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F-35かF-15Xかの議論にミッチェル研究所の結論は...F-35増産に絞るべき

デプチュラ中将が所長を務める空軍協会のミッチェル研究所による論考です。F-15Xをゴリ押ししたのは国防総省であり空軍には不要の存在との主張ですが、さすがに空軍の現場感覚を残すデプチュラ中将らしい論調ですが、予算案はすでにできあがっており空軍省では期待できず、議会に待ったをかけてもらいたいとの主張ですね。逆に言えばF-15Xはそこまで実現が近づいているということでしょうか。


Mitchell Weighs In: More F-35s or New, Old F-15s?

ミッチェル研究所の見解 F-35増産かF-15新規生産機か

Fifth gen or fourth gen? F-35A or F-15X. Stealth, sensors and fusion or lots of missiles? Lockheed or Boeing? See what the Mitchell Institute says. 

第5世代課題4世代か。F-35AそれともF-15X。ステルス、センサー融合機能か大量ミサイル搭載能力か。ロッキード、それとボーイングか。ミッチェル研究所の答えを御覧ください。


By DAVID DEPTULA and DOUG BIRKEYon March 04, 2019 at 4:41 PM

388戦闘航空団の第四戦闘機隊のF-35Aがレッドフラッグ2019でネリス空軍基地を飛び立つ。 Feb. 6.
空軍はもっと多くの戦闘機を必要とする。機材不足のまま稼働期間が増えている米空軍の戦闘機部隊は投資を先送りしてきた商品のようなものだ。調達を早期取り消しした2009年決定でF-22は必要機数の半分以下となりF-35生産は予定通りになっておらず、1970年代製のF-15C合計234機で耐用年数の終わりが2020年代にやってくる。世界各地で脅威が広がる中で対応不能は許されない。2020年度国防予算案の公表が近づく中、議会が今後の方向性に大きな役目を果たす。
議論の一つにF-35増産がある。
逆の議論が2020年度予算案に盛り込まれた。国防長官官房が空軍に働きかけF-15Xを既存機種の新規生産分として予算要求させている。
F-35の増産か、F-15Xを導入するのかとの議論から細かい論点が生まれ、何れの選択肢にも効果が期待できるが、パトリック・シャナハン国防長官代行はF-35を低評価する発言をしていると伝えられ、同機は「性能向上の余地が多い」とまで言ったという。
対照的にF-35を実際に操縦した空軍関係者は戦闘を一変させる存在だと述べる。ひとりは「今まで不可能だったことがF-35で当たり前のことになった」とまで述べている。
論議の最終結果が見えないが、議会は国防総省(DOD)と共に空軍が正しい道をたどり2018年版国家防衛戦略を実現できるよう導くべきだ。米国の航空優勢に挑戦すべく開発中の敵機に勝てる性能を有する機材を導入して米航空戦力の近代化をすすめ、また装備調達で多数の重要案件がある中で調達予算の効率よい執行も求められる。その意味でF-35の調達増加が最善の策であり、新規生産ながら旧式のF-15に予算追加するより優れている。

予算の現実
F-15X導入を支持する国防関係者にはF-15XはF-35と対抗する存在でないとし、F-35導入に影響は生じないと繰り返し主張している。その言い分に誠意が感じられるものの予算の厳しい現実ではF-35と小規模とはいえF-15新規生産の双方を調達する余地はない。国の借金が増え、金利が上昇する中で米国にこれ以上の国防予算の負担余地はないとの声がある。トランプ大統領もこの懸念を示し、下院軍事委員会のアダム・スミス委員長は国防費増額に反対で2020年度予算で減額を求めてくる可能性がある。
2020年の大統領選挙の結果次第で新政権が誕生すれば国防予算の大幅削減もありうる。その場合は空軍は予算減の中で装備更新をする事態に陥りかねない。反動として事業打ち切りやF-35調達数の削減など有害な効果が生まれかねない。F-15XとF-35の予算獲得合戦となれば、後者は典型的な死のスパイラルに陥り、機数が減れば単価が上昇し調達がさらにカットされる。この場合は米空軍が高いリスクを負う。同時にF-35で戦力増強を狙う空軍以外の組織や同盟国にも影響は必至だ。
空軍の調達予算に新規事業を追加する余地はない。今でさえF-35、B-21、KC-46、T-X、UH-1後継機、新型核ICBM、宇宙サイバー装備と重要案件でいっぱいだ。

