スキップしてメイン コンテンツに移動

イスラエルに米陸軍THAADが初の完全展開した意味


U.S. Sends THAAD To Israel For First Time As Both Countries Slam Iran's Missile Programs 米軍THAADがイスラエルに初の完全展開し、米イのイランへの決意を示す


The United States and Israel have been laying the ground work for this type of deployment for years.米国とイスラエルはこれまで数年かけて今回の展開の基盤を構築してきた


BY JOSEPH TREVITHICKMARCH 4, 2019

US ARMY

軍がTHAAD高高度迎撃ミサイル防衛装備をイスラエルに演習用だが初めて送付した。今回の配備は両国がイランの弾道ミサイル開発に神経質になる中での実施となったが同時にここ10年にわたり実施中の緊急展開案もにらんだものだ。
米欧州司令部によれば今回の展開は3月4日に発表されたが、米陸軍が公表した写真を見るとイスラエル中央部ネヴァティム航空基地に搬入された第一陣は3月1日に到着している。演習は国防長官代行パトリック・シャナハンが命じ、ペンタゴンのめざす「動的部隊展開構想」の実証の意味があるという。これは米国の敵対勢力に知られないうちに部隊を展開するジェイムズ・マティス前長官提唱の構想だ。
「展開の目的には迅速展開を世界各地に向けて実施する訓練以外に、イスラエル空軍の防空装備との協力体制を進める意味もある」とイスラエル空軍はツイッターで説明している。「防御目的の展開であり現状のいかなる出来事とも無関係だ」
· 14h
The purpose of the deployment is to practice rapid deployment across the globe of complex systems, and to enhance cooperation with the IAF’s Air Defense Systems.

The IDF is working in cooperation with US forces in order to enhance coordination between the two militaries and...
This is a defensive deployment that is not related to any specific current event

米陸軍がイスラエルにTHAADを持ち込むのは今回が初めてだ。THAAD装備には輸送起立発射車両が最大9台あり、各8本の迎撃ミサイルを発射できる。これにあわせXバンドレーダーAN/TPY-2、移動式射撃管制指揮命令所、その他支援装備で構成する。迎撃ミサイルは補充可能だ

MDA
.

今回展開したのはテキサス州フォートブリスの第11防空砲兵旅団隷下の第二対空砲兵連隊B中隊とオハイオ州軍174対空砲兵旅団の一部で、11旅団は陸軍のTHAADの大部分を管理しており、二個中隊がグアムと韓国に前方配備中で北朝鮮脅威に対応している。
今回の動的部隊展開演習は装備の搬送、輸送、展開、設置の他イスラエル国防軍と接続し防空網の一部とする作業の評価にうってつけの機会となった。実際の緊急対応ではイスラエルが整備下弾道ミサイル防衛能力を補完するねらいがある。演習は米軍のミサイル防衛体制見直しの最新版とも歩調を合わせ地域なの同盟国との協力を強調する形となった。
「米国は強力なミサイル防衛協力関係をイスラエルと維持し、このたびの米イスラエル合意事項を尊重する」とミサイル防衛体制見直し報告書は説明している。「二国間演習の機会を利用し...米イ両国は今後も作戦協力関係の強化を通じて地域内のミサイル脅威に対応していく」
US ARMY
米陸軍隊員がTHAADの輸送起立発射車両を空軍のC-17AグローブマスターIII輸送機に搬入している テキサス州フォートブリスにて

イスラエルはミサイル以外に非誘導式ロケット弾の脅威にも直面しており、シリア独裁者のバシャ-アルアサド政権、イラン、イランが支持するシリア内勢力がこれを発射しており、レバノンにはヒズボラもあるが一番大きな懸念がイランが弾道ミサイル整備を進めていることだ。「イランが行使する手段としてミサイルがまず考えられ、本数が増えるとともに精度、飛翔距離、威力が向上している」とミサイル防衛体制評価が警句を鳴らしている。
そのため米イ双方はTHAAD配備は実際の情勢と無関係と主張するものの、イランへ何らかのメッセージを送っていることは当然だろう。2019年1月にイラン当局は衛星打ち上げに失敗したが米イ両国は弾道ミサイル開発を隠す意図があったと非難している。2月にニューヨークタイムズ記事が米政府がイランミサイル開発の妨害をひそかに再開したと伝えた。
米国はイランの核兵器開発をめぐる多国間取り決めから2018年に脱退しているが、トランプ政権はこれまでになく厳しい姿勢をイランに示しており、経済制裁再開を主張している。トランプ政権にとって核以外の問題に何も手を付けていないことが不満の種だ。
イランもシリア国内の複数地点に弾道ミサイルを撃ち込んでいる。この発射でイラン政府は周辺の敵対勢力にメッセージを送っているのだ。
さらにイランは弾道ミサイル技術を周辺地域の味方陣営に拡散している。ヒズボラもその例でイエメンのフーシ反乱勢力など中東で一層の脅威になっている。イスラエル政府はイランがヒズボラにGPS誘導装置を手渡しミサイルに搭載させたと非難しているが証拠は一切示していない。ヒズボラはイスラエルがミサイル工場だと指摘した建物が公表されるとすぐに証拠抹消を図った

IDF released video about Iranian and Hezbollah Missile Accurate Project (MAP) facilities near Beirut Airport /Israel /Lebanon
6

初のイスラエルへのTHAAD完全展開となったが陸軍ではジュニパーコブラの名称でイスラエルへの装備迅速展開を訓練しており、3月の実施が多い。米軍は今回のTHAAD展開が今年度のジュニパーコブラの一部なのか明言していない。
毎年の演習ではペイトリオットをイスラエル各地に展開する。ただし2007年以降の演習シナリオではTHAADとアーレイ・バーク級駆逐艦が搭載臼るイージス弾道ミサイル防衛装備をシミュレートしてきた。ジュニパーコプラではイスラエルのペイトリオットとアロー系の弾道ミサイル防衛装備も展開する。

US ARMY
2018年のジュニパーコブラ演習でイスラエルに搬入された米陸軍のペイトリオット関連レーダー装備。

2012年以降は米国はAN/TPY-2前方配備レーダーをイスラエルのネゲブ砂漠にあるハーケレン山(サイト512)頂上に設置しているが、今回の展開の様子を示す写真ではB中隊は自前でAN/TPY-2を持ち込んでいるようだ。
2017年に陸軍はイスラエル防空学校のあるビスラチ航空基地内にサイト883を開設した。これもネゲヴ砂漠だ。これは米軍対空対ミサイル装備のイスラエル前方配備の増加への対応だ。これに伴い米陸軍は第13ミサイル防衛中隊を稼働させている。

US ARMY


THAAD装備一式を全部持ち込むことはシミュレーションとは意味が違い、周辺国へメッセージを明確に送ることになる。イランはその対象の一つで米国とイスラエルが有事に際してどう行動するかを実際に見せる意味もある。

トランプ政権がミサイル防衛を継続拡張する意向を示す中でイスラエルとの防衛協力はイランの弾道ミサイルへの強硬な態度とともにイスラエルへのTHAAD展開が今後は当たり前になると示しているようだ。■

Contact the author: jtrevithickpr@gmail.com

コメント

  1. ガチで戦争中の国は、イスラエルのような反応が当然ですよね。なのに、形式上は朝鮮戦争以来、ずっと戦争中の韓国のサード配備反対運動と政府のヘタレ具合は何なんでしょう?紛争当事国としての自覚があるんだろうか?と「サードミサイル配備」という単語で思い出しました。

    返信削除

コメントを投稿

コメントをどうぞ。

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