中戦の遅れを取り戻そうとした。
各評論家がこのときの潜水艦を「ステルス」と表現したことに興味を感じる。ステルスの語には魅了するものがあり多用の傾向があるが、そもそも潜水艦はすべてステルスだ。ステルスでない潜水艦は海底に眠る残骸だけだ。DPRK潜水艦は撃破されずにその利点を活用できる有利な状況をつくろうとするはずだ。たしかに米空母は強力な装甲や攻撃力があり推進派はそこを強調するが、沈めることは決して困難ではない。ほぼ一世紀に渡り、装甲艦といえども空中から、水上で、あるいは水中から攻撃を受け沈没する事例はたくさん見てきた。米海軍は対艦攻撃能力を75年にわたり磨いており現在はさらに精密攻撃手段も実用化されている。DPRK海軍を相手に傲慢な態度を取る根拠はない。
二番目に、相手にする空母部隊のタイプ次第でDPRK海軍の勝ち目は変わる。空母打撃戦闘群の中心は原子力空母(CVN)で揚陸部隊の強襲揚陸艦(LHD、LHA)と全く違う。CVNも“amphibs”のワスプもF-35のような高性能機材を搭載するが大型CVNは一通り揃えた機材構成の航空戦力を誇り、支援機も運用する。またカタパルトもあり機材を発進させる。LHDやLHAはCVNの半分程度の艦体でカタパルトをもたず、ヘリコプターとF-35を運用するが作戦半径は正規空母より短い。
揚陸部隊は北朝鮮航空部隊にとって相手にしやすい存在になり、ロケット砲兵隊や海軍部隊も空母より楽に対応できる。米海軍は朝鮮沿岸地方の戦況が落ち着くまで揚陸部隊を前面に出さないはずだ。揚陸部隊が海岸線に接近するのは空爆やミサイル攻撃で対艦兵器の脅威を一掃してからのことになる。これで揚陸部隊の防御力でも対応可能となる。つまり米海軍が部隊をどこに配備するか、作戦手順をどう編成するかで空母が北朝鮮空軍、水上艦、潜水艦、対艦ミサイルの脅威にさらされるかが変わる。
米国では北朝鮮の偵察能力は初歩的だと見る傾向がある。海域は相当広く、空母打撃群も小さな存在になる。だがその探知は決して難しくないし、外海で捕捉・交戦も同様だ。中国人民解放軍海軍がこの事実を1995年96年の台湾海峡危機で発見した。ビル・クリントン大統領が空母群二個を総統選挙を控える台湾付近に展開させ中国の軍事行動を抑止した。中国は西太平洋を遊弋する米海軍部隊に照準をあわせられず探知もできなかったことに表面上なっているが、北朝鮮が当時より進んだ効果を実現できない理由はない。すくなくともDPRK軍にはPLAから提供された情報がある。中国としては1995-96年の借りを代理勢力で返したいと思うだろう。
だが三番目に戦略面の大家から警句が鳴らされており、クラウゼビッツは運と不確実さが戦いの環境を形作ると述べ、最高にまで賢明な軍指揮官でさえ全てを思いのままにできないとしている。エドワード・ルトワークは平時なら合理的な費用効果の比較で行動するものの戦闘部隊は「皮肉な逆転現象」を有事に体験する、つまり戦場では運不運が逆転するということだ。ともすればこの事実を無視したり幸福感で無理な見方におちいりがちだが突如不利な状況や敗北を喫することがあるということだ。
ルトワークの言う「逆説論理」は戦略面で例外を認めず、米海軍航空部隊でも同様だ。従って北朝鮮相手の海軍戦略の枠組みは自信をもって準備し、過剰な自信は慎むべきだ。■

James Holmes holds the J. C. Wylie Chair of Maritime Strategy at the Naval War College and is coauthor of Red Star over the Pacific (second edition forthcoming 2018). The views voiced here are his alone.

コメント

  1. この記事の「米国海軍が冷戦後に対潜水艦戦闘を重要視してこなかった」という箇所はホントなんでしょうか?幾らなんでも潜水艦の脅威を軽く見る海軍だとは思えないのですが。
    自衛隊は憲法で活動領域が大幅に狭められたことや第二次大戦の教訓から、領海に近づく潜水艦は決して見逃さないことを重要視しているように思えますので、北朝鮮の潜水艦に遅れをとることは無いと思っています。(場所も日本海になるでしょうしね)

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