F-15

F-15X整備案の詳細は不明のままだが調達対象機種の追加になれば予算全体でリスクが数年にわたり現れるのは必至だ。作戦実行で意味のある機数のF-15Xとなれば100機は必要だが、F-15Cの現有機材と一対一の更改となれば234機のF-15Xになる。報道にある2020年に8機、以後20機ずつの調達だとF-15X導入は10年以上かかるがその間の国防予算が相当厳しくなることは容易に想像できる。
報道どおり空軍がF-15X導入予算は別枠で確保できてもシャナハン以降のDoDトップが変更する可能性は残る。歴史を紐解けば過去にも「保証付き」の取扱が短期のうちに覆された事例はある。ロバート・ゲイツ国防長官がF-22生産を終了させ空軍の要求機数の半数の調達になったのはF-35があるのでリスクを下げれると長官が判断したためだった。
F-35はF-22より10年ないし15年新しい機材で多様な兵装を搭載できる。F-22のほぼ半額で大量生産による量産効果も期待できる。今後5年間で500機導入を予定し、全体では2,400機超の調達となる。2020年には米国の有人機は各種合わせ2,500機となる見込みだがうち1,100機が第5世代戦闘機のF-35とF-22になる....
ゲイツの楽観的な見通しは実現しなかった。2020年まで10ヶ月を切ったが、空軍にはF-22が186機、F-35が175機未満しかない。ゲイツ長官の誤った判斷、その後の長官各位による優先順位の変更、状況の変化、さらにF-35生産の遅れが重なり米国の航空優勢能力は危険水域になり、世界各地の司令官が望ましい戦力との差に悩んでいる。
機材更新が予定通り行えなかったため空軍に残ったのは機材数が少ない割に高い維持費がかかる事態で、各機種専用の支援体制が必要となる一方で経費そのものの改善に手をつけてこなかったためこうなった。そこにF-15Xの小規模部隊を加えれば問題は悪化するだけだ。F-15Xは旧型機の設計を継承するがF-15CやF-15E用のサブシステムは使えない。機体には新設計装備がつくため変更点が多い。そもそもエンジンが異なる。F-22の小規模部隊、相互互換性のないF-15各型、F-35が共存すれば不必要な維持費がかかる。供用期間中の経費を下げるためには機材の大量導入が必要で、初期型を早期退役させ、近代化改修を少しずつ進める必要もある。
F-15Xの第一陣を空軍が導入すれば作戦上意味を生む機数になるまで調達が続くはずだ。シャナハンの後継者が違う見方をして調達を中止させるかもしれない。反対にF-35調達を絞り他事業への影響が出ないようにするかも知れない。新規生産ラインでそのような柔軟対応はできない。

航空機材の進化
F-16のエレファントウォーク。韓国群山基地にて。
F-35批判には軍用機開発の歴史を振り返ることで見えるものがある。現在の各機種は険しい道をたどって今の実績をつかんだものばかりだ。F-16が供用開始したころを回想しパイロットが次のように述べている。「初期のF-16は墜落が多かった。ネリスで44日間で4機喪失した。編隊長は一ヶ月続ければ幸運だった。当時のジョークだが新型機を導入したら1エーカーの土地を滑走路端に確保しておけ、と言っていた」初期トラブルが多発したのはF-16だけではない。B-52、F-4、F-15、A-10、B-1、C-17他で皆経験している。歴史から見ればF-35は非常に上手く行っている方だ。昨年、F-35Bで一機喪失事案が発生したのが唯一の事故というのは従来の機材調達の実績と対照的だ。
運航コストは技術の成熟とともに性能拡大で下がるのが常だ。F-35の総合費用評価がこの点を見落としている。分析では何年も前の初期データを将来に当てはめることが多すぎる。最初にロールオフしたF-35と現在の機体では根本的な違いがあり、後者ではこれまでの知見が活用されている。この傾向により機体の性能は向上していくのだ。
現時点のF-35の機数が少ないことから相当数の機体は初期生産分でデータがゆがんでいるといえる。正確な評価には初期生産機材の比率を小さくする必要がある。これはF-35に限った問題ではなく、F-22でもデータのゆがみが発生したがF-35への懐疑的な見方で特に注意が必要だ。また初期生産型のF-15やF-16を空軍が実戦運用しなかった理由がある。訓練や評価用に使い、新型が稼働開始すると早々に退役させている。空軍はこの教訓を再度思い出すべきで、空軍を管轄する議会も同様だ。

