ヴェネズエラ危機には日本の皆さんはご関心が薄いでしょうが、例によって中国が多大な貸付をしており、現政権の維持に躍起になっています。仮に米軍の軍事介入で債権がパーになれば一大事なので中国は米軍の動きに「猛烈反対」するはずで陽動作戦で西太平洋で何らかの動きを示さないとも限りません。したがって遠い国の話しと無視できないのです。
CIA Linked Plane Makes Brief Trip To Venezuela As American Diplomats Evacuate
ヴェネズエラに急派されたCIA関連機、米外交団撤収に投入されたのか
The CIA flight comes amid other mysterious aerial activity in and around the country and concerns of an impending American intervention.
CIA手配のフライト以外に不可思議な航空活動が同国周辺に見られるのは米軍事介入が近づいてきた証拠なのか
BY JOSEPH TREVITHICKMARCH 14, 2019
ヴェネズエラの政治経済危機でニコラ・マデューロ政権崩壊が近づくさなか中央情報局とつながる企業のロッキードL-100-30一機が首都カラカスに着陸した。同機の派遣はマイク・ポンペイオ国務長官が米外交団の全員撤収を命じたことを受けてだが、米国がマデューロ政権に挑戦する国民会議議長のフアン・グアイドの側に立ち軍事介入の備えに入ったのではとの懸念が強まってきた。
機体追跡サイトでL-100機の動きを真っ先に気づいた個人がある。C-130ハーキュリーズの民生仕様の同機は登録コードN3867Xで東部標準時8:00 AMごろカリブ海を南下し、二時間半後にカラカスへ降下を開始した。同機は1:20 PMごろヴェネズエラを出発した。
N3867Xの登録データを見るとT3D&H LLCというデラウェア州ウィルミントンの企業があらわれ、連邦航空局FAAによれば同社はCIAとつながりのあるフロリダのテッパー・エイビエーションTepper Aviationのフロント企業と理解されている。
CIA linked Tepper Aviation Lockheed L-100 N3867X heading towards #PuertoRico
· 14h
CIA linked Tepper Aviation Lockheed L-100 N3867X heading towards #PuertoRico
Really Interesting CIA linked Tepper Aviation Lockheed L-100 N3867X heading South over The Caribbean Sea pic.twitter.com/aiXXz9Ku7c
CIA linked Tepper Aviation Lockheed L-100 N3867X heading #Caracas #Venezuela. The only explanation I see is the plane land as a diplomatic flight to repatriate American embassy staff
CIA linked Tepper aviation (T3D&H LLC front company) Lockheed L-100 N3867X currently currently descending for Maiquetía #Caracas #Venezuela. I repeat again , I guess it lands as diplomatic flight.
· 12h
CIA linked Tepper aviation (T3D&H LLC front company) Lockheed L-100 N3867X currently currently descending for Maiquetía #Caracas #Venezuela. I repeat again , I guess it lands as diplomatic flight.
CIA linked Tepper aviation Lockheed L-100 N3867X departed #Caracas #Venezuela pic.twitter.com/X5iOFk1wsv
テッパーが中央情報局のアンゴラ反乱勢力UNITAの支援に関与しているとの報道が1989年にあり、イランコントラ事件関連の貨物を輸送したとあった。同年に同社保有のL-100の別機N9205Tがアンゴラで墜落し同社オーナーのバド・ペティに加え、米国人、西ドイツ陣、英国人のほかUNITA人員数名が死亡した。同機は武器輸送中との報道があった。
テッパーを米政府による特別事業と関連づけるメディア報道もあり、FAA記録ではN3867XはT3D&Hが南アフリカのSafairから2006年に取得したとある。
#ULTIMAHORA A las 10:40am aterrizó en el aeropuerto de Maiquetía un Hércules C-130 de la Fuerza Aérea de EEUU. Al mismo tiempo llegaban al terminal auxiliar varios vehículos con placas diplomáticas de EEUU. Llevan personal y carga.
Inicia #HILO...
同機は全面的に薄いグレイ塗色で識別記号等をつけず、ヴェネズエラで何をしていたのか不明だ。今回のフライトについて当方が照会したが中央情報局は記事執筆時点まで何ら回答していない。一つの可能性は同機がカラカスからの米国大使館関係者撤収に関わっていたことだ。
「米国は残る人員を @usembassyveから今週中に退去させる」とマイク・ポンペイオ国務長官が2019年3月11日にツイッター投稿した。「今回の決定は#Venezuela情勢悪化に伴い、米外交団が大使館に残ると米政策上に制約が生まれるとの判断からも下された」
2019年3月14日 1:30 PM、N3867Xがヴェネズエラを離陸するとポンペイオは再びツイッターで米外交関係者全員が同国を去ったと述べた。
The U.S. will withdraw all remaining personnel from @usembassyve this week. This decision reflects the deteriorating situation in #Venezuela as well as the conclusion that the presence of U.S. diplomatic staff at the embassy has become a constraint on U.S. policy.
