スキップしてメイン コンテンツに移動

XQ-58A、忠実なるウィングマン....UCAVの進歩はすごいが 解決すべき課題は残る

3月にUCAV開発の2機種がほぼ同時に姿を表したのは意図的なのでしょうか。本ブログでもF-35との関連に関心を示す向きも現れていますが、今回の機体はまだ実証機であり、すぐにでも戦闘投入できるわけではないようです。ともあれ、無人機の世界の進歩は早く、そのため本ブログでも新型機についてはなるべく早くご紹介するようにしています。

A Mini F-35?: Don't Go Crazy Over the Air Force's Stealth XQ-58A Valkyrie ミニF-35? 空軍のステルスXQ-58Aヴァルキリー登場に単純に興奮できない理由

It might look cool, but . . . 一見クールに見えるが、...
March 8, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryTechnologyWeaponsWarAir Force


ボットウィングマンとはすばらしい。
米空軍の新型無人機の初飛行が話題になっている。同機は有人機に随行し戦闘に加わる想定で航空戦の新時代への期待が高まっている。
XQ-58Aヴァウキリーの写真を見るとたしかに何か違うものを感じる。現行のMQ-9リーパーは間の抜けた形状の機体で機首も肥大化し、旧式プロペラ推進で巡航速度はセスナ機と大差ない。これに対してXQ-58AはF-35ステルス機の小型版のように見え双尾翼とカーブのついた機体、ジェット推進で音速近くまで飛行できる。
XQ-58Aはクレイトス無人機システムズが設計し、3月5日にユマ試験場のあるアリゾナ州で初飛行したばかりだ。「滑走路の条件から自由で運用の設計で76分の初飛行を想定通りこなした」と空軍発表にある。計5回のフライトを予定し、空軍研究実験本部の低コスト消耗品扱い航空機技術(LCAAT)事業として安価かつ使い捨て無人機ながら戦闘航空機からの指揮される共同作戦仕様となっている。
米空軍から詳細仕様の発表はないがXQ-58Aは航続距離が長く、「亜音速で高い速度域」だという。「滑走路非依存」で非整地滑走路や前方基地からの運用を想定している。クレイトスに2016年交付された低コスト消耗攻撃無人航空システム実証の40.8百万ドル契約にヒントがありそうだ。契約では最高速度マッハ0.9、500ポンドのペイロードで戦闘行動半径1,500マイル、GBU-39小口径爆弾二発搭載、機体単価2百万ドルを量産時に達成することとある。(F-35は100百万ドルほど)
ここから従来の低性能無人機ではなく真の無人戦闘航空機UCAVだとわかる。別の言い方をすれば本格的ロボット軍用機だ。
皮肉にもオーストラリアが米国より先を進んでいるかも知れない。忠実なるウィングマン事業で同国はボーイングと共同でUCAVを開発中だ。直近の展示会でボーイングはオーストラリアで設計した航空戦闘チーム装備の概念図を示した。
XQ-58A同様にオーストラリア構想もステルス戦闘機とよく似ている。ボーイングは試作機三型式を全長38フィートとF-35の三分の二の大きさで2,000マイルを飛ぶ機体賭して開発する。このUCAVは第二次大戦後にオーストラリア国内設計で初の機体となり、オーストラリア空軍での稼働を想定し、米国含む同盟国への輸出も目論む。
「忠実なるウィングマンは有人機のF-35A、F/A-18Fスーパーホーネット、E/A-18Gグラウラー、E-7Aウェッジテイル早期警戒統制機やKC-30A給油機と飛び戦力増強効果を実現する」とオーストラリア戦略政策研究所の上席アナリスト、マルコム・デイヴィスが解説している。「主任務は兵力投射で有人機の前に危険な空域に突入することだ。またウェッジテイルなどの支援機材を敵の長距離対空攻撃から守る任務も想定する」
対空攻撃とは敵航空基地や指揮命令施設を攻撃し航空戦力の根幹をねらうことだ。忠実なるウィングマンでこの阻止を想定するのなら、爆弾搭載に加えドッグファイターにもなることになる。
だがロボ軍用機時代の開幕を祝う前に課題も残る。
例えばXQ-58Aも忠実なるウィングマンも亜音速機だ。有人戦闘機も燃料を大量消費する超音速飛行を連続で行えないが、必要ならアフターバーナーに点火しさらに高速へ加速できる。有人機が無人機と同時に作戦運用する際に無人機の速度が低い、操縦特性が違うとどうなるか。
XQ-58Aも忠実なるウィングマンも地上施設あるいは有人機が操縦する想定だが、忠実なるウィングマンでは自律運航(XQ-58Aの次の課題だろう)も可能なはずだ。だがこのために乗り越える障害がある。たとえば通信の安定確保や有人機パイロットが自機操縦しながら注意力をうばわれずに無人機を統制する機能だ。
こうしたことからUCAVにはAIの搭載が望ましい。ただし自律運航ロボットのアキレス腱は不測の事態への対処に困難をきたすことで、戦闘とは常に不測の事態の連続なのだ。■
Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook .
Image: Wikimedia Commons