情報時代の戦闘とは
F-35が必要とされる理由にF-15Xにない性能がある。将来を見据えれば空での勝利にはパイロットのデータ収集・合成能力、行動につながる情報への変換能力、僚機とのリアルタイム協力を適時適地に実施する能力が必須だ。軍事戦略でこうした能力を何世紀にわたり夢想してきた。実現できるようになりその規模と範囲が新しい。スマートフォンの登場でコミュニケーションと情報入手が一変したようなものだ。情報収集、処理でパイロットに正しい状況がわかるようになり、戦闘空域全体で味方と協調出来るようになり戦闘を一変させる効果がある。第5世代機で一年未満の経験しかないパイロットが何十年もの経験を有するベテランと同じ効果を引き出せるのだ。
直近2019年2月のレッドフラッグ演習は最高の難易度と現実的なものとなり388作戦群司令のジョシュア・ウッド大佐は初心者F-35パイロットが第4世代機で経験豊かなパイロット以上の働きぶりを見せたと紹介している。
これは第4世代機のF-15、F-16、F/A-18と大きく異なる。こうした機材のパイロットは大量かつ未整理のままの情報の洪水に見舞われるが長年の経験がないと対処できない。空軍パイロットのひとりは次のように述べている。
第4世代戦闘機ではパイロットは機体装備の取扱いをマスターするとミッション訓練に移り装備の活用を完璧に体得する。この訓練で戦闘空間を三次元的に把握する経験を積み効果的な連絡方法を学ぶ。すべてのシステムを使いこなすのにパイロットは数年間を要し、ウィングマンから先任パイロット・編隊先任パイロット、教官パイロットを経て指揮官になる。高度の経験を有する指揮官でもパイロットとして自機センサーを使いこなしつつ時宜にかなった決断を戦闘状況で下す必要がある
だが第5世代機は大きく異なる。F-22パイロットの言葉を聞いてみよう。「第5世代戦闘機で飛行技術を習得すれば、訓練の中心は交戦中の意思決定に移る。戦闘空間はデータ融合で表示されているから」 新旧機の大きな違いはパイロットにできることだ。F-22パイロットによれば「若手ウィングマンでも戦術判斷できるが第4世代機では先任パイロットになるぐらいの経験がないとできない」 第4世代機パイロットが何年も経験を積む内容を第5世代機パイロットが一年で習得できるのだ。
F-15XのシステムはF-15C、E型から継承発展しているが、機体の進化にも限界がある。第5世代機の情報技術で重要部分は一から設計して機体に搭載したものだ。センサーの数、統合、パイロットへの表示、僚機への接続機能のすべてでF-35は優秀さを示す。情報時代の戦いでこの違いは大きい。

