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米海軍はステルス攻撃機事業を復活し、長距離打撃能力を中国を睨み実現すべきだ

このタイトルだけで勘の良い方はすぐA-12のことだとわかるでしょう。もし、あの機体が実現していれば....という妄想ではなく、現実世界でせっかくの企画をどう実現するかを考えるほうが遥かに前向きですね。技術がともなわずに流産したのがA-12なら、必要な技術がそろい要求性能を実現できる今からA-XXを作れば良いということですかね。

The Navy Tried to Build a Stealth Bomber for Its Aircraft Carriers. It Ended Badly. 米海軍の艦載ステルス爆撃機構想は残念な結果に終わった

During the closing stages of the Cold War, the United States Navy was developing a new long-range stealth bomber that could strike at even the most heavily defended targets from the deck of an aircraft carrier.
冷戦末期の米海軍が空母運用型の新型長距離ステルス攻撃機を開発し、最も強固な目標の攻撃も可能にしようとしていた
March 21, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: A-12 AvengerNavyMilitaryTechnologyWorld

戦末期の米海軍に長距離ステルス攻撃機を空母運用し最も強固な目標の攻撃も可能にする新型機開発案件があった。だが同事業は中止され、今も続く能力ギャップが海軍航空部隊に生まれている。
高性能戦術航空機(ATA)事業にマクダネル・ダグラス/ジェネラル・ダイナミクスA-12アヴェンジャーIIの呼称がついた同機はグラマンA-6Eイントルーダーの後継機のはずだった。だがソ連の脅威が消えると当時の国防長官ディック・チェイニーがA-12を1991年1月7日に取り消しとした。理由は大幅な価格上昇、日程遅延ならびに技術上の問題だった。ステルス爆撃機A-12で問題があったにせよ、同機の消滅により海軍は今日まで問題を引きずっている。空母航空隊に接近阻止領域拒否(A2AD)を突破できる長距離機がないことだ。
ロッキード・マーティンF-35C共用打撃戦闘機によりXバンドステルス技術が空母で利用可能となり、今後登場するMQ-スティングレイ無人給油機で既存機材の運用半径が広がるが、両機種とも敵中心地を攻撃する長距離大規模攻撃性能はない。F-35、MQ-25がそろっても海軍航空部隊が西太平洋地区で中国を攻撃すれば相当のリスクを覚悟せねばならない。中国は米空母への睨みに対艦弾道ミサイルのDF-21DやDF-26を整備し、後者は有効射程2000カイリといわれ、水上艦部隊はさらに遠い地点での活動を強いられる。
1980年代にソ連軍事力を念頭に米海軍は空母艦載機での遠隔地攻撃能力が必要と考えた。自身も海軍航空士官だったジェリー・ヘンドリックスによればA-12の当初の要求性能は戦闘半径1,700カイリ、機内兵装搭載量6千ポンドでレーダー断面積はノースロップB-2スピリット戦略爆撃機と同程度とするというものだった。
A-12事業が存続していれば、米海軍は長距離侵攻打撃艦載機を実現していたはずだ。だが技術問題と要求性能変更から、攻撃能力が下がり、戦闘半径は1000カイリに785カイリへと下がり、技術問題も解決の糸口が見えず、チェイニー長官は事業中止を選択せざるを得なくなったのだ。
当時はすぐ認識できなかったが、A-12中止とA-6E退役で米海軍の長距離攻撃能力を喪失した。冷戦終結直後には問題視されなかったが、その後ロシアが戦力復興し中国が大国に台頭すると空母部隊戦力の実効性が問われるようになった。A-12が実現していれば空母航空部隊の大きな戦力となっていたのではないか。
アナリスト陣は長距離ステルス無人攻撃機で敵地侵攻型長距離攻撃力の欠如を埋める構想を出してきた。ただしペンタゴンでは自律兵器が人間にかわり決断することは許しておらず、無人機が敵地奥深くに侵攻する際も操作員による制御が必要だ。ロシアや中国はデータリンクの脆弱さを狙い、無人機の制御を断ち切るべく電子攻撃、サイバー戦、あるいは各種手段を組み合わせてくるだろう。無人機が乗っ取られたことも実際に発生しており、制御の確実な保証はないのが現実だ。
生身のパイロットならハッキングされずその場で判斷し攻撃するか、目標を変更できる。そうなると海軍で長距離侵攻型攻撃能力を実現するには有人艦載機の復活が一策だろう。より進歩した今日の技術として素材、センサー、高性能の適応サイクルエンジンを搭載すれば当時のA-12で問題となった課題を解決できる。
このうち開発中の適応サイクルエンジンが実現すれば、燃料消費は35%減り、空母搭載爆撃機として目標の1100カイリ性能が実現できる。そのため海軍は次世代長距離侵攻攻撃機を企画すべきだ。当初のATAではボーイングF-15Eに交代する構想もあったが、再復活する新型機がストライクイーグル後継機になり、ボーイングF/A-18E/FスーパーホーネットやF-35Cとも交代し空母艦上に姿を現すかもしれない。決して安価にはならないがドナルド・トランプ大統領に国防に予算を重点的に回す決意があれば、海軍としても検討に値する選択肢になるはずだ。■

