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米海軍新世代空母に搭載される新技術


Carrier Launch System Passes Initial Tests
aviationweek.com June 4, 2010
  1. 全電動カタパルトのテストがレイクハースト海軍航空基地(ニュー ジャージー州)で成功したことで、新型空母USSジェラルド・フォード(CVN-78)の建造関係者は安堵しているはずだ。海軍は伝統的な蒸気カタパルト に決別する賭けをしている。
  2. 電磁誘導式航空機射出システム(Emals)の開発が遅れていたことで同空母の建造には黄色信号がついてい た。蒸気式カタパルトに復帰するには遅すぎた。フォード級空母は発電配電システムがニミッツ級より強力でEmals搭載を念頭においている。このため艦内 では暖房、厨房、ポンプはじめ延長10キロメートルの蒸気配管を全廃している。
  3. 予算115億ドルの同空母の就役は予算上の理由で二回に わたり遅れている。そこで予定通りにEmalsが進展してきたことと建造日程が合致してきたのだが海軍は同システムの開発を注視している。
  4. レ イクハーストのEmalsは陸上配備で荷重なしの高速度テストを4月に開始しており、バラストを乗せた状態で50ノットから180ノットに加速していく。 主契約事業者はジェネラルアトミックスで、試作品が同社工場で加速試験を受けており、6,800回のライフサイクルに耐えれるかを点検中だ。これまでのと ころ航空機、兵装、脱出シートに深刻なサージ電流による電磁干渉の兆候は見つかっていない。レイクハーストでは最初の航空機発進テストを年末に実施予定 だ。
  5. 2011年5月にフォード向けのEmals部品の第一陣が造船所に到着する予定。特に関心が集まるのは発電装置合計12基で、各 80千ポンドの重量ではずみ車でエネルギーを保存、提供する設計である。この製作日程に余裕がない。
  6. Emalsは蒸気カタパルトより柔 軟性が高い運用が可能だ。F-35C共用打撃戦闘機にはF/A-18E/Fよりも大きな発進エネルギーが必要で、EmalsはF-35Cを完全装備のまま 発進させることができる。
  7. 逆にEmalsの設定を蒸気カタパルトよりも低くすることも可能で無人機のような軽量機の発進にも対応でき る。
  8. フォード級空母には新型の高性能着艦装置もあり、これもジェネラルアトミックス社製品であり、従来の油圧式装置に置き換わる。この 装置はニミッツ級にも搭載可能だ。
  9. フォード級空母から共用精密誘導着艦システム(Jpals)も導入する。フォード級二番艦CVN- 79には自動着艦機能も搭載される。
  10. Jpalsの導入が急がれるのは現有のレーダーが2020年以降はサポートをうけられなくなるた め。またレーダー断面積が小さいF-35Cの運用にも対応できる。Jpals搭載はF-35Cの部隊の配備と同時期になる。
  11. Jpals の第一段階性能は高度200フィートまでの降下を視程0.5マイルで実現することだが、自動着陸には十分な精度で無人機ノースロップ・グラマンX-47B の運用で実証が進んでいる。
  12. その精度の鍵となるのが艦と連動したGPSで受信機を二期利用し、艦の位置を正確に測定し、速度、縦揺れ、 横揺れ、進路を把握する。この位置差を利用した技術でJpalsは航空機の正確な位置情報を提供する。データリンクにより自動着艦誘導を送信するものだ。


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