ステルスがなければ
F-35とF-15Xの比較ではステルス性能がF-15Xにないことに意味がある。F-15Xが非ステルス機のため作戦範囲に制約が生まれ国家防衛戦略の実現に役立てない。ロシア、中国の防空装備は第4世代機の撃墜を主眼にしていたが、ここに来て米空軍が共用監視攻撃レーダーシステム(JSATRS)の機材更新を断念したことに注意すべきだ。その理由に敵防空能力の向上があり航空戦闘軍団司令官マイク・ホームズ大将も「将来の脅威環境でこの機体では何もできない」とする。スタンドオフ機材のJSTARSでさえ生き残れないのなら、非ステルスのF-15Xが敵地に飛び込む想定は正しいと言えるか。
旧型非ステルス機導入で効率的な予算執行になるという向きが理解していないのはミッション達成に機材がもっと多く必要となる点だ。F-15Xが高度脅威空間で生き残るためには護衛が必要となる。レーダー妨害機能、敵戦闘機の制圧、地対空ミサイルを無効にする機能を果たす各機も必要だ。各機運用にパイロット・支援人員が多数必要で空中給油機も基地機能整備も求められる。F-15Xを攻撃投入すれば全体コストは第5世代機より大幅に増える。
砂漠の嵐作戦でF-117ステルス機は一機で非ステルス機19機分の仕事をこなした。空軍参謀総長は「予算さえあれば、F-35を年間72機調達したいが総合的に見る必要がある。F-15はF-35に絶対になれない。だが機材が必要だ」と述べている。「同じ予算ならF-35より多い数のF-15が手に入る」としているが、F-15Xで同じミッションを実施すると支援機材がたくさん必要となる点を無視している。結論としてF-15XでF-35と同じミッションを高度脅威下で実施すれば費用がもっと高くなる。
「第5世代機が第4世代機をもり立てる」というのは正しいが、逆の意味もある。第4第5世代機の混合運用は第5世代機の利点をわざわざ劣化させることになる。というのは第4世代機の防御に多大の時間を使われるためだ。現時点の第5世代機がF-22の186機、F-35が175機と小規模であるため今でも厳しい状況の部隊運用はさらに苦しくなる。航空優勢確保があらゆるドメインでの軍事作戦成功の必要条件と考えると、空軍だけの課題にとどまらない。統合部隊運用に大きな影響が出る。この解決で必要なのは第5世代機の追加であり、第4世代の新造機材ではない。

空軍の望ましい姿
F-15Xが威力を発揮できるミッションもある。巡航ミサイル迎撃では大量搭載可能なミサイルで対応できるし、大型兵装も搭載し、本土防衛や厳しくない環境なら敵地攻撃も可能だ。F-15X推進派がこうしたミッションをさっそく前面に出しているが、同機がこうした任務を上手くこなせるのは間違いない。ただしこの理屈だと部隊の分断化につながり、F-15Xが投入できるのは脅威度の低い空域のみとなる、あるいは高度脅威の場合は追加護衛支援機材の投入が必要となる。現在の空軍が1947年の創立以来最小規模になっていることを考えると、この形では実際的ではない。空軍には高度脅威空域での作戦投入に必要な機材が不足している。このため空軍長官ヘザー・ウィルソンは386飛行隊体制を求めているのだ。空軍には戦闘構想を実施する余力が残されていない。現時点での要求に答える能力自体が不足しているのだ。
第5世代機は広く薄く展開して各種ミッションに投入されそうだ。F-22で戦闘投入可能機材は123機しかなく、F-35では48機に限られるがこれでは一度に二箇所での有事に対応できない。ミッションのサイクルで出撃する機材、ミッション実施中の機材、帰投する機材にわけるとミッションに投入できるのはわずか数十機の第5世代機になる。
複数方面で同時進行で部隊が必要となったり、太平洋のような広大な地区で有事となれば投入できる機数がさらに減る。機材不足のためF-15Xが前線に駆り出されるだろう。同機には大きなリスクとなり、第5世代機投入が早期に必要となるはずだ。中国は統合防空体制の整備を太平洋で続けており、第一列島線から第二列島線までを範囲に収めようとしている。欧州では相当の部分がロシア防空網の脅威にさらされるシナリオだ。F-15X導入への資金分散はこうした大国に好都合な結果を生む。
また今日の空軍は縮小した規模のため戦争損失からの回復力に限界がある。F-15Xが敵地に侵入すれば損失は更に増える。高性能戦闘機材の大量生産は困難だが本当の制約条件は人員だ。パイロット供給が厳しくなっており平時でも不足を補うのが難しい。パイロット養成制度は硬直しており戦時損耗の補充は期待できない。
さらに事態を複雑にしているのが有事対応案で州軍航空隊、空軍予備役も「総合戦力」の一部と想定している。戦略航空戦闘予備役の存在はこの十年間で消滅し現役機材も予算削減で処分されている。時計を逆回ししてこの状況を脱することなどできない。予備航空戦力を機材、人員あわせ再構築する予算はない。次の本質的な疑問が出てくる。州軍航空隊、空軍予備役のパイロットがミッション実施し無事帰国出来るチャンスを減らしていいのか。戦略道義の双方で予備役等にも第5世代機を供与すべきだ。

