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米海軍は2020年度予算案で大型ミサイル無人艦建造を進める


シーハンターの試験航海の話題(「進展する無人艦システムで今度は米西海岸ハワイ往復航海に成功!」)がありましたがやはりこれは布石で米海軍は大型無人艦の建造に踏み出そうとしています。空でも海でも有人装備と無人装備の組み合わせがこれからは普通になりますね。


Navy's Budget Requests Two Huge Missile-Laden Drone Ships That Displace 2,000 Tons 海軍予算要求に2,000トン級ミサイル搭載大型艦建造が盛り込まれた

The service wants to get the first two unmanned ships quickly to help refine its requirements and craft plans for employing them in actual combat.

米海軍は無人艦二隻の実戦投入案を作成



BY JOSEPH TREVITHICKMARCH 12, 2019


NAVAL NEWS CAPTURE
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海軍は大排水量無人水上艦艇Large Displacement Unmanned Surface Vessels,LDUSV最大10隻を今後五年間に約27億ドルで整備したいとする。各艦は全長300メートル、排水量2千トンで海軍が進める無人水上艦部隊整備で大きな一歩となる。
海軍は2020年度国防予算の一部として同構想を3月12日発表した。予算案では4億ドルでまず二隻建造する。今後毎年2隻建造を要求し、10隻を整備する。
各艦は「センサー母艦兼攻撃手段として使う」とランディ・B・クリテス少将(予算担当海軍次官補代理)が同日解説し、「通常艦より小型...消耗品扱いかつ低価格」と述べている。.
海軍は同艦の要求性能や作戦構想(CONOPS)をまとめ終わっていないが、クリテス少将は全長200から300フィート、排水量約2千トンの規模で構想を検討中と述べている。おおざっぱにコルベット艦の大きさだ。
海軍はこれまでLDUSVは「重武装艦」としてスタンドオフミサイルを搭載し水上艦部隊火力を増強する存在と言っていた。クリテス少将によればLDUSVでは垂直発射能力も想定していると述べた。
クリテスは新型艦は、各種センサーを搭載する「センサー」艦にもなるとし、部隊指揮官に広範囲の状況認識度を高く提供するのがねらいだ。
海軍の無人水上艦整備案は小型、中型、大型の区分を想定し、以前は中型艦は無人偵察機能で水上行動部隊本隊から離れて独自に航行すると海軍は説明していた。無人艦はネットワーク連結し、有人艦や同盟国部隊とも結ばれる。海軍は準自律的運用を想定する。
これを念頭にすると各艦の仕様は多彩になる。一部のLDUSVはセンサー連結点として標的データでミサイル多数を運用し、無人艦だけで独立任務部隊を編成することも可能だ。
海軍はまず4億ドルでLDUSV整備をめざすが、当初予算は研究開発の要素が強いが2024年度までに本格事業にしたいとする。
ここにシーハンター無人水上艇開発の知見が反映されている。しーハンターは国防高等研究開発プロジェクト庁(DARPA)事業として始まり、その後海軍研究本部に2018年移管された。海軍では現在同艇をもとに中規模排水量無人水上艦艇(MDUSV)を実現しその知見をLDUSVに反映したいとする。
DARPA
米海軍のシーハンター無人水上艇


シーハンターは現在一隻のみだが、海軍は長時間稼働可能な無人艦の要求内容とCONOPSの作成に活用しており、対潜用に潜水艦を長時間追尾する構想だ。シーハンター二号艇取得で研究開発を加速させたいとする。2020年度予算要求にはMDUSV事業の追加支出も含む。
「作戦構想、指揮統制機能の詳細を詰め、分散配備環境での運用を想定する」とクリテス少将はLDUSVの今後を説明している。「テスト艦で実際に機能するか早く見てみたい」
2019年1月に海軍は試験的に水上艦部隊を編成し有人・無人艦部隊の作戦構想の完成を目指す可能性を提示している。ここにLDUSV他小型艦艇が配備されるのだろう。
海軍の2020年度予算案には議会承認が必要で大型無人艦の整備規模が変わる可能性もあり、調達大日程も変更がありうる。海軍はニミッツ級空母USSハリー・S・トルーマンの早期退役で無人水上艦整備の予算を捻出したいとするが、議会がそのまま認めるとは思えず、LDUSV調達の日程にも影響が出そうだ。
とはいえ海軍が思い描く将来の姿には無人水上艦艇の規模、活動範囲を大幅に増やす姿勢が見え、作戦の進め方が大きく変わる可能性が秘められている。■
Contact the author: jtrevithickpr@gmail.com

コメント

  1. 米海軍は空母USSハリー・S・トルーマンを退役させてでも、無人水上艦部隊を装備する覚悟を決めているんですね。この決断をするためには、既に無人水上艦に優位性があると確信できるだけの十分なデータを持っているからこそと推測します。どんどん試行し、決断していく姿勢はうらやましい。
    中国も国や企業の粉飾決算がバレて経済が大変なことになりつつあるのに、それでも軍事予算の増額と新たな軍事装備品を開発していますので、この中国と間近で向き合う日本も、もはや「予算が無い」と言っている場合では無いでしょう。
    チベットやウィグルの様に占領されて、臓器のドナーにされてから、国の財政健全化を気にしても意味が無い。もはや、それを荒唐無稽と笑える状況ではありませんから、こうした有望な手段にどんどん投資をしていって欲しいと思います。

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  2. 船はある程度より小さくすると揺れが激しくなり、船体や搭載機器もですが人間が耐えられなくなります。
    無人艦はその制約を脱せますから可能性は大きいでしょう。兵士による乗っ取りには注意してほしいものです。

    返信削除
  3. 安くあげるなら高価なセンサーなど積まずにアーセナルシップにしてしまった方が良いのでは?
    海自で導入するとしたら32セルしかないDDに代わって対地ミサイルを満載すればDD自身は従来の任務に専任できるし、平時は有人運用して哨戒艦として使えば良い。

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