スキップしてメイン コンテンツに移動

オバマ政権下の国防予算動向を占う

ターミナル1 2共通記事としてオバマ政権での国防予算の動向についての観測記事がありましたので掲載します。

Flightinternational.com 1月20日

航空宇宙産業は経済危機とは無縁の数少ないセクター。しかし、国防関係の調査開発、生産規模が年間1950億ドル規模となっているとはいえ、航空宇宙産業には困難な課題も存在する。ひとつには資金の不足がある。国防予算は今や第二次大戦後最大規模になっているのに、皮肉なことに航空宇宙産業の財政状態が逆にあだとなるのだという。実際には状況はもっと複雑である。オバマ政権の防衛支出は未知の要素に左右されるかもしれない。たとえば、紛争、テロ攻撃の発生。ただし、防衛支出の長期傾向は明白で、国防総省予算は当面は現状水準の維持となる見込みだ。これは兵器調達が急激に減少することを意味する。

国防予算の近未来動向は

戦費補正予算分除く2009年度の国防予算総額は5,170億ドルで、11年間連続の予算増となる。アメリカの国防支出は10年から15年周期で増加・減少を繰り返しており、最近の底は1997年。中期見通しは支出増が減速することを示しているが、急減少はまだ数年先のことになろう。議会予算局(CBO)の予測どおり2014年から2026年の平均年間支出が増減ゼロの予算になると、ペンタゴンの購買力は大きく減少する。その間にアメリカ経済全体が成長をするはずだからだ。国防総省の支出規模の対GDP比率は平均5.6%だった80年代から90年代は3.8%になっている。CBOは2013年に3.1%、2026年には急落して2.6%と予測。議会と新政権は経済活動との比較で最低規模は安全保障に投資していく必要があり、GDP4%相当が提案されており、現在の規模では5,910億ドルとなる。経済規模に呼応した国防支出の利点は明らかだ。国防支出はやがて安定し、未知の地政学的な変化があっても予算規模を想定することが可能となる。 4%枠を設定しても支出額は歴史的な規模を維持することになる。

予算基盤を増強

ではどれだけを国防予算に支出できるのか。戦略予算措置評価センター(CSBA)が9月にまとめた報告書では2018年度のGDP4%の国防予算は8,950億ドルとなり、長期予算案よりも2,630億ドルも多くなる。2009年度から2018年度の間の総支出額は4%枠では7.4兆ドルとなるが、現状予測は5.8兆ドル。「ここまで急激な増加の必要性には疑問があります。過去8年間で国防予算が高い水準になっていることを考慮する必要があります。さらに、4%枠の議論はブッシュ政権が国防予算案で求めた水準以上に米軍の戦闘能力が必要なのかの議論を無視しています。」(CBSA専門家) 民主党内で国防予算削減を求める声はわずかで、大きな動きはない。新政権が直面する一番困難な課題は投資的支出枠の1,750億ドルを賢く、予算未達や予算未計上を発生させずに使い切ることなのだ。ここに含まれていないのは最低40億ドルでロッキード・マーチンのF-22生産をもう一年継続すること、また30億ドルでボーイングC-17のフル生産を維持することがある。一方で、空軍はふたつの問題をかかえており、ひとつが350億ドルのKC-X空中給油機、もうひとつが150億ドルのCSAR-X救難ヘリ契約。ともに新政権に政治的・予算上の危険を課す存在だ。KC-X選定は空軍の全世界展開を左右する問題であり、再任となったゲーツ国防長官は再び選定問題の結論を出すことになる。

海外調達の可能性は広がるか

ブッシュ政権下で防衛産業は産業基盤を世界展開した。国防総省は海外製品に国内製品と同じ条件で競合を許す政策を示している。このため米海軍は次期大統領専用ヘリにイタリア企業を選定し、米陸軍はドイツ製軽多用途ヘリを選定し、外国企業二社が軽貨物機契約を争い、9カ国共同開発で次世代打撃戦闘機を開発中である。しかし、経済圧力が高まってきたこととノースロップEADS連合のKC-30をKC-X候補で白紙に戻したための大騒ぎから新政権にはいっそう困難な条件が加わっている。EADS北アメリカはエアバス各型の広範な採用を迫っており、その中には輸送機、大統領専用機、偵察監視、指揮統制用の各型が含まれている。

コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