All remaining U.S. diplomats in #Venezuela have departed for the time being. We remain firm in our support for Venezuelan people and @jguaido and look forward to returning to a free & democratic Venezuela. #EstamosUnidosVE
また米政府がボーイング737をカリッタチャーターから借り上げ同じ目的に投入したのも判明した。同機は米国登録N331CKで2018年の米外交関係者のモスクワ退去時にも使われている。ロシアが英国内で元工作員セルゲイ・スクリパルを神経ガスで殺害に伴う措置だった。
Kalitta Charters II 737 N331CK from #Miami heading #Venezuela to withdraw all staff from #Caracas embassy
· 13h
I wonder what this plane is usually up to?
This plane was the one that repatriated part of the diplomatic delegation last month from Caracas, curiously also repatriated the staff of US embassy in Moscow after the Skripal case last year.
CIAはこれまでも米大使館内や近隣で活動してきた。同局が職員を国務省の決定と同時に退去させた可能性はある。今のところ米政府職員の安全に関する事項で国務省が責任をとっている。.
別の可能性としてCIAが人員、装備、補給品を送り込み、同国内での活動強化に備えたというのがある。もともとインフラが脆弱なところに制裁措置が加わり同国では全国規模の停電があり物品強奪や基本サービスが消滅し、死亡案件の報告もある。同国内の米国政府施設に自家発電もあるが燃料補給は必要だ。
CIAが国務省関係者離脱で国内施設の追加的保安措置が必要と判斷した可能性もある。ただ外交官のカバーなくして同局が活動を継続するのは困難だ。これとテッパーエイビエーション機のタイミングを合わせると同機はCIA人員装備の撤収と関連しているほうが強く感じられ、同国への持ち込みではないはずだ。
N3867Xがヴェネズエラで何をしていたにせよ、同国内外で進行中の出来事へ関心が高まるのは必至だ。2019年2月7日、ヴェネズエラ当局はヴァレンシア市へ搬入された武器等を押収したと発表。同市はカラカスの西100キロにあり、ボーイング767(米民間機登録N881YV)がマイアミから飛来したという。
銃火器等が実際に同機内にあったのか確たる証拠はない。同機を保有するのはノースカロライナに本拠を置く 21 Airと同機をチャーターしたGPS-Airは共に事実関係を否定している。
21 Airの会長がジェミナイエアカーゴGemini AIr Cargoという別企業にも関係があるとの指摘に要注意だ。テッパーエイビエーションと同様にジェミナイエアカーゴはCIAや政府事業と関連があるともいわれる。
興味を引く点がある。フライト追跡サイトによればN881YVは2019年1月にヴァレンシアに定期的に飛んでいたが武器と言われるものの発見後に飛行を取りやめている。GPS-Airはその頃ヴェネズエラ向けに同機をチャーターする唯一の企業だと 21 Air は説明しているという。
さらに奇々怪々なのが 21 Airが別のボーイング767機登録番号N999YVをチャーターしオランダ領キュラソー島へ2019年2月21日運航したことで、同島には米軍が前方作戦施設を設け、ヴェネズエラが対象の人道救難援助にあたっていると伝えられている。だがこの機体が本当に現地にあった記録はないとカナダの飛行機船舶ウォッチャーSteffan Watkinsが述べている。同機には最近はどこにも飛行した記録はないという。
"Workers load food and medicals aid for Venezuela from a US Boeing 767 (..) in Willemstad, Curacao in the Netherlands Antilles on February 21, 2019."