未来志向になれ
議会の空軍予算要求精査では、「安物装備で戦って勝った国はない」との英航空界の基礎を作ったサー・フレデリック・ハンドレイ・ペイジの言葉を思い出してもらいたい。「節約の余り敗戦になればこんなに高くつく結果はない。可能な限り低予算で空軍活動をまわすのに一番簡単な方法は機材の標準化だがこれでは戦時に使い物にならない」とも述べている。米国が冷戦終結後に享受した安全環境は終了している。ロシア、中国その他イランや北朝鮮の脅威は現実的のものだ。
米国の中核国益のため戦力構造は現実の脅威から決定しておく必要がある。第5世代機の技術がそこまで重要ではないとする向きがあるがそうだとしたら敵対勢力が第5世代機を開発しているからだ。相手側もF-22やF-35の性能は理解しており、匹敵する機材を作ろうとしている。F-22生産を再開してもおそすぎるし、指導層は同機の早期生産停止の誤りから学ぶものがあるはずだ。国防部門トップは技術にこだわるべきであり技術で今後の脅威に対抗すべきであり、過去の脅威を対象にするべきではない。F-15は例がないほどの成功を前世紀に達成した戦闘機である。しかしいまは次世代技術に資金を投入して先に進むべきときである。F-15が成功作だったことは認める。1960年代1970年代に制空戦闘機に必要な投資をして画期的な戦闘機が誕生した。そのまま長年に渡り同機が活躍しているのは同機の性能が重要なせいもある。
ワシントンDCの国防関連企業が第4第5戦闘機のメリットの議論を続けているが、決定的評価を下すのは実際に機体に乗り危険な任務に赴く人たちである。第5世代技術を経験すれば以後はその信奉者になる。F-35パイロットがこんなことを言っている。「5年やそこら前だったら機体は20機30機の第4世代機で敵の新鋭地対空ミサイルへの対応が大変だった。いまは同じミッションをもっと自信を持って実施できる。F-35数機で足りるし、その他の任務も同時にこなせる」現場の声ほど信頼に足る材料はない。上層部は現場の声に耳を傾けるべきだ。
空軍で実際に生命を賭すのは飛行要員だ。敵地に飛ぶ前にF-15XとF-35を選択できればF-35を即座に選ぶだろう。
国家防衛戦略の目的を実現できない装備を導入する余裕は空軍にない。F-35増産を進めるべきで限られた予算を新造とはいえ過去の課題に対応した旧型戦闘機に投じるべきではない。F-15Xで部分的とはいえ価値が生まれるのは確かだが導入すれば空軍全体の機材更新に悪影響が出る。いまでさえ空軍には装備近代化予算が不足している。そこに機材を追加すれば予算の食いつぶしとなり死のスパイラルにおちいるだけだ。F-15Xを導入してもKC-46、B-21、T-XさらにF-35の調達が減れば何の得にもならない。第5世代機による航空優勢確保への努力を薄める余裕はアメリカにない。
2020年度予算の組み直しには遅すぎる。今や議会が監督権を行使し長官官房の圧力でF-15Xを盛り込んだ予算要求を覆すべきである。空軍上層部が毎年72機のF-35調達を堂々と求めることは正しい。今日、明日の脅威環境から必要となる機材はF-35であり、米国は他国の追随を許さない航空戦力の優位性の実現を未来からの視点で進めるべきだ。過去からの延長ではだめだ。■

David Deptula is a retired lieutenant general who flew F-15 in every rank from lieutenant to lieutenant general. He is currently Dean of the Mitchell Institute for Aerospace Studies. Doug Birkey is executive director of the Mitchell Institute and an expert on military aviation.

