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金正恩暗殺は実施可能な選択肢なのか

本当に面倒くさいので誰かこのデブを抹殺してくれれば気持ちが生成するという方は多いのでは。しかし、物事はそんなに単純ではないというお話です


Worst North Korea Idea Ever: Assassinating Kim Jong Un To "Solve" The Problem 金正恩暗殺は最悪の北朝鮮問題の解決策

This would make things far worse.

March 22, 2019  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: North KoreaKim Jong-unDonald TrumpAmericaNuclear

リンガスを使った襲撃の画像がホワイトハウスのシチュエーションルームに届いた。ドナルド・トランプ大統領は国家安全保障会議に具体的選択肢を翌日提示するよう命じた。国防長官ジェイムズ・マティス、国家安全保障担当補佐官H・R・マクマスター、統合参謀本部議長ジョセフ・ダンフォードが国家安全保障の原則に則り打ち合わせ、トランプ大統領が巡航ミサイル59発をアサド政権の航空基地にあるガス攻撃拠点に打ち込む命令を米海軍に下した。
並行してNSCは対北朝鮮方針も微調整した。シリア化学兵器には攻撃を選択したがトランプ大統領は安全保障関連で長期かつ柔軟度が高い助言を求めていた。政策検討がはじまるとK・T・マクファーランド副補佐官が「通常策以外の選択肢」も含めるよう部下に指示した。
その内容は判明している。韓国への核兵器再配備、抑止力を高める、金正恩及び上級司令官の暗殺もその一部だ。「20年間におよぶ外交活動、制裁措置でも北朝鮮活動は止められなかった」と当時この検討に加わった情報機関高官がNBCニュースで語っている。行間を読めばトランプ政権のメッセージが浮かび上がる。「北朝鮮はあまりにも長く米国にとって問題となっており、現在の権力構造をひっくり返し新しい選択肢を選ぶ時期が来た」
外国指導層暗殺が米国の安全保障手段の一部だった時期がある。冷戦時には米国の政策目標に対する支持が低いリーダー、あるいはソ連と親しくなったリーダーは除去対象となった。キューバのフィデル・カストロ、コンゴのパトリース・ルムンバ、ドミニカ共和国のラファエル・トルヒーヨ、グアテマラのハコボ・アブレンツはすべてCIAの殺害リストに載った。リビヤのムアマル・カダフィは国際テロ活動を支援し何度も命を狙われた。1986年にはロナルド・レーガン大統領がカダフィ住居の攻撃を許可し、カダフィ暗殺がリビヤ空爆の第一目標と後に判明している。
冷戦は25年も続いたが、今日では外国政治家の殺害は推奨されずむしろ冷笑される。フォード大統領以降は米国が暗殺の企てに直接関与することは許されないというのが米国政策の基調である。フォード大統領の命令は明確で、「米国政府職員はいかなる政治人物の暗殺に関与、あるいは企ててならない」とある。レーガン大統領は大統領令12333でこれを再確認、拡大し、「米国政府職員あるいはその代理たるものは何人も暗殺の企てあるいは実行に携わってはならない」とした。
したがって金正恩暗殺につながる政策選択あるいは北朝鮮指導部の除去は米政策の大変更となり51年間に及ぶ路線からの脱却になる。もちろん政策に変更があってもよく、大統領令には修正変更の余地がある。また米国大統領に外国指導者殺害の命令を禁じる条項もない。米国憲法第18条1116条項で外国指導者殺害の企てをした米国民は訴追されるが、これは米国内での犯罪あるいは海外指導者が「自国外で」標的となる場合に適用される。トランプ大統領が大統領令を改定すれば金正恩を標的にしても刑法は適用されなくなる。
金正恩や北朝鮮高官で核開発や弾道ミサイル事業に従事するもの、情報機関のトップ等を暗殺しても賢明な政策選択のかも考える必要がある。トップの座にある悪者を除去すれば残る悪者たちは怖気づき政権は人権を優先する民主体制になると思いがちだ。イラク軍事介入の直前まで同じように考えていたものだ。だが結局この仮説の有効性は不明のままとなったのはサダム・フセインが攻撃を生き延び、バース党指導部が翌日にも連合軍に降伏するはずとの虫の良い想定と逆ににその後も戦闘は続いたからだ。
北朝鮮は2003年のイラクと全く違う状況だ。金正恩は権力基盤を固め、自身に脅威と見れば親族でさえ抹殺してきた。イラク軍は1991年の湾岸戦争で士気喪失し戦力も低下したが、北朝鮮は核兵器で武装しソウルはおろか地域内の米軍基地も攻撃な可能だ。金正恩を殺害すれば政権がまともになると考えてその通りにならないと高い代償を払わされる。北朝鮮は人的情報収集活動のブラックホールで米情報機関も北朝鮮高官の評価に苦労している。たとえば金正恩の妹が同様に腹黒く予測不可能な人物なのか見極められない。国家元首を暗殺すれば戦争行為と解釈され、北朝鮮の新指導者が冷静さを失っても報復に走らないと断言できない。
NSCは金正恩を亡き者にする選択肢もトランプ大統領に提出するだろう。現段階では通常範囲を外れた選択肢であり、補佐官も大統領に検討を勧められないかもしれない。実施すれば中国がただちに頑なに反応し、韓国や日本の各政府も北朝鮮にはもっと予測可能な行動を期待しているはずなので、金正恩暗殺を目標達成手段とは考えていないだろう。
結局この話題は中国を米国に協力させる政治ゲーム以外の何物でもない。
Daniel DePetris is a fellow at Defense Priorities.

コメント

  1. 米国の国力を考えれば、金正恩や北朝鮮高官の抹殺は可能でしょうが、その後の混乱をどのように防ぐかが最大の問題です。核やミサイルが残っていれば、残った者たちがヤケクソになって乱射しないとも限りませんし、仮に核やミサイル等の軍事兵器も一緒に破壊できたとしても、北朝鮮の国民が大量の難民となって中国や韓国はもちろん、ロシアや日本にも雪崩れ込んできます。これが、中国やロシアが北朝鮮の核保有を良く思っていなくとも、北の指導者の排除に否定的な理由だと思います。
    やるならば、米国、中国、ロシア、日本で合意の上、南北朝鮮を纏めて空爆し、一切を廃墟にすることでしょうか。軍事力的には可能だと思いますが、この合意を取り付けられるかどうか?でしょうか。

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  2. ぼたんのちから2019年3月29日 23:40

    この記事の筆者は問題の立て方を間違えている。「斬首作戦」を行えば当然戦争になり、戦争開始を前提に、その作戦の一部として斬首作戦を行うかどうかと検討すべきではないか。
    斬首作戦のみを取り出して、その是非を見ようとするから、法要求や倫理面から妥当性を評価しようとするのだ。大統領令で「米国政府職員あるいはその代理たるものは何人も暗殺の企てあるいは実行に携わってはならない」ならば、過去行った米韓軍の斬首作戦の演習は行ってならないものになる。演習を計画し、実行した米軍将兵は法違反に問われることになってしまう。
    斬首作戦は、人民や国家よりも我が身が可愛い金に最も有効な圧力であり、作戦の実行は、神格化された金の排除により北朝鮮軍の継戦意欲を削ぐだろう。その後の展開も考え、実行の可否を判断すべきだろう。

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