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Israel Assesses Changing Threats
aviationweek.com Aug 13, 2010予算削減に加え脅威の内容が変化している中でイスラエルは今後の予算の割り振りに苦闘している。財政当局と国防省の議論はかれこれ一年も続いており、同国の存亡を左右しかねない争点では国論が大きく分かれている。
- イスラエルが新しい形の脅威にどれだけ早く対応できるか、また戦闘とその勝利の定義をどう変化させるべきかが、改めて同国内の問題意識となっている。
- 「イ スラエルが直面する課題を我々は完全に理解しているとは言えない。脅威は大きく変化している。通常型の軍備増強がその解決策とは必ずしも結びつかない。技 術革新、思考方法の変革等に一層の投資が必要であり、一方で戦闘、その勝利、その戦場の再定義をすることが求められる。」(ダン・メリドル、副首相兼情 報・核エネルギー大臣)
- 戦闘を取り巻く環境は急速に複雑化している。「国産のUAVの必要度は大きい。乗員の生命を危険にさらさずに、多数のミッションを実施できる。」(メリドル)
- UAVはミサイル防衛の一部として偵察・捕捉任務を実施することになるだろう。
- 「敵ミサイルの発見、位置把握には10秒か12秒しか余裕がない。今後はミサイル迎撃技術への予算投入を増やしていく。アロー迎撃ミサイルと新型衛星からの情報が重要な要素となる。」(マタン・ヴィルナイ国防副大臣、元陸軍参謀副総長)
- 「宇宙空間が一層重要になってきた。イスラエルは地上の面積に比べると宇宙で大きな存在だ」(ダニ・ハルツ空軍中将(退役))
- 同 中将が指摘するのは同国の地理的な制約条件が長期的には優位点になるという点だ。イスラエルが宇宙機を打ち上げる際には自転方向の反対にしてブースターが 他国領土に落下するのを防ぐ必要があるので、技術・計画双方で革新的な工夫が求められる。高性能機能を積み込んだ小型衛星を連続して打ち上げに成功した同 国はISR活動の拡大に向けた一歩に踏み出した。
- サイバー戦、高出力マイクロ波、ネットワーク侵入が同国の関心事だ。「敵の指揮命令系統が攻撃対象リストの上位にある。サイバーだろうがネットワークと呼ぼうが、結果は敵システムのソフトキルであることに変わりない」(ハルツ中将)
- 「サイバー攻撃はイスラエル国防軍の任務の一部だ。同時に空軍や情報部の任務の一部である。世界の他の地域と同じく、サイバー任務は第一歩を踏み出したばかりである。そのことを理解の上、可能なことは何でも実施する」(ヴィルナイ副大臣)
- 「サ イバー空間は新しい戦場であり現実のものだ。技術だけが革新的変化の対象ではない。ユーザーの側に変化が必要だ。世界のどこかの地下に隠れる小集団が攻撃 を仕掛けても、その所在を突き止めるのは非常に困難だ。国家による攻撃でなく、これは個人による攻撃だ。」(メリドル副首相)
- これ以外の関係者はイスラエルのサイバー能力について発言は慎重だ。
- 「実施可能な手段について、存在するとも存在しないともお伝えできませんが、仮に我が国がその手段をもっていても、それだけで勝利を約束するものではありません。まだ不確定な部分が多いので使用するにしても慎重であらねばなりません」(匿名のイスラエル国防軍退役高官)
- 新技術の開発にはネットワークも変化する必要がある。
- 「五種類の情報源を統合する仕掛けを作る必要があります。視覚、信号、通信、人的情報収集、公開情報です。受動的になっていては不十分です。インターネットを完全にかつ専門的に調査すれば、膨大な情報量が入手できますね」(同上高官)
- これは敵の側もサイバー空間を有効活用する可能性があることを意味する。前出の高官も「これまで以上に先読みをして、他機関と連携すれば信じられない内容の情報も手に入りますよ」と認める。
- 「各情報機関が自分だけの情報にしがみついていては機能しません。コンピュータのネットワークに、すべてを組み合わせるとひとつの絵になります。各機関がバラバラに動くのではだめです。」(あるベテランの情報アナリスト)
- ハルツも情報融合と情報活動の有効共有の重要性を強調している。
- 「目 標をGPS座標レベルで補足してリアルタイムで情報を正しく、正しい関係先に伝える装備が求められている。各分野で収集した情報を融合するシステムも必要 だ。陸海空軍で共通の言語が求められている。その結果、有効な手段と部隊編成でミッションを完了しながら一般市民の巻き添え被害は最小限におさえることが できるはずだ。」(ハルツ)
- 同 国政府高官の多くがイスラエルを脅かしている敵のミサイルにGPS誘導がまもなく装備される可能性があるとの点では意見が一致している。さらに、ミサイル の有効距離が伸びていることでイスラエルの重要戦略インフラ拠点のすべてが目標になっていると考えている。これでミサイル防衛体制の強化の緊急性が高まっ ている。
- 「全 土の防衛というよりも最重要の戦略拠点に重点的な防衛体制を実現するのが今日の防錆政策だ」と話すのは国家安全保障審議会をまとめていたジオラ・エイラン ド陸軍少将(退役)だ。「重点対象は数十箇所あり、100%確実な防衛を各施設に提供できるが、その集団については話すことができない」
- エ イランドが言及しているのは次の二つの新システムのどちらかだろう。「アイアン・ドーム」は短距離弾道ミサイルおよび長距離ロケット弾に対する低レベル防 衛システムだ。「ダビデの投石機」は中距離弾道ミサイルからの防衛手段だ。この二つを組み合わせて総合防空・ミサイル防衛システムとし、その中にアロー 2、そして配備がまもなく始まるアロー3を組み入れる他、ペイトリオットミサイルの性能向上型も活用する。この組み合わせで地上から大気圏上空に至る防衛 体制が完成する。
- 「空軍基地が攻撃目標となっても空軍なしで対応できるように地上発射型の対地ミサイルで長距離射程のものを開発したいし、いろいろな理由で潜水艦部隊も増強したい。」(エイランド)
- イスラエル海軍の潜水艦は高精度・長距離巡航ミサイルを搭載している。■
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