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LEMV: 無人監視飛行船の実証実験をアフガニスタンで

Northrop Grumman To Fly Surveillance Airship

aviationweek.com Jul 2, 2010
飛行船は航空技術の黎明期から存在してきたが、 新しい役割でその存在が再注目されようとしている。今回の任務は長時間監視警戒だが、無人飛行船の今後の役割が定着することになるのだろうか。
  1. ノーロップグラマンは長時間滞空多目的情報収集 機体(LEMV)を総額517百万ドルで開発に着手。米陸軍がアフガニスタンで2012年から運用を開始する同機は無人飛行船で国境警備や災害救難に、ま た通信中継用や監視用に長期間の運用が可能。
  2. この飛行船は15,000から20,000ポン ドの燃料を搭載して、三週間から四週間にわたり監視空域に留まることができる。この間の運行費用は2万5千ドル程度であり、MQ-9プレデターを同じ任務 に投入すると合計12機に相当し、その運用に必要な地上人員も別途必要だ。
  3. LEMVは広範囲区域を継続して監視することが でき、その間にビデオ映像、レーダーや通信情報収集をして地上部隊に送信できる。センサー類を取り除き追加燃料タンクを装備すれば、20トンの貨物を運搬 することができる。
  4. さらにノースロップグラマンはLEMVに合計3,500ポンドの装備を載せて21日間上空 20,000フィートの監視手段を維持できると見ている。   
  5. ノースロップグラマンの提携先Hybrid Air Vehicles (HAV)社が LEMVを設計した他、全長300フィートの有人でも運航可能なハイブリッド飛行船コンドル304も製作した。                            
  6. 新世代飛行船の浮力の6割がヘリウムによるものであり、残りの4割は空力学的な浮力によるもの。 離着陸時には搭載する4基のエンジン推力を利用する。
  7. 米陸軍は18ヶ月以内の納入を希望しているの で、ノースロップグラマンは低リスクの機体設計と経験のある提携先を選択した。HAVは商用スカイシップ500と600の開発実績がある。
  8. 一号機はアフガニスタンに2011年末までに フェリーされ、2012年初頭に45日から60日の運用評価試験を実施してから5カ年契約で同地で任務につく。同契約では陸軍は予算手当がつけばあと2機 の飛行船を導入するオプション条項が盛り込まれている。陸軍は一号機にセンサー類を搭載するにあたりリードタイムの関係から既存ユニットを組み合わせた。 二号機三号機が実現する際にはノースロップグラマンが搭載機器の構成、手配を担当する。
  9. 一号機に搭載するセンサーにはフルモーションビ デオ装置とノースロップグラマン製の合成開口レーダー兼地上移動目標表示装置がある。この装置ヴェイダーは車両・人員を発見追跡して道路走行の妨害を試み る勢力を対象として開発された。通信傍受情報収集用の装置も含まれる。通信用にはナローバンド・ワイドバンド両用で利用可能なデータリンクが含まれる。
  10. ノースロップグラマンは同社のグローバルホーク 他で得た無人機技術も応用して飛行船の運用を無人で実施する。LEMVは空気より重い構造のため、離陸には空力学的な推力が必要だ。移動最大速度は80 ノットで、滞空任務には速度を30ノットに減速する。着陸時には自動操縦で係留装置に固定される。
  11. 飛行船はそのサイズから敵に狙われやすい存在だ が、陸軍はアフガニスタンでも安全な空域を選んで運行する予定。LEMVは防衛能力は装備していない。
  12. 一号機の運用実績を見てその後の改良が実現する 予定だが、エンジンの換装が考えられており、ペイロードは現状の3,500ポンドから引き上げられるだろう。また改装により乗員輸送も可能となる。
  13. LEMVは広告といった極めて限定的な これまでの飛行船の使用用途が本当に広がるのかの試金石になる重要なテスト機だ。これまでも大型重量運搬や偵察監視用に飛行船を使う計画はあったが、実現しなかっ た。今回は戦域における長期間監視のニーズがハイブリッド飛行船の用途に合致しているが、それが唯一の用途ではない。
  14. 軍では太陽電池を搭載した無人航空機を成層圏上 空に、数週間、数ヶ月あるいは数か年滞空させる構想を検討している。キネティック Qinetiq は同社のゼファーに太陽電池を動力に6ポンドの通信装備を載せて二週間の滞空を60,000フィート上空で実現する実証の準備中。
  15. これより大きなペイロードには水素燃料電池を動 力にした高高度UAVの利用が可能だろう。エアロヴァイロメントAeroVironment は同社のグローバルオブザーバーに400ポンドのペイロード を載せて高度60,000フィートの飛行を実施する。ボーイングもファンタムアイ実証機を2011年に飛行させる予定で、目標は100時間の滞空で水素燃 料電池によるUAVとして最終的にはペイロード1,000ポンドで10日間、2,000ポンドで7日間の滞空を目指す。
  16. ただし、滞空時間の長さとペイロードでは飛行船 を上回る手段はない。■

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