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★ペンタゴンの電子戦構想で重要なグラウラー、しかしその生産ラインの維持は微妙



電子戦を実施するためのまともな機材がEA-18Gしかないというのが深刻な米軍の事情です。といっても他国でもこれだけの規模の電子戦機材をそろえたところはないので、まだましなのかもしれませんが。

Pentagon Launches Electronic Warfare Study: Growler Line At Stake

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on February 27, 2015 at 3:41 PM

EA-18G Growler EA-18G グラウラー
CAPITOL HILL: ペンタゴンは広範な電子戦の検討を開始し、EA-18GグラウラーとF-35各型を比較検討する。
  1. 「国防総省内で電子攻撃手段の全般に渡る検討を開始し、わが軍の作戦で必要な電磁戦環境を見極める」とジョナサン・グリーナート海軍大将が下院歳出委員会国防省委員会で発言した。
  2. 研究では個別の兵器システムの枠を超えてアメリカの電磁スペクトラム全体で統制能力を検分する。このスペクトラムにネットワーク、センサー、精密兵器すべてが依存している。
  3. グリナート大将は国防総省全体で見解を聞きたい、という。空軍には少数ながら高性能のEC-130Hコンパスコール機材があるが、多数は退役予定。陸軍、海兵隊には短距離戦術ジャマー装備があり、道路わきの爆弾装置を使えなくできる。だが防空体制の整った環境で生存できる機材を有するのは海軍だけだ。
  4. 2015年度予算要求で海軍はEA-18Gグラウラー追加18機発注を入れたが、議会は15機に査定した。2016年度予算案ではグラウラーは一機も要求していない。そうなると同機を製造するボーイングと議会としては海軍に追加発注の意図があるのか知りたいところだ。質問をグリナート大将と海軍長官レイ・メイバスにはぐらかされた報道陣も同様だろう。
  5. F-35共用打撃戦闘機の調達数を減らしF-18調達を増やすのかとの質問に対しグリナートは2020年代に「JSFとスーパーホーネットが何機必要になるのか査定中だ」と答えている。「この話題は長官とはまだ検討していない」と就任したばかりのアシュトン・カーター国防長官を指して発言したが、今年は調達なしとの記事が多く出ている。
  6. ではボーイングにグラウラー/ホーネットは不要と伝えるつもりなのか、と記者は直接尋ねて見た。「伝えることはしない、まずボスと話す」とグリナートは海軍長官の方を向いた。
Sydney J. Freedberg Jr. photo ジョナサン・グリナート大将とレイ・メイバス海軍長官
  1. メイバス長官は「F-18生産ラインはグラウラー15機が15年度予算で認められていおり2017年までは稼働する。ボーイングとは円滑な生産実施を検討している」と現有F-18の事後改修を追加発注する想定で、「海外採用があればラインは維持可能」と発言。
  2. だがスーパーホーネットの海外営業は精細を欠く。「かれこれ20年で採用はオーストラリア一カ国だけ」と指摘するのはリチャード・アボウラフィア Richard Aboulafia(Teal Group航空産業アナリスト)だ。(旧型F-18AからD型までを保有する国はあるが、これら各型の生産は終了している) 「理由の一つが機体価格」とアボウラフィアは指摘する。「F-15の水準に近づいているが性能ではF-15が航続距離、ペイロード、戦闘効率で優れている」 ボーイングは両機を生産するが「F-15導入に誘導するほうが容易」だとする。韓国、シンガポール、サウジアラビアを想定している。「F-35も圧力になっている。ユーロファイターもあり、ラファールもある」.
  3. 現在の米国発注分が2017年に終了したらボーイングの生産ラインはどうなるのか。「一年半以内になんらかの手を打たないと間に合わないだろう」とアボウラフィアは指摘。2017年に近づくと生産ライン維持がもっと高価になる。というのは部品サプライヤーにはすでに事業精算に動く向きがあるためだ。「今年後半なら楽だろうが、来年初めになれば負担増になり、2016年なら万事休すだね」.
  4. 海軍がF-18/EA-18ラインを確保すべく追加発注すれば国際競争で日程はさらにきつくなる。議会が海軍の希望を無視して追加発注を認める可能性もある。だが予算が厳しい中で可能性は少ない。
  5. 「自国で不要になった装備の海外販売は大変だ」と自らの経験を語るのはローレン・トンプソンLoren Thompson(国防産業アナリスト、コンサルタント)だ。さらに「予算制限がついたままで、もっと予算を投入するからスーパーホーネットを追加発注しろというのは他の装備を犠牲にするということになる」
  6. これまで識者はスーパーホーネット・グラウラーをF-35と比較してきた。三軍の中で海軍はJSF導入に一番消極的だが、ステルス性能の有効性が長期的にどうなるのか見極められないとし、グリナートはF-35の性能にはステルス以外もあると忍耐強く指摘している。
  7. 「ステルスだけでなく他にも重要な機能があります」とグリナートは小委員会で発言。「飛行距離が長く、空母運用でコレまでよりほぼ2倍になり、搭載する兵装は多くなり、探知用レーダーは空対空戦で威力を発揮し、他機・他艦とネットワーク形成も可能ですし、ジャミング以外に情報探知能力が向上しており情報提供できます。相当の進歩です」との発言はF-35を犠牲にしてスーパーホーネット、グラウラーの追加発注をしようという人物のものとは思えないほどだ。
  8. もし議会、海外顧客、F-35削減のいずれでもF-18生産ラインを維持できないとすると、今回の電子戦検討が重要になってくる。
  9. 研究は電子戦全般を対象した広範囲なものだが曖昧さなままだ。記者はペンタゴンにもっと詳細を教えてくれと求めているが、アボウラフィアに言わせれば研究はつきつめれば「各空母に搭載するジャマー機としてのグラウラーを増やすのかどうか」になるのだという。
  10. 電子戦の脅威と対抗手段がそれぞれ進歩する中で、海軍はグラウラーで新戦術を試している。パッシブセンサーを使い、常時発信を避ける。これまではジャマー機を2機飛行させていたが、三機必要になる。常時三機飛行させるには飛行隊の規模を拡大し空母に展開する必要が出る。現状はグラウラー5機を配備しているが、7機ないし8機が必要になる。空母飛行隊は合計10隊あるので各2機ないし3機追加配備で20機から30機の追加発注になる。ただしここには損耗用予備機は含まれていない。
  11. そうなると相当規模の調達になる。だが電子戦の優先順位は高くなりつつあり、海軍だけでなく国防総省全体で必要を痛感している。ペンタゴンの主任研究員アラン・シャファーAlan Shafferは米国が「電磁スペクトラム優位性」を喪失していると警句を鳴らす。この発言はボブ・ワーク副長官の提唱する「相殺戦略」と同じ論調だ。国防科学委員会は電子戦能力の維持拡充で年間20億ドルが不足していると把握している。グラウラーは米国電子戦の最先端手段であり、ペンタゴンの調査結果で増強が必要との結論が出る可能性が高い。予算環境が厳しい中でも調達の実現は大いに可能性があるのは確かだ。■


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