コメント

  1. とにかく長い文章でした。しかも「始めにF-35有りき」の前提で文章が書かれているため、比較が不正確で、F-15X押し派の見解と大して変わらないように思います。

    ・「毎年72機のF-35調達」が予算上から不可能、と空軍長官が言っていたことを無視している。お金は何処かからか沸いてくる訳ではない。(USドルを刷れば良いのかも(笑))
    ・F-35にあり、F-15Xに無いと言っている「パイロットのデータ収集・合成能力、行動につながる情報への変換能力、僚機とのリアルタイム協力を適時適地に実施する能力」は、センサーやアビオニクスの性能によるもので、ステルス機固有の能力ではない。
    ・「将来の脅威環境では非ステルスが敵地に飛び込む想定は正しいと言えるか?」は、「敵防空能力の向上」との相対的な比較ですから、F-35さえも検出できる「敵防空能力の向上」があった場合、F-35に統一した空軍は無力化、脆弱化してしまう欠点を抱え込むことになる。
    ・「F-15Xが高度脅威空間で生き残るためには護衛が必要。レーダー妨害機能、敵戦闘機の制圧、地対空ミサイルを無効にする機能を果たす各機も必要。各機運用にパイロット・支援人員が多数必要で空中給油機も基地機能整備も求められる。F-15Xを攻撃投入すれば全体コストは第5世代機より大幅に増える」→ で、F-35ならこれらの機材が減らせるのか?
    ・「空軍上層部が毎年72機のF-35調達を堂々と求めることは正しい」これも正しいと思いますが、現実には無理だから皆、頭抱えているんですが、それについては?

    こうして書き出すと、やたらと長文のわりに「空軍協会のミッチェル研究所」とやらの見解も穴だらけで、この程度の見解しかだせずに「研究所」で高給がもらえるのはうらやましいと率直に思いました。結局、必要な戦闘機を揃える予算が無いから、幹部がアレコレ知恵をひねっていることに対して、全然役に立ちそうも無い提言に見えます。

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    1. あなたが問題にしている点は逆にF-15Xを導入しなくてもいい理由になってますよ
      >>「毎年72機のF-35調達」が予算上から不可能、と空軍長官が言っていたことを無視している。お金は何処かからか沸いてくる訳ではない。
      これはむしろF-35のほうが安いからこっちを導入すべきでは?
      トランプ大統領がF-35を値下げさせて141機を115億ドルにしましたが大してF-15Xは12機12億ドルです。
      >>・F-35にあり、F-15Xに無いと言っている「パイロットのデータ収集・合成能力、行動につながる情報への変換能力、僚機とのリアルタイム協力を適時適地に実施する能力」は、センサーやアビオニクスの性能によるもので、ステルス機固有の能力ではない。
      これはF-15XとF-35のセンサー機能が同一と仮定するならば全部F-35にして部品の統一をすべきでは?
      >>・「将来の脅威環境では非ステルスが敵地に飛び込む想定は正しいと言えるか?」は、「敵防空能力の向上」との相対的な比較ですから、F-35さえも検出できる「敵防空能力の向上」があった場合、F-35に統一した空軍は無力化、脆弱化してしまう欠点を抱え込むことになる。
      無力化されたとしてもF-15Xと同じ結果になるのでは?現代の戦闘機は人間の限界である9G制限に既に達しておりF-15XとF-35の機体の違いはペイロードと最高速度の違いのみ(センサーの分F-35のほうが上?)でF-15が生き残れてF-35が生き残れない環境が想像できません
      >>・「F-15Xが高度脅威空間で生き残るためには護衛が必要。レーダー妨害機能、敵戦闘機の制圧、地対空ミサイルを無効にする機能を果たす各機も必要。各機運用にパイロット・支援人員が多数必要で空中給油機も基地機能整備も求められる。F-15Xを攻撃投入すれば全体コストは第5世代機より大幅に増える」→ で、F-35ならこれらの機材が減らせるのか?
      仮に減らせなかったとしても整備運用の面から機体を統一したほうがいい
      >>・「空軍上層部が毎年72機のF-35調達を堂々と求めることは正しい」これも正しいと思いますが、現実には無理だから皆、頭抱えているんですが、それについては?
      とにかく安い機体が欲しいのならF-16Vでいいはず 州兵はこれからもF-16を使う予定なので部品統一の面からこちらのほうがいい 仮にF-35が生産限界で機数が増やせないとしてもこっちのほうが合理的