A-12の想像図。Wikipediaより

コメント

  1. 「中国の対艦弾道ミサイルのDF-26 有効射程2000カイリ」への対抗策として、「空母艦載機での遠隔地攻撃能力」が必要なのはわかりますが、航続距離を伸ばそうとすれば、どうしても機体自体が大型化してしまいます。そんな大型機を空母に着艦、発艦できるのか?という疑問があります。
    また、海軍にはF-35Cもありますし、現在、巨額の費用をかけて空軍がB-21も作っていますし、残存性を考えて無人機も各種開発しています。この上、更に新しい機種が必要なのでしょうか?ただでさえ、予算が厳しくて機種を絞り込んだり、空母の退役を早めて無人艦隊を作ろうとしたりと、工夫をしているのですから、B-21の艦載機版とか、無人機の大型版とか、既存機や開発中の機体を応用できないものかなぁと、思います。
    米軍を見ていると、予算が足りないというのはわかりますが、陸海空、海兵隊、沿岸警備隊の五軍の装備をもう少し効率よく運用できないものだろうか?とも思います。

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  2. 今さら、A12が出して、攻撃機開発なんて言い出すとは、意味ないです。
    言われている性能ならば、F-35で十分達成しています。ウェポンベイが少し小さいですが、予定はないですけど寸法的には、JASSM/LRASMも入るはずですし、海軍的にはJSOW搭載で十分。
    A-6Eを長距離攻撃機としていますが、F-35と戦闘行動半径は変わらないですし、開発中のエンジンは、F-35用です。
    ネタとしても筋が悪いでしょう。こんな機体より、空軍とは、別に開発を始めた第6世代の次期戦闘機に注力すべきでしょう。

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    返信
    1. おっしゃるとおりですね。アビオニクスやミサイルが高性能化した現在では、戦闘機と攻撃機の分類自体にもはや意味が無く、F-35Cでおよそ達成できそうですよね。後はせいぜい、容量的に大型爆撃機はまだ必要になる位でしょうか。
      そんなことに費用をかけるなら、F-35A,B,Cのウェポンベイ自体の拡大が可能か、とか、搭載できる兵器の種類を増やす検討をして欲しいです。
      既にブロック4でAIM-120D AMRAAMを6発積むようですが、もう少し大きな容量にできると、運用の幅が広がるのでは無いでしょうか。

      削除
  3. 対艦弾道弾て明らかに虚構なのになんで毎度話のネタに上るんですかね?
    移動目標に対する実射試験の一度すら行っていないものが量産配備され実際に戦力として機能する可能性なんてゼロ%でしょ。
    仮に核弾頭だとしたら中国が撃った瞬間に米軍は核報復に打って出るのは確実でリスクがデカ過ぎてとてもじゃないが使えない。
    必然的にそんなものに米艦隊が行動を阻害されるはずもなく記事の根底部分が成り立ちませんな。

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  4. もう巡航ミサイルに頼るべき。敵もミサイルな点には注意が必要と思います。片道のミサイルに往復の攻撃機が航続距離で対抗するのは難しいでしょう

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