コメント

  1. 「有人機が無人機と同時に作戦運用する際に無人機の速度が低い、操縦特性が違うとどうなるか?」
    世界は先に進み、未知の課題に取り組んでいますね。財務省、防衛省は国家と国民の安全のためにも、何とか費用を捻出し、開発に取り組んで頂きたい。日本は財政事情も苦しいですが、安全保障も現在は深刻な状態であることを認識していただきたい。。。

    返信削除
  2. 「機体単価2百万ドルを量産時に達成する」
    この価格で搭載できるレーダーやアビオニクス類は最新の機器にはならないですよね。すると、有人機(最新のレーダーやアビオニクス搭載)と共同で作戦を行う際に、有人機で標的を検出しても、XQ-58Aでは検出できない場合があり得るでしょうが、どうやって攻撃目標の指示をするのでしょう?
    動かない対象物ならば、座標データを送って指定できるでしょうが、動く標的への指示はどうなるのか?有人機から誘導するのだろうか?誘導する方式だと有人機の位置を逆探知される可能性はないだろうか?
    今後の開発の推移を見守りたいと思います。

    返信削除
  3. ぼたんのちから2019年3月12日 18:01

    記事で述べている課題は、今後の無人機の遠い将来を暗示しているように見える。
    それは、進化したAIを搭載した無人機編隊が出現することであり、この編隊に同伴する有人機は、必ずしも必要としないかもしれないし、多くの場面で脇役となってしまうだろう。
    無人機編隊は、遠くに離れた指令機により命令を与えられ、戦闘環境の情報をもらい、最適な戦闘パターンを選択し、攻撃することになる。
    無人機は消耗品であり、出撃回数も限定的であり、損傷し帰還が困難と判断された場合や出撃寿命が尽きた機は自爆攻撃を行うようプログラムされるだろう。
    これはSF映画のような恐ろしい世界だ。そうであっても、現代はすでに引き返せない時期に来てしまっている。

    返信削除
  4. 無人機が将来の戦争の様相を変えるため、その在りようには賛否両論あると思いますが、例えば、中国のような人海戦術を使う国と向き合わねばならない日本にとっては、大きな可能性がある分野だと肯定的に考えています。
    人口は直ぐには増えませんが、これは増やせます。好むと好まざるとに関わらず、中国が軍事的拡大を進める以上、自衛の手段は必要です。その方法の一つとして、有りだと思います。

    返信削除
  5. 中国が人海戦術というけど、実際のところ、政治と社会の障壁のせいで、中国が全面的な無人戦闘システムを導入し、我が方はどこまでいっても有人機と無人のウイングマンの水準でとどまるのではないかと懸念している。

    返信削除
  6. 私個人の見解としては、弾道ミサイルが当たり前になっても、有人飛行機/戦闘機は必要ですし、将来を見通しても有人機が不要/廃止になるという未来が予想しずらいので、日本がこの先も有人機を保持し続けて良いのではないかと思います。
    但し、予算が足りず、無人機AIの開発が進まないということが、無いようにお願いしたいと思います。

    返信削除

コメントを投稿

コメントをどうぞ。

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