(Photo by @lacostacastro / AFP)
(Photo credit should read LUIS ACOSTA/AFP/Getty Images) https://www.gettyimages.ca/detail/news-photo/workers-load-food-and-medicals-aid-for-venezuela-from-a-us-news-photo/1126606537?share=site_twitter …
21 Air LLC owns two planes, one of which I was tracking back and forth, the other one looked like it was not flying at all, in fact it hadn't been seen anywhere in over a year - until I looked at http://JetPhotos.net , after I saw the Getty image in use.https://www.jetphotos.com/info/767-23801
N999YV | Boeing 767-241(ER)(BDSF) | 23801 | JetPhotos
N881YV (AC23C6) is the plane that the article was written abouthttps://registry.faa.gov/AircraftInquiry/NNum_results.aspx?NNumbertxt=881YV …
N999YV (ADF64C) is the plane with absolutely no flight history across multiple flight trackers - not just the ones that usually block stuff. It's a ghost plane. It's spoofing or not accurately reporting its identity, and it's not a military flight.https://registry.faa.gov/AircraftInquiry/NNum_results.aspx?NNumbertxt=999YV …
だからといってマデューロ転覆とグアイド支援を目指すCIA関連がヴェネズエラで実効力を上げている証拠にはならない。グアイドが自身で暫定大統領を宣言し、米国他南アメリカ数カ国が正式に承認したが、マデューロは米政府さらにCIAへ非難を繰り返しており、証拠をあげずに自身の政府転覆の企てがあると主張している。
マデューロは米国の他にコロンビアも自身の暗殺未遂で非難対象としており、同国が爆発物を搭載した無人機を2018年8月に飛来させたとする。また「米政府以外にはない」「ハイテク」機能があったとし、米国によるサイバー戦について触れていると見られるが、同国内電力網の機能停止の責任を追求している。米国は暗殺未遂、停電のいずれにも関与を否定している。
マデューロとグアイドの国家指導権を巡る危機状況が発生したのは2019年1月で同時にヴェネズエラ国内や周辺では民間企業が人員、資産の保全に神経質になった。マデューロが国庫から金塊を大量売却するとの報道もあり、同国への国際圧力に対抗する動きだというが単純に自身の富とするためかもしれない。
しかし 21 Air の767機の動きに加えテッパー・エイビエーションのL-100-30が今回飛来して米国がいよいよヴェネズエラ武力介入に近づいた証拠との危惧が強まった。2019年2月を境に米空軍のスパイ機RC-135V/Wリヴェットジョイントがヴェネズエラ北東沿岸沖を周回して定期的監視を始め、米海軍もEP-3EエアリアスIIを同じ区域に少なくとも一機送り込んでいる。
USAF RC-135V 63-9792 SNOWY06 departed Offutt AFB for a surveillance mission off the #Venezuela coast.
US Navy EP-3E Aries II 156517 patrolling off the coast of #Venezuela
RC-135V/WとEP-3Eはともに高性能通信傍受機材で無線通信やレーダーの「発信源」を探知し、通信を聞き取る。交信内容を記録分析し、いわゆる「電子戦力編成」としてレーダー等の防空体制の現状を把握できる。
ポンペイオ長官発言で米外交団が現地に残留すると米政策遂行の「制約」になるというのは米大使館を維持すれば軍事作戦で不必要なリスクが生まれることだろう。ヴェネズエラの治安維持部隊が大使館を占拠し米国人を人質にして介入を回避しようとするかもしれない。国務省も同国内に残る米国人の生命の保証はモデューロや治安部隊の責任だと述べている。
GOOGLE EARTH
.カラカスの米国大使館の衛星写真
2019年1月にジョン・ボルトン国家安全保障担当補佐官が同じような懸念を抱いていることが発覚した。記者が補佐官が抱えるメモ用紙に「コロンビアへ5千名規模部隊派遣」とあったためだが、走り書きの真意は不明のままだ。
そんな中でドナルド・トランプ大統領がエリオット・エイブラムズをヴェネズエラ問題特別代表に任命したことで先の観測がますます強まった。エイブラムスは国務次官補として1980年代に物議を醸したラテンアメリカでのb米国活動に関与しており、イランコントラ事件では有罪判決を受け投獄されたがジョージ・H・W・ブッシュ大統領が恩赦を与えた。2019年3月12日、エイブラムズは記者団に「選択肢はすべて」テーブル上にあり米政府はヴェネズエラ危機に対応すると述べたばかりだ。
"The president has said 'all options are on the table.' They are," Elliott Abrams, US special envoy for #Venezuela tells @StateDept reporters.
時同じくしてヴェネズエラ危機関連の米軍活動は情報収集と空軍輸送機の投入による人道援助物資の搬送が隣国コロンビアで活発になっている。軍事介入につながる戦闘部隊が現地で増強されている兆候はない。
USAF
コロンビアのククタで米軍要員が人道援助物資を空軍のC-17AグローブマスターIII輸送機から荷降ろし中。2019年2月。
N3867Xが突然ヴェネズエラに姿をあらわし、国務省残留人員を退去させたのか注目されるが米政策の新しい方向性を示しているようだ。本件には今後も目を光らせ進展あればすぐお伝えしたい。■
Contact the author: jtrevithickpr@gmail.com
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