スキップしてメイン コンテンツに移動

弾薬生産に不可欠なレアアース供給を中ロに握られたまま危機感を強める米国

 

Bullets are seen in front of an American-made F-16V fighter during a military exercise in Taiwan on Jan. 15, 2020. (Chiang Ying-ying/AP)

国は弾薬生産に不可欠な鉱物の調達をほぼ全面的に中国(一部ロシア)に依存している。

アンチモンantimonyは徹甲弾や爆薬から核兵器、さらには暗視スコープなど様々な軍事機器の製造に不可欠だ。

アンチモン含むレアアース鉱物の戦略的備蓄で強化が必要と議会が注目している。備蓄対象には、チタン、タングステン、コバルト、リチウムなど、防衛産業に不可欠な鉱物多数が含まれているが、是正措置がないと2025年度までに対応不能になると議会は予想している。

下院軍事委員会が水曜日発表した法案では、アンチモンのサプライチェーンにおける中国支配に初めてメスを入れている。法案に添付の報告書では、10月までに国防備蓄管理部門へアンチモンの状況について委員会に説明し、「鉱物資源の5年間見通しと現在および将来のサプライチェーンの脆弱性」を提供するよう要求している。

「委員会は、最近のロシアや中国との地政学的な動きと、特にアンチモンのサプライチェーンを途絶させる可能性を懸念している」と報告書は指摘。

また、同法案では、国防総省に対して、使用済みバッテリーをリサイクルし、「貴金属、希土類鉱物、戦略的に重要となる元素(コバルトやリチウムなど)をサプライチェーンまたは米国の戦略的埋蔵量に再生する」方針を打ち出すよう求めている。

下院準備小委員会は木曜日に文案を承認する見込みで、軍事委員会は年次国防認可法案の一部として同法案実現を進める。

第二次世界大戦中、日本が中国からアンチモン供給を打ち切ったため、米国はアイダホの金鉱でアンチモンを調達しはじめた。しかし、この鉱山は1997年に生産停止した。

米国地質調査研究所の2020年報告書によると、「アンチモンの国内鉱山は存在しない」とある。「中国は採掘・精製されたアンチモンの最大の生産国で、米国の主要輸入先である」。

報告書では、中国は「世界第2位の生産国ロシアにシェアを奪われている」と指摘しており、タジキスタンが世界第3位のアンチモン供給国として世界市場で地歩を固めてきたという。

過去数十年にわたり、戦略的鉱物の国防備蓄から売却を許可してきた議会にとって、国防備蓄強化の大きな転換点にきた。

冷戦が始まった1952年のピーク時には、備蓄は現在のドル価格で420億ドル近くあった。昨年は8億8800万ドルに急落している。

国防総省は先月、議会に独自の立法案を提出し、備蓄用鉱物の追加調達のため国防承認法案で2億5350万ドルの承認を要請している。

下院軍事委員会のセス・モールトン議員Rep. Seth Moulton(民、マサチューセッツ)は4月、国防予算小委員会に23年度の2億6400万ドルを備蓄用資金として追加提供するよう共和党議員とともに要請した。

「現在の備蓄は大国間競争の必要条件を満たしていない」「国防備蓄は、サプライチェーンが寸断された場合、国防総省が必要とする大半の物資をカバーすることは不可能な水準にある」。■

 

The US is heavily reliant on China and Russia for its ammo supply chain. Congress wants to fix that.

By Bryant Harris

 Jun 9

About Bryant Harris

Bryant Harris is the Congress reporter for Defense News. He has covered the intersection of U.S. foreign policy and national security in Washington since 2014. He previously wrote for Foreign Policy, Al-Monitor, Al Jazeera English and IPS News.


コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックIIAとSM

たった2年で自律型兵器数千機を製造する国防総省の大胆な構想は明らかに中国との軍事対決を意識し、米国の技術優位性を活用しようとしている

  レプリケーターはわずか2年で自律型兵器数千機を製造する国防総省の大胆な構想 Repeated war gaming shows that large networked swarms of drones that can cover vast areas would be critical to winning a brawl over the Taiwan Strait. USAF/CDC レプリケーターには米軍の戦い方を大きく変える可能性があり、中国の量的優位を正面から覆そうとするもの  国 防総省は、中国の急速な軍事力整備に対抗する最新戦略を発表した。 レプリケーター Replicatorの名称で、「小型、スマート、安価、多数」を特徴とする、攻撃可能な自律型プラットフォーム「数千」機の実戦配備に重点を置く。この構想は、中国の大規模な軍に対抗する方法として、米国の技術革新を活用するもので、同時に、AIアルゴリズムの恩恵を受ける無人システムに任務を負わせようとするものでもある。 レプリケーター・プログラムは、キャスリーン・ヒックス国防副長官  Deputy Defense Secretary Kathleen Hicks が、ワシントンで開催された全米国防産業協会のエマージング・テクノロジー会議で発表した。 レプリケーターが相手にする脅威について、ヒックス副長官は「PRCの最大の利点は質と量である」とし、急速に多様化する中国の対アクセス/領域拒否能力がもたらす特別な課題にも言及した。 ヒックス副長官は、レプリケーターのアプローチには歴史的な前例があると付け加えた:「私たちが経済と製造基盤を動員するときでさえ、アメリカの戦争勝利戦略が、敵対国の船と船、あるいはショットとショットのマッチングだけに依存したことはめったにありません」とし、ロシアのウクライナへの全面侵攻に言及するかのような辛辣なコメントを付け加えた:「結局のところ、私たちは競合他社のように国民を大砲の餌にはしていません」。 対照的に、レプリケーターは、「敵国を出し抜き、敵国を戦略的に出し抜き、敵国を巧みに操ることによって、敵国を圧倒する」米国の能力を基礎とし、それを継続する。 レプリケーターが実現すれば、どのような構成になるのだろうか? ヒックスは、このプログラムが「明日の技術を習得する」こと、すなわ