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    2. 「あなたが問題にしている点は逆にF-15Xを導入しなくてもいい理由になってますよ」 
      →はい、私は正直、F-35、F-15Xのどちらにも一長一短があって、こうすれば良いとは断言できません。このため、当事者の米国政府、議会、国防省の最終決断を尊重するしかないと思ってます。
      上記の私の文章は、このような状況で、米国空軍協会の研究所の方が「F-35じゃなきゃダメ」と断言する割には、既に数多く議論された内容と大差なく、陳腐な内容だなと思ったことを述べさせていただきました。
      御気に触りましたら、お許しください。

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    3. 予算上からF-35を72機導入出来ないは、明らかにごまかしです。F-35を72機購入する予算が確保出来ないなら、F-15Xも導入できないでしょう。
      この話は空軍予算総額の話しで、予算が足りないアピールでしょう。
      単価は変わらないか?高いくらいのはずなので。
      センサやアビオニクスに関しても従来のF-15を大きく超える訳ではなく、F-35には足元にもおよばないでしょうし、オーストラリアでのイギリスやアメリカの合同演習をみると、今回の見解と同様の運用になっており、F-35のエスコートがないとF-18でさえ演習では生存は厳しいようです。
      F-15X擁護の記事よりは、まともだと思います。

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    4. >>1comc
      陳腐な内容だと思うのはごもっともな意見だと思います。
      今回の導入は空軍内で最大効率を求めて議論したのにもかかわらず独断専行で導入が決定されてしまったのではないかということを強く感じます。
      F-15X側が実力行使で導入を強行している以上議論にはなりませんし米国空軍協会としても以前話し合った内容を繰り返し主張する以外方法がなかったのだと思います。

      削除
    5. 「F-15X側が実力行使で導入を強行している」は、ごもっともな話だと思います。
      どちらかと言うと、このままボーイングが戦闘機分野から撤退して、ロッキードマーチン一社しか無くなると、競争が働かずに国防上の重大な懸念が生じることや、F-35のブロック3F自体にも未解決の重大な問題が残っている事など、これらを計りにかけて出した政治的判断だと、私も思います。
      米国空軍協会が反対するのは自然ですが、国防上の観点から見ると、競争原理が働かない事もまた、米国の軍事力の低下になりますから、悩ましいことになっているのだと認識しています。

      削除
  2. やっと正論が出てきました。ただ、現実には国防予算にF-15Xは計上されてしまっているみたいです。議会で削減も実現は無理でしょう。
    もはや、これは予算や価格の問題ではなく製造の問題です。
    空軍だけで、72機納入出来ればいいですが。去年は、94機製造で48機納入で、今年は134機製造予定ですから、約半分とすると67機は納入できそうですが、海軍分や輸出分も増えるので、この機数確保も厳しいかな。
    ピーク想定の200機生産体制が確立出来れば、空軍が最低限欲しい年間72機は達成できそうですが。
    ドイツはダメでしたが、輸出の採用も増えており、早急に増産が必要です。
    やはり、4世代機と5世代機の間には大きな開きがあるので、特にF-35の性能はぐんをぬいているのですが、これをまとまった機数とするが最優先でしょう。
    あとは、多数を占める2Bの3F化ができればいいのでしょうが、工場で作業が必要なようで、量産に影響がありそうで厳しいかな。

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    1. 失礼ながら、ロッキードの関係者の方ですか?
      そもそも論で、F-35の開発が遅れに遅れて、ブロック3Fは未だ未完成の状態であることや単価は下がっても、運用費用が高い、機体表面の修復などに時間がかかるという問題があるため、米国の関係者が皆、どうしたものかと悩んでいると認識しており、増産すれば良いという話では無いかと。
      はっきり申し上げて、F-35沢山買えば良いで済むなら誰も悩まない話かと思います。

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  3. 巡航ミサイル迎撃は確かに考慮すべきです。パキスタンすらすでに持っているようですし北朝鮮も開発中。今のF-15では最大8発(命中率87.5%以下なら最低1発撃ち漏らす)、1目標に2発撃てば4発しか迎撃できません。

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フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