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☆インドMiG-21がパキスタンF-16撃墜との主張から浮かび上がる興味深い事実

The Indian Air Force Claims A MiG-21 Bison Managed To Shoot Down A Pakistan Air Force F-16D Block 52

インド空軍がパキスタン空軍F-16Dブロック52一機をMiG-21バイソンで撃墜したと主張



インド空軍のMiG-21バイソン (Image credit: IAFIAF発表ではMiG-21パイロットは身柄拘束されているが、被撃墜前にPAFのF-16を撃ち落としたという。

ずおことわりしておく。カシミール上空での事態ではい違う内容の発表がここ数日食出ており、インド・パキスタンの武力衝突で一部は確認が難しく実際に何が起こっているのかわかりにくい。


ひとつだけ両陣営発表から確認できたのはインド空軍IAF所属のMiG-21バイソン一機が撃墜されパイロットがパキスタン軍に身柄を拘束されていることだ。


本日判明した事項をお伝えしたい。


IAF発表によれば2月27日に撃墜されたMiG-21は8機編隊の一部で他にスホイ30(4機)、ミラージュ2000(2機)、MiG-21バイソンがあり、パキスタン空軍PAFの24機編隊(F-16が8機、ミラージュ-3の4機、JF-17サンダー4機含む)に空戦を挑んだものだった。


F-16の型式と存在を証明すべくIAFはインド領内で回収したAIM-120C5AMRAAM空対空ミサイルの残骸を公開した。


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Indian Armed Forces show parts of AIM-120 Advanced Medium Range Air-to-Air Missiles (AMRAAMs) launched from Pakistan Air Force F-16 over Kashmir near the LoC yesterday.
11:19 AM - 28 Feb 2019

最も興味を引くのは撃墜されたMiG-21バイソンが墜落前にPAFのF-16Dを管理境界線上空で撃墜したとのIAF発表だ。


「パキスタン空軍所属のF-16一機をインド空軍のMiG-21バイソンが撃墜した。F-16の破片は境界線沿いにパキスタンが実効支配するジャンムとカシミールに広がった。インド空軍もMiG-21一機を喪失し、パイロットは脱出したもののパラシュートが流されパキスタン軍に身柄を拘束された」とインド空軍は発表した。


「インド空軍第51飛行隊所属のMiG-21がロシア製ヴィンペルR-73近接対空ミサイルで敵機を撃墜した」との報道がある。


F-16が撃墜された証拠は示されていない。

PAFの F-16DがネリスAFBをレッドフラッグ演習 RF 16-4 で離陸している (Image credit: Tomás Del Coro)

確認がとれればだが、MiG-21による撃墜実績の意味は大きい。空戦で新型機(この場合はF-16)が必ずしも勝つ保証はないとの実証が加わることになるからだ。以下を頭に入れておく要素がある。パイロットの技量、他機材の支援(僚機やAEW機材など)、地上レーダー等だ。なかんずく交戦規則RoEが重要で、敵機のポジティブVIDが必要とあれば戦闘機はWVR(視界内)交戦を強いられ、MiG-21が威力を発揮する。このため第5世代戦闘機でも旧型機との交戦を常時訓練している。


今回の事案は確認は取れていないが第3世代機でも第4世代機の撃墜はWVR交戦なら可能だとわかる。


MiG-21バイソンはロシア製機体の性能改修型だ。設計こそ旧式だがレーダー被探知性が低く鋭い旋回性能、加速性能にヘルメット搭載視認装置やR-73空対空ミサイルが加わり改修型MiG-21はあなどれない敵になる。2004年のコープインディア演習で米F-15を相手にインドのMiG-21等が9:1の優れた空戦記録を残した事を忘れてはならない。■


コメント

  1. 興味深い記事ですね。近年はドッグファイトにはならないという見方が一般的ですが、状況次第では、今でもWVR(視界内)交戦でのドッグファイトもあり得る可能性を述べていますね。F-35B/Cでは機関砲は外付けですが、こういう記事を見ると、付け無いと不安になるかも。まぁ、F-35のアビオニクスは世界最高レベルの探知能力だから、視界内交戦に入る前に探知して攻撃できると思いますが、相手もそれを想定してきますから、どうなるやら。
    航空自衛隊は要撃主体の任務(いわゆる領空侵犯防止)ですから、F-35Bに機関砲を外付けにしても問題ないでしょうが、新しいステルス機(F-35B)だと思って、無茶な動きをする中国機がでてきそうです。中国は人民も軍隊も国際マナーを守らないことがあるようですから、心配です。。。

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  2. Mig21も侮れませんね。エンジンは換装していませんが、レーダーもF-16C/Dには負けますが、同等となっていますし、HMDも追加されて、近接ミサイルはR73と非常に高性能で、WVR戦闘では実力通りだったみたいですね。
    F-35はWVR戦闘は、キツイですね。機体性能としてはF-16/F-18以上の性能ですが、武装は基本AMRAAMのみですから。F-16以上の旋回率でF-18以上のAOAを持つので格闘戦自体は得意なはずですが。ただ格闘戦などはダメという定説があるようですが間違いだと考えています。
    米空軍は、近接ミサイルは重視していないようで、いつでもどこでもAMRAAMの方針のようです。9X搭載はF-16/F-15を含めてあまり進んでいないようです。
    いまだに9Mを使っています。AIM120Dであれば、機体の真後ろへ射撃もできるようです。WVRで格闘戦になるためには、昔からそうですが、双方の合意がないと発生しないと思います。WW2も日本と米軍みたいです。F-35は速度を含めて回避しやすいと思います。
    空自のスクランブルのことだと思いますが、F-35Bでは多分あまりスクランブルには使用されないと思います。ガンポッドを搭載してもステルスは確保されるみていですが海兵隊でも常に搭載してるわけではないので空自で導入されんですかね。空自の戦闘機組からは必須といわれそうでけど。
    基本は、機関砲内蔵のF-35Aで、9Xを外装して行われるのでは。外装すればリフレクタなくてもよいような気がします。

    返信削除
  3. 偶発的戦闘でしょ?
    具体的状況が良く分りませんが目視距離内での交戦ですからお互いがギリギリまで撃つのを躊躇った可能性があり、その場合は性能云々ではなく先に決断して撃った方が勝つでしょう。
    これをもってACM能力の重要性が云々とか旧型でも侮り難い云々となるほど一般化出来る事例では無いと思いますね。
    今後も似たような接近戦が続くようなら話は違ってきますが・・・。

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  4. でも、確かコープインディア演習でf-15に勝ったのはsu-30とか聞いてますよ。後条件付きでしたし。

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