Japan's JSF Buy Balances Economics, Industry
aviationweek.com Jan 4, 2012三 菱重工製F-2戦闘機の最終生産の完了後に、生産継続の場合の単価を試算したところ150億円という値段になった。全くの新型機ではない戦闘機の価格とし てはいかなる国にも負担できる額ではない。一方、日本の国家予算の赤字額は国内総生産の9%に相当し、債務総額では年間GDPの230%相当で、ヨーロッ パのどの国よりも大きい。東シナ海の反対側には中国があり、その経済は年率10%成長をこの三十年間にわたり達成している。ただし今後は6ないし7%成長 に鈍化しそうだが、中国の国防支出も経済拡大とほぼ同じペースで拡大している。一方で日本経済はこの二十年間の成長実績は年率0.8%というかぼそいもの だった。今後は「Made in Japan」のスタンプが戦闘機部品に押されることになる。そして生産は拡大し、経済的な規模を確保できるだろうが、戦闘機自体の生産はなくなる。
- 日本政府によるロッキード・マーティンF-35統合打撃戦闘機採用の発表が12月20日にあり、その直後に過去35年間堅持してきた武器輸出3原則の緩和も発表され、国際共同開発による武器の開発、生産に道を開いた。
- この変更は大きな影響を西側防衛産業にも及ぼす可能性がある。制約から解放された日本の防衛産業は大量生産に走るかもしれない。AH-64Dアパッチの例のように年間1機というペースでの完成機の生産ではなく、米国向けに相当数の部品生産が可能となる。
- 武器三原則の変更を発表した藤村官房長官は緩和の理由は「防衛装備を巡る国際環境の変化」だという。どんな変化かは明らかにしていないが、日本の戦略的な環境条件はきわめて明瞭である。
- F-35選択で日本は西側装備採用国の普通のクラブメンバーになる。政策変更に同機の選択が触媒の役割をしたのは明らかだ。ただしどの部品が国内生産となり、三菱重工や三菱電機と言った国内メーカーがどこまで関与するのかはまだわからない。
- 苦労して国内で一貫生産の体制を築いた防衛関係者、国内産業界が新体制に抵抗を示すのは間違いない。一方で、日本産業界にも独自優位性を示せる 分野に特化する必要を感じていることが輸出規制見直しの際に浮かび上がってきた。民間航空機分野では三大メーカーは主翼、胴体中央部の生産に特化している 例がある。
- た だ防衛省は選定評価上でF-35がなぜ優位だったのかについては説明しておらず、単にオペレーションズ・リサーチ結果に基づき判断したとしているだけだ。 開発途中の装備を選択するのであれば、リスク評価も当然しているのだろうが、防衛省はこの点について何も言及していない。
- F-35Aの初期作戦能力獲得は米空軍で2018年になる見込みだ。とはいえF-4ファントムが新型の中国戦闘機に対抗できる余地があるとは思えない。現在二個飛行隊のファントムだが、2014年2015年にそれぞれ一個飛行隊が退役となる。
- 日 本が調達するF-35は低率初期生産バッチ8号(LRIP8)の一部。イスラエルも同じロットから初号機を調達する予定だ。LRIP8の機体にはブロック 3ソフトウェアが搭載される。日本は平成24年度予算でまず4機を調達する。納入は平成28年度(2016年)を予定。この発注での機体単価を99億円と している。これならF-2追加生産の150億円よりも安価に見える。防衛省が調達する42機全体では20年間の運用で総額1.6兆円を見込み、一方でF- 2(94機)は運用期間45年間で3.4兆円と見積もる。
- 一 方でロッキード・マーティンの生産ラインから直接購入すれば、価格は相当下がる。つまり国内生産が加わることで費用が増加するのだが、ロッキード・マー ティンからは最終組み立て及び検査工場を国内に設置する提案がすでに出ている。戦闘機生産の中核技術を温存したい日本にとってはロッキードが提案している 主翼、胴体中央部等の主要部分の国内生産が実現する事が重要な要素だ。米政府からは主翼、尾部の国内生産の可能性が言及されている。各国向けF-35では ロッキード・マーティンが主翼を、ノースロップ・グラマンが胴体中央部、BAEシステムズが胴体後部と尾翼を生産分担している。日本は同機の主要部品 300点のうち4割を国内生産できる見込みとの報道があった。
- F- 35事業開発担当副社長スティーブ・オブライアンSteve O’Bryanは日本からの要望の概要の言及を避けたが、関連する生産技術を間接的に紹介している。「日本は第4世代戦闘機のアルミ加工技術ほか旧式な技 術はすでにF-15生産ラインで実施ずみですが、F-35では複合材技術、自動フライス加工など高度な機械加工技術に加えて、高性能エイビオニクス技術も 手に入れるでしょう」
- た だ飛行テストが18%しか完了していない現状でさらに問題が出てくる心配もあり、ペンタゴンからはF-35の2016年引渡しは不可能ではないかとの懸念 が出ていることについて、ロッキードの首脳陣からは「引渡し予定日の実現には心配していない」との発言が出た。その一方、空軍と海軍のテスト関係者からは 開発段階での問題発生で懸念が10月に表明されており、その直後に国防総省の調達担当責任者代行フランク・ケンドールFrank Kendallに総括評価が送られており、その内容が報道陣に入手されている。
- ロッキード・マーティンはLRIP8でさらに韓国向け販売の余地も残しており、同国が日本にならいF-35を選定し60機調達すればこれが実現する。オブライアンによると同ロットではまだ余裕があるとのことだ。
- これでイスラエル、日本、韓国がLRIP8で顧客になるとすると、ペンタゴンからはそれ以前のLRIP生産をさらに遅らせて、開発が完了していない機体の購入でのリスクを減らす動きに出るかもしれない。.
- 一 方、選にもれたボーイングには打撃で各国政府に対して既製の機体の購入を継続するべく価格値下げと維持コストの低下をちらつかせている。日本での選定が実 現していれば経済危機続く各国に対してスーパーホーネットが費用対効果で優れているとの証明になっていただろう。ボーイングは日本の選択を「尊重する」と の声明を発表している。
- 現 状どおりならボーイングのF/A-18E/F生産は2015年で終了する。米海軍とオーストラリアが今年中に追加発注するかを決定する予定だ。ブラジルで は36機の調達規模を巡り、ダッソー・ラファールとサーブ・グリペンとともにスーパーホーネットが争っている。その他マレーシア、デンマーク、アラブ首長 国連邦ならびに「その他中東諸国」でも選定の対象となる可能性がある。
- タイフーンはインドの要求する中型多用途戦闘航空機(126機)の国内生産対象として残っているが、BAEは同機年間生産数を53機から43機に縮小するとの発表をしている。同社の受注残は260機あり、引渡し済み機体数は280機になっている